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沖縄市サッカー場:ドラム缶たまり水専門家意見2)池田こみち①排水口のダイオキシン

2015年04月09日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定

沖縄市サッカー場のドラム缶が埋設されていた場所、周辺にたまっていた水や底面土壌についての沖縄防衛局の調査・分析が妥当なものであるか、環境総合研究所の池田こみちさんにも意見をいただいています。

 池田こみちさんの意見は、2回に分けて記事にします。まず、宮田先生への意見書との関連から、まずダイオキシン汚染関係の部分を紹介します。
 意見書は下に貼り付けてありますので、ぜひ全体通して読んでみてください。

 ここで問題にするのは、沖縄防衛局の報告書の排水口の水のダイオキシン類の報告部分です。排水口からのダイオキシン類のデータは、これまで沖縄県環境保全課が測っており(沖縄市サッカー場周辺環境調査の結果について)、今回のたまり水の調査では、沖縄防衛局が計測しています。
計測地はこちら: 

沖縄防衛局HPより切り取り、加工
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/kanri/houkokusyo6/2.pdf


 沖縄防衛局は、今回、たまり水のダイオキシン類のデータと、排水口のダイオキシン類のデータをあわせて評価・分析しています。
 この評価・分析の問題は、大きく2つ指摘されています。
1)1.3pg-TEQ/Lのダイオキシンが検出されていることを、沖縄防衛局が重視してないこと
池田さんは、これについて、まず
この場所はサッカー場予定地であり、ダイオキシン類の水質規制、大気汚染規制などが適用される施設ではない。その場所で排水口からとはいえ、1.3pg-TEQ/Lのダイオキシンが検出されることがそもそも重大な問題である。沖縄防衛局の報告書では、これについて次のように結論づけている。排水基準である10pg-TEQ/Lを満たしているからとして、安易に片付けるべきではない。」
と、ダイオキシン類がサッカー場で検出されること自体が問題で、防衛局が、環境基準以下であることで安易に片付けようとしていることを問題視しています。


沖縄防衛局HPより切り取り、加工
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/kanri/houkokusyo6/14.pdf


2)排水口でのダイオキシン類の検出は、「ドラム缶発掘工事の影響がある」と結論づけているにもかかわらず、「たまり水の影響は排水口に及んでいないと判断される」という結論で終わらせ、検出の原因解明をしていないこと。
 
 排水口のダイオキシン類のデータをみて、たまり水のこの部分の防衛局の報告はとてもわかりにくい記述になっています。

 まず、その部分を抜き出してみます。
 
5.2 排水口の水質調査結果について(『旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)嘉手納飛行場返還跡地内報告書 平成27年1月 沖縄防衛局調達部/中央開発株式会社』 p.34)

“沖縄県の平成25年10月調査および平成26年2月調査の毒性等量は、今回の調査結果と比べて小さく、異性体組成が異なっているが、原因としては、平成26年1月末から2月初めにかけて実施したドラム缶発掘工事の影響が考えられる。工事以前の平成25年10月の排水のダイオキシン類は小さく、工事直後の平成26年2月排水のダイオキシン類は平成25年10月排水より大きくなり、平成26年3月・平成26年7月にダイオキシン類はピーク値を示し、今回調査では平成26年3月調査の1/3になっている。
なお、図5.2.2には、今回調査したたまり水と前回(平成26年6月調査)のたまり水の異性体割合を併記したが、排水口の毒性等量割合とは明らかに異なっていることから、ドラム缶発掘工事の影響はあるものの、たまり水の影響は排水口に及んでいないと判断される。”
(イタリック、赤字は引用者による)

 (ひとつ指摘しておきますが、池田先生から「毒性等量割合」という語彙は専門用語でないそうです。このようなところからも調査レベルに関して、疑義が持たれるところではあります。)
 
 文章ではわかりにくいので、下のような時系列の表にしてみました。


(旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)嘉手納飛行場返還跡地内報告書、沖縄県環境保全部HP)より沖縄・生物多様性市民ネットワーク作成)
 
 こうしてみると、発掘工事の後に、排水口でのダイオキシン類の検出がピークとなり、その後、小さくなっていることがわかります。つまり、発掘工事が排水口の水に影響を与えているということです。防衛局も「実施したドラム缶発掘工事の影響が考えられる」「ドラム缶発掘工事の影響はあるものの」と工事の影響を認めてはいます。
 しかし、たまり水の異性体ごとの組成が異なっているので(たまり水のダイオキシンとは違うので)、たまり水の影響は排水口に及んでいない、とたまり水との関係だけで、結論づけています。たまり水でないなら、何が影響を与えているのでしょうか。

 池田さんは以下のように問題を指摘し、この排水口の水の汚染の原因を明らかにすべきであるとしています。

”ここでは、溜まり水と排水口のダイオキシン類について、異性体ごとの毒性等量割合がことなっていることから、「ドラム缶発掘工事の影響があるものの、溜まり水の影響は排水口に及んでいない」としているが、両者の間には物理的な距離と共に、到達するまでの時間、さらに、ドラム缶掘削作業の何によってどのような媒体を通して影響が及んだかといった問題も重要となるが、いずれも明確に示されていないまま、「溜まり水の影響は及んでいない」と結論づけている。
 溜まり水の影響でないとした場合、具体的にどのような経路、メカニズムによってこの排水口の水が汚染されたのかについて説明する必要があるだろう。むしろ、排水溝の水はサッカー場利用者により近いものであることから、その汚染原因や経路を明らかにする必要があるだろう。”

 つまり、排水口のダイオキシンの検出は、ただ「環境基準値以上/以下」ということで終わらせてはいけないということです。
検出されているのが、サッカー場であることを認識すること。そして排水口に流れ出ているダイオキシン類はたまり水が原因でないのならば、何が原因なのかを調査し、過去の汚染、今後の汚染拡散の可能性を考察し、汚染範囲をどう確定するのか再考するべきでしょう。そして、掘削時にどのように汚染が動くのか、沖縄の経験値としていく必要があります。
 
 池田さんの意見書は、調査や評価のあり方についても指摘しています。次の記事に続きます。

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旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)
嘉手納飛行場返還跡地内報告書 平成27年1月 沖縄防衛局調達部/中央開発株式会社
についてのコメント


2015年2月15日
池田 こみち
(株式会社 環境総合研究所 顧問)


1.調査結果の評価体制について
 本調査は、報告書冒頭にあるように、前回までと同様、愛媛大学農学部森田昌敏客員教授の監修のもと取りまとめられている。しかし、何故、一連の調査報告書の監修を森田氏一人に依頼しているのか、人選の経緯、理由などは明らかにされていない。少なくとも、議論が分かれる汚染原因の究明などの問題が関わる以上、複数の専門家の議論を踏まえて評価を行うことが望ましい。また、開かれた場での議論、市民への適切な情報提供と説明が行われるべきであると考える。

2.調査の目的について
 本調査の目的は、報告書によれば、前回調査を踏まえて汚染範囲の特定を行い、「嘉手納飛行場返還跡地内において,ドラム缶が埋設されていた場所または周辺 のたまり水の水質およびドラム缶底面土壌について調査を実施し,有害物質による汚染の有無を把握するものである。」とあるが、汚染の有無が最終的な目的ではなく、汚染原因の究明や汚染の拡散の可能性など、地域住民の視線や立場に立って調査が行われる必要がある。汚染の有無だけが議論され、汚染の程度、質によって掘り出されたドラム缶や土壌等の処理・処分が行われても、地域住民の不安の払拭にはつながらないからである。
 サッカー場として再開することが最終的な目的であるとすれば、子どもたちの利用が前提となっていることからより慎重な対応が求められる。

3.溜まり水のダイオキシン類について
 今回の調査では、前回の調査により、ドラム缶発掘現場に溜まった水から高濃度のダイオキシン類が検出されたことを受け、再度調査を行ったものである。前回の調査では、沖縄市、沖縄防衛局の両者の調査でほぼ同レベルの高濃度のダイオキシンが検出されたが、評価結果は、大きく分かれた。「枯れ葉剤問題」に関しては、沖縄防衛局では「オレンジ剤」との関係の評価のみ行ったが、沖縄市の依頼した専門家、愛媛大学の本田克久教授は、枯れ葉剤の複数の種類の可能性を示唆した。
 こうした議論の分かれた重大な調査の追加調査として位置づけられた今回の調査結果の評価はより慎重に行われる必要がある。
 今回の調査では、未ろ過水から170pg-TEQ/L、ろ過水から33pg-TEQ/Lが検出され、前回の調査結果と大きな差が見られていない。

表1 溜まり水のダイオキシン類測定結果 


これについて、報告書では、つぎのように評価している。

「今回のたまり水は前回実施(平成26年6月調査)のたまり水に比べ,1,2,3,7,8-PeCDDの割合がやや多く(今回:27.6%,前回:21.3%),2,3,4,7,8-PeCDFの割合がやや少なく(今回:2.5%,前回:8.4%)なっているが,その他の異性体割合は概ね類似しており,たまり水のダイオキシン類は,前回実施(平成26年6月調査)分と同一なもの(2,4,5-T中不純物,PCP中不純物,およびPCBに由来するダイオキシン類が混合して存在していた)と考えられる。」(p.30より抜粋)

 また、周辺土壌の粒子を分析し、排水口のダイオキシン類分析結果と照らし合わせ、次のように結論づけている。
「以上の結果より,たまり水については,地盤の透水係数が小さいことから地下浸透の可
能性は低いこと,排水口の水は排水基準に適合していたこと,窪地周囲の床掘りの結果,
たまり水の存在は認められなかったことから,ドラム缶発掘場所である窪地にとどまって
いると判断され,窪地内のたまり水を土壌とともに処理すれば問題ないと考えられる。」(p.31より抜粋)

 果たして、この評価、結論に基づいた対策で、サッカー場としての再開に向け、市民は安心できるのだろうか。ドラム缶が埋め立てられてから数十年以上が経過していることが予測されることから、長い時間を経てドラム缶は腐食し、内容物の多くは土壌中に流出・浸出していると考えられる。一連の調査で明らかになったのは調査を行ったサンプルについてのみで有り、広大な嘉手納基地跡地サッカー場にどれほどの汚染が浸透しているのかは定かではない。現に、今回の調査の過程(磁気探査調査)で新たにドラム缶が発見されている。
ごく一部のサンプルの分析結果を持って全体が安全であるかのような結論づけ、処分の仕方のみを示した評価は、市民の立場からすれば必ずしも十分とは言えないだろう。
 前回調査の際に、ドラム缶付着物やドラム缶底面土壌のダイオキシン類についてその由来が枯葉剤(オレンジ剤をはじめとする各種枯葉剤)に起因するかどうかが議論となり、沖縄市の報告書の慣習を行った本田氏や第三者の立場からコメントした宮田氏によりダイオキシン類の毒性等量濃度に占める2,3,7,8-TeCDDの割合が解析された。
 今回の溜まり水について異性体ごとの毒性等量濃度に占める割合を見ると、沖縄防衛局がとりまとめた報告書の評価では触れられていないが、2,3,7,8-TeCDDは15%を占めていた。最も多いのは報告書に示されているように1,2,3,7,8-PeCDD(5塩素化ダイオキシン)で28%を占めるが、2,3,7,8-TeCDDの15%は決して小さい割合ではない。この点について議論を深める必要があるだろう。何よりも、ダイオキシン類の異性体、同族体の詳細分析は、ダイオキシン類の由来を特定する上で鍵となるからである。沖縄防衛局は、あえて、その部分を避け、発掘されたドラム缶やその周辺の土壌、水の処理処分のことにのみ焦点を当てているのは、現場の汚染がかかえる本質的な問題から目を背けていることに他ならない。

4.排水口の水のダイオキシン類について
 先にとりまとめた意見書でも述べたが、この場所はサッカー場予定地であり、ダイオキシン類の水質規制、大気汚染規制などが適用される施設ではない。その場所で排水口からとはいえ、1.3pg-TEQ/Lのダイオキシンが検出されることがそもそも重大な問題である。
沖縄防衛局の報告書では、これについて次のように結論づけている。排水基準である10pg-TEQ/Lを満たしているからとして、安易に片付けるべきではない。

「今回の排水口の水質については,沖縄県の平成26年3月および平成26年7月調査の毒性等量割合と概ね類似しており,毒性等量は1,2,3,4,6,7,8-HpCDD,OCDD,1,2,3,6,7,8-HxCDDの順に高い割合を示す。沖縄県の平成25年10月調査および平成26年2月調査の毒性等量は,今回の調査結果と比べて小さく,異性体組成が異なっているが,原因としては,平成26年1月末から2月初めにかけて実施したドラム缶発掘工事の影響が考えられる。工事以前の平成25年10月の排水のダイオキシン類は小さく,工事直後の平成26年2月排水のダイオキシン類は平成25年10月排水より大きくなり,平成26年3月・平成26年7月にダイオキシン類はピーク値を示し,今回調査では平成26年3月調査の1/3になっている。なお,図5.2.2には,今回調査したたまり水と前回(平成26年6月調査)のたまり水の異性体割合を併記したが,排水口の毒性等量割合とは明らかに異なっていることから,ドラム缶発掘工事の影響はあるものの,たまり水の影響は排水口に及んでいないと判断される。」(p.34より抜粋)

 ここでは、溜まり水と排水口のダイオキシン類について、異性体ごとの毒性等量割合がことなっていることから、「ドラム缶発掘工事の影響があるものの、溜まり水の影響は排水口に及んでいない」としているが、両者の間には物理的な距離と共に、到達するまでの時間、さらに、ドラム缶掘削作業の何によってどのような媒体を通して影響が及んだかといった問題も重要となるが、いずれも明確に示されていないまま、「溜まり水の影響は及んでいない」と結論づけている。
 溜まり水の影響でないとした場合、具体的にどのような経路、メカニズムによってこの排水口の水が汚染されたのかについて説明する必要があるだろう。むしろ、排水溝の水はサッカー場利用者により近いものであることから、その汚染原因や経路を明らかにする必要があるだろう。

5.ヒ素及びフッ素について
 今回の調査の結果、ヒ素及びフッ素の汚染はいずれも「自然由来」と結論づけられた。
しかし、前回の調査では、ヒ素、フッ素とも溶出試験では土壌汚染対策方の基準を超過しているサンプルもあったことから、慎重な対応が必要であろう。
 そもそも、土壌汚染対策方の各種基準は、土地利用の改変に伴って対策が必要であるかどうかを判断する目安であり、その基準値や指針値以内であるからといって、検出された汚染を軽く考えることはよくない。由来は何であれ、汚染があることは間違いなく、なおかつ、サッカー場であることから子どもたちの利用が前提となっていることを考慮すれば、より安全側にたった評価が行われるべきである。

6.さいごに
 沖縄防衛局は、これらの調査結果を踏まえ、各種汚染に適した処理施設へ搬入後、処分するとし、処理については、「処分方法、処分時期、処理施設について沖縄市等と協議が整い次第実施」するとしている。
 汚染物質の適切な運搬、処理、処分は広域にまたがる可能性もあることから、関係自治体との協議のとどまらず、市民、県民に対しても情報を提供するとともに、意見を求めるなど十分な協議が必要と思われる。
 また、総じて、沖縄防衛局の調査結果の評価は、本調査も含め、出来る限り汚染のレベルや範囲を限定的に捉えようとしているが、果たしてそうした対応で十分なのかどうか、疑問のあるところである。ダイオキシン類、有害金属類、農薬類、油分(TPH)などについて諸外国に比べて基準が甘かったり定められていない項目も多いことから、単に費用対効果の面からのみ汚染物の処理を決定するのではなく、得られた情報からどのような結論を導き出すのか、対策を検討するのか、一方的な決めつけではなく、開かれた議論に基づいた検討が必要である。
 沖縄市が行った調査も含めれば、対策費も含めて全体として数億円~10億円近くもの税金を投じた業務であることを踏まえ、単なる調査のための調査や市民、県民に国の見解を押しつけるようなことがないよう、慎重な対応を求めるものである。
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PDFはこちら
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Posted by 沖縄BD at 22:38Comments(0)

沖縄市サッカー場:ドラム缶たまり水専門家意見1)宮田秀明氏~ダイオキシンは溶出

2015年04月08日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定

 沖縄・BDは、沖縄市サッカー場のドラム缶が埋設されていた場所、周辺にたまっていた水や底面土壌についての沖縄防衛局の調査・分析が妥当なものであるか、専門家に評価していただいています。

 
沖縄防衛局HP 調査結果現場写真より切り取り(http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/07oshirase/kanri/houkokusyo6/13.pdf

この記事では、ダイオキシンの専門家の宮田秀明氏(摂南大学名誉教授)の意見を紹介します。
宮田先生は、池田こみちさんと同じく、サッカー場の調査の最初から、意見書を書いてくださっています。
 沖縄市サッカー場調査評価:ダイオキシン専門家宮田秀明氏からの意見書をリリース
 [沖縄市サッカー場汚染]ダイオキシン専門家宮田秀明氏意見書についての報道
 沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書

意見書のオリジナルについては下に貼り付けているので、詳細はそちらを参照してください。

宮田先生の意見書で重要なポイントは、ダイオキシン類がどのような状態で存在しているのかの分析です。
たまり水をフィルターでろ過をし、ろ過前と、ろ過後のダイオキシン類の濃度の測定をすることにより、ダイオキシン類がどのような状態で存在しているか---ダイオキシンが粒子に吸着している状態(懸濁体)か、あるいは液体として溶けている状態(溶存体)---かがわかります。
 参考:「ダイオキシン類挙動モデルハンドブック」(平成16年3月環境省環境管理局総務課ダイオキシン対策室)
 
この分析から、宮田先生は、高濃度のダイオキシン類が長期間持続して溶出しているという結論を出しています。沖縄防衛局の「汚染範囲は限定的である」という見解は、汚染の影響を矮小化していることがみてとれます。

また、沖縄防衛局の調査結果の分析が正確でないことを2点指摘しています。 

 以下、ポイントをまとめてみました。
  
1)たまり水のダイオキシン濃度は高い
 未ろ過水 170pg/-TEQ/L (環境基準値水質、1pg-TEQ/L以下、の170倍)、ろ過水 33pg-TEQ/L(33倍)とダイオキシン濃度として高い値を示していることが、まず指摘されています。(環境基準値:水質 1pg-TEQ/L以下)。
 また、環境総合研究所の池田こみちさんの意見書でも、「(猛毒ダイオキシン類である)2,3,7,8-TCDDの15%は決して小さい割合でない。水試料で、 2.3.7.8-TeCDDの毒性等量濃度の割合が15%程度というのはかなり高い。土壌ではほとんどでない)」とコメントなさっていました。

2)雨水等によって埋め立て物から異常な濃度のダイオキシン類が持続して溶出していることを示唆している。 
 ダイオキシンは「溶存体」という存在形態で溶解(粒子に吸着している状態ではない)しており、”当該地域の埋立物に起因するダイオキシン類が雨水等によって容易に溶出される状況にある。その状況は長期間にわたって持続していたものと判断される。”と結論づけられています。
 ダイオキシン類の汚染がそこにとどまらず、溶け出していたという、大変、危険な状態が続いていたことがわかります。

3)沖縄防衛局の調査は明らかに不正確な分析がある
 沖縄防衛局の調査の以下の2点が不正確であると指摘しています。 
①ダイオキシン異性体分析で焼却由来の分析がされていない。
沖縄防衛局は、ダイオキシン異性体分析で
“今回のたまり水は前回実施(平成26年6月調査)のたまり水に比べ,1,2,3,7,8-PeCDDの割合がやや多く(今回:27.6%,前回: 21.3%), 2,3,4,7,8-PeCDFの割合がやや少なく(今回:2.5%,前回:8.4%)なっているが,その他の異性体割合は概ね類似しており,たまり水のダイオキシン類は,前回実施(平成26年6月調査)分と同一なもの(2,4,5-T中不純物,PCP中不純物,およびPCBに由来するダイオキシン類が混合して存在していた)と考えられる。“(p.30)
と考察していますが、
宮田先生は、
”溜まり水に検出される主なダイオキシン類化合物は、2,3,7,8- TeCDD、1,2,3,7,8-PeCDDおよび1,2,3,4,6,7,8-HpCDDである。特に、1,2,3,7,8-PeCDDは、焼却関連物(焼却灰、焼却飛灰など)に含まれる代表的なダイオキシン類異性体であることを考慮すると、沖縄防衛局の本報告書の30頁に記載されている”「2,4,5-T中不純物、PCP中不純物、およびPCBに由来するダイオキシン類が混合して存在していた」と考えられる“との内容は、正確ではない。おそらく、焼却関連物も埋立物に含まれており、それらからの溶出物も混在していたものと判断される

と、沖縄防衛局の分析を否定しています。

また、意見書にはありませんが、1,2,3,7,8-PeCDDが一般的な焼却関連物としては高く、他の化学物質があったのかもしれないが、それを知る研究結果やこれまでの知見はない、と宮田先生はおっしゃっていました。

 これについては、池田こみちさんから、「これまでの調査結果の範囲内に納めることによって、これ以上問題の射程が拡がらないことこと、処理処分についてもできるだけ限定的にしたい意図があるようにみえるも仕方がない書き方ではないか」と追加の説明がありました。
 確かに、これによって、焼却関連物がドラム缶の中にあったこと、灰の処分、沖縄でよく見られる風景であった野焼きによる被害の可能性など、問題の射程は、広がります。

②ダイオキシン類の溶解性を増加させる物質を一般土壌に存在する腐植物としている。
 ポイント2で示されているダイオキシン類の溶解性を増加させる物質について、沖縄防衛局は、
 ”これらのことから,ろ過水のダイオキシン類は,水中のフミン酸やフルボ酸などに保持されて,ろ液中に通常より多く存在していた可能性が考えられる。(p.30)”
と、一般土壌に存在するものと考察していますが、
宮田先生は、
“今回の調査結果では、溜まり水に含まれていた170 pg-TEQ/Lのダイオキシン類の中、約1/5に相当する33 pg-TEQ/Lも溶存体として存在しる。このような極めて高率で溶存体として存在するためには、ダイオキシン類の溶解性を増加させる物質が溜まり水に含まれていたと考えられる。本報告書の30頁には、一般土壌に存在する腐植物であるフミン酸やフルボ酸が溜まり水に含まれており、ダイオキシン類の溶存体を増加させたものと記載されている。しかし、溜まり水は着色しており、土壌由来であればほとんど着色しないものと思われる。遺棄・埋設物にはいろいろな廃棄物が含まれており、特に、界面活性剤のような油性物質と水性物質の両者を熔解できるような物質が溜まり水に溶けていたものと思われる。産廃の埋め立て地などでは、溜まり水の色が褐色や赤色のものもあり、明らかに埋め立て物を反映している。溜まり水にダイオキシン類が異常に高い濃度で存在していることは、当然のことながら埋め立て物に起因するものである。当然のことながら、着色物質も埋め立て物に起因するという考え方が、適切であると判断される。”
と、ダイオキシン類の溶解性を増加は、ドラム缶の中身に起因すると見解を述べています。

 これも、やはり問題の射程が広がらないように、自然由来、一般的な条件にとどめておきたいという意図があるように考えられても仕方がないと書き方であるといえます。

4)埋め立て物は「ドラム缶」とは限らない
 これまでの調査では、「ドラム缶」を前提として行われてきましたが、”一方、当該地域の埋立物は、全てが金属製のドラム缶であったのであろうか。ポリ袋や段ボール等の非磁気性の容器のものはなかったのであろうか。”と、問題を提起しています。
 そして、廃棄物の埋め立て地における有害物の種類や濃度は、均一ではなく、全くの不連続性を特徴とする。そのため、少し離れた地点における有害物質の種類や濃度は、水平的にも垂直的にも極めて大きく相違する。このような実態があるため、埋立地における汚染調査は、適切な間隔の適切な深さのボーリング調査を原則としている。と、磁気探査に頼らない調査を提言なさっています。
 
 このような問題点の指摘から、やはり調査の結果のみでなく、調査結果からの分析、評価が大事であることがわかります。
 
 本来ならば、沖縄防衛局は、ダイオキシン類の状態がどのような状態であるのか/あったのか、そしてそれはどのような影響を及ぼし、汚染範囲を推測する点でどのような意味があるかを、報告書で説明しなければならないはずです。しかし、そのような報告になっていません。

 私たちはやはり調査を監視する姿勢を強くもった市民となって、調査・報告体制を整え、環境・安全・安心を守っていかなければならないことを改めて認識させられる意見書です。防衛局の見解を聞きたいと思います。
 
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旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)嘉手納飛行場返還跡地内報告書 
平成27年1月 沖縄防衛局調達部/中央開発株式会社についての意見書


平成27年2月28日

摂南大学名誉教授
宮田秀明


1. 溜まり水のダイオキシン類について
 今回の調査結果では、溜まり水のダイオキシン類濃度は、未ろ過水で170 pg-TEQ/Lおよびろ過水で33 pg-TEQ/Lであり、極めて異常に高い。今回の検出濃度は、平成26年6月の沖縄防衛局の調査結果(未ろ過水:150 pg-TEQ/L;過水で55 pg-TEQ/L)および沖縄市の調査結果(未ろ過水:190 pg-TEQ/L;過水で64 pg-TEQ/L)と同様なレベルである。これら一連の結果は、旧嘉手納飛行場のコザ運動公園においては、雨水等によって埋立物から異常な濃度のダイオキシン類が、持続して溶出していることを示唆するものである。
 溜まり水の未ろ過水とろ過水に含まれているダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)およびコプラナーPCB(Co-PCBs)の多様な異性体から構成されているが、ほぼ類似した異性体割合を示している。この結果は、埋立物から溜まり水に移行するダイオキシン類は、溶出量だけでなく、溶出成分もほぼ類似していたことを示唆するものである。
 溜まり水に検出されるダイオキシン類の濃度は、PCDDs>>PCDFs>Co-PCBsの順であり、圧倒的にPCDDs濃度が高い。
 表1に示すように、溜まり水に検出される主なダイオキシン類化合物は、2,3,7,8-TeCDD、1,2,3,7,8-PeCDDおよび1,2,3,4,6,7,8-HpCDDである。特に、1,2,3,7,8-PeCDDは、焼却関連物(焼却灰、焼却飛灰など)に含まれる代表的なダイオキシン類異性体であることを考慮すると、沖縄防衛局の本報告書の30頁に記載されている”「2,4,5-T中不純物、PCP中不純物、およびPCBに由来するダイオキシン類が混合して存在していた」と考えられる“との内容は、正確ではない。おそらく、焼却関連物も埋立物に含まれており、それらからの溶出物も混在していたものと判断される。

    表1. 溜まり水に存在しているダイオキシン類の主な異性体



 一方、今回の調査においては、通常の分析では使用しない極めて小さい孔経(0.1μm)のメンブランフィルターを用いて、溜まり水をろ過している。前回は通常使用する0.5μmのフィルターを使用していた。一般に、水中のダイオキシン類の大半は、浮遊粒子に吸着して存在していると言われている。そのため、今回は可能な限り浮遊粒子に吸着したダイオキシン類をろ過時に除去する目的で、通常使用しない極微細孔のフィルターが使用された。
その結果、溜まり水のダイオキシン類濃度は、未ろ過水では、今回の濃度(170 pg-TEQ/L)は、前回(150 pg-TEQ/L)よりも若干高かったにも係わらず、ろ過水にでは、今回の濃度(33 pg-TEQ/L)は、前回(55 pg-TEQ/L)よりも大幅に低下している結果となっている。
今回の調査結果において、溜まり水には0.1μmよりも微小の浮遊粒子が存在していないことが明らかにされている。従って、今回のろ過水に含まれているダイオキシン類は、粒子に吸着しているものではなく、溜まり水に「溶存体」という存在形態で溶解しているものである。
上述したように、今回の調査結果では、溜まり水に含まれていた170 pg-TEQ/Lのダイオキシン類の中、約1/5に相当する33 pg-TEQ/Lも溶存体として存在しる。このような極めて高率で溶存体として存在するためには、ダイオキシン類の溶解性を増加させる物質が溜まり水に含まれていたと考えられる。本報告書の30頁には、一般土壌に存在する腐植物であるフミン酸やフルボ酸が溜まり水に含まれており、ダイオキシン類の溶存体を増加させたものと記載されている。しかし、溜まり水は着色しており、土壌由来であればほとんど着色しないものと思われる。遺棄・埋設物にはいろいろな廃棄物が含まれており、特に、界面活性剤のような油性物質と水性物質の両者を熔解できるような物質が溜まり水に溶けていたものと思われる。産廃の埋め立て地などでは、溜まり水の色が褐色や赤色のものもあり、明らかに埋め立て物を反映している。溜まり水にダイオキシン類が異常に高い濃度で存在していることは、当然のことながら埋め立て物に起因するものである。当然のことながら、着色物質も埋め立て物に起因するという考え方が、適切であると判断される。
本調査結果、前回の調査結果および沖縄市の調査結果を考慮すると、当該地域の埋立物に起因するダイオキシン類が雨水等によって容易に溶出される状況にある。その状況は長期間にわたって持続していたものと判断される。従って、その汚染原因となる埋立物等の完全な除去が緊急課題である。

2. 調査方法について
 今回の調査報告書は2015年2月10日に公表されている。しかし、沖縄防衛局は、それ以降の2月13日に4本、2月19日に2本のドラム缶が新たに検出されたことを発表した。これで当該地域では合計100本のドラム缶が見つかったことになる。
前回の調査(旧嘉手納飛行場(25)土壌等確認調査8その2)調査報告書概要板、平成26年6月)においては、磁気探査結果を主体とした調査によってドラム缶を検出している。
 一方、当該地域の埋立物は、全てが金属製のドラム缶であったのであろうか。ポリ袋や段ボール等の非磁気性の容器のものはなかったのであろうか。
  廃棄物の埋め立て地における有害物の種類や濃度は、均一ではなく、全くの不連続性を特徴とする。そのため、少し離れた地点における有害物質の種類や濃度は、水平的にも垂直的にも極めて大きく相違する。このような実態があるため、埋立地における汚染調査は、適切な間隔の適切な深さのボーリング調査を原則としている。
 今回の調査は、これまでの調査結果において最高濃度を示したドラム缶を対象として、その下方への調査を実施している。上述したように、この最高濃度を示したドラム缶の検出後に新たなドラム缶が検出された。その分析は、今後、実施される予定となっている。もし、新たなドラム缶がさらに高い濃度の結果であったならば、今回の調査方法は、不適切と言わざるを得ないことになる。
 また、全ての埋立物がドラム缶であったとの確証はあるのだろうか?もし、確証がないとすれば、磁気探査による調査自体が不適切となる。
 従って、当該地域における汚染範囲の確定は、ボーリング調査結果を基礎とすることが基本であり、その結果に基づいて、汚染対策を実施することが原則である。


 
宮田秀明氏意見書PDF
2015.02.28s%E5%AE%AE%E7%94%B0%E6%84%8F%E8%A6%8B%E6%9B%B8s%E6%97%A7%E5%98%89%E6%89%8B%E7%B4%8D%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E5%A0%B4sfinal.pdf (PDF: 197.94KB)
  

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沖縄市サッカー場: たまり水調査に対する専門家意見キーポイント(会見)

2015年03月29日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定

 3月12日、この日は辺野古のボーリング調査再開の日でしたが、沖縄・生物多様性市民ネットワークは沖縄市サッカー場のたまり水調査結果・分析に対しての3人の専門家の意見を記者会見で発表しました。「沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト」が続いています。
  

QAB報道より

❏沖縄防衛局のたまり水の調査報告とは何か
 3人の専門家が書いた意見書は、2015年2月10日に沖縄防衛局が発表した報告書に対するものです。この報告書は、2014年7月にたまり水やドラム缶下の土壌から、ダイオキシン類、DDT類、油分等が検出されたことから計画され、実施された調査の報告書です。2014年10月2日にたまり水を採取し、調査分析を沖縄防衛局が行っています。
 今回の調査は、沖縄市はカウンター的調査は実施していません。

 時系列的な位置づけについては、2013年からの調査の簡単な経緯表をみてください。現在、3rd ラウンドに入ったということにしてみようと思います。

❏今回の調査報告は何を意味しているのか~汚染範囲の確定
 これまではドラム缶の内容物のみが着目されていましたが、今回はドラム缶が埋設されていた場所、あるいは周辺のたまり水の水質の分析、たまり水の移動が主なものとなります。その他、ドラム缶下の土壌(底面土壌)などについても調査しています。
 ここで課題となるのが、汚染がどこまで広がっているのかという、汚染範囲の確定です。
 
 汚染範囲をどう確定するか、という問題にあたり、それを確定する材料はこれで十分なのか、その分析、結論は妥当なのかということを検証する必要があります。

 ダイオキシン関係でいえば、具体的には、ダイオキシンがどのような形態で地中に存在しているのか、どのようにダイオキシンが動くのか、どのように汚染が拡散する/した/している可能性があるのかなどをみる必要があります。

 また、地質の性質から拡散の可能性を判断することも必要です。
 
❏沖縄防衛局はどのような結論を出しているのか
 沖縄防衛局は、「調査報告書の概要」のたまり水の部分の調査結果で、
 ”「窪地の下の地盤の透水係数が小さく地下浸透の可能性が低いこと、排水口の水は排水基準に適合していたこと、窪地の周囲にはたまり水の存在は認められなかったことから、たまり水は窪地内にとどまっていると判断。」
 「したがって、たまり水から上記ダイオキシン類が検出されたものの、周囲の環境に影響を及ぼす量の放出はないと判断でき、窪地内のたまり水を処理すれば問題無いと判断。」”
 と、汚染は限定的であるという結論を出しています。

❏専門家からの意見~沖縄防衛局の報告・評価は妥当か
 沖縄BDは、「沖縄市サッカー場調査監視・評価プロジェクト」の一環として3名の専門家宮田秀明氏(摂南大学名誉教授)、池田こみち氏(環境総合研究所顧問)、國吉信義博士(元マーチ基地環境保全官)から沖縄防衛局の調査、分析、解釈が妥当なものであるかなどについて評価を求めました。

 3専門家とも、防衛局の、汚染は限定的である、という評価に対しては問題を指摘し、批判的な見解を提示しています。

 3専門家の意見書は、一つずつ記事にまとめますが、ポイントを以下のようにまとめました。専門的なところは難しいと思いますが、太字のポイントをみていただけると、専門家が何を指摘しているかご理解いただけると思います。

Keypoint
 
1. たまり水のダイオキシン濃度は高い。しかし、危険性/安全性を認識するために明示すべき数値を、報道資料等で触れていない。
-未ろ過水: 170pg/-TEQ/L、ろ過水: 33pg-TEQ/Lは、環境基準値の170倍、33倍であり、極めて高い。これに触れていないことは問題である。
-ダイオキシン類の危険性を知る上で重要な数値である2,3,7,8-TCDDの割合は、市民に示すべきデータであるが、わかりやすく数字として示されていない。
-15%は決して小さい割合でない。水試料で、2.3.7.8-TeCDDの毒性等量濃度の割合が15%程度というのはかなり高く、土壌ではほとんど見られない数字である。

2. 雨水等によって埋め立て物から異常な濃度のダイオキシン類が持続して溶出している。
-今回のろ過水に含まれているダイオキシン類は粒子に吸着しているものではなく、たまり水に「溶存体」という存在形態で溶解しており、極めて高率で存在している。
-ダイオキシン類の溶解性を増加させる物質がたまり水に含まれており、雨水によって容易に溶出される状況である。長期間にわたって持続していたものと判断される。 (宮田秀明氏意見書)

3. ドラム缶発掘工事の影響が、排水で検出されたダイオキシンで確認されていることは認めているが、その原因については追求していない。
-報告書では、「平成26年1月末から2月初めにかけて実施したドラム缶発掘工事の影響が考えられる」「ドラム缶発掘工事の影響はあるものの」”(p.34)と、工事の影響があったこと自体は認めているにも関わらず、「たまり水の影響は排水口に及んでいないと判断される」と、たまり水と排水口の関係のみで結論づけている。工事の影響を受け、ダイオキシンがどのような媒体で、どのように移動したのかの原因について追求していない。また、この部分の記述も、わかりにくいものになっており、用語も専門用語では用いられない用語(「毒性等量割合」)も見受けられ、報告の記述として問題もある。(池田こみち氏意見書)
                            
4. 沖縄防衛局の調査は汚染範囲を限定的にみている 
- 上記3項目について考慮している分析になっていないがゆえに、汚染範囲を限定的にみている。
- 國吉信義氏の以下のコメントも考慮すべきである。
“ドラム缶はシルト質の地層に埋められていた。シルト質は全くの非浸透性ではない。たまり水はドラム缶を掘り出したとき、周囲のシルト質粘土の壁から、じわじわとにじみ出て、窪地にたまった水であろう。
  防衛局は、たまり水が出た周辺は浸透性の低い地層なので、ダイオキシンを含む水が直下の地板に浸透する可能性は小さいと結論しているが、シルト質地層に含まれている水は粘土層で遮られているので直下には浸透しにくいが、横にはゆっくりだが、動くはずである。横に動いて、粘土のないところにきたら、水は下に動く。ドラム缶が埋もれていたシルト層がどの程度広がっているか、ダイオキシンを含む水が拡散していないか知りたい。“

5. 沖縄防衛局の調査は明らかに不正確な分析がある
-沖縄防衛局の調査分析は次の2点で不正確な分析がある。
①たまり水の主な異性体割合 
1,2,3,7,8-PeCDDが多く、これは焼却関連物(焼却灰、焼却飛灰など)に含まれる代表的ダイオキシン類異性体である。これを含まない、「….(2,3,5-T不純物、PCP不純物、およびPCBに由来するダイオキシン類が混在して存在していたと考えられる)(「報告書」、p.30)との内容は正確ではない。
②ダイオキシン類の溶解性を増加させる物質
防衛局の調査では一般土壌に存在する腐植物であるフミン酸やフルボ酸がたまり水に含まれており、ダイオキシン類の溶存体を増加させたものと記載しているが、腐植物以外の埋め立て物(ドラム缶)に起因によるものと推測される。(宮田秀明氏意見書)
                         
このような分析は、これまでの調査結果の範囲内に納めることによって、これ以上問題が拡散しないこと、処理処分についてもできるだけ限定的にしたい意図があるように疑念を持たれる可能性がある。

6. 「監修」する専門家の位置づけ
-沖縄防衛局は報告書を「愛媛大学農学部森田昌敏感客員教授監修の下、とりまとめた」としているが、森田氏の「監修」の位置づけが曖昧である。(池田こみち氏意見書)
   
沖縄防衛局によれば、調査報告のアドバイザー的な役割とのことであるが、報告書内で、どの部分が調査会社の記述・分析で、どの部分が専門家の見解なのか明確でなく、評価の責任の所在が不明である。

7. 埋め立て物は「ドラム缶」とは限らない
-当該地域の埋立物は、全てが金属製のドラム缶であったのか、ポリ袋やダンボール等の非磁気性の容器のものである可能性が示唆されている。 (宮田秀明氏意見書)
                              
8, 沖縄県の水質調査は問題がある。
-調査報告の記述が十分でない。 (國吉信義氏コメント)
                         
この問題は、環境総合研究所『嘉手納基地返還跡地(沖縄市サッカー場)ドラム缶発掘追加調査に関する意見書』(2014年12月16日付けで関係機関に送付済み)でも、「沖縄県の地下水などの周辺環境調査はおざなりなものであり、地域住民に安心材料を与えるには不十分である。(p.28)」と指摘されている。


報道についてはまたまとめてアップします。
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QAB たまり水のダイオキシン類「尋常な濃度ではない」(2015.3.13)

QAB ニュース
"沖縄市のサッカー場で発掘されたドラム缶は100本になりましたが、12日、環境団体が現場周辺のたまり水のダイオキシン濃度がかなり高いとする専門家の評価を発表しました。
生物多様性ネットワークの河村雅美ディレクターは「たまり水のダイオキシン濃度は尋常な値ではない」と話します。
会見では沖縄防衛局の調査結果が妥当なものかどうか、3人の専門家に評価を求めた結果が報告されました。
その結果、専門家からはドラム缶周辺のたまり水のダイオキシン類の濃度が「非常に高い」という指摘があがったということです。
また、雨水などによってこの現場に残ったダイオキシン類が今も持続して溶け出している可能性があること、また防衛局の発掘工事によってダイオキシンが土壌や大気で移動し拡散している可能性があることを示しました。
"
  

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沖縄市サッカー場:2/10防衛局追加調査たまり水などの結果とドラム缶発見の報道発表

2015年03月27日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

 ブログにアップするのが遅すぎですが、宜野湾市への要請の日(2月10日)、沖縄防衛局から2つのリリースがでていました。 
 
 新たなドラム缶発見と、たまり水の調査結果の発表です。ドラム缶はこの後、まだ発掘が続き、今回の発掘では計17本が発見され、合計100本となりました。

 沖縄防衛局のお知らせリンクはこちらです。
 「旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)」調査報告書及び新たなドラム缶発見のお知らせ

 たまり水の調査では、高い濃度のダイオキシンが報告されていますが、沖縄防衛局は汚染範囲を限定的にみています。
 
 これに対して、沖縄BDは専門家の意見をまとめ、問題を指摘し、記者会見と文書要請を行いました。それについてまた別記事で報告します。
 
 報道は下にまとめました。
 





QAB サッカー場から新たにドラム缶2本(2015.2.10)

  

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沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:環境総合研究所意見書 

2014年12月18日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

 「沖縄市サッカー場調査監視・評価プロジェクト」で重要視してきたのは、調査がどのように実施されているか、透明性や専門性の確保、市民参加の視点の問題です。

 1stラウンドに引き続き、環境総合研究所にその部分の意見書を依頼しました。 『嘉手納基地返還跡地(沖縄市サッカー場)ドラム缶発掘追加調査に関する意見書』(以下、意見書)です。

 同意見書を、12月16日、私たちから、関係諸機関(沖縄防衛局長、沖縄市長、沖縄県知事、沖縄市教育長、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長、外務省特命全権大使(沖縄担当)送付しました。

 意見書では、ドラム缶内容物等の結果の分析だけでなく、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市の調査を総合的に評価し、実施体制、調査項目、考察結果の問題点や課題が指摘されています。
 特に、沖縄防衛局と、カウンター調査として実施した沖縄市の調査結果・分析を比較し、今後どのような議論が必要かの提言がされています。 

 また、この問題を市民に伝える役割を持つメディアへの提言も含まれています。この問題が社会一般にどのように認識されていくか、行政のこの問題へどのように取り組むかは、メディアが一定の役割を果たします。ともに問題解決へのあるべき方向に進むために、どのような報道が必要かが提言されています。
 
 指摘されている主要なポイントを以下のとおり、いくつかあげておきたいと思います。
1)1回目の調査に比べて調査項目等が充実した調査になっている。

2) 沖縄防衛局と沖縄市(クロスチェック/カウンター調査を実施)の調査結果に著しい違いがないが、解析・評価・考察は異なっている。 
 例:枯れ葉剤についての評価 (沖縄防衛局は「オレンジ剤」との関係のみ。沖縄市は他の枯れ葉剤の可能性を言及)
状況証拠も含めた情報を加味した開かれた場面での議論が必要である。

3)沖縄県の地下水などの周辺環境調査はおざなりなものであり、地域住民に安心材料を与えるには不十分である。(p.28)

4) 日本政府、自治体併せて2億円以上の調査費が投じられており、調査のための調査とならないためにも調査結果をどのように受け止め、今後にどう活かすのかが問われる。

5)メディア報道も、汚染が「オレンジ剤」に起因するものであるかどうかにばかり目を奪われることなく、本質的な問題の存在について報道していく必要がある。

他の行政機関や市町村や議員の方にも広く活用していただきたいと思います。

こちらが意見書原文です。(2015.1.16修正版と差し替えました)

嘉手納基地返還跡地(沖縄市サッカー場)ドラム缶発掘追加調査に関する意見書 by BDOkinawa




PDFファイル
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◯関係諸機関には以下を添えて送付しました。
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      2014年12月16日


沖縄市長 桑江朝千夫殿  
沖縄市教育長 狩俣 智殿
沖縄県知事 翁長 雄志殿
沖縄防衛局長 井上 一徳殿
嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会
会長 嘉手納町長 當山宏殿
外務省特命全権大使(沖縄担当)髙田 稔久殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
 TEL/FAX:098-897-0090 


沖縄市サッカー場調査結果に関する専門家意見書について
(環境総合研究所による意見書)
                     

 沖縄市諸見里サッカー場の追加調査について、環境総合研究所から『嘉手納基地返還跡地(沖縄市サッカー場)ドラム缶発掘追加調査に関する意見書』が提出されましたので、関係諸機関に送付いたします。

同意見書は、沖縄・生物多様性市民ネットワークの「監視・評価プロジェクト」の一環で、第3者機関の専門家からの意見として環境総合研究所に依頼したものです。

 主に、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市の調査を総合的に評価し、実施体制、調査項目、考察結果の問題点や課題を指摘しています。

 また、協議に関わる機関が、政策決定・実施過程において、それぞれどのような責任を果たすべきかを考えることができる具体的な課題が記されています。

 現在継続進行中の沖縄市サッカー場の調査や、西普天間住宅地区を始めとする米軍基地返還跡地問題、および枯れ葉剤問題の取り組みに、反映していただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。
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沖縄市議会への陳情:2nd ラウンドの結果や意見書などをふまえて

2014年12月07日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 議会陳情

 しばらく議会などへの働きかけをお休みしていたのですが、セカンドラウンドの調査結果や意見書などが揃ってきたので、久々に沖縄市議会への陳情を提出しました。下に本文とpdfファイルをあげました。
 今回、環境総合研究所の池田こみちさんの意見書を添付資料としてつけました。この意見書に関しては、リリースして別記事にまとめる予定ですので、少しお待ちください。
陳情書は、市議会議員に配布されました。 
 

 
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2014年12月1日
沖縄市議会議長 普久原 朝健殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
 TEL/FAX:098-897-0090 

  

沖縄市サッカー場調査についての陳情

                       
 2013年6月の沖縄市諸見里サッカー場で米軍遺棄物と考えられるドラム缶が発掘されてから、沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県の3者で調査が実施されてきました。

 調査開始時から、沖縄市は、沖縄防衛局のクロス・チェック/カウンター調査を実施し、調査の透明性に重要な役割を果たしていると思います。また、調査における自治体の役割についてあらためて市民に意識を喚起させる役割も果たしてきていると考えられます。

 このように、今直面しているサッカー場の現場から立ち上がってくる問題をもとに、あるべき調査のかたちを追求することが重要であることを市民は学んでいます。その学びを今後の制度づくりに還元するため、また、調査が市民の安全、健康を守るという目標を遂行するために、具体的な監視・評価活動が必要であると考えています。そのために、私たち、沖縄・生物多様性市民ネットワークは「沖縄市サッカー場調査監視・評価プロジェクト」を立ち上げ、調査の開始時から、専門家の助言の下に調査機関へ提言を行ってきました。 

 昨年10月から実施されているセカンド・ラウンドの全面調査についても、ダイオキシンの専門家、摂南大学名誉教授宮田秀明氏、ベトナムのホット・スポットを調査してきた枯れ葉剤汚染、浄化についてのカナダの専門家Wayne Dwernychuck博士、環境総合研究所から意見書を集めました。 
 
 その意見書などをもとに、以下の点を要請いたします。
             
1. 沖縄市の結果報告について
以下の点を要請します。
1)結果報告の内容や報告の方法を検討し、市民向けの報告をすること。
これまでの報告書は、検出されたものが網羅的に報告されていますが、市民が理解できる報告書になっていません。
 猛毒ダイオキシンについての情報(例:2,3,7,8-TCDDが50%以上を占めるドラム缶の数やその意味)や、サッカー場汚染の性質である「複合汚染」に関して、また、それぞれがどのような意味があるかなどの重要な情報がきちんと入っていません。説明会の開催も含め、市民に向けた報告の形を検討すること、セカンド・ラウンドの結果についてはその形で再度、報告すること。

2)環境部だけでなく部署横断的な調査報告を作成すること 
 現場は米軍基地跡地であり、汚染の状況や性質を予測・特定するために、状況証拠も重要な要素です。沖縄市が沖縄防衛局に提供した住民の聞き取り情報(米軍人のドラム缶の投棄の目撃証言など)は、沖縄防衛局の地歴調査の中に記述されていますが、あまり着目されていません。しかし重要な情報であるため、沖縄防衛局に情報を預けるのみではなく、沖縄市側でも環境関係の分析結果と状況証拠をあわせ、基地関係、健康関係などの部署も含めた部署横断的な調査報告を作成すること。
 
2ドラム缶の埋設から発見過程の調査と対策
沖縄防衛局が地歴や地層の調査を実施していますが、そこには米軍遺棄物とは考えにくい遺棄物もドラム缶の周辺から発掘されています。サッカー場は1987年に米軍から返還され1996年に建設された「返還後既使用跡地」であり、「返還したての跡地」ではありません。ドラム缶、その他の遺棄物、その深さを精査し、なぜこのようなことが起きたのかの検証が必要ではないかと考えられます。
ドラム缶の埋設は、1964年頃に米軍人がドラム缶を窪地に転がし、土をかぶせる作業をしたことが聞き取り証言から得られていますが、その後のドラム缶発見までの過程は、聞き取り証言からも定かでありません。
最初のドラム缶の発見者が、処理方法に苦慮した状況があった可能性も推測されます。このような有毒物質を含むドラム缶を扱った作業員の健康問題の懸念もあります。過去の汚染被害の可能性も念頭に、なぜここにドラム缶が投棄されているのかを、国の責任として丸投げせず、全県的な問題と認識し、沖縄県や同様の問題のあった北谷町、三連協とも協働で検証・分析し、今後の米軍跡地「再」開発時に発覚する汚染問題、返還跡地問題に還元していくことを要請します。
 
3沖縄防衛局、沖縄県との協議体制について
以下の点を要請します。
1)協議過程の透明化
調査について、沖縄防衛局、沖縄県とどのように協議しているかが、不透明です。協議過程(議事録など)を公開するなど透明化に努め、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市がどのような役割を果たしているのかを明らかにすること。
2)評価についての協議と対処
第2回目の調査では、フッ素、ヒ素の由来について、枯れ葉剤の評価が沖縄防衛局、沖縄市で分かれています。このように評価が分かれているものをどのように議論し、結論を出し、対処するかについて、沖縄市から市民に説明すること。

4 嘉手納基地のコミュニティへの情報交換・提供について
嘉手納基地はサッカー場調査の情報を収集し、基地コミュニティにウェブ上で提供しています。嘉手納基地の手紙と沖縄市によると、嘉手納基地の情報収集時に、沖縄防衛局と沖縄県は同席しているにもかかわらず、沖縄市は呼ばれていなかったようです。
沖縄市は、サッカー場における責任を有しており、調査においても重要な当事者であるので、このような事実は問題であると考えます。嘉手納基地の情報収集などで、きちんと役割を果たせるよう、嘉手納基地、沖縄防衛局、沖縄県に働きかけることを要請します。

5 「枯れ葉剤問題」への対処について
「枯れ葉剤問題」に関しては、沖縄防衛局では「オレンジ剤」との関係の評価のみ行っていますが、沖縄市の依頼した専門家、愛媛大学の本田克久教授は、枯れ葉剤のあらゆる種類の可能性を示唆しています。
本田教授の重要な第3者意見が「枯れ葉剤問題」の真相解明にきちんと反映されるために、沖縄市自ら、日本政府(外務省)や米国政府にインプットし、検証を要請すること、そしてそれを市民に随時報告することを要請します。

6. 市民参加の機会の設定について
これまで、市民への説明の機会、また市民の声を反映する機会が全く設けられていないので、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市の合同説明会や、意見聴取の機会を設定することを要請します。

添付書類:
・ダイオキシンの専門家、摂南大学名誉教授宮田秀明氏意見書 (2014.9.17)
・Wayne Dwernychuck博士のコメント和訳 (2014.10)
・環境総合研究所意見書「嘉手納基地返還跡地(沖縄市サッカー場)ドラム缶発掘 追加調査に関する意見書」(2014.10.30)
・沖縄・生物多様性市民ネットワークから嘉手納基地への手紙和訳 (2014.10.9) 

PDFはこちら
201412%E6%B2%96%E7%B8%84%E5%B8%82%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E9%99%B3%E6%83%85s.pdf (PDF: 252.52KB)  

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沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:ドゥウェニチュック博士のコメント 

2014年11月16日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

 沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクトの続きです。 ウェイン・ドゥウェニチュック博士(Dr.Wayne Dwernychuk)のコメントを紹介します。

 ドゥウェニチュック博士は、カナダのハットフィールド・コンサルティング会社の主任科学者として、ベトナムのホット・スポットを調査してきた専門家です。 
 第一ラウンドの調査時、ジャパン・タイムスに「沖縄の米軍基地跡地における枯れ葉剤の存在を否定し科学を公然と無視」を寄稿(2013.8.26)しています。和訳はこちら→Okinawa Outreach 記事「沖縄市サッカー場問題:海外の専門家からの意見記事翻訳2--専門家が日本政府と沖縄の人へ注意を促す記事を寄稿」

 今回は、沖縄防衛局調査報告書概要版の英訳を見て、主に以下の点を指摘しています。

 ・沖縄防衛局の調査ではエージェント・オレンジⅡの構成成分の2,4,5-Tイソオクチルエステルを調べていないことから、「エージェント・オレンジが含まれていなかった」という結論をはっきり出すことはできないとしています。
(「2,4,5-Tイソオクチルエステルというエージェント・オレンジⅡの主要な構成成分について報告書で触れられていないのなら、報告書の作成者は、埋設されていたドラム缶の構成成分にエージェント・オレンジが含まれていなかったという結論をはっきりだすことはできないというのが、私の見解です。」) 

・沖縄防衛局の調査は2,4,5-Tnブチルエステルと2,4-Dnブチルエステルが50:50比がみられないのでエージェント・オレンジは存在しないという結論には、環境変数の存在から異を唱えています。
 (化学物質の「[比率の]均等性(equality)」に焦点を当てることは意味埋設されたドラム缶のあった現場において、当然ある環境変数(温度、湿度、その他の要素との相互作用)が存在し、何十年間も埋設され、化学的に劣化して生ずる可能性のある変性があるからです。)

・また、エージェント・オレンジに着目するあまり、ダイオキシンの毒性について軽視されることの懸念を示しています。
(「私は、2,4-Dと2,4,5-Tが50:50比で混合された、エージェント・オレンジという特定したものがドラム缶に含まれていたかどうかというのは、考慮すべきこと/重要性を持つこととしては二の次にすぎないのでは、と考えます。私の中でまず重要なのは、ダイオキシンの存在、特にTCDDという、エージェント・オレンジの混合に2,4,5-Tに由来する副産物です。エージェント・オレンジにのみ焦点をあてることは、主に懸念されること/するべきことがダイオキシンであるという現実から目をそらしてしまうことになりがちです。」)
 琉球新報記事でも大事なここを切り取ってとりあげてくれています。

 ドゥウェニチュック博士は、第一回目の調査時に、1つのドラム缶のTCDDレベルが、ベトナム戦争時のランチハンドの枯れ葉剤作戦が実行されたベトナムの元ダナン空港の北部の土と同じレベルであることを指摘しており、今回発覚した汚染の深刻さを認識するべきであることの警告を発し続けています。そして、私たちが問題の本質を見誤ることの懸念を強く持っていると思います。

 しかし、TCDDについては、沖縄防衛局も沖縄市もメディアへのリリース資料や概要版で、毒性や危険度についてきちんと説明されていません。ここはいつになったら行政として誰がやるのか。
 ベトナムのダナンの調査では、ダイオキシンの被曝経路や影響を受ける可能性のある人々を挙げ、血液や母乳の調査もしています。そして、対処法を提言し、さらなる被曝がくりかえされないような対策措置を行っています。
 そのような調査を実施してきた科学者の、国境を越えた警告が沖縄に届いている。現在私たちはそのような段階にいるのです。
  
 ダナン空港の北部区域の土壌汚染を示す図。サッカー場ドラム缶がここに匹敵。ドゥウェニチュック博士から示されたもの。
 
(Comprehensive Assessment of Dioxin Contamination in Da Nang Airport, Viet Nam: Environmental Levels, Human Exposure and Options for Mitigating Impacts November 2009)
 
 和訳、および参考資料、原文をまとめた下のものを宮田秀明氏の意見書とともに関係機関に送付しています。

Dr. Dwernychuk's comment by BDOkinawa

  

Posted by 沖縄BD at 14:57Comments(0)

沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書

2014年11月14日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

 「沖縄市サッカー場調査・評価プロジェクト」の2nd ラウンド、意見書・コメントのリリースを始めています。

 最初に、摂南大学名誉教授宮田秀明氏による意見書をリリースしました。こちらは、琉球新報により大きく報道され、県内に周知されることになりました。その週の週末に沖縄で行われた枯れ葉剤のシンポジウム(後日記事をあげます)でも言及されていました。

 宮田秀明氏は、ダイオキシンの第一人者であり、サッカー場の最初の調査では、ドラム缶内容物の分析から、ドラム缶に複数の物質が混在していることを実証し、「複合汚染」の可能性を指摘しました(ブログ記事はこちら)。 

 今回の意見書では、ドラム缶の付着物を対象として分析を行い、可能性のある枯れ葉剤の種類を特定しています。
    
 沖縄防衛局と沖縄市がそれぞれどのような評価を行っているか、そして宮田氏の意見との共通点、相違点を引きながらの意見書となっています。
 沖縄防衛局はエージェント・オレンジのみに特化した評価を行っており、エージェント・オレンジの存在を否定しています。一方、沖縄市が依頼した専門家、愛媛大学本田克久教授の意見書では、エージェント・オレンジのみでなく、あらゆる枯れ葉剤の可能性を考察し、エージェント・パープル、エージェント・グリーン、エージェント・ピンク、エージェント・オレンジ、エージェント・ブルーがドラム缶に含まれていた可能性を示唆しています。
 宮田氏は、枯れ葉剤の種類については、データ分析により、本田教授の示唆した枯れ葉剤から絞り込み「ピンク剤、グリーン剤の存在は否定できない」という結論を述べています。

 また、宮田氏の意見書で、沖縄防衛局と沖縄市の調査結果リリースできちんと言及されていない猛毒ダイオキシン2,3,7,8-TCDDが50%以上のドラム缶の本数が61本中、18本(沖縄市結果から算出。防衛局結果からは19本となる。詳細は後日環境総合研究所からの意見書でリリース予定)であることも示されました。
 昨年、愛媛大学の本田教授はQABの「悲鳴を上げる土地」のインタビューで、「本土と言いますか、色々な汚染地がありますけれども、どこをとってみても2378TCDDの割合が50パーセントとか70パーセントを占めるというのは私は聞いたことがないですね。ありません。今度沖縄で見つかったサッカー場の汚染というのはまさに、我々がベトナムで調べた水田に似ている。農薬と枯れ葉剤の汚染が入り混じった汚染のパターンに非常によく似ているんですよね。」と述べています。これが尋常でない値ということがわかると思います。

 エージェント・オレンジにのみ、着目することにより、問題を矮小化してはならない、それ以外の枯れ葉剤も、2,3,7,8-TCDDを含み、毒性が高いものがある、ということを私たちはまず留意していく必要があります。
 
 そして「枯れ葉剤」の沖縄への持ち込み、使用が物証的に明らかになってきたことを、沖縄県、日米両政府は認識し、これまでの見解を正す段階に来たといえると思います。
   
 意見書は下に埋め込みましたのでご覧ください。また、以下の送り状を添えて、次の記事で紹介するウェイン・ドゥウェニチュック博士のコメントとともに7機関に送付しました。

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2014年11月10日

沖縄市長 桑江朝千夫殿  
沖縄市議会議長 普久原 朝健殿
沖縄市教育長 狩俣 智殿
沖縄県知事 仲井眞 弘多殿
沖縄防衛局長 井上 一徳殿
嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会
会長 嘉手納町長 當山宏殿
外務省特命全権大使(沖縄担当)髙田 稔久殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
 TEL/FAX:098-897-0090 

  
沖縄市サッカー場調査結果に関する専門家意見書について
(宮田秀明氏、Wayne Dwernychuck博士の意見書)

沖縄・生物多様性市民ネットワークは、昨年6月に沖縄市諸見里サッカー場でドラム缶が発見された時から、「監視・評価プロジェクト」を立ち上げてきました。

その一環として、昨年10月から開始された第2次ラウンドの調査について、専門家に意見を求めてきました。

その中で提出されたダイオキシンの専門家、摂南大学名誉教授宮田秀明氏、ベトナムのホット・スポットを調査してきた枯れ葉剤汚染、浄化についてのカナダの専門家Wayne Dwernychuck博士の意見書を送付いたします。 

 宮田氏の意見書は、エージェント・オレンジに限定されない枯れ葉剤の可能性を、ドラム缶内容物から分析したものです。
また、Dwernychuck博士の意見書は、エージェント・オレンジⅡの構成成分が調査されていないことを指摘し、エージェント・オレンジに着目するあまり、TCDDの毒性、ダイオキシンの存在について軽視されることの懸念を示しています。

 これらの意見書から、沖縄防衛局の調査結果では言及されていないエージェント・オレンジ以外の「枯れ葉剤」の可能性を考慮して調査結果を評価する必要性と、エージェント・オレンジの存在のみに着目することによって問題の矮小化が起こり、安全確保の面が軽視されていくという弊害を考慮することが求められていると私たちは考えます。

 重要な意見書であるので、沖縄市が依頼した愛媛大学本田克久教授の意見書とともに、関係諸機関の協議において、今後の政策に反映させていただくことを強く要請いたします。 
  
 なお、近日中に、包括的な調査評価をお届けする予定です。
   
 どうぞよろしくお願いいたします。
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沖縄市サッカー場調査結果の宮田秀明意見書(最終版)2014.9.17 by BDOkinawa



報道です。
琉球新報1面トップニュースで報道されました(2014.10.27)。 


社会面での解説記事です。宮田先生の談話も。


沖縄タイムスの報道です(2014.10.28)。


RBCもお昼のニュースで放映(2014.10.27)。


  

Posted by 沖縄BD at 16:44Comments(0)

「沖縄市サッカー場調査・評価プロジェクト」2nd ラウンド:嘉手納基地への手紙

2014年10月17日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

   いろんな書類....

嘉手納空軍基地が、基地内の保護者などからの要求に基づき、沖縄市サッカー場の調査状況などをウェブサイト、フェイスブックで伝え、8月7日に嘉手納基地内へのコミュニティーに安全宣言のアナウンスの手紙をアップしていることはこちらのブログ記事でお伝えしています。



嘉手納空軍基地に問題点を指摘する手紙を送付
 沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、その手紙の問題点を指摘する手紙を嘉手納空軍基地に10月9日付で送付しました。

 問題点を4つに整理しました。以下の4点です。
1)クロスチェック/カウンター調査をし、枯れ葉剤の可能性を示唆している第3者意見を含む沖縄市の調査結果を適切に反映していないこと
2)手紙が「地元住民には健康的なリスクはない」という結論と対比する情報を無視していること 
3)手紙が、サッカー場の汚染の処理の仕方によっては、ボブ・ホープ小学校とアメリア・イヤーハート中学[基地内の2学校]が汚染される可能性については議論していないこと
4)手紙には、読者に混乱を招くような、不適切に、あるいは不正確に訳された部分があること

 下に和訳を貼り付けてPDF文書にしてあります。英文が原文で、scribdで埋め込んでいますので、詳細はそちらでお読みください。

 なぜ嘉手納空軍基地に手紙を書いたのか?

 昨年の6月に沖縄市諸見里サッカー場でドラム缶が発見された時から、沖縄BDは調査の透明性が保たれているかなどをウォッチするための「監視・評価プロジェクト」を立ち上げてきました。調査が環境、市民の健康を守るためのものであるべく、関係諸機関にこれまでも提言を行ってきましたが、この手紙の送付はそのプロジェクトの一環と位置付けています。

 調査は、関係諸機関が機関間および市民といかに情報共有していくかが重要であると思います。しかし、今回の嘉手納空軍基地のアナウンスメントを読み、米軍と日本政府、沖縄の自治体(沖縄県、沖縄市)間の、ひいては基地内のコミュニティーへ情報が正確に、また適切に共有されていないことに懸念を抱いています。調査では深刻な汚染の結果が示されており、情報共有・提供の不備を見逃すことはできないと私たちは考えました。
 
 沖縄県民が、こういうものを読んでいない、読んでも反論できないというように思われることは、間違った情報共有が繰り返し行われる危険があります。まあなめられてはいけない、ということです。これを沖縄側の行政がやるとは思えません。
 ということで、昨年、意見書を書いてくださった専門家、池田こみちさん、ベトナムのホットスポットで調査を行っていたウェイン・ドゥウェニチュック博士、元カリフォルニアのマーチ空軍基地に勤務していた専門家國吉信義さんの見解を含めた手紙を嘉手納基地に送付したわけです。

宛先は嘉手納基地だけど
 宛先は嘉手納基地なんですが、市民への情報提供のあり方など、沖縄側も同様の問題はあります。それはまた後日別に指摘したいと思います。

 ここで問題にしておきたいのは、沖縄側から米軍への情報提供の部分でしょう。このアナウンスに書いてあるものを読むと、嘉手納基地は、沖縄防衛局と沖縄県を呼び、調査の確認を行っています。しかし、沖縄市はそこに同席していません。このアナウンスがアップされたときに、沖縄市に問い合わせたところ、この米軍との打ち合わせは知らなかったとのことでした。しかし、沖縄市の要約版の翻訳はアップされており、沖縄市の報告が存在していることは嘉手納基地は把握しているはずです。この手紙にも書いていますが、重要な沖縄市の情報がこのアナウンスに反映されておらず、また防衛局と沖縄市の見解が分かれていることもないように書かれています。
 なによりも、嘉手納基地の安全宣言に防衛局と県が結果的に加担してしまっています。十分な情報提供をせずに、進行中の調査に対してこのような安全宣言をすることを、専門家は厳しく指摘しています。

 また、翻訳の問題もありました。せっかく精緻な調査をしても、翻訳に問題があると、沖縄防衛局は正確にそれを伝えられることができません。そのような件も機関間で改善していってほしいと思います。
 
フェンスは隔たっているけれど 
 米軍基地と沖縄県民とはフェンスを隔てていますが、土も水も空も全てつながっていることを今一度、認識してもらいたいと思います。嘉手納基地の保護者の人たちにもきちんとした情報は伝えてもらいたい。
 沖縄の環境、島に住む人の健康を守るため、私たちの提言を今後の調査や対策、情報共有・提供に反映させてもらいたいと望んでいます。


このようなウォッチ活動の目的の一つは、この問題に関係する人たちが緊張感を持って問題に対処してもらうこともその一つです。でも、沖縄側が調査というものに取り組むとき、それぞれがどんな役割を果たすべきか、ということをともに考えていく、そういう過程の中にあるんだとも思います。問題は前からあったけれど、私たちも含め、取り組みはまだまだ未熟で、返ってくる土地に対しても、同じ事例が起きたとしてもまだ体制は準備できているわけではありませんから。
 
英語でもこの手紙の記事をOkinawa Outreachに書きました→ Letter to Kadena Air Base from Okinawa environmental NGO

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沖縄・生物多様性市民ネットワークから嘉手納基地への手紙和訳
(翻訳:河村 雅美)

2014年10月9日


ジェームス・ヘカー准将
第18航空団司令官
嘉手納基地

ヘカー准将

私たち、沖縄・生物多様性市民ネットワークは、県内で、基地汚染を含む汚染問題に取り組んできた環境NGOです。私たちは、2014年8月7日付で嘉手納空軍基地が基地内コミュニティーへ宛てた「沖縄市サッカー場発掘物のアップデイト」と題した手紙について、手紙を書いています。

まず、私たちは前述の手紙について、また、沖縄防衛局と沖縄市が実施したサッカー場調査結果の要約翻訳について、嘉手納基地のサイトに迅速なアップデイトをしてくださったことに感謝いたします。このお知らせのおかげで、嘉手納基地コミュニティーは、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市が、この問題解決のために、ともに真摯にとりくんできたことを知りえることができたと思います。そして沖縄の人もまた嘉手納基地が米軍基地コミュニティー、またそこを超えて、どのように情報を拡散しているかを知ることができました。

しかし私たちはその手紙が、嘉手納基地コミュニティーに、正確で十分な要約と調査の結果と分析に関する議論を提供していないことに懸念を抱いています。
特に、以下の4点について強調したいと思います。
1)手紙が沖縄市の調査結果を適切に反映していないこと
2)手紙が「地元住民には健康的なリスクはない」という結論と対比する情報を無視していること
3)手紙が、サッカー場の汚染の処理の仕方によっては、ボブ・ホープ小学校とアメリア・イヤーハート中学[基地内の2学校]が汚染される可能性については議論していないこと
4)手紙には、読者に混乱を招くような、不適切に、あるいは不正確に訳された部分があること

以下、この4点について詳しく述べたいと思います。

1.沖縄市の調査について
 嘉手納基地の手紙では沖縄市の調査について言及し、翻訳された要約がウェブサイトにアップロードされている一方、アップデイトと手紙にある議論は、主に沖縄防衛局の報告書に基づいており、沖縄市が提供されている情報ではありません。全ての調査を確実に、正確で十分な、かつ透明性のあるものとするため、沖縄市は、沖縄防衛局と同時にサッカー場のクロスチェック/カウンター調査を行ってきました。沖縄市の報告は非常に貴重なものであり、それを手紙から外すのは嘉手納基地のコミュニティーに損害を与えることになります。

例えば、沖縄市の報告にはダイオキシンの専門家愛媛大学の本田克久教授の、サッカー場における除草剤/枯れ葉剤の存在の可能性に関する意見が含まれています。本田教授は、エージェント・パープル、エージェント・グリーン、エージェント・ピンクと / か、エージェント・オレンジといった枯れ葉剤成分を含んだ除草剤が過去に使用された可能性が高いと述べています。(ちなみに、エージェント・ホワイトの成分のピクロラムが検出されていなかったため、本田教授はエージェント・ホワイトが存在した可能性は除外しています)

本田教授のコメントは、沖縄防衛局の分析と結論と相反しています。沖縄防衛局は「オレンジ剤との関係」の点からのみ調査の結果を分析していますが、他の枯れ葉剤の点からはしていません。ゆえに、沖縄防衛局の報告書は「ドラム缶中に枯葉剤のオレンジ剤があったという証拠は見つからなかったといえる」と結論づけている一方、他のベトナム戦争で使用された他の枯れ葉剤は無視したことになります。

さらに沖縄市の報告は、サッカー場の汚染に米軍が関与した可能性の関連情報を提供しています。沖縄市の報告は、米軍人が現在のサッカー場付近の場所にドラム缶を投棄したという2人の目撃者証言を提供しています。説明には以下のような情報が含まれています。

・「東京オリンピックが開催されていた昭和39年(1964年)頃に、現在のサッカー場付近で6-7人の米軍人が、午前10時頃から夕方まで作業をしていたのを目撃した。
・米軍用トラックの荷台に満載したドラム缶(本数は不明)を、谷間又は大きな窪地に転がした後、軍用ブルドーザーで土をかぶせる作業をしていた。
・斜面には、ドラム缶が転がりやすいようするためかベニヤ板を敷いていた。」
[1編ドラム缶の埋設範囲の特定及びドラム缶付着物の調査1章「地歴調査」1-33 より原文を転載]


沖縄防衛局はこの(沖縄市から提供された)目撃証言を沖縄防衛局の「地歴調査」にいれて、以下のような分析に反映させています。

「ドラム缶は埋没時に意図的につぶされたとの聞き取り結果があり、その結果ドラム缶内にあった2,4,5-TやPCP、PCBが混合したことが考えられた。」(旧嘉手納飛行場(25)土壌等確認調査(その2)調査報告書概要版、p.10)

しかし、沖縄防衛局はこの分析(「意図的につぶされた」)は沖縄市の報告の目撃証言に基づいていることを言及していません。結果的に、翻訳された「調査報告書概要版」もまた、その事実を言及しておらず、嘉手納基地の手紙はサッカー場の汚染に米軍が関与していたという可能性を述べていません。

さらに、ヒ素とフッ素がドラム缶の内容物と底面土壌から検出した件に関して、沖縄市の報告書と沖縄防衛局の報告書の解釈は異なっています。沖縄防衛局が「自然由来のものである」と述べているのに対して、沖縄市は、人為的な由来のものである可能性を示唆しています。嘉手納基地の手紙は2つの報告書の重要な違いについて論じていません。

最後に、沖縄市の報告書は「ドラム缶の埋設場所については、複合汚染と考えられ、処分方法や取扱いに注意が必要である」と述べています。私たちは、「複合汚染」という概念は、サッカー場の特定された汚染の性質を表すのに適切なものであると考えます。沖縄防衛局はその概念の検討を怠っていますし、汚染の全体的な性質を論じてもいません。

上記のような私たちの議論を踏まえ、汚染についてより理解するために沖縄市の報告書を精査し、沖縄市の当局に意見を聞くことを提案します。そして、精査すること、意見を聞くことによって得た情報を嘉手納コミュニティーへの今後のアップデイトに取り入れるべきです。

2.沖縄防衛局の調査に関して嘉手納コミュニティーをミスリードしている件
嘉手納基地の手紙は、「地元住民への健康への危険はない」という結論を支える沖縄防衛局の調査の情報に焦点が当てられています。一方、そうでない結論を示す可能性のある情報は無視されています。
私たちの見解では、嘉手納基地の手紙における沖縄防衛局の調査と報告書についての記述は不正確かつ不適格で、嘉手納基地コミュニティーに誤解を与えてしまうかもしれないと思います。

例えば、ダイオキシンに関して、嘉手納基地への手紙は「最終的に、ダイオキシンは土壌においては環境基準値以下である」と誤って述べています。これは沖縄防衛局の報告書と矛盾しています。沖縄防衛局の報告書はダイオキシンの調査結果について以下のように示されています。

「ドラム缶付着物試料のダイオキシン類は、3ng-TEQ/g)(3000pg-TEQ/g)を超過した結果はなかったが、6試料について1000pg-TEQを超過していた。」(「概要版」p14)

さらに、嘉手納基地の手紙は「農業除草剤(2,4,5-T)が検出された」と述べていますが、どこで、あるいは何から2,4,5-Tが検出されたは特定していません。2,4,5-Tの汚染源を特定することは非常に重要であるので、どこから検出されたのかを手紙の中で正確に述べることが適切であったでしょう。

私たちは、3人の専門家に、嘉手納基地の手紙、沖縄防衛局の報告書、沖縄市の報告書に関して意見を聞きました。専門家たちの分析は、嘉手納基地の手紙が「地元住民に健康上の危険はない」という結論を支える沖縄防衛局の報告書からの情報に集中し、そうではないという結論を示唆する情報を無視していることに対しての私たちの懸念を補強するものとなっています。

ダイオキシン汚染の日本の専門家、池田こみち氏は、沖縄防衛局の報告書データによると、18のドラム缶で、付着物の2,3,7,8-TCDDが50%を超えていると指摘しました。したがって、以下の提言を、嘉手納基地の議論とアップデイトにとりいれるべきであるとしています。

・サッカー場のサンプルから検出された2,3,7,8-TCDDが、ダイオキシン類で最も毒性の高い異性体である事実は強調されるべきです。
・ここで、2,4,5-Tの濃度と2,3,7,8-TCDDの関係も示されるべきです。
・2,4-Dが除草剤(weed killers)の成分であることや除草剤が地元の店で広く調達可能であることを強調することは安全性を保証するものではありません。ダイオキシンや除草剤が沖縄の米軍基地でいつ、そしてどのように使用され、保管されていたかの事実を伝えるべきです。

ベトナムの「ホット・スポット」で調査を率いたエージェント・オレンジと除草剤の専門家ウェイン・ドゥウェニチュック博士は電子メール(2014年8月1日)で以下のコメントをしています。

「私は、2,4-Dと2,4,5-Tが50:50比で混合された、エージェント・オレンジという特定したものがドラム缶に含まれていたかどうかというのは、考慮すべきこと/重要性を持つこととしては二の次にすぎないのでは、と考えます。私の中でまず重要なのは、ダイオキシンの存在、特にTCDDという、エージェント・オレンジの混合時、2,4,5-Tに特化して由来する副産物です。エージェント・オレンジにのみ焦点をあてることは、主に懸念されること/するべきことがダイオキシンであるという現実から目をそらしてしまうことになりがちです。エージェント・オレンジがドラム缶に実際に存在したことを当局は、間違いなく否定し続けるでしょう。しかし、ダイオキシンが存在したことと、ダイオキシンのありうる健康面での懸念との関係は否定できません。問題のこの側面を、まず主たる考慮するものにすべきです。」

カリフォルニア、マーチ空軍基地で環境浄化プログラムに従事していた國吉信義氏はサッカー場のドラム缶に関して、以下のコメントと提言を提供しています。

「汚染土壌に人体が直接触れる可能性は非常に低いものの、雨水が地下に浸透して、汚染を溶かし、地下水に入る可能性があります。沖縄の地下水は現在は主たる飲料水源にはなっていません。しかし、地下水は農業用及び家庭用の貯水池にたどり着きます。ゆえに、人体が汚染された地下水に接する可能性を除外することはできません。カリフォルニアでは全ての地下水は飲料水になるという仮定で保護しています。マーチ基地では、汚染された地下水の浄化に一番お金と時間がかかりました。」

私たちはこの上記の議論に、嘉手納基地のコミュニティーの注意が向けられるようにするべきと考えています。

ゆえに、嘉手納基地は、サッカー場汚染をより理解するために沖縄防衛局の報告書を丁寧に精査し、沖縄防衛局の人々の意見を聞くことを提案します。また加えて、精査し、意見を聞いたことによって得た情報を嘉手納基地コミュニティーへの「アップデイト」に組み入れることを要求します。

3.ボブ・ホープ小学校とアメリア・イヤーハート中学校への可能性のある影響について


嘉手納基地の手紙は「嘉手納(ボブ・ホープ小学校とアメリア・イヤーハート中学校)は発掘現場の影響はいかなる形でもなかった)」と述べています。これは正しいかもしれませんが、この主張はより詳細に説明されるべきものであったというのが、私たちの見解です。さらに、嘉手納基地の手紙では、サッカー場が浄化されるか否か、およびいかに浄化されるかによって、汚染による影響を受ける可能性があるということを述べるべきであったと考えます。

池田氏は、私たちの懸念に関して、以下の指摘と提案をしています。

・生徒がドラム缶や土に触れることや、大気中の粉塵を吸い込むことがなければ、サッカー場汚染の、基地内学校の土や大気への事実上の影響はないと思われます。
・汚染されている現場が適切に、適宜処理されなかった場合、あるいは放置した場合には有害物質が環境中に浸出し、地下水や表流水などを汚染する可能性があります。
・適切な予防的措置を取らずに、サッカー場や隣接地域で開発事業が行われる場合、掘削のような建設作業を通じて、有害物質を含む粉じんが土壌から舞い上がる可能性があります。十分な予防的対抗措置がとられるべきです。

4. 翻訳の問題 
嘉手納基地の手紙は、沖縄防衛局と沖縄市の報告の翻訳から得た情報に依拠して書かれています。翻訳の全般的な質は許容できるものですが、翻訳が不適切で、混乱させる、あるいは間違っているものも見受けられます。以下の文は、その一例です。沖縄防衛局報告書の概要版の翻訳文です。

”The dioxins at the bottom of the soil were 1000pg times or less- TEQ/g which is at the environmental standards of the soil in all samples. The dioxin toxic equivalent of the base soil is lower than the drum dioxin toxicity, and in general tend to show higher values. “(p.14)

結論として
上記のような懸念、および沖縄防衛局の調査が進行中であることを考慮すれば、現時点でのいかなる安全宣言も不可能であり、無責任です。最低でも、いかなる結論を出すにせよ、その前に進行中の調査が終了している必要があります。その間、嘉手納基地コミュニティーと沖縄の人々は正確で、十分で透明性のある調査の情報をアップデイトすることを望んでいます。


私たちの提案をご考慮くださることにあらかじめの感謝を申し上げます。何かご質問や、さらにこの件に関してのご議論などあれば、どうぞこちらのメールまでご遠慮なくご連絡ください。

河村雅美
ディレクター 
沖縄・生物多様性市民ネットワーク

cc:
沖縄防衛局
沖縄市
沖縄県
在沖米国領事館 
外務省沖縄事務所
嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会 

和訳PDF
%E5%92%8C%E8%A8%B3sletterstosKABsfinal.pdf (PDF: 371.97KB)

letter to Kadena Air Base by BDOkinawa



報道:

  

Posted by 沖縄BD at 22:18Comments(0)

沖縄市サッカー場: 嘉手納基地サイトに調査結果概要英訳などがアップ

2014年08月25日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場

嘉手納空軍基地は、基地内の保護者などからの要求に基づき、沖縄市サッカー場の調査状況などをウェブサイト、フェイスブックで伝えていることは以前、こちらの記事でもお伝えしてきました。
  →沖縄市サッカー場の調査状況など(2014年5月31日)

 沖縄防衛局と、沖縄市の調査結果が公表されましたが、そ概要が英訳されてOkinawa City Soccer Field Excavationのページにアップされました。

 沖縄防衛局の「旧嘉手納飛行場(25)土壌等確認調査(その2)調査報告書概要版の英訳はこちら
”Okinawa Defense Bureau Results - Summary English translation. This is the 33-page executive summary covering the second round of testing performed by the Okinawa Defense Bureau.”





 沖縄市の「コザ運動公園内遺棄物等調査分析結果について(概要)」の英訳はこちら
”Okinawa City Survey Results - Summary English translation of the results from the Okinawa City Environmental Division survey of the second round of testing.” 


 また、嘉手納空軍基地から、基地内コミュニティーに調査報告と、子供たちが安全であること、また、健康へのリスクはないことを知らせる手紙がこちらにアップされています。
Okinawa City soccer field excavation update - Brig. Gen. James B. Hecker, 18th Wing commander, informs the Kadena Air Base community of results from the most recent Okinawa City Soccer Field excavation and emphasizes the safety of our children. Based on the test results and analysis, Kadena, Okinawa Defense Bureau and Okinawa Prefectural Government experts agree there is no health risk to the local population from the excavation site.
 


 
 嘉手納基地の専門家と、沖縄防衛局、沖縄県が、各報告書の分析の相互理解を確かなものにするため、この報告書についての話し合いを持った旨のことが書いてあります。沖縄防衛局に確認したところ、嘉手納基地から沖縄防衛局に調査結果を確認したいということで、話し合いの機会がもたれ、水質の件は沖縄県の担当なので、防衛局が調査結果の説明のため、沖縄県に参加してもらったとのことでした。
 
 しかし、沖縄市は、基地政策課によると、そのようなことがあったことは知らなかった、とのことでした。嘉手納基地は、調査結果も英訳してアップしており、なぜ沖縄市を呼ばなかったのか、その理由は書いてありません。沖縄市が独自に調査していたことも、このリリースできちんと述べておくべきでしたし、沖縄市が依頼した愛媛大学の本田教授の意見書も英訳すべきであったのではないでしょうか。嘉手納基地は、その内容の確認を沖縄市ともする必要があったと思われます。沖縄防衛局は、エージェント・オレンジのみの関係について分析をしていますが、本田教授の意見書は、枯れ葉剤の中で、どの種類の枯れ葉剤の可能性があるかまで踏み込んでいますし。
 また、ヒ素については防衛局と沖縄市の見解は異なっており、ここで沖縄防衛局の結果だけを取り出し自然由来のものであるとしていることは、沖縄側で行っている調査体制を無視していることになります。 

 ダイオキシンの部分の記述も大変問題です。抽出してある情報が部分的であり、専門家でなくとも、指摘できる点が多々あります。「検出された」と書かれていても、ドラム缶内容物、底面土壌、たまり水の何から検出されているのか正しく書いていません。「ダイオキシンは日本の土壌環境基準(1000pg^TEQ/g) 以下(the dioxins found are below Japanese soil standards)で検出された」と書かれていますが、ドラム缶付着物からは沖縄防衛局の調査でも14-2,900 pg-TEQ/gの範囲で検出されており、6検体が基準以上でした(沖縄市では25-1900 pg-TEQ/gで3検体) 。
また、2,4,5-Tと2,4-Dの本質的な説明、2,3,7,8-TCDDの毒性については丁寧に触れるべきです。2,4-D が沖縄のホームセンターで買えるものだということで、安全性を保証しようとしているのでしょうか。それよりも、沖縄市の専門家の分析も踏まえ、この部分をきちんと説明することが必要でしょう。

 いずれにせよ、沖縄防衛局の調査結果のみから、限定された部分の抽出になっているので、正確なものとはいえません。このリリースについても、専門家の意見を聞いていますので、いずれ指摘していきたいと考えています。 

                                                                        mmk   

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沖縄市サッカー場:三連協が防衛大臣に要請~その意味づけをしてみる

2014年08月19日/ 基地返還跡地/ 沖縄市サッカー場

  沖縄市と嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)が、7月30日、防衛省にドラム缶の汚染原因の特定などを要請したという報道がありました。
 
琉球新報  ドラム缶汚染の原因特定を 三連協、防衛省に要請 2014年7月30日  
【東京】米軍嘉手納基地周辺の3市町で構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)の當山宏会長(嘉手納町長)らは30日午前、防衛省に若宮健嗣政務官を訪ね、米軍基地跡地の沖縄市サッカー場から見つかったドラム缶から枯れ葉剤成分の一部が検出されたことについて、汚染原因の特定や土地の使用履歴調査を求めた。
 若宮氏は「しっかりとした形で沖縄市と調整しながら対応していきたい」などと述べた。
 要請で桑江朝千夫沖縄市長は、汚染区域の確定や早期の汚染物質除去を求めたほか、市の調査費約7千万円について国が負担するよう要請した。【琉球新報電子版】


 沖縄市から文書を提供していただきました。ありがとうございます。調査費7千万円の要請は口頭で要請したとのことでした。



 この問題、三連協としては初のアプローチだと思います。私は三連協とか軍転協(沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会)は、市町村が「三連協で」「軍転協で」要請してます、と逃げる手段のようなそういう印象があるのですが、サッカー場の問題を、沖縄市だけでなく、嘉手納基地を抱える市町で取り組んでいく、ということならば、それは非常に意味があることだと思います。
 
 北谷町は2002年に215本ドラム缶が発見されていること、キャンプ桑江の北側に引き続いて、南も汚染が発覚し、調査しては汚染発覚、調査設計ということを繰り返していることなどから、何かあったら、国の責任で、ということは念押ししておきたいということもあるのかもしれません。しかし、同時に北谷町は、ジョン・ミッチェルのエージェント・オレンジ記事に反応しての自らの杜撰な調査や、住民への不十分な説明についてもここで振り返ってもらいたいものです。 

 三連協での取り組みが、意味のあるものになるには、市民のプッシュは不可欠になるでしょう。ここは、市民がアクションを起こす度に、北谷町、嘉手納町を巻き込んでいく、ということが必要になりそうです。

 ここから考えられることは市民団体としていくつかありますが、やはりこのサッカー場の問題、嘉手納基地内保護者への問題の波及なども含め、嘉手納基地という存在に切り込んでいく側面がみえてきたな、とそんな気がします。

                                                            河村 雅美
  

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沖縄市サッカー場:全面調査(第2ラウンド)の県内メディア報道まとめ~あとで検証  

2014年08月19日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場

 沖縄市サッカー場の全面調査の県内の報道を、(大変遅いのですが)記録としてこちらにまとめました。
このような汚染調査の問題の報道のあり方というのもまた考えなければならない問題だと、思っています。
これについては、専門家の意見を踏まえ、また追々、検証していくつもりです。
 
◯7月7日に琉球新報が、防衛局と沖縄市の発表前に、まず報じました。





7月8日に沖縄防衛局と沖縄市の発表を受けての記事がこちら。


◯7月8日、沖縄防衛局と沖縄市の発表を受けての沖縄タイムスは報じています。


タイムスは、北谷町、嘉手納町の首長にコメントをとっています。 



◯この問題を追っている琉球朝日放送 QABの報道はこちら→「枯れ葉剤の主要成分のひとつ新たに検出」(2014.7.7)
"沖縄市のサッカー場のダイオキシン汚染問題で沖縄市と沖縄防衛局が61本のドラム缶などを追加調査した結果が出ました。
ベトナム戦争で使われ、子どもたちにおびただしい障害をもたらした枯れ葉剤エージェントオレンジの主要成分の一つが新たに検出されさらに防衛局の調査では別の枯れ葉剤の成分が検出されました。
調査は2013年10月から6月にかけて沖縄市と防衛局がそれぞれ沖縄市のサッカー場で発見されたドラム缶61本と底面土壌、たまり水などを調べました。
その結果ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤エージェントオレンジの主要成分である245Tがドラム缶と底面土壌、そしてたまり水から発見されました。
また今回調査項目を増やした結果、たまり水からエージェントオレンジのもうひとつの主要成分24Dが発見され、ベトナム戦争で子どもたちにおびただしい被害をもたらしたエージェントオレンジの主要成分がそろって検出されたことがわかりました。
しかし沖縄市の桑江市長は枯れ葉剤かどうかは断言せず、これ以上の調査は国や県の責任で行ってもらう考えを示しました。
沖縄市桑江市長は「大変不安は残るが評価等を見ても、健康被害についてはないというようなことですし、さらなる調査は、防衛局で徹底的に解明してもらいたいと思っております」と話します。
また防衛局もエージェントオレンジかどうかについては2つの成分がともに除草剤としても使われていたものであることからエージェントオレンジだという証拠はみつからないとして否定しています。
沖縄市の調査についてベトナムでの枯れ葉剤汚染の調査経験のある愛媛大学の本田克久教授は「エージェントオレンジやエージェントブルーなどと同じ構成成分を有する除草剤が存在していた可能性が高い」と話しています。"



「大変不安は残るが」...














------------------------  
報道に関して気がついた点を書いておきますが..
・用語について
 これまで枯れ葉剤問題は、"枯れ葉剤=エージェント・オレンジ"という認識で展開してきましたが、 枯れ葉剤には米軍がベトナムで使用したエージェント・ピンク、エージェント・グリーン、エージェント・パープル、エージェント・オレンジ、エージェント・オレンジⅡ、エージェント・ホワイト、エージェント・ブルーがあります。
 この点で、今回混乱を招き、錯綜している部分があります。今後、ここは整理していく必要があります。米国とベトナムを結ぶ地であった沖縄はあらゆる種類の枯れ葉剤の可能性を考える必要があるからです。沖縄BDでは、枯れ葉剤は、上記の総称を「枯れ葉剤」と呼び、Agent Orangeは「エージェント・オレンジ(あるいはオレンジ剤)」と呼ぶようにしていきたいと考えています。

・市長の姿勢
4月に沖縄市長選があり、桑江市長が就任して調査の件では初の会見でした。メディアの切り取りからしか、推察できないのですが、防衛局や県の責任で、という言葉から、あまり主体的な姿勢が見えてきません。 
 このような調査過程で、調査主体と市民とのコミュニケーションの部分(説明会や安全宣言など)が重要であることを、もっと首長をはじめとし、行政サイドに理解してもらいたいと考えているので、ぜひ積極的に関わってもらいたいと思います。
米軍の跡地であり、調査や浄化は日本政府の責任であっても、沖縄市のサッカー場であり、そこを使っていくのは沖縄市の人々で、その安全は沖縄市が責任を担う必要があると思いますので。 




  

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沖縄市サッカー場: 沖縄防衛局・沖縄市が全面調査結果を発表(報告書まとめ)

2014年07月09日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

 沖縄市サッカー場の追加調査の結果が、7月8日沖縄防衛局、沖縄市から公表されました。
 

沖縄防衛局はドラム缶1本ずつの分析報告をこんなふうに書いています。
これはNo.41。ダイオキシン毒性等量が1,000pg-TEQ/g以上あった6検体のうちの1本。


 まずは、報告書のリンクなどをこちらにまとめます。 
(2014.7.9現在、沖縄市の報告書はまだサイトにアップされていないので、入手したものをアップし、リンクしています。後で差し替え予定)

【沖縄防衛局】 
 「旧嘉手納飛行場(25)土壌等確認調査(その2)」調査報告書にあがっています。
以下が、報告の内容です。
 ・お知らせ : 調査報告、契約延長、報告書(ドラム缶61本の付着物等の調査結果)の概要
調査報告概要版 
調査概要(調査名称、調査場所、履行期間、背景と目的、調査内容、調査工程、調査数量、再委託、実施体制)

・第1編  ドラム缶の埋没範囲の特定及びドラム缶付着物の調査 
1章 地歴調査 
2章 水平磁気探査と試掘調査(1/2)
2章 水平磁気探査と試掘調査(2/2) 
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果1/11 (1.ドラム缶の発掘等〜 2.2.4 マラチオンの調査結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果 2/11 (2.3 ダイオキシン類について(PCB 含有量含む)〜 2.9各試料の結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果3/11(ドラム缶No.1-20調査結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果4/11(ドラム缶No.21-40調査結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(5/11) (ドラム缶No.41-50調査結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(6/11)(ドラム缶No.51-60調査結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(7/11)(底面土壌調査結果No.1-21)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(8/11)(底面土壌調査結果No.23-57)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(9/11)(たまり水調査結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(10/11)(3 廃棄物処理のための分析結果)
3 章 ドラム缶の発掘と付着物・底面土壌とたまり水調査結果(11/11)(今後の対応)

第2編 土壌調査 

資料編(発掘廃棄物写真、磁気探査報告書など (2014.7.11追加でアップ)

【沖縄市】 

コザ運動公園内遺棄物等調査分析業務の状況について

1 周辺地下水調査の結果(最終報告)
1-1 地下水調査業務報告書
  1-2 計量証明書
2 コザ運動公園内遺棄物等調査分析結果
2-1 報告書(平成26年6月)
2-2 別添資料
  ① 調査状況写真
    ・ドラム缶観察及び付着物採取
      No. 1~10  No.11~20  No.21~30
      No.31~40  No.41~50  No.51~61
   ・ドラム缶発掘
   ・たまり水採取
    ・底面土壌採取
表層土壌採取
   ② 分析状況写真
  ③ ドラム缶付着物 外側付着物混入率
  ④ 第三者専門家の評価
  ⑤ 計量証明書
   ・付着物
    ・底面土壌
    ・たまり水
    ・表層土壌    
    ・ダイオキシン類
     付着物 底面土壌 たまり水

【沖縄県】
  沖縄市サッカー場周辺環境調査の結果について(お知らせ)
  

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沖縄市サッカー場: 駐車場と東屋撤去して調査予定

2014年07月04日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策

 沖縄防衛局の入札情報によると、沖縄市サッカー場は 駐車場、東屋を撤去し、調査をする予定のようです。
  以下の工事の入札がこちらにでています。
  1.既設構造物(東屋、駐車場等)撤去 一式
  2.土工事(掘削12,000㎥、埋戻し12,000㎥)
  3.水平探査(22,000㎡)
  4.土留工 一式

開札は8月、履行期限は来年3月です。
 生活空間であった 「返還後既使用跡地」がどのような状態であるのか、沖縄防衛局の調査を見届け、そこから学べるものは何か、考えていきたいと思います。
  退役軍人や枯れ葉剤2世サバイバーのヘザー・バウザーさん、嘉手納基地内の保護者も注目しています。 
  

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沖縄市サッカー場ドラム缶発見から1年:沖縄の土地の声を聞くということ

2014年06月20日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策


昨年、6月13日、沖縄市諸見里のサッカー場の工事中、ドラム缶が発見されてから1年が経過しました。
これまでのことを整理した文章を、環境ネットワークの会報に書く機会をいただきました。その増補版のこちらのブログへの掲載許可をいただきました。環境ネットワークには感謝申し上げます。



沖縄の土地の声を聞くということ〜沖縄市サッカー場ドラム缶問題を通して
              河村 雅美(沖縄・生物多様性市民ネットワーク)

「知らずにいることを選んだとき、人は自らを無力化している。そしてあえて現実を直視することを選んだときは、自らに希望を与えている。」マーガレット・ヘファーナン(『見て見ぬふりをする社会』)

2013年6月13日、沖縄市諸見里サッカー場の工事中、ダウ・ケミカルの印章のあるドラム缶が発見されて1年が経つ。沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、沖縄の枯れ葉剤問題に取り組んできた経緯から、このサッカー場調査等を見守ってきた。その立場から、この間の展開と課題についてまとめてみる 。

1. 沖縄市サッカー場汚染調査への関わり
 2011年からのジャーナリスト、ジョン・ミッチェル氏による退役軍人の証言を中心とした沖縄の枯れ葉剤報道を受け、沖縄BDはこの問題に取り組んできた。外務省への要請、沖縄県への要請、沖縄県議会への陳情、関係市町村への要請、そして沖縄の枯れ葉剤についての証言をした米国退役軍人や枯れ葉剤2世のサバイバーとの連携などがその主な活動であった。その中で、環境総合研究所の池田こみち氏から、調査のあり方について学ぶ機会があった。そこでは、北谷の米軍メイ・モスカラー射撃場跡地で2002年に発見された215本のドラム缶が1本しか分析されなかった沖縄県の杜撰な調査と、内容物がわからないまま県内で焼却された処理方法をとりあげ、提言書「米軍による沖縄県内における枯れ葉剤問題への適切な対応についての意見書」(2012.3.14)を執筆してもらい、関係機関に提出した。調査への透明性や情報へのアクセスの確保など、あるべき調査に必要なものがなにかを学ぶ機会をここで学んだことが、今回のサッカー場ドラム缶問題に関与するきっかけとなった。

2. 沖縄市サッカー場でのドラム缶発見から:<第1ラウンド>~調査のあり方の問題化
 2013年6月13日、沖縄市サッカー場でドラム缶が発見され、最初の調査が実施された。ここで調査のあり方が問題化されたことは一つの成果であったといえよう。枯れ葉剤製造会社の一つであるダウ・ケミカルの印章のあるドラム缶が発見されたことから、枯れ葉剤か否かというセンセーショナルな報道が加熱し、そこが幕引きの焦点とされる恐れがあった。そこで、沖縄BDでは調査のあり方について6月20日付けで5機関(沖縄県、沖縄市 沖縄市議会、沖縄市教育会、沖縄防衛局)への文書要請と記者会見を行い、調査の透明性と高い専門性を焦点化していくことに努めた。21日には沖縄市議会でも「第3者機関」による公正な調査や、調査項目の検討の必要性という調査体制を問題化していく動きがあった。
  調査は、沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県の3機関で実施された。調査のあり方としては、結果的に、沖縄市と沖縄防衛局の両機関、つまり自治体と日本政府の両者でドラム缶内容物や周辺土壌の調査が実施されたことを特筆しておきたい。国任せにせず、市町村が沖縄防衛局へのカウンターとなる調査結果を出すこととなった主体的な体制をとったことは、調査の透明性の確保や、調査が市民の安全、環境、健康のためにあること、調査における自治体の役割を喚起させたという点から大きな意味があったといえる。沖縄BDは、調査の監視・評価プロジェクトを立ち上げ、環境総合研究所に調査に関する意見書を依頼した。その意見書「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書―沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心にー」(2013.8.30)を関係5機関に提出し、市民や自治体が積極的に調査に関与する意味づけを世論に訴えていった。
 また、公開された調査結果に第3者の目が入ることにより、沖縄の基地汚染の性質の一部が明らかになった。ドラム缶の内容物から2,3,7,8-TCDDという猛毒のダイオキシン類が検出されたこと等が大きく報道されたが、注目すべきは、沖縄市が分析を依頼した愛媛大学本田克久教授や、沖縄BDで依頼したダイオキシンの専門家摂南大学名誉教授宮田秀明氏から、調査地が「複合汚染」の性質をもつという見解や、投棄の状態の分析が具体的なデータをもって出されたことであろう。ジョン・ミッチェルを通して、ボストン大学公衆衛生学部の名誉教授であるリチャード・クラップ氏と、かつてベトナムのダナンなどの枯れ葉剤汚染調査に携わったウェイン・ドゥウェニチュック氏のサッカー場汚染に関しての見解がジャパン・タイムス上に掲載された。海外の専門家の目を通して、国際的な比較の目でサッカー場の汚染が特徴づけられたことも、意義のあることであろう。
 第1ラウンドの調査結果はこちらにまとめてある。

3. 沖縄市サッカー場“全面”調査<第2ラウンド>:サッカー場の考古学
 最初の調査結果を受け、2013年10月から全面調査が沖縄防衛局と沖縄市、沖縄県の3者で協議を持ちながら実施されている。沖縄市もドラム缶の内容物など、沖縄防衛局の調査の監視体制をとっている。その後のサッカー場全体の調査により、ドラム缶が合計で83本発掘されたことが大きく報道されているが、沖縄防衛局が地歴や地層の調査を実施し、公開していることも着目したい。いわばサッカー場の考古学ともいえるものである。
そこには米軍遺棄物とは考えにくい遺棄物もドラム缶の周辺から発掘されている。サッカー場は1987年に米軍から返還され1996年に建設された「返還後既使用跡地」であり、「返還したての跡地」ではない。ドラム缶、その他の遺棄物、その深さを精査し、なぜこのようなことが起きたのかの検証が必要ではないかと考える。最初のドラム缶の発見者が、処理方法に苦慮した状況があったことも推測されるし、このような有毒物質を含むドラム缶を扱った人の健康問題の懸念もある。過去の汚染被害の可能性も念頭に、なぜここにドラム缶が投棄されているのかを分析していくことは、第2ラウンドの課題の一つでないか。
  2002年の北谷のドラム缶も店舗拡張という跡地再開発時に発見されたものである。日米地位協定により、米軍が原状回復の義務を負わないことは問題であり、米軍の汚染者負担の原則を主張していく必要はある。しかし、日米政府を非難するだけでなく、11年間このような問題を放置してきたことについて、沖縄は重く受けとめるべきだろう。そして、まさに今暮らしている空間にも危険が潜んでいるという現実を認識し、同様のことが起きた場合の対処、起きないようにするにはどうするべきなのかを考えなければならない。
 また、この沖縄市のサッカー場調査に関していえば、全面調査の実施中に、安全基準をどう設定するのか、浄化はどのように行い、誰が監視していくのか、誰が安全宣言を行うのか、沖縄が徹底的に議論する必要があるだろう。
  今後の予定としては、61本のドラム缶の内容物や土壌調査の分析結果が発表される。沖縄防衛局はさらなる鉛直調査を計画しており、10月まで同調査が実施される予定である。
 第2ラウンドのこれまでの調査結果についてはこちら、予定などについてはこちらを参照されたい。

4. 問題は国境とフェンスを越えて
 このサッカー場の調査は米国の退役軍人も注視しており、さらに私たちと退役軍人との連携が強くなった。
 また、退役軍人の証言と沖縄のデータをつなぐという作業が可能となった。2014年2月にはサッカー場と基地内小学校の校庭にまたがる地域が、基地のごみ捨て場であり、除草剤を投棄したと証言した退役軍人のロナルド・トーマス氏の報道もあった。1月には読谷ドッグスクールに駐留していたドン・シュナイダー氏の、枯れ葉剤は沖縄で日常的に55ガロンのドラム缶から30ガロンのドラム缶に移し替えられ、各基地に運搬されていたという証言も報道された。サッカー場で発見されていたのは30ガロンのドラム缶であり、米国政府は、枯れ葉剤が55ガロンのドラム缶であることを根拠に枯れ葉剤の可能性を否定していたが、その主張への反論材料がここにあると考えられる。上述のダイオキシンの専門家宮田秀明氏の意見書には、ドラム缶の内容物は一つではない、と分析がされており、データから推測される投棄の状態と、退役軍人の証言をつきあわせ、日米政府に疑問をつきつけていくことも沖縄の課題の一つとなったといえる。ドラム缶の問題が枯れ葉剤問題としてのみ、着目されることは避ける必要があったが、結果的にはこのドラム缶の内容物の結果は、米国政府が日本政府の要請により発表した調査報告「日本国沖縄における枯れ葉剤の申し立てに関する調査」(2013年1月)の見直しを要求する大きな根拠になるのではないだろうか。
  さらに、この問題は沖縄BDとつながってきた枯れ葉剤2世サバイバーのヘザー・バウザーさん等を通じ、嘉手納基地内の学校の保護者にも波及していることが新たな展開としてある。嘉手納空軍は、保護者の要請に応えて2014年1月から調査や説明会を行っている。沖縄BDは、これまでの経緯の英文サマリーを保護者に届け、現在も情報交換を行っている。汚染源である基地との連携には矛盾を感じる人たちもいるかもしれない。しかし、これまでも事実・真実を追求していくという軸で、私たちは退役軍人と連携してきた。調査を見つめる人々が国境とフェンスを越えて連携していることに意味を見出したいと考えている。
 
5 むすびにかえて  
この問題に今後、どう取り組むのか。サッカー場に時折行って考えることは、私たちは、沖縄の土地からの声を聞き、伝える”メディア“(媒介者)にならなければならないのではないかということだ。琉球朝日放送は、サッカー場の特集を「悲鳴を上げる土地」と名づけた。子どもたちが遊んでいた「サッカー場」という土地からあげられた声を注意深く聞き、過去や現実と向き合い、安全とは何かを自ら考え、安心して暮らせる沖縄を私たちがつくりあげられるかどうか。日米政府に要求を突きつける前に、沖縄が直視できていなかった現実は何か、私たちが安心できる環境や安全の基準はどんなものなのか。サッカー場の声はそのような課題を私たちに投げかけている。

  

Posted by 沖縄BD at 22:52Comments(0)

沖縄市サッカー場の調査状況など

2014年05月31日/ 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場

 沖縄市サッカー場の昨年10月からの第2ラウンド調査ですが、5月9日、嘉手納空軍基地のFacebookにお知らせがでていました。



"きょう、沖縄防衛局は1月下旬/2月初旬に沖縄市サッカー場から掘り出された61本のドラム缶の検査結果を受理。防衛局は、結果の詳細な分析を行っており、嘉手納基地には6月初旬に結果を提供する見通し。嘉手納基地は報告を受け取り次第、嘉手納チームメンバーと分析結果と可能なフォローアップについて話し合うため、速やかにタウン・ホールミーティングを開催予定。"と書かれているようでした。

 ちなみに嘉手納基地のウェブサイトでは、沖縄市サッカー場関係のコーナーがこんな風に置かれています。



 沖縄防衛局に確認したところによると、現在、ドラム缶の内容物や土壌調査は、専門家の分析待ちであり、6月下旬か7月上旬に結果を報告予定とのことです。
また、6月で現在の調査の契約が切れるのですが、鉛直の深度をあげたものなどの調査がまだ終わっていないため、新たに入札をかけています。
  「 旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査」(沖縄防衛局サイト)

 沖縄市も6月中旬か下旬に調査結果を出す予定とのことです。

 もうすぐ6月13日、ドラム缶が発見されてから1年がたとうとしています。 
 ドラム缶の中身に目がいきがちですが、なぜこのようなことがおきたのか、考えなければいけないと思います。
 原因は外にだけあるのではないことが、ここまででわかっているのですから。 


  

Posted by 沖縄BD at 15:13Comments(0)

沖縄市サッカー場調査経過をまとめました

2014年04月13日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場

 こちらのブログ、更新していませんでしたが、昨年の秋から沖縄市サッカー場の全面調査が進められており、中間報告が、沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県からそれぞれ公表されています。これまでの状況や調査結果の概況をとりあえずまとめてみました。

<調査体制>
全面調査(第2ラウンド)は3機関により以下の担当で進められています。

【沖縄防衛局】
調査名称「旧嘉手納飛行場(25)土壌等確認調査(その2)」いであ株式会社
 ・調査A: ドラム缶埋没範囲の特定及びドラム缶付着物の調査 
      ドラム缶埋没位置と範囲を把握するための磁気探査。
      確認されたドラム缶は発掘し、付着物を調査する。
      地歴調査、磁気探査(水平・鉛直)、発掘・集積調査、粉じん調査、
      試料採取(底面土壌採取を含む)
      ドラム缶付着物・底面土壌の分析、ドラム缶付着物の特定の解析検討
 ・調査B: 土壌調査 ((1)土壌概況調査 (2) 土壌詳細調査 
      サッカー場の土壌汚染の状況把握
 ・既設構造物撤去(12/16-1/23 実施済)
【沖縄市】
調査名称「コザ運動公園内遺棄物等調査分析業務の状況について」 
 ・調査Aのクロスチェック(南西環境研究所)
 ・調査Bのクロスチェック
 ・地下水調査業務 ドラム缶による周辺地下水の汚染の状況を把握するため、
          市内の地下水を採水し、水質分析を実施。
【沖縄県】 土地の攪乱による有害物質の周辺環境への拡散の有無を把握するための地下水等の水質調査を実施

【沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県】の3者は、全面調査開始後から3月までに8回の協議を行い、調査内容などを検討しているとのこと。その他にも担当者間で工程会議、調査への立ち会い、日常的な協議・確認などを電話・電子メールで行っているということが、県の陳情での処理概要に書かれています。
 全面調査開始後は、以下の件が大きく報道されました。 
  2013.11.27 試掘調査中の米国製の手榴弾1個の発見 (自衛隊が回収) 
  2013.12.5 試掘調査中ドラム缶7本発見
  2014.1.28~ドラム缶新たに54本発見 (計83本)  
 報道では、米軍の遺棄物、ドラム缶が強調されていますが、発見されたものはこれだけではありません。沖縄防衛局の資料から、分析考察を行わなければならない部分があると考えています。これは別稿にします。


<これまでの調査結果>
 以下のサイトでこれまでの結果が公表されています。沖縄防衛局も、サイトにタイムリーにあげてくれるようになりました。色の付いた部分をクリックするとリンクにとべます。最初の調査結果や意見書なども全てまとめたサイトをつくっておきたいのですが、とりあえず。

【沖縄防衛局】 沖縄市サッカー場全域における追加調査の状況について’2014.3.4
別添部分のタイトルはわたしの方で内容について加えてあります。  
 1 沖縄市サッカー場にかかる追加調査の状況について(お知らせ)
 2 別添1 調査対象地の面積、地積図
 3 別添2 地形図の変遷、地盤高の変遷
 4 別添3 土壌汚染調査結果 (土壌ガス及び土壌各23地点について調査)
 5 別添4 水平磁気探査による異常点試掘結果(異常点位置図、発掘物分布状況、発掘物履歴)
 6 別添4(写真1)試掘調査時に発掘された廃棄物
      (平成25年11月20~12月6日、平成26年1月28~2月1日)
 7 別添4(写真2)
 8 別添4(写真3) 〃 およびドラム缶発掘時に発掘された廃棄物(平成26年1月28~31日)
 9 別添5  埋没ドラム缶の位置、底面土壌試料採取地点、ドラム缶表示物等
 10 別添5(写真1) 発掘したドラム缶の写真 番号1-10
 11 別添5(写真2)発掘したドラム缶の写真 番号11-20
 12 別添5(写真3)発掘したドラム缶の写真 番号21-30
 13 別添5(写真4)発掘したドラム缶の写真 番号31-40
 14 別添5(写真5)発掘したドラム缶の写真 番号41-50
 15 別添5(写真6)発掘したドラム缶の写真 番号51-61
【沖縄市】 コザ運動公園内遺棄物等調査分析業務の状況について(2014.4.2)
 1 周辺地下水調査の結果(最終報告)
  1-1 地下水調査業務報告書
  1-2 計量証明書
 2 土壌調査の結果(中間報告)
  2-1 土壌調査結果概要
  2-2 土壌調査結果表
  2-3 土壌調査結果図
 3 遺棄物等発掘調査の結果(中間報告)
  3-1 発掘範囲図
  3-2 観察記録
  3-3 写真
    No.  1~10  No.11~20  No.21~30
    No.31~40  No.41~50  No.51~61
【沖縄県】 沖縄市サッカー場周辺環境調査の結果について (2014.4.8)
この中の、「1.平成26年2月5日、7日及び19日実施分 調査地点:サッカー場暗きょ排水からの排出水、嘉手納基地内井戸水、大道川河口底質」の部分が、全面調査の部分です。サッカー場関係の調査がこちらでまとめてみられるようにしてくれています。


<調査経過、予定>

 これについてはヒアリングをしなければならないと考えていたのですが、できておらず。先日受けたオーストラリア公共放送のサッカー場での取材で、沖縄防衛局の方ともお会いすることができ、(便乗して)うかがったお話や、沖縄市の担当者に電話で聞いたお話をまとめると以下のようになります。
 ・沖縄防衛局、沖縄市とも61本のドラム缶の内容物の調査結果待ち。
  4月中に公表する予定だが、4月中にできるかは未定。
 ・沖縄市も市長選挙が4月27日にあるので、報告などは市長選後の5月になりそう。
 ・沖縄防衛局は、その後も内容物については解析検討を続ける。
 ・沖縄防衛局の全面調査の予定(契約)は3月末までであったが終わらず、
  6月まで延長してやっている。
 ・地表2mの水平探査までは実施済み
 ・接収時(S22年=1947年)に谷であった部分の鉛直探査は試験的に実施したが、
  ここまでで契約終了。
 ・精度をあげて実施することを検討中。契約し直して実施予定。
 ・沖縄市も谷間にそった形の部分のボーリング調査の実施については強く要求している。

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今後も、なるべく進行状況をタイムリーにアップデートしたいと思っています。  

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キャンプ瑞慶覧ドラム缶:包括的な調査計画や遺棄物のマニュアル必要

2014年04月08日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ キャンプ瑞慶覧/ 沖縄県環境政策

 キャンプ瑞慶覧の米軍への提供区域内で発見され、3月に報道されたドラム缶は、文化財調査の過程で発見されたものでした。

 文化財調査のマニュアルでは、危険物では不発弾までしか想定しておらず、連絡体制が整えられていなかったとのことです。
 私たちも、無意識に自然環境調査、汚染調査、文化財調査と分けて考えがちなところがあり、沖縄市サッカー場の件を経ても、文化財調査ではどうなっているのだろう、という考えに至っていないところがありました。

 しかし、米軍の土地であるところ、かつてそうであったところ、返還が予定されているところを区別せずに考えること、環境調査、文化財調査も調査者、作業者の安全性の確保という共通の目的から、マニュアル作成の必要があることが認識されたのではないかと思います。
 沖縄タイムスが、これまでの経緯や他の文化財調査ではどうであったかを取材し、記事にしています(下記記事)。上述の点をコメントしました。

 西普天間の返還予定地では、今年度も文化財の調査が予定されているようです。このことを活かし、対応することが求められると思います。また、文化財調査から、環境調査に生かせる部分もでてくるかもしれません。いずれにせよ、調査作業する方たちの安全、文化財の保護、安心して暮らせる環境の確保を軸に、包括的な調査計画等やマニュアルを策定していくことを行政機関は検討する必要があると思います。
 
  

Posted by 沖縄BD at 19:35Comments(0)

県議会陳情:採択されても新規で出す沖縄市サッカー場の件

2014年03月10日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 議会陳情

 沖縄市サッカー場の陳情は2連続で採択されています。前回の採択陳情第149号の「沖縄市サッカー場全面調査に関する陳情」は、知事名での「陳情の処理経過及び結果について」(以下、「処理経過」)でその後の県の経過が県議会議長宛に2日13日付で出されています。
 
 ですが、それは委員会当日の処理方針となんだかわるところがないこともあり、新規でまた出しました。 

4本だしたよ

 こちらのブログではあげていないのですが、議会終了後も、新たにいろいろ展開があります。サッカー場で新たに61本のドラム缶(計83本)が発掘されています。また、嘉手納基地内の保護者の動きもあります。
 
 中間説明会の件も県がどのような働きかけをしているのかもはっきりしていません。
 また、前回の調査結果の提言を踏まえてどのような調査設計をしたかということを、明らかにした文書や説明がこれまでもなく、県の今回の調査の役割も、前回の処理方針などでは県民への説明になっていないので、問うことにしました。
 沖縄防衛局と沖縄市の前回の調査報告書の考察と提案などから、抜粋したものを添付したので、それを下に埋め込みましたので、参考にごらんください。
 
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2014年3月6日

沖縄県議会議長
喜納 昌春殿
                
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川保護基金」事務所内
                ディレクター 河村雅美 連絡先070-5482-0084)

沖縄市サッカー場全面調査の件

 陳情第149号の「沖縄市サッカー場全面調査に関する陳情」が採択され、知事名での「陳情の処理経過及び結果について」(以下、「処理経過」)でその後の県の経過が県議会議長宛に2日13日付で出されています。
その件について、およびその後の見解について下記の事項を陳情します。

1. 現状報告について 
「処理経過」には、第7回議会における米軍基地関係特別委員会後の経過について、報告がされるべきであると考えていますが、委員会に提出されている処理方針と「処理経過」は同一内容です。「処理経過」には、発見されたドラム缶が83本となった2014年1月の試掘調査に関しての協議、予定などの記述もありません。処理方針で述べられている12月11日以降の協議についてなど、採択後の処理経過について、改めて「現状報告について」の報告をすることを要求します。
また、このような経過をタイムリーに県民に公開していくことを要求します。

2. 沖縄県が全面調査で担う役割について(陳情第149号の処理方針・処理経過)
陳情149号における陳情項目で陳情者は、
「2)沖縄県の担う調査が、全面調査においてどのような目的を持ち、どのような役割を果たすのか説明すること」
と要求していました。
それに対する県の回答は
「沖縄市サッカー場の全面調査において、今後予定される本格的な土地の掘削作業に伴って、有害物質が土壌や地下水を通して流出し、周辺環境に影響を及ぼすことも考えられます。
このようなことから、県としては、市民の不安を払拭するため、周辺地下水等の水質 調査等を実施することとしております。」
というものでした。
しかし、沖縄防衛局の調査報告(『旧嘉手納飛行場(25)土壌等確認調査調査報告書[考察と提案] 』平成25年7月 沖縄防衛局調達部/一般財団法人 沖縄県環境科学センター)
では、以下のようなことが提言されています。
”(3)その他
 本調査では、埋設地点土壌について、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物が基準値を超過して検出され、ダイオキシン類濃度が環境基準および調査指標値を下回る量ではあるが、日本国内各地の値と比較すると高い値を示している。ドラム缶付着物(水)については、ダイオキシン類が28pg-TEQ/Lおよび2,4,5-Tが0.087mg/それぞれ検出された。よって、ドラム缶付着物による地下水汚染の有無を確認するため、ドラム缶埋設地周辺4方位に観測井を設け、地下水の流向を確認した後、地下水下流側で地下水の水質汚濁に係わる環境基準項目、ダイオキシン類および2,4,5-Tを調査することを提案する。なお、ダイオキシン類の調査については、「ダイオキシン類測定のための地下水の採水に係る留意事項について(平成12年環水企231号)」を参考に、地下水試料への土壌粒子の混入に留意し調査することを提案する。”(同報告書p.19)

県の陳情における回答は、あくまで、現在沖縄防衛局が行っている全面調査の掘削の影響の調査についてのものであり、前回の調査の結果を踏まえての、上記の提言にどのように応えているか、ドラム缶からの汚染の影響の把握にどのように応えているか、市民にわかる説明とはいいがたいように思えます。

同陳情の「汚染範囲の確定」についても、県は
「サッカー場周辺環境については、沖縄県が周辺地下水等の水質等の調査を実施し、周辺環境への影響を把握することとしています」
と答えています。
しかし、環境総合研究所「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書―沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心として ―」(2013年8月30日)(既に提出済)で、専門家池田こみち氏は前回の調査について以下のように指摘しています。
「周辺環境調査として沖縄県が行った地下水や河口の底質調査なども1~2検体と少なく、30年~40年近くも埋められていたドラム缶からの汚染の影響を把握するのは難しい。汚染の広がりや土壌、地下水等への浸透の実態を把握するためには、サッカー場ばかりでなく、返還跡地の面的な広がりに加えて土壌の深度、地下水脈なども考慮する必要があり、事前に情報を共有し合って慎重に検討を行う必要が重要である」(p.8)

このような指摘に県が応えているかも不明な説明です。
前回の調査提言を沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市でどのように共有し、それを踏まえて調査内容を議論したのか、そして、県の役割、調査内容をどのように決定したのか、詳しい経緯を協議の議事録などを用い、市民にわかるように説明することを要求します。
県の行う水質の調査の件は、県民とともに嘉手納基地内の保護者も関心を持っています。私たちのNGOもその情報提供をしています(添付)。その説明をウェブサイトなどでも公開し、調査の妥当性について評価できるようにすることも要求します。

3. 市民への説明会について (陳情第149号の処理方針・処理経過)
陳情149号における陳情項目で陳情者は、
「既に、調査が進んでいることから、早急に、市民に対して公開の場において、全面調査に関する3機関による中間説明会を開催すること。説明会においては、一方的な説明に終始することなく、質疑応答の時間を設け、また、一定の期間、意見を受け付けるなどの十分な市民参加の手続きと時間を設けること。」
 と要求していましたが、「処理経過」では、中間説明会については言及することなく、
「県としては、調査の透明性が確保できるよう、調査結果等の公表及び市民への説明会の開催について、関係機関に働きかけてまいります」
としか答えていません。
 中間説明会について、どのように関係機関に働きかけたのか説明してください。
また、遅くとも、新たに出たドラム缶の内容物などの結果が出た後には、返還跡地の仕組みづくりの基盤づくりという意味からも、市民への説明会が行われるべきであると考えます。沖縄県は、その実現のために具体的に何をするかを説明してください。

4. 沖縄市サッカー場の嘉手納基地内の保護者に対する米軍の対応について
 沖縄市サッカー場ドラム缶の件で、嘉手納空軍が嘉手納基地内の保護者に対して説明会を開催し、独自の基地内調査を行っています。その調査結果、ダイオキシンに関する情報、よくある質問、説明会資料などの情報提供をウェブサイトで行っています。この嘉手納基地の提供している情報について、県はどのような見解を持っているか聞かせてください。
特に、FACT SHEET: Dioxins and dioxin-like substances”の”What is the level of dioxin at the Okinawa City soccer field site near Kadena Air Base? “ についての見解を示してください。
Kadena Air Base Okinawa City Soccer Field Excavation
http://www.kadena.af.mil/library/okinawacitysoccerfieldexcavation.asp

添付資料
1)「沖縄市サッカー場調査前回の調査課題抜粋」沖縄・生物多様性市民ネットワーク ディレクター 河村 雅美(2014.3.6)
2)”Notes on the discovery and investigations into contaminated barrels on Okinawa City’s soccer field” 沖縄・生物多様性市民ネットワーク ディレクター 河村 雅美(2014.1.27)
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沖縄市サッカー場調査課題抜粋 by BDOkinawa

  

Posted by 沖縄BD at 22:58Comments(0)

沖縄市サッカー場:沖縄BD嘉手納基地内保護者へ英文調査サマリーを送る

2014年03月09日/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場


フェンス越しにサッカー場隣接嘉手納基地内学校をみる(2013.12)


2013年11月10日に、沖縄BDとつながってきた枯れ葉剤2世サバイバーのヘザー・バウザーさんが2度目の来沖をしたときに、沖縄市サッカー場を視察しました。その時、サッカー場に隣接する嘉手納基地内の学校(Bob Hope Primary School (BHPS) and Amelia Earhart Intermediate School(AEIS)の子どもたちの安全を危惧し、12月にThe Japan Times に“Demand answers about dioxin threat at Okinawa schools”という記事を寄稿し、2校の校長へダイオキシンの危険性に関する警鐘を鳴らしました。

わたしたちも、沖縄県議会陳情や、沖縄市議会陳情や市議からの質問などで、この2校への連絡について、県や市に質問していました。沖縄防衛局は、嘉手納基地へは連絡をしている、という答えがどちらの議会からもでていましたが、しかし、保護者へはサッカー場のドラム缶発見、ダイオキシン汚染については伝わっていなかったようです。

 その後、嘉手納基地内の保護者たちが、子どもたちの安全のために声をあげ、フェイス・ブックのグループ(クローズドグループです)をつくり、情報交換をしはじめました。その後、星条旗新聞(Stars and Stripes)も報道をはじめ、2014年1月28日、嘉手納基地が、保護者に説明会をすることになりましたが、保護者たちは日本語の資料を読めませんし、これまでの経緯、特にどのような調査が行われ、現在何が行われているか、わかりません。
 
 そこで沖縄BDは、急ぎこれまでの経緯を英文でサマリーをまとめ、保護者に届けました。
 
 そこでは、ドラム缶の発見から最初の調査結果についてや、専門家のコメントと最初の調査や結果を基にした懸念、進行中の「全面調査」、そして「現在調査が進行中であるので現段階では、安全宣言はできない。調査が終了するのを待つべき」という結論を示しました。
 そして1)沖縄防衛局と沖縄市と沖縄県は調査結果を公開し、アップデートしていくこと2)米軍は嘉手納基地内の調査の情報を基地内の人々とその家族、そして沖縄の人々と共有すること3)独立性のある第3者機関が、透明性と説明責任を担保するため、調査を評価することの提案をしました。

 嘉手納基地は1月に調査を開始していましたが、保護者会への説明会後、この件に関する情報をウェブサイトにアップするなど展開を見せています。この後の展開などについては別記事でまとめます。
 
 私たちのサマリーはこちらに貼り付けます。また、県内関連記事も参照してください。琉球新報は、私たちのサマリーも言及しています。

Notes on the discovery and investigations into contaminated barrels on Okinawa City's soccer field by Citiz... by BDOkinawa



pdf文書はこちら
OkinawasCitysBarrelss-sassummarysbysOkinawasBD-2.pdf (PDF: 98.5KB)






琉球朝日放送: 悲鳴をあげる土地 基地内の母親達も不安訴え (2014.2.11)

続報として
  

Posted by 沖縄BD at 22:34Comments(0)