沖縄市サッカー場調査評価:ダイオキシン専門家宮田秀明氏からの意見書をリリース
2013年10月08日/ 枯れ葉剤/ 基地返還跡地/ 汚染
沖縄・生物多様性市民ネットワークによる「沖縄市サッカー場調査・評価プロジェクト」が続きます。
この度、沖縄市諸見里サッカー場工事現場調査について、ダイオキシ類研究の第一人者である宮田秀明摂南大学名誉教授から意見書「沖縄市諸見里サッカー場工事現場の調査結果に対するコメント」が届きましたので、関係機関に下記文書で周知し、送付しました。
宮田秀明氏は、岩波新書『ダイオキシン』(1999)などダイオキシン関係の多くの著書や論文を執筆しています。国内外の著名な専門家が、沖縄市のサッカー場調査に着目しています。
意見書は下に埋め込んでいますのでご覧ください。
この意見書は沖縄防衛局と沖縄市が実施した調査におけるドラム缶の内容物の調査結果の相違にダイオキシン類のデータから着目し、その相違がサッカー場の工事現場の汚染の性質を示していることを指摘した大変貴重な意見書です。
相違については、例えばダイオキシン類の毒性当量の相違(p1)、1検体における同族体の組成比(同族体組成比)(p2)、同一ドラム缶の付着物における2,4,5-T (p3)などからみることができます。
この相違の原因については、いくつか推測がされていましたが、ダイオキシンの面から科学的な分析がなされたということです。
宮田氏は、以下のように分析を総括しています。
これは、愛媛大学の本田教授なども指摘するように、沖縄市のサッカー場汚染は「複合汚染」の可能性が高く、今後の跡地の汚染調査もこのような汚染の可能性を念頭に対応していくことの必要性が示唆されます。
また、この分析結果は沖縄市の独自調査があっての評価であり、クロスチェックや第3者の専門家の評価が重要であることを、またさらに示したことにもなったと思います。
このように、多くの専門家が関与することによって、汚染の性質が様々な面から明らかになるということがわかります。
それは、沖縄防衛局の調査だけでは、明らかにならないことが多くあるということでもあります。
「複合汚染」という基地汚染に、沖縄は、日本政府は対応しきれるシステムをもっているか。何が欠落しているのか。 それを検討する材料が今、集まり始めているのです。
関係機関への文書です。
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沖縄市諸見里サッカー場工事現場調査について、ダイオキシンの専門家である摂南大学名誉教授宮田秀明から意見書「沖縄市諸見里サッカー場工事現場の調査結果に対するコメント」が届きましたので、関係機関に送付いたします。
この意見書は、沖縄防衛局と沖縄市が実施した調査におけるドラム缶の内容物の調査結果の相違にダイオキシン類のデータから着目し、その相違がサッカー場の工事現場の汚染の性質を示していることを指摘した大変貴重なものです。
宮田名誉教授は、「当該地域に埋設されていたドラム缶付着物には、多様な2,4,5-T製品、農薬のPCP、焼却関連物質、PCBなどの混合物に由来するダイオキシン類で汚染されていたものと推測される。また、調査結果から、ドラム缶に封入された内容物は不均一であるため、汚染源物質の種類・濃度やダイオキシン類の濃度・構成組成が大きく相違したものと判断される」と総括しています。
また、「発見されたドラム缶は長期間にわたって埋設されていたことから、傷みも激しく封入物の漏出・拡散の可能性もある。従って、当該地域における詳細な汚染調査を実施し、汚染範囲を確定することが緊急課題である」との提言を行っています。
この意見書はまた、沖縄市のサッカー場の汚染の実態を示すのみならず、他の返還跡地において、どのような汚染の可能性があるかを検討し、米軍基地の汚染への対応を立案・計画するための基礎資料となるものでもあります。
このような分析は、沖縄市が独自の調査を実施したことによって可能になったことであり、クロスチェックが、汚染の正確な把握、ひいては県民の環境・安全のために非常に重要なことであることを、関係機関は再認識するべきであると考えます。
これまで寄せられている国内外の専門家の意見を、沖縄市サッカー場で実施される追加・全面調査と、返還跡地利用の環境面での強化に反映させることを、強く要請いたします。
<参考:専門家の意見>
-環境総合研究所「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書-沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心に-」(2013.8.30)
http://www.eforum.jp/okinawa-dnx-ikeda2013-9-4.pdf
-WINEPブログ森敏(東京大学名誉教授)
「沖縄の米軍基地返還跡地のダイオキシン汚染問題について」(2013年8月30日)
http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1739.html
- Dr. Wayne Dwernychuk ”Denials of defoliant at former U.S. base site in Okinawa fly in the face of science: Evidence points to Vietnam-era herbicides in drums buried in field, scientist says(The Japan Times, Aug 26, 2013)
http://www.japantimes.co.jp/community/2013/08/26/voices/denials-of-defoliant-at-former-u-s-base-site-in-okinawa-fly-in-the-face-of-science/
(Okinawa Outreachによる翻訳「沖縄市サッカー場問題:海外の専門家からの意見記事翻訳2--専門家が日本政府と沖縄の人へ注意を促す記事を寄稿」
http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2013/09/2.html )
-Jon Mitchell “Okinawa dump site may be proof of Agent Orange: experts: Dioxin spike raises fears of local health risks” (The Japan Times, Aug 7, 2013) http://www.japantimes.co.jp/news/2013/08/07/national/okinawa-dump-site-may-be-proof-of-agent-orange-experts/#.UjEgONKCO1w
(Okinawa Outreachによる翻訳 沖縄市サッカー場問題:海外の専門家からの意見記事翻訳1--Jon Mitchellのジャパンタイムス記事(Aug. 7, 2013) http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2013/09/1-jon-mitchellaug-7-2013.html)
-琉球朝日放送 悲鳴をあげる土地1 沖縄とベトナム 汚染の共通点 (2013年9月10日)愛媛大学農学部の本田克久教授
http://www.qab.co.jp/news/2013091046168.html
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宮田秀明氏意見書PDF
(PDF: 488.1KB)
関係機関への送付文書
(PDF: 230.2KB)
この度、沖縄市諸見里サッカー場工事現場調査について、ダイオキシ類研究の第一人者である宮田秀明摂南大学名誉教授から意見書「沖縄市諸見里サッカー場工事現場の調査結果に対するコメント」が届きましたので、関係機関に下記文書で周知し、送付しました。
宮田秀明氏は、岩波新書『ダイオキシン』(1999)などダイオキシン関係の多くの著書や論文を執筆しています。国内外の著名な専門家が、沖縄市のサッカー場調査に着目しています。
意見書は下に埋め込んでいますのでご覧ください。
この意見書は沖縄防衛局と沖縄市が実施した調査におけるドラム缶の内容物の調査結果の相違にダイオキシン類のデータから着目し、その相違がサッカー場の工事現場の汚染の性質を示していることを指摘した大変貴重な意見書です。
相違については、例えばダイオキシン類の毒性当量の相違(p1)、1検体における同族体の組成比(同族体組成比)(p2)、同一ドラム缶の付着物における2,4,5-T (p3)などからみることができます。
この相違の原因については、いくつか推測がされていましたが、ダイオキシンの面から科学的な分析がなされたということです。
宮田氏は、以下のように分析を総括しています。
「当該地域に埋設されていたドラム缶付着物には、多様な2,4,5-T製品、農薬のPCP、焼却関連物質、PCBなどの混合物に由来するダイオキシン類で汚染されていたものと推測される。また、調査結果から、ドラム缶に封入された内容物は不均一であるため、汚染源物質の種類・濃度やダイオキシン類の濃度・構成組成が大きく相違したものと判断される」(p5)
これは、愛媛大学の本田教授なども指摘するように、沖縄市のサッカー場汚染は「複合汚染」の可能性が高く、今後の跡地の汚染調査もこのような汚染の可能性を念頭に対応していくことの必要性が示唆されます。
また、この分析結果は沖縄市の独自調査があっての評価であり、クロスチェックや第3者の専門家の評価が重要であることを、またさらに示したことにもなったと思います。
このように、多くの専門家が関与することによって、汚染の性質が様々な面から明らかになるということがわかります。
それは、沖縄防衛局の調査だけでは、明らかにならないことが多くあるということでもあります。
「複合汚染」という基地汚染に、沖縄は、日本政府は対応しきれるシステムをもっているか。何が欠落しているのか。 それを検討する材料が今、集まり始めているのです。
沖縄市諸見里サッカー場工事現場の調査結果に対するコメント (宮田) by BDOkinawa
関係機関への文書です。
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2013年10月8日
沖縄県知事 仲井眞 弘多殿
沖縄市長 東門 美津子殿
沖縄市議会議長 小浜 守勝殿
沖縄市教育長 仲松 鈴子殿
沖縄防衛局長 武田 博史殿
沖縄市長 東門 美津子殿
沖縄市議会議長 小浜 守勝殿
沖縄市教育長 仲松 鈴子殿
沖縄防衛局長 武田 博史殿
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
TEL/FAX:098-897-0090
ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
TEL/FAX:098-897-0090
ディレクター 河村 雅美
沖縄市諸見里サッカー場工事現場調査結果に対する意見書について
(要請)
(要請)
沖縄市諸見里サッカー場工事現場調査について、ダイオキシンの専門家である摂南大学名誉教授宮田秀明から意見書「沖縄市諸見里サッカー場工事現場の調査結果に対するコメント」が届きましたので、関係機関に送付いたします。
この意見書は、沖縄防衛局と沖縄市が実施した調査におけるドラム缶の内容物の調査結果の相違にダイオキシン類のデータから着目し、その相違がサッカー場の工事現場の汚染の性質を示していることを指摘した大変貴重なものです。
宮田名誉教授は、「当該地域に埋設されていたドラム缶付着物には、多様な2,4,5-T製品、農薬のPCP、焼却関連物質、PCBなどの混合物に由来するダイオキシン類で汚染されていたものと推測される。また、調査結果から、ドラム缶に封入された内容物は不均一であるため、汚染源物質の種類・濃度やダイオキシン類の濃度・構成組成が大きく相違したものと判断される」と総括しています。
また、「発見されたドラム缶は長期間にわたって埋設されていたことから、傷みも激しく封入物の漏出・拡散の可能性もある。従って、当該地域における詳細な汚染調査を実施し、汚染範囲を確定することが緊急課題である」との提言を行っています。
この意見書はまた、沖縄市のサッカー場の汚染の実態を示すのみならず、他の返還跡地において、どのような汚染の可能性があるかを検討し、米軍基地の汚染への対応を立案・計画するための基礎資料となるものでもあります。
このような分析は、沖縄市が独自の調査を実施したことによって可能になったことであり、クロスチェックが、汚染の正確な把握、ひいては県民の環境・安全のために非常に重要なことであることを、関係機関は再認識するべきであると考えます。
これまで寄せられている国内外の専門家の意見を、沖縄市サッカー場で実施される追加・全面調査と、返還跡地利用の環境面での強化に反映させることを、強く要請いたします。
<参考:専門家の意見>
-環境総合研究所「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書-沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心に-」(2013.8.30)
http://www.eforum.jp/okinawa-dnx-ikeda2013-9-4.pdf
-WINEPブログ森敏(東京大学名誉教授)
「沖縄の米軍基地返還跡地のダイオキシン汚染問題について」(2013年8月30日)
http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1739.html
- Dr. Wayne Dwernychuk ”Denials of defoliant at former U.S. base site in Okinawa fly in the face of science: Evidence points to Vietnam-era herbicides in drums buried in field, scientist says(The Japan Times, Aug 26, 2013)
http://www.japantimes.co.jp/community/2013/08/26/voices/denials-of-defoliant-at-former-u-s-base-site-in-okinawa-fly-in-the-face-of-science/
(Okinawa Outreachによる翻訳「沖縄市サッカー場問題:海外の専門家からの意見記事翻訳2--専門家が日本政府と沖縄の人へ注意を促す記事を寄稿」
http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2013/09/2.html )
-Jon Mitchell “Okinawa dump site may be proof of Agent Orange: experts: Dioxin spike raises fears of local health risks” (The Japan Times, Aug 7, 2013) http://www.japantimes.co.jp/news/2013/08/07/national/okinawa-dump-site-may-be-proof-of-agent-orange-experts/#.UjEgONKCO1w
(Okinawa Outreachによる翻訳 沖縄市サッカー場問題:海外の専門家からの意見記事翻訳1--Jon Mitchellのジャパンタイムス記事(Aug. 7, 2013) http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2013/09/1-jon-mitchellaug-7-2013.html)
-琉球朝日放送 悲鳴をあげる土地1 沖縄とベトナム 汚染の共通点 (2013年9月10日)愛媛大学農学部の本田克久教授
http://www.qab.co.jp/news/2013091046168.html
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宮田秀明氏意見書PDF

関係機関への送付文書

Posted by 沖縄BD at 19:22│Comments(0)
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