辺野古新基地建設「和解案」に対する沖縄BDの声明
2016年03月11日/ 声明/ 裁判/ 辺野古・大浦湾
2016年3月10日、沖縄・生物多様性市民ネットワークは、日本政府と沖縄県による辺野古新基地建設埋め立て承認取り消し関わる裁判所の「暫定和解案」の受け入れに対して「声明」を発表しました。声明のpdfファイルは下に添付してあります。
日テレNEWS(web版)より(2016年3月4日)
声明を紹介する前に一言
今回の「和解案」の受け入れについては、沖縄BDの中でも様々な意見、見解、評価があります。日本政府へは信用がおけないということで一致していますが、翁長県知事/沖縄県の受け入れについては、意見、見解、評価が分かれるところです。工事自体を中止させたことや、警察や海上保安庁からの抗議行動に対する暴力的対応をさせない状況を作ったことへの評価。一方、沖縄県はなぜ現行の裁判で最後まで闘わないのかという疑問や、「協議」できちんと闘えるのか懸念、等々。
大切なことは、1) 和解の「協議」に透明性を持たせること、2)「協議」に県民や市民が何らかの形で関与できる仕組みを設置すること、3) 「協議」において環境の議論をきちんと行うこと。手続きの透明性、市民参加、科学的見地からの議論、これが辺野古新基地建設を20年近く止めてきた「公式」だと思います。以上を踏まえての私たちの声明です。
声明文はここから↓
2016年3月4日、辺野古・大浦湾における米軍基地建設計画について、福岡高等裁判所那覇支部が提示した「暫定和解案」(和解案)を日本政府と沖縄県が受け入れた。日本政府は、建設工事を直ちに中止することに同意し、双方は辺野古新基地建設への解決を目指して協議を行うことに同意した。またこの数ヶ月の間に辺野古新基地建設を巡り双方が互いを告訴した3つの裁判を一つにすることに同意した。そして双方は、協議が合意をもたらさない場合は、裁判所の最終判断に従うことに同意した。
しかしその3日後の3月7日、日本政府、国土交通省は、翁長雄志沖縄県知事に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示した。
私たち沖縄・生物多様性市民ネットワークは、この和解案とそれに関わる日本政府と沖縄県の一連の動きを、大いなる警戒心と決意を持って注視しており、以下の見解を表明する。
私たちは、日本政府が辺野古新基地建設を普天間飛行場の問題を解決する「唯一の案」と固執していることに大いなる危機感を抱いている。日本政府による和解案の受け入れは、参議院選挙や沖縄県議会選挙のための政治的ポーズだとも言われている。私たちは、選挙が終わると同時に、日本政府は何らかの理由をつけ、建設工事を再開するのではないかと懸念している。また日本政府が、和解案を受け3日後の3月7日に、翁長雄志沖縄県知事に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示したことは、これは協議へ臨む態度ではなく、新基地建設を強行する態度以外のなにものでもない。「辺野古案」の固執が、四面楚歌の状況を作り上げ、協議の決裂へと繋がることを日本政府は認識すべきである。
私たちはまた、日本政府の言う工事の中止が、辺野古新基地建設に関わる全ての工事の中止を意味すると明言されていないことに危機感を抱いている。例えば、同基地建設計画は、辺野古・大浦湾の埋め立てを前提としており、埋め立てのために沖縄や日本各地から土砂が採取され、調達されることになっている。日本政府はそれらの採取工事や調達を中断するかは明確にしていない。日本政府、沖縄県、そして裁判所は「工事の中止」とは、同基地建設計画に関わる全ての工事の中止を意味すると明確にすべきである。
私たちはまた、日本政府と沖縄県の「協議」が透明性を欠いたものになる可能性と、沖縄県民や市民の声が協議へどのように反映されるかが明確にされていないことに危機感を抱いている。沖縄県は、県民や市民の大いなる関与があり、辺野古新基地建設がこれまで止まってきたことを再認識する必要がある。さらに日本政府と沖縄県は、同建設に関する協議を秘密裏にしてきたことが、県民や市民の日本政府と沖縄県に対する更なる不信感と、同建設への更なる抵抗に繋がってきたことを再認識する必要がある。日本政府と沖縄県は、協議の透明性を確保し、県民や市民の声を協議に反映させる方法を確立すべきである。
私たちはまた、日本政府と沖縄県による協議が決裂した場合に出される司法の最終判断が、辺野古・大浦湾の自然環境とそこに住む人々の暮らしを守るものになるのかどうかを懸念している。そして、その判断が沖縄の人々により尊重され、受け入れられるものになるかを懸念している。地方自治法に基づく沖縄の自治権が保証されるのかを懸念している。私たちのこの懸念は、日本の司法判断が、過去において多くの場合、中央政府寄りの判断をとってきたことに起因する。辺野古新基地建設問題の解決にあたっては、民主主義の原理と価値と手続きが尊重されなければならない。辺野古・大浦湾の自然環境と人々の暮らしを守るため、更なる訴訟を含めた様々な民主主義の手続きや行政手続きがとられる可能性を日本政府は直視しなければならない。
私たちは、和解案が履行されるにあたり、辺野古・大浦湾の自然環境が再び常態に戻れるよう、日本政府、沖縄県、そして裁判所は保証すべきだと考える。ボーリング調査の船舶やオイルフェンス、そして海上での抗議行動の妨げとなる「臨時制限区域」を示すフロートやブイを海上から即時撤去すべきであり、絶滅危惧種のジュゴンやウミガメを含む海洋生物へ、生物多様性豊かな海を再開放すべきである。
私たちはまた、和解案が履行されるにあたり、警察や海上保安庁からの暴力的対応を恐れることなく、市民が辺野古新基地建設と工事に反対する意志表明を行うことができるよう、日本政府と沖縄県は保証すべきだと考える。
私たちは、日本政府と沖縄県の協議が履行されるにおいて、辺野古・大浦湾の自然環境と基地による影響についての科学的報告や評価についての徹底的な検証がなされるべきだと考える。そのような科学的報告や評価は、NGOから提供されるものも含まれるべきである。
私たちは、沖縄の環境NGOとして、私たちの環境に関する主張が正しいものであることを広く認識させていくことを決意する。辺野古・大浦湾の自然環境は、沖縄にとって、そして世界にとって宝であり、この基地建設はその環境を確実に破壊するものである。私たちは、辺野古・大浦湾の環境を守るため、そしてそこに住む人々の暮らしを守るため、新たな基地建設を止めるまで闘うことを決意する。
連絡先: 沖縄・生物多様性市民ネットワーク http://okinawabd.ti-da.net/
共同代表 吉川秀樹 yhidekiy@gmail.com 090-2516-7969
声明文のpdfファイル版はこちら→ (PDF: 83.45KB)
日テレNEWS(web版)より(2016年3月4日)
声明を紹介する前に一言
今回の「和解案」の受け入れについては、沖縄BDの中でも様々な意見、見解、評価があります。日本政府へは信用がおけないということで一致していますが、翁長県知事/沖縄県の受け入れについては、意見、見解、評価が分かれるところです。工事自体を中止させたことや、警察や海上保安庁からの抗議行動に対する暴力的対応をさせない状況を作ったことへの評価。一方、沖縄県はなぜ現行の裁判で最後まで闘わないのかという疑問や、「協議」できちんと闘えるのか懸念、等々。
大切なことは、1) 和解の「協議」に透明性を持たせること、2)「協議」に県民や市民が何らかの形で関与できる仕組みを設置すること、3) 「協議」において環境の議論をきちんと行うこと。手続きの透明性、市民参加、科学的見地からの議論、これが辺野古新基地建設を20年近く止めてきた「公式」だと思います。以上を踏まえての私たちの声明です。
声明文はここから↓
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
2016.03.10
2016.03.10
辺野古新基地建設埋め立て承認取り消し裁判
「暫定和解案」受け入れに対する沖縄BDの声明
「暫定和解案」受け入れに対する沖縄BDの声明
2016年3月4日、辺野古・大浦湾における米軍基地建設計画について、福岡高等裁判所那覇支部が提示した「暫定和解案」(和解案)を日本政府と沖縄県が受け入れた。日本政府は、建設工事を直ちに中止することに同意し、双方は辺野古新基地建設への解決を目指して協議を行うことに同意した。またこの数ヶ月の間に辺野古新基地建設を巡り双方が互いを告訴した3つの裁判を一つにすることに同意した。そして双方は、協議が合意をもたらさない場合は、裁判所の最終判断に従うことに同意した。
しかしその3日後の3月7日、日本政府、国土交通省は、翁長雄志沖縄県知事に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示した。
私たち沖縄・生物多様性市民ネットワークは、この和解案とそれに関わる日本政府と沖縄県の一連の動きを、大いなる警戒心と決意を持って注視しており、以下の見解を表明する。
私たちは、日本政府が辺野古新基地建設を普天間飛行場の問題を解決する「唯一の案」と固執していることに大いなる危機感を抱いている。日本政府による和解案の受け入れは、参議院選挙や沖縄県議会選挙のための政治的ポーズだとも言われている。私たちは、選挙が終わると同時に、日本政府は何らかの理由をつけ、建設工事を再開するのではないかと懸念している。また日本政府が、和解案を受け3日後の3月7日に、翁長雄志沖縄県知事に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示したことは、これは協議へ臨む態度ではなく、新基地建設を強行する態度以外のなにものでもない。「辺野古案」の固執が、四面楚歌の状況を作り上げ、協議の決裂へと繋がることを日本政府は認識すべきである。
私たちはまた、日本政府の言う工事の中止が、辺野古新基地建設に関わる全ての工事の中止を意味すると明言されていないことに危機感を抱いている。例えば、同基地建設計画は、辺野古・大浦湾の埋め立てを前提としており、埋め立てのために沖縄や日本各地から土砂が採取され、調達されることになっている。日本政府はそれらの採取工事や調達を中断するかは明確にしていない。日本政府、沖縄県、そして裁判所は「工事の中止」とは、同基地建設計画に関わる全ての工事の中止を意味すると明確にすべきである。
私たちはまた、日本政府と沖縄県の「協議」が透明性を欠いたものになる可能性と、沖縄県民や市民の声が協議へどのように反映されるかが明確にされていないことに危機感を抱いている。沖縄県は、県民や市民の大いなる関与があり、辺野古新基地建設がこれまで止まってきたことを再認識する必要がある。さらに日本政府と沖縄県は、同建設に関する協議を秘密裏にしてきたことが、県民や市民の日本政府と沖縄県に対する更なる不信感と、同建設への更なる抵抗に繋がってきたことを再認識する必要がある。日本政府と沖縄県は、協議の透明性を確保し、県民や市民の声を協議に反映させる方法を確立すべきである。
私たちはまた、日本政府と沖縄県による協議が決裂した場合に出される司法の最終判断が、辺野古・大浦湾の自然環境とそこに住む人々の暮らしを守るものになるのかどうかを懸念している。そして、その判断が沖縄の人々により尊重され、受け入れられるものになるかを懸念している。地方自治法に基づく沖縄の自治権が保証されるのかを懸念している。私たちのこの懸念は、日本の司法判断が、過去において多くの場合、中央政府寄りの判断をとってきたことに起因する。辺野古新基地建設問題の解決にあたっては、民主主義の原理と価値と手続きが尊重されなければならない。辺野古・大浦湾の自然環境と人々の暮らしを守るため、更なる訴訟を含めた様々な民主主義の手続きや行政手続きがとられる可能性を日本政府は直視しなければならない。
私たちは、和解案が履行されるにあたり、辺野古・大浦湾の自然環境が再び常態に戻れるよう、日本政府、沖縄県、そして裁判所は保証すべきだと考える。ボーリング調査の船舶やオイルフェンス、そして海上での抗議行動の妨げとなる「臨時制限区域」を示すフロートやブイを海上から即時撤去すべきであり、絶滅危惧種のジュゴンやウミガメを含む海洋生物へ、生物多様性豊かな海を再開放すべきである。
私たちはまた、和解案が履行されるにあたり、警察や海上保安庁からの暴力的対応を恐れることなく、市民が辺野古新基地建設と工事に反対する意志表明を行うことができるよう、日本政府と沖縄県は保証すべきだと考える。
私たちは、日本政府と沖縄県の協議が履行されるにおいて、辺野古・大浦湾の自然環境と基地による影響についての科学的報告や評価についての徹底的な検証がなされるべきだと考える。そのような科学的報告や評価は、NGOから提供されるものも含まれるべきである。
私たちは、沖縄の環境NGOとして、私たちの環境に関する主張が正しいものであることを広く認識させていくことを決意する。辺野古・大浦湾の自然環境は、沖縄にとって、そして世界にとって宝であり、この基地建設はその環境を確実に破壊するものである。私たちは、辺野古・大浦湾の環境を守るため、そしてそこに住む人々の暮らしを守るため、新たな基地建設を止めるまで闘うことを決意する。
連絡先: 沖縄・生物多様性市民ネットワーク http://okinawabd.ti-da.net/
共同代表 吉川秀樹 yhidekiy@gmail.com 090-2516-7969
声明文のpdfファイル版はこちら→ (PDF: 83.45KB)
Posted by 沖縄BD at 09:00│Comments(0)
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