沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書

2014年11月14日/ 沖縄市サッカー場/ 枯れ葉剤/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄県環境政策

 「沖縄市サッカー場調査・評価プロジェクト」の2nd ラウンド、意見書・コメントのリリースを始めています。

 最初に、摂南大学名誉教授宮田秀明氏による意見書をリリースしました。こちらは、琉球新報により大きく報道され、県内に周知されることになりました。その週の週末に沖縄で行われた枯れ葉剤のシンポジウム(後日記事をあげます)でも言及されていました。

 宮田秀明氏は、ダイオキシンの第一人者であり、サッカー場の最初の調査では、ドラム缶内容物の分析から、ドラム缶に複数の物質が混在していることを実証し、「複合汚染」の可能性を指摘しました(ブログ記事はこちら)。 

 今回の意見書では、ドラム缶の付着物を対象として分析を行い、可能性のある枯れ葉剤の種類を特定しています。
    
 沖縄防衛局と沖縄市がそれぞれどのような評価を行っているか、そして宮田氏の意見との共通点、相違点を引きながらの意見書となっています。
 沖縄防衛局はエージェント・オレンジのみに特化した評価を行っており、エージェント・オレンジの存在を否定しています。一方、沖縄市が依頼した専門家、愛媛大学本田克久教授の意見書では、エージェント・オレンジのみでなく、あらゆる枯れ葉剤の可能性を考察し、エージェント・パープル、エージェント・グリーン、エージェント・ピンク、エージェント・オレンジ、エージェント・ブルーがドラム缶に含まれていた可能性を示唆しています。
 宮田氏は、枯れ葉剤の種類については、データ分析により、本田教授の示唆した枯れ葉剤から絞り込み「ピンク剤、グリーン剤の存在は否定できない」という結論を述べています。

 また、宮田氏の意見書で、沖縄防衛局と沖縄市の調査結果リリースできちんと言及されていない猛毒ダイオキシン2,3,7,8-TCDDが50%以上のドラム缶の本数が61本中、18本(沖縄市結果から算出。防衛局結果からは19本となる。詳細は後日環境総合研究所からの意見書でリリース予定)であることも示されました。
 昨年、愛媛大学の本田教授はQABの「悲鳴を上げる土地」のインタビューで、「本土と言いますか、色々な汚染地がありますけれども、どこをとってみても2378TCDDの割合が50パーセントとか70パーセントを占めるというのは私は聞いたことがないですね。ありません。今度沖縄で見つかったサッカー場の汚染というのはまさに、我々がベトナムで調べた水田に似ている。農薬と枯れ葉剤の汚染が入り混じった汚染のパターンに非常によく似ているんですよね。」と述べています。これが尋常でない値ということがわかると思います。

 エージェント・オレンジにのみ、着目することにより、問題を矮小化してはならない、それ以外の枯れ葉剤も、2,3,7,8-TCDDを含み、毒性が高いものがある、ということを私たちはまず留意していく必要があります。
 
 そして「枯れ葉剤」の沖縄への持ち込み、使用が物証的に明らかになってきたことを、沖縄県、日米両政府は認識し、これまでの見解を正す段階に来たといえると思います。
   
 意見書は下に埋め込みましたのでご覧ください。また、以下の送り状を添えて、次の記事で紹介するウェイン・ドゥウェニチュック博士のコメントとともに7機関に送付しました。

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2014年11月10日

沖縄市長 桑江朝千夫殿  
沖縄市議会議長 普久原 朝健殿
沖縄市教育長 狩俣 智殿
沖縄県知事 仲井眞 弘多殿
沖縄防衛局長 井上 一徳殿
嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会
会長 嘉手納町長 當山宏殿
外務省特命全権大使(沖縄担当)髙田 稔久殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
 TEL/FAX:098-897-0090 

  
沖縄市サッカー場調査結果に関する専門家意見書について
(宮田秀明氏、Wayne Dwernychuck博士の意見書)

沖縄・生物多様性市民ネットワークは、昨年6月に沖縄市諸見里サッカー場でドラム缶が発見された時から、「監視・評価プロジェクト」を立ち上げてきました。

その一環として、昨年10月から開始された第2次ラウンドの調査について、専門家に意見を求めてきました。

その中で提出されたダイオキシンの専門家、摂南大学名誉教授宮田秀明氏、ベトナムのホット・スポットを調査してきた枯れ葉剤汚染、浄化についてのカナダの専門家Wayne Dwernychuck博士の意見書を送付いたします。 

 宮田氏の意見書は、エージェント・オレンジに限定されない枯れ葉剤の可能性を、ドラム缶内容物から分析したものです。
また、Dwernychuck博士の意見書は、エージェント・オレンジⅡの構成成分が調査されていないことを指摘し、エージェント・オレンジに着目するあまり、TCDDの毒性、ダイオキシンの存在について軽視されることの懸念を示しています。

 これらの意見書から、沖縄防衛局の調査結果では言及されていないエージェント・オレンジ以外の「枯れ葉剤」の可能性を考慮して調査結果を評価する必要性と、エージェント・オレンジの存在のみに着目することによって問題の矮小化が起こり、安全確保の面が軽視されていくという弊害を考慮することが求められていると私たちは考えます。

 重要な意見書であるので、沖縄市が依頼した愛媛大学本田克久教授の意見書とともに、関係諸機関の協議において、今後の政策に反映させていただくことを強く要請いたします。 
  
 なお、近日中に、包括的な調査評価をお届けする予定です。
   
 どうぞよろしくお願いいたします。
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沖縄市サッカー場調査結果の宮田秀明意見書(最終版)2014.9.17 by BDOkinawa



報道です。
琉球新報1面トップニュースで報道されました(2014.10.27)。 
沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書

社会面での解説記事です。宮田先生の談話も。
沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書

沖縄タイムスの報道です(2014.10.28)。
沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書

RBCもお昼のニュースで放映(2014.10.27)。
沖縄市サッカー場監視・評価プロジェクト2nd ラウンド:宮田秀明氏意見書



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Posted by 沖縄BD at 16:44│Comments(0)
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