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防衛局交渉より:出てこない事後調査報告書(まーにあいんばーがやー?)

2016年03月01日/ 沖縄防衛局/ 辺野古/ ジュゴン訴訟/ 辺野古・大浦湾

去った1月25日にジュゴン保護キャンペーンセンターが行った沖縄防衛局との要請交渉の報告の第3回目です。僕はSDCCのメンバーでもあるので要請交渉に参加しました。そして沖縄BDのブログで2回にわたり、ジュゴンの保全措置としての「海草藻場の移植」や「ジュゴン監視・警告システム」問題点について書きました。

今回は交渉において私たちが追求した、沖縄防衛局の平成26年度(2014年度)の「事後調査」に関する報告と考察です。米国の第9巡回控訴裁判所で控訴の手続きに入っている「ジュゴン訴訟」との関連も含めて書きます。


                     ©環境省

2014年度(H26年度)の事後調査の報告書を出してこない沖縄防衛局
沖縄防衛局は、環境アセスの終了後も、ジュゴンを含む水域生物や陸上生物について「事後調査」や「環境監視」を継続して行っています。これは環境アセスの補正評価書において「予測の不確実性の程度が大きい場合」や「効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講じる場合」に、工事中や供用後の環境状態を把握するためのものとして行われているものです(環境アセス「評価書」の事後調査の部分はこちらから)。

「評価書」で示された事後調査の重要性は、その後開催された「有識者研究会」でも再確認され(有識者研究会の最終報告書はこちらから)、有識者研究委員会の助言が環境アセス「補正評価書」にもある程度反映されました。そして、仲井真前知事が基地建設のための埋め立てを承認(沖縄県と国が裁判で争うことになっている原因)した後も、その承認の条件として設置された「環境監視等委員会」により、事後調査等の結果を反映させながら環境保全の措置が講じられることになっています。

今回の要請交渉で私たちが沖縄防衛局に追求したのは、なぜ2014年度の事後調査の報告書がこの段階まで出てこないのか、ということ。2014年といえば、その5月〜7月にはチームザンやNACS-Jにより基地建設/埋め立て予定地やその周辺の海草藻場で100本以上のジュゴンの食み跡が確認された年です(NACS-Jの報告はこちらから)。それゆえその年の防衛局の事後調査でも同じようにあるいはそれ以上に食み跡が確認さているはずです。その事後調査の報告書がなぜでてこないのか、早く公開してもらいたい、という追求でした。

しかし防衛局は、まだ「報告書の内容を精査中」「調整中」ということで、公開する段階ではないと回答。防衛局は同じ回答を2015年6月からSDCCや他の環境団体に対して繰り返しています。

確かに建設予定地やその周辺の海草藻場でジュゴンの食み跡が100本以上確認したという内容の事後調査報告書は、基地建設を強行したい防衛局に対しては非常に都合の悪いものかもしれません。同域のジュゴンによる利用は限定的である、それゆえ基地を作ってもジュゴンに影響がない、という防衛局のアセスの結論や予測に全く矛盾するものですから。

しかし事実は事実として示し、それに基づいて、環境アセスの予測の問題点を認め、保全措置や計画自体の変更に反映させるべきです。それが事後調査の意義であるはずです。

ちなみに、環境アセスの調査後に行われた水域生物、陸上生物についての事後調査についての報告書は、調査の行われた年度の年度末3月から9ヶ月後の12月には提出されています。以下を参照して下さい。


           事後調査の「報告書」が提出された年と月


また「シュワブ(H24)水域生物調査等調査 報告書」については、実際の調査の期間は平成25年(2013年)の4月から11月まで行われていますが、その調査報告書は2014年3月付けで出されています。また2014年5月には防衛局のHPで掲載されています(シュワブ(24)の報告書はこちらから)。

以上を考えると、2016年のこの段階で、2014年に行われた事後調査の報告書がまだ出てこないのは、何か裏があるのではと考えてしまいます。

2014年度の事後調査を米軍へ提出しているのかについて回答しない沖縄防衛局
沖縄防衛局が行う事後調査のなかでも、ジュゴンについての事後調査の結果については、米軍と情報を供用することが大変重要です。なぜなら米軍側も、もし新基地建設/埋め立て予定地やその周辺でジュゴンの常在が確認されれば、米軍は日本政府と協議をし、ジュゴンへの影響を軽減するための措置をとる、と明言しているからです。これは米国のジュゴン訴訟と関係しています(下の部分で少し詳しく説明します)。

そこで今回の要請交渉において私たちは、沖縄防衛局は2014年度の事後調査の報告を米軍に行ったのかを追求しました。ジュゴンの食み跡が100本以上も確認されてたことを沖縄防衛局として米軍に報告しているのか、報告書を提出しているのか、という追求です。

防衛局の職員は、この問題は米国政府との関係があるので、防衛省本庁に問い合わる必要がある、本庁に問い合わせて、回答するのかどうかも含めて協議して、私たちに回答するとのことでした。

勿論上記したように、日本国内においても2014年度の事後調査の報告書は出ていないのが実状です。しかし、沖縄防衛局は国内では出していない資料や報告書も米軍には提出していることがこれまでもありました。実際、上記した「シュワブ(H24)水域生物等調査 報告書」は、私たち市民が目にする以前に米軍に提供されていました。この報告書では、ジュゴンの食み跡が基地建設/埋め立て予定地で、2013年3月に5本、5月に12本、そして11月に2本確認されたことが報告されています。これは「辺野古や大浦湾のジュゴンの利用は限定的」という環境アセスの結論に大きな疑問を呈するものでした。

その報告書の存在を私たちが知ったのは、米軍の文書「「U.S. Marine Corps. Recommended Findings」(2014年4月)を通してでした。その後、防衛局に報告書が存在の確認を要請し(その時も回答なし)、2014年5月に防衛局のHPに掲載されるという経緯でした。

いずれにせよ、米軍がシュワブへの入構許可書を沖縄防衛局に対して発行し、工事が強行されるなか、また米国でのジュゴン訴訟が控訴の手続きに入っている中、2014年度の事後調査の結果が米軍に報告されているのかどうかは非常に重要な問題です。

これは私たち市民や環境団体だけではなく、県、県議会、国会議員も、追求していくべき問題だと考えます。

沖縄防衛局の「事後調査」と米軍:ジュゴン訴訟との関わり
米国カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁で争われてきた「ジュゴン訴訟」。2003年に提訴され、現在も米国の第9巡回控訴裁判所で控訴の手続きが進行中です。数ある米国の環境訴訟のなかでも最も長い訴訟の一つとなっています。


     2014年12月 サンフランシスコ連邦地裁前で原告を支援する集まり


裁判は2008年1月の判決により、新基地の建設と運用には国防総省(米軍)も責任があることが確認され、国防総省は、国家歴史保存法のもと、基地建設や基地の運用によるジュゴンへの影響を検証することを裁判所から命じられました。その後検証の方法について原告と米国防総省が議論を行いましたが、合意に達せず、その後暫くの間手続きが止まっていました。

しかし2014年4月に国防総省が「U.S. Marine Corps. Recommended Findings」という文書を提出することによって基地建設が具体的に動きだします。国防総省はFindingsのなかで「ジュゴンへの影響の検証は終わった」「ジュゴンに影響はないという結論に至った」とし、新基地建設/埋め立て工事を可能にするシュワブへの入港許可証を沖縄防衛局に対して発行し始めます。それが現在の工事の強行を可能にしています。原告の控訴は、ジュゴンへの影響の検証手続きが不十分であることが論点となっています。

このFIndingsのなかで言及されているのが沖縄防衛局の「事後調査」によるジュゴンの情報(原文ではmonitoring information)です。日本政府の事後調査により得られジュゴンの情報について、米軍が要求し、検証することになっています。そしてその情報により、基地建設/埋め立て予定地にジュゴンが常在していると判断された場合、日本政府と協議を行う事を明記しています。以下Finingsの原文からの抜粋と、そしてその部分の日本環境法律家連盟による試訳です。

Construction activities will occur over multiple years, and the USMC feels that it is prudent to request and review monitoring information collected by the GoJ during construction and initial operations. Should the GoJ’s monitoring of the area during construction reveal the regular presence of Okinawa dugongs in Henoko Bay, the USMC will consult with GoJ and adaptively manage its operations to minimize any adverse effects on Okinawa dugongs. In general, USMC agrees to implement the best management practices specified in the Japan Environmental Governing Standards (JEGS) for managing endangered or threatened species as additional protection for the Okinawa dugong.

建設活動は多年に亘って行われるので、海兵隊は、日本政府が建設中および運用初期に収集するモニタリング情報を要請し検討するのが賢明だと感じている。日本政府が建設中に行う対象エリアのモニタリングにより、辺野古湾に沖縄ジュゴンが常在していることが判明した場合、海兵隊は、日本政府と相談の上、ジュゴンへの悪影響を最小限に抑えるために、状況に応じて運用を管理する。一般的に、海兵隊は、絶滅危惧種もしくは絶滅の恐れがある種の管理に関する日本環境管理基準 (JEGS) に規定する最適管理手法を、沖縄ジュゴンの追加保護策として実施することに同意する。


筆者 吉川秀樹  

Posted by 沖縄BD at 16:12Comments(0)

ジュゴン訴訟/米国専門家による記事翻訳"気の毒なジュゴン:国防総省は裁判所には管轄権なしと主張"

2014年12月03日/ 辺野古/ ジュゴン訴訟

Okinawa Outreachのジュゴン訴訟に関する翻訳記事をこちらに転載します。
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標題の記事「気の毒なジュゴン:米国国防総省は裁判所には管轄権なしと主張”Pity the Dugongs: U.S. DOD Says Court Has No Jurisdiction”」 は、ジュゴン訴訟における国防総省の主張を米国の専門家トム・キング氏(Tom King)が批判的に解説した記事であり、2014年11月25日付で、ハフィントン・ポスト紙(The Huffington Post)に掲載された。記事の翻訳は下にあげてあるが、氏の記事をより理解していただく小さな手助けとなればと思い、沖縄で訴訟の支援をしてきた者の視点からキング氏とこの記事の意義の紹介をしてみたい。

ジュゴン訴訟は、2003年、沖縄の辺野古新米軍基地建設を阻止するため、国防総省を被告とし、日米の原告が米国でおこした訴訟である。

記事の執筆者であるトム・キング氏(正式にはトーマス・F・キング)は、ジュゴン訴訟の根拠法である米国国家歴史保存法(NHPA)の権威であり、国内の多くのケースに携わってきた。ジュゴン訴訟でも供述書の執筆者の一人であり、氏の著作の中でもジュゴン訴訟について度々触れている。日本からは、何かと模範のように思われる米国の環境/文化の保護法・制度であるが、キング氏は、政府を含めた開発事業者がそれらを形骸化していくことに批判的な視線を向け、市民が法律・制度をどのように活用し、環境/文化の真の保護ができるかの方法を提示してきた専門家である。訳者を含めた沖縄の原告支援者も、氏の著作ややりとりで多くを学んできた。ジュゴン訴訟について見解を述べる米国側の専門家として、最もふさわしい1人であろう。

ジュゴン訴訟の経緯は、キング氏の記事でも書かれているが、理解を助けるためにここで少し説明を補足しておく。ジュゴン訴訟は、国防総省がNHPAを遵守していないこと、具体的には、辺野古への基地建設によるジュゴンへの影響を「考慮する」手続きを行っていないことを訴えた裁判であった。2008年1月、サンフランシスコ地裁で原告勝利の歴史的判決が下された。国防総省はNHPAの遵守の履行が命令され、「考慮する」手続き、すなわち歴史的/文化的存在である沖縄のジュゴンへの基地建設による影響を独自に調査し、影響があるならば、その回避/緩和の対策措置を命じられたのである。その後、日本の政治的状況等(民主党政権による県外移設案)により一時停止状態が続いたが、2012年2月に再び動き始めた。
現在、訴訟は、この国防総省の遵守の手続きの履行が十分に行われたかどうかで展開されている。2014年4月に国防総省がNHPA遵守手続きの終了と、基地建設へのジュゴンへの影響はなしという判断を伝える文書を提出した。原告側はそれに対し、国防総省の履行の不備を「補足の申し立て(Supplemental Complaint)」を提出し、適切な履行を要求している。12月11日には、この件におけるサンフランシスコ地裁での公判が予定されている。

キング氏の記事はその公判前に、何に注目すべきかを米国の専門家の立場から書かれたものである。主に米国の読者のために、まず、なぜ動物であるジュゴンがその国家歴史保存法の対象になっているか、なぜ米国の法律が日本/沖縄で適用されるかなどの背景から説明している。そして、その国防総省のNHPAの遵守が、本来であればどのように執行されるべきものであるかを解説している。

キング氏が、国防総省の主張で批判している点は主に以下の2点であるといえよう。
1点目は、国防総省が主張するNHPAの遵守の仕方が、いかに本来あるべき形とかけ離れた恣意的なものになっているかという点である。「ジュゴンへの影響はない」という判断までの方法論的問題(それは沖縄防衛局と同じ手法であるが)、関心のある沖縄の住民との協議なしに、秘密裏に行われた「考慮する」手続きを批判している。
2つ目は、この問題は、「国防」「外交」関係であるゆえに、裁判所は介入できないという米国憲法(記事における「普遍的な理解」)の行き過ぎた解釈である。国防総省のこの主張が受け入れられた場合、裁判所は、常にこのような見解を出すことになるのか、とこの訴訟の影響の重要性をキング氏は示している。

米国内のNHPAを海外での適用、行政府と司法の管轄権の問題という米国の文脈から、米国の専門家が国防総省の主張を論駁する初の記事であり、その重要性は大きい。また、米国が、辺野古新基地建設の当事者であることを世界的に周知・確認する意味でも重要な記事である。2008年の原告勝訴は、事業者は日本政府であると責任逃れをしていた米国政府も事業者であることが、法的に確認されたという意義もあった。現在、新基地建設は沖縄防衛局の辺野古での海上作業に抗する沖縄との闘いが報じられることが多く、米国の責任が問われる場が少ない。その意味でもキング氏の記事は大きな意味がある。

記事中にあるとおり、キング氏は公開されていない国防総省の文書へのアクセスを試みており、決して対岸から眺める立場で執筆しているのではない。氏のそのような姿勢を知っていただくためにも、キング氏への感謝の意を沖縄から示すためにも、翻訳した次第である。

そして、キング氏が記事の最後で促しているとおり、ジュゴンとともに、多くの方にこの裁判に注視していただきたい。

   河村 雅美(沖縄・生物多様性市民ネットワーク/Okinawa Outreach)
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気の毒なジュゴン:米国国防総省は裁判所には管轄権なしと主張
 トム・キング (著述業、コンサルタント、考古学者) 
 ハフィントン・ポスト 2014年11月25日掲載

原文はこちら
Pity the Dugongs: U.S. DOD Says Court HasNo Jurisdiction
Tom King

Writer, consultant, archaeologist
11/25/2014 The Huffington Post

ジュゴンとは?
沖縄ジュゴン(Dugong dugon)は、マナティー(Trichechus sp.)の近縁であり大きくふくよかな海洋哺乳類である。減少するジュゴンの個体群は、海草藻場で摂食し、日本の沖縄本島の周りの守られた海に生息している。ジュゴンは、沖縄の人々の古来の起源と末永き繁栄に関わる沖縄の聖なる動物と、伝統的にみなされている。それゆえ、ジュゴンは日本の「文化財保護法」下での「天然記念物」として公式に登録されている。

辺野古/大浦湾[米軍基地建設]計画
沖縄における米軍の面積を減らすというプレッシャーにある米国国防総省は、沖縄本島東海岸の辺野古/大浦湾の海兵隊基地キャンプ・シュワブにおける運用統合を提案している。この提案には、ジュゴンが食べることのできる残り少ない海草藻場の一部分にかかる滑走路拡張が含まれている。米国との条約に従い、日本政府はこの提案を支持している。

沖縄の住民と日本の環境保護家はこの計画に抗してきた。しかし、政策決定過程に影響を及ぼす機会が、関心のある市民にほとんど与えられることのない、相対的に弱く中央集権的な日本の環境影響評価法に、その試みは妨げられてきた。それゆえ、日本環境法律家連盟(JELF)とその同志は、米国の法律に目を向けたのである。彼らは、[米国の代理人]アース・ジャスティスの助けを得て、2003年、これまで注目されることのなかった法的な足がかり/手段を発見した—それが米国国家歴史保存法(NHPA)の402条である。

NHPA106/402条
NHPAで最も知られている条項は106条であり、米国政府機関が--高速道路建設、基地管理、エネルギー開発のような--国内事業を、「国家歴史登録簿」に記載されている、あるいは匹敵する場所として定義されているような歴史的な場所で行う場合、事業の影響を「考慮する」ことを要求している。歴史保存諮問委員会の規則は、その考慮がどのようになされるべきかを定めている—それには、関心のあるグループとの協議、歴史的な場所を特定し、どのように事業による影響を受けるかを決定するための調査、影響についてどのように対処するか合意するための交渉が含まれている。

この法律の402条は、106条の国際版である; 402条は、[事業]受け入れ国が持つ米国国家登録簿に相当する制度に記載されている資源に対して、計画事業の影響を米国政府機関が考慮することを要求している。しかし、402条の遵守について定めてある規則はないので、政府機関はこれを無視しがちなことになる。

辺野古/大浦湾への基地拡張の計画において、国防総省が無視したようにだ。

2003年の訴訟
JELFと同志の代理人として、アース・ジャスティスは2003年、NHPA402条に違反しているとして、米国サンフランシスコ地裁に国防総省を訴えた。もちろん、ジュゴンの生息地を破壊することが、日本の文化財保護法下で登録され、それによってNHPAの保護の下におかれたジュゴンに深刻な影響を及ぼすことになるだろうということを、訴えたのである。

米国政府は当初、日本の文化財保護法は米国のNHPAに「相当」しないという理由で402条が適用されないと反論していた。なぜ適用されないのか?文化財保護法は同じような文言を用いていないし、米国国家登録簿では含まない、ジュゴンのような動物を含んでいるから、ということだ。

原告は、「相当すること」は「同一である」ことを意味していないと指摘し、米国国家登録簿は、確かに動物はリストに載せていないが、伝統的な漁業をする場のような、動物に関係することによって、歴史的に重要となった場所を載せていることを示した。それらを定めているリストと法律は、機能的には(米国国家登録簿に)相当していることを原告側は主張したのである。

裁判所は原告の主張に同意し、国防総省に402条を遵守するまで計画を進めることを禁止する指示をした。それは、裁判所によれば、日本政府と「他の関係する民間機関や個人」と協働して106条による検証の基本的なアウトラインに従うということを意味していた。

国防総省の回答
今年4月16日、国防総省は省としての検証を終えたと裁判所に報告し、基地拡張はジュゴンに「悪影響はない」という判断をした。しかし、国防総省がこの判断に至るまでに用いた手続きは、米国内で行われている106条の検討手続きにも、裁判所の指示にも、言葉の上で似たようなものになっているにすぎないと映る。

国防総省は、自分たちの判断は、様々な専門家によってなされた研究に依拠したものだという-しかし、専門家の報告書、その報告書の正式名称でさえも公開することを拒んでいる。私はこの手続きの鍵となる報告書に関して、個人的に2つの要求を行っているが、国防総省にどちらも無視されている。国防総省は私に対して、政府が「透明性」を装いながら公的な文書を隠しておくのに好んで用いる手段、つまり、情報公開法で請求するように、ともいってこない。

国防総省は、「協議した」という。しかし、それは日本の政府機関と、自らが選んだグループと個人とだけである。原告や、事業に反対するグループ、 沖縄の一般大衆とは協議していないし-何が起こっていたかを通知することさえもしていなかったのである。裁判所が国防総省にこれに添ってやるようにと命令した、106条の規則のプロセスを管轄する歴史保存諮問委員会と協議した証拠も見いだせない。

国防総省は、本質的にコントロールの効かない2次資料と、日本政府が実施した疑問点の多い環境調査に依拠し、ジュゴンは辺野古/大浦湾をあまり利用しない、もしジュゴンが辺野古/大浦湾を利用しても、基地の建設と運用で影響を被ることはあまりない、と結論付けている。そして、事業のジュゴンへの悪影響はないと裁判所に保証する一方、生じないといっている悪影響を緩和するために設計された多くの措置を約束するのである。しかし、NHPA106条のもと、いかに緩和措置を行うかについて拘束力のある協定が執行される場合とは違い、国防総省は単に「我々を信じてくれ」と言っているだけである。

国防総省は、-他のどの基準でもなく、自分たち基準を満たしたことをもって、402条を遵守したとし、原告の申し立てを却下するように裁判所に訴えている。

そして、もし裁判所が国防総省の「遵守」の質に満足しなかったらばどうなるのか。国防総省は、裁判所は管轄権がいずれにせよないのだから、それは問題ではないと提出文書で述べている。基地統合/拡張は、国防のために必要なものであり、日本との関係に極めて重大なものである、ゆえに、国防総省のいう「ジョージ・ワシントン政権以来の普遍的理解」のもとで、裁判所は行政府の決定に介入することを禁じられているというのである。

ジュゴンはどこへ?
原告側は納得していない。彼らは、国防総省が依拠している研究の包括性と方法論を批判し、もし計画が推進されたならジュゴンに破滅的な結果をもたらすことになると予測する自分たちの研究報告を公表してきた。彼らは国防総省が、NHPA106条の下で通常実施されるのと同様の方法で、協議をすることを怠ったこと、あるいは合意に達することを怠ったことを激しく非難し、国防総省が、いわゆる「普遍的な理解」の解釈においてあまりにも行き過ぎた解釈をしていることを示す多くの判例を集め示している。

私はこの議論がサンフランシスコの連邦地裁で来週行われると聞いている。ジュゴン裁判はどうなるのだろうか? 米国国防総省が国防と国際関係(外交)が関係していると判断した場合、裁判所は、国防総省の計画が、環境への影響をどのように考慮し、影響を受ける一般の人々の懸念にどのように対処しているかについて、管轄権がないという見解を出すことになるのか? 

この裁判に注目しよう。ジュゴンも--聴力が高く、記憶力がよいと報告されている—、自分たちの生命の存続がこの裁判にかかっているかのように、疑いなく注目していくであろう。

(翻訳:河村 雅美)  

Posted by 沖縄BD at 14:38Comments(0)

米国海洋哺乳類委員会(MMC)への要請行動の報告

2014年06月03日/ ジュゴン訴訟

去った5月20日、沖縄と米国の市民社会/環境団体のメンバーは、米国海洋哺乳類委員会(Marine Mammal Commission/MMC)を訪問し、辺野古・大浦湾で押し進められる米軍基地建設のジュゴンへの影響に関しての要請を行いました。MMCとは、1972年の米国海洋哺乳類保護法のもと、ジュゴンなどの海洋哺乳類の保護と保全を目的として設置され重要な役割を担ってきた米国連邦政府の独立専門機関です。


参加者
今回の要請において沖縄と米国の市民社会/環境団体からは以下のメンバーが参加しました。
東恩納琢磨さん(ジュゴン保護基金、じゅごんの里、名護市議)
Ken Nakamura-Huber さん(沖縄BD、New Wave to Hope)
Bill Snapeさん(生物多様性センター, Washington D.C.)
吉川秀樹(沖縄BD、ジュゴン保護キャンペーンセンター)

MMCからは以下の4氏に対応して頂きました。
Mike Gosliner氏 (法務部局長)
Dennis Heineman氏 (科学部局長)
David Laist氏(政策とプログラム分析官)
Victoria Cornish 氏(エネルギー政策官)

また訪米中であった名護市の稲嶺進市長と玉城デニー国会議員も、忙しスケジュールを調整し私たちの要請行動に同席して下さいました。心より感謝を申しあげます。


要請とMMCの対応
私たちの要請は以下の2点です。(要請文の原文と沖縄BDの河村雅美さんの和訳はpdfファイルで下に添付しています。河村さんありがとう!)

1)MMCの2009年の連邦議会への年次報告で示されているとおり、MMCが国防総省の分析結果を入手次第、ジュゴンの基地建設が与える影響についての国防総省の分析を精査し、それについてコメントすること。MMCが国防総省の分析の精査とコメントをする際に、国防総省のために翻訳された環境影響評価関係の文書を含む、日本政府から国防総省へ提供された情報について考慮していくこと。

2)MMCによる国防総省の分析の精査とそれに対するコメントが行われる前に、キャンプシュワブ区域使用許可証を日本政府に発行することを含む、基地建設事業を構成するいかなる行為をも国防総省は行うべきではない、という勧告をMMCから出すこと。

私たちの要請に対して、MMCからは以下のような対応とコメントが、要請の場において、またその後のメールのやり取りなかでありました。
1)この問題を再度提起してくれて感謝する。
2)MMCとして述べてきたこと、出来ることは行っていく。
3)MMCは小さな機関であり国防総省のような大きな機関の事業への影響は限られる。
4)提供された写真などを見る限りでは、世界自然遺産に指定されてもいいような環境だ。その環境を失うことはshameだ。

要請の場でMMCからは以下のような質問がでて、それに対して私たちは以下のように回答しました。
5)この海域にはジュゴンの他に海洋哺乳類はいるか? 
  → ザトウクジラが来ているという情報がある。
6)キャンプ・シュワブでの訓練や演習の影響はあるか? 
  → 日本政府の環境アセスではその点について触れられているが「影響はない」としている。
7)ジュゴンや海草藻場について、環境アセス以外の調査はあるか? 独立した専門家やNGOで調査を行っているか?その結果は報告されているか?
  → 環境省の調査やNGOの海草藻場の調査などがある。
  → その結果は報告書としてだされているのもあるが、日本語での報告書である。
8)MMC以外には、他にどこにこの問題を提起する予定か?
  → IUCNやUNEP/CMSのジュゴンの専門家への問題提起を予定している。


提出文書/資料など
今回の要請にあたり、要請文の他に日本政府が行った環境アセスに関する私たちの5つの懸念を示した「メモ」をMMCに提出しました。(「メモ」の原文と河村雅美さんの要約(和訳)は下に添付しています。)また5月16日にチームザンの海草藻場の調査により、基地建設/埋立て予定地にジュゴンの食み跡が発見されたことを報告し、その食み跡の写真も提示しました。その他にもヘリ基地反対協の資料や名護市の資料も提出しました。さらに要請後のメールのやり取りでは、日本生態学会が今年1月にだした辺野古・大浦湾での基地建設中止を求める「要望書」も提出しています。

チームザンの最新の食み跡の報告と写真は、「ジュゴンが辺野古・大浦湾を利用するのは限られているので、基地を建設しても影響がない」という日本政府の見解に対して、さらなる科学的な検証や調査が必要だという私たちの主張の後ろ盾になったと思います。このタイミングで、建設/埋立て予定地に食み跡を残したジュゴンと、それを発見したチームザンのメンバーに感謝です!

2000年以来、米軍基地建設とジュゴンの関係を注視してきたMMC。2009年には、東恩納琢磨さん、Miyoko Sakashitaさん(米国生物多様性センター)、吉川秀樹をハワイでのMMC年次総会に招待し、状況について説明する機会を与えてくれました。今回のMMCへの要請行動はこれまで培われてきた関係のなかで行われたものです。

今回の要請を実のあるものにするには、さらに私たち市民社会が以下のようなMMCに対して以下のような働きかけをいかにタイミングよくやっていけるかに関わっています。
1)情報提供を継続して行っていく。
2)MMCとその他の海洋哺乳類研究者をつないでいく。
3)MMCの分析を、ジュゴン訴訟に活かすようにする。
4)MMCの分析を国内の動きにつなげること。
5)その他の国際機関とつなげること。

TIME IS CRUCIALです。みなさんの応援をお願いします。
なお今回のMMCへの要請行動は、ヘリ基地反対協と沖縄平和市民連絡会の支援により行われました。心より感謝を申し上げます。

以下、要請文やメモの原文、和訳/要約、そして先日6月1日に行われた「MMCへの要請行動の報告会」で使用したパワポ、レジメを資料として添付します。
LettersofsRequestsMMCsk05-20-14k_1.pdf (PDF: 50.58KB)(要請文原文)
%E8%A6%81%E8%AB%8B%E6%96%87%E5%92%8C%E8%A8%B3%EF%BC%9AsMMCsJsfinals.pdf (PDF: 141.79KB)(要請文和訳)
pointssofsconcernFinal.pdf (PDF: 67.11KB)(メモ原文)
AppendixsforsMMCs%E8%A6%81%E7%B4%84.pdf (PDF: 123.01KB)(メモ要約)
MMC%E5%A0%B1%E5%91%8A%E4%BC%9A6-1-14_1.pdf (PDF: 802.36KB)(6月1日報告会パワポ)
mmc%E5%A0%B1%E5%91%8A%E4%BC%9A%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%A1k06-01-14k.pdf (PDF: 141.26KB)(6月1日報告会レジメ)




  

Posted by 沖縄BD at 09:14Comments(0)

記者会見:環境NGOで米国海洋哺乳類委員会(MMC)を訪問 

2014年05月20日/ 辺野古/ ジュゴン訴訟

 5月15日から24日まで、名護市長が訪米していますが、その期間、沖縄の環境団体も訪米し、米国政府の独立機関である海洋哺乳類委員会(US Marine Mammal Commission、以下MMC)を訪問します。
 
 訪米するのは、名護市議であり、ジュゴン保護基金、エコツアーを主宰するじゅごんの里の代表である東恩納琢磨さん、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、ジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんの2名です。

 MMC訪問について、5月16日に記者会見を行ってきました。
 


 詳細は下記の説明をみていただければと思いますが、米国MMCへの訪問は、ジュゴン訴訟の判決文で明らかになったとおり、辺野古の基地建設の事業者が米国国防総省でもあること、ゆえに、ジュゴン保護の手続きをとる責任が米国にもあることを、再度確認し、米国側の動きを促す機会になるでしょう。

 さらに、ジュゴンに関しては、沖縄側の要請だけではなく、MMC側からの働きかけがあったことは重要です。MMCが、2009年の年次総会に沖縄側の関係者を招き、ジュゴン訴訟と沖縄の状況について聴取したという経緯は、海洋哺乳類の保全を担う米国機関側からも、沖縄のジュゴン保護に関わる姿勢が示されたということを意味します。聴取を受け、MMCは基地建設と運用のジュゴンへの影響についての国防総省の分析を検証する意思を示しました。その実現が期待されます。

 また、国防総省の分析は、日本側の環境アセスに大きく依拠しています。MMCによる国防総省の分析の検証は、環境団体が不備や透明性の欠如を指摘してきた日本政府の環境アセスに、国際的な目がはいるという機会となることと思います。
 詳しくは、下の説明をごらんください。

要請の背景
 2013 年12 月仲井真弘多沖縄県知事は、日米両政府が進める辺野古・大浦湾における米国海兵隊普天間飛行場代替施設建設(以下基地建設)のための埋立て申請を承認しました。その後、埋立て工事に向けての入札等の手続きが着々と進み、報道ではこの秋の知事選挙前の年内着工が伝えられています。しかし、基地建設が押し進められる根拠となっている「環境に影響はない」とした沖縄防衛局の環境アセスや、仲井真知事による埋め立ての承認は、科学的な正当性を欠くものであり、環境アセスの法制度や公有水面埋立法に反するものと、環境団体は考えています。
  そこで、日米両政府により進められる辺野古・大浦湾での基地建設がもたらす絶滅危惧種ジュゴンへの影響について訴え、ジュゴン保護・保全の立場から、MMCに対して要請を行うこととなりました。
 また、今回のMMC訪問は、基地建設反対という名護、沖縄の民意を訴える稲嶺進名護市長の訪米とも重なります。環境団体は、環境面からのサポートをするということになります。

 要請内容
 2008年1月の米国連邦地裁のジュゴン訴訟の判決によって、米国防総省は、国家歴史保存法(NHPA)のもと、基地がもたらすジュゴンへの影響に対して「回避と緩和の目的をもって、考慮すること」が命じられています。つまり、基地建設と運用によるジュゴンへの影響を米国防総省が分析を行い、影響があるならば何らかの対応を行わなければならないということです。
 今回の環境団体のMMCへの要請は、米国防総省が行うジュゴンへの影響の分析や対応に対して、米国政府の独立機関としてMMCが科学的、専門的知見から検証を行い、コメントしてもらいたい、という内容になります。
 そのために、①日本政府が行った環境アセスについての問題点、②埋立て申請承認手続きと沖縄県知事の埋立て承認についての問題点を提示していきます。

米国海洋哺乳類委員会(MMC)とジュゴン保護 
 海洋哺乳類の保護と保全を担う米国政府の独立機関であるMMCは、同基地建設がもたらすジュゴンへの影響の可能性の報告を日本のNGOから受け、2000年より同基地建設計画の動向を注視してきました。米国政府の機関である米国防総省が関わる基地の建設や運用がもたらす絶滅危惧種ジュゴンへ悪影響を懸念しているからです。

  MMCは、国家歴史保存法(National Historical Preservation Act 以下NHPA)のもと米国連邦地裁で争われてきた「ジュゴン訴訟」の2008年1月の原告勝利の判決を受け、同基地建設計画へより明確にそして具体的に関わり始めました。なぜなら、米国防総省に対して、国家歴史保存法(NHPA)のもと、基地がもたらすジュゴンへの影響に対して「回避と緩和の目的をもって、考慮すること」を連邦地裁が命じたからです。MMCは2009年12月に開催されたMMC年次総会に、沖縄と米国より関係者(沖縄からは東恩納琢磨、吉川秀樹、米国からはCBDのMiyoko Sakashita)を招き、ジュゴン訴訟と沖縄の状況についての聴取を行いました。その会議において、沖縄から参加した東恩納琢磨、吉川秀樹から、米国防総省が日本政府の環境アセスをどのように使用するか等の問題も含め、MMCが国防総省が行うジュゴンへの影響の分析を検証することの必要性を示し、検証の要請を行いました。

 MMCは、その要請を受けて、2009年の連邦議会への年次報告書で、「NHPAのもと米国防総省が行う基地建設のジュゴンへの影響の分析を、MMCが検証しコメントする意図である」として明記しました。

     2009年の年次報告書はこちら The Marine Mammal Commission Annual Report to Congress 2009
    


今こそMMCのコメントの時期
  一方原告勝訴の判決を下した連邦地裁は、2012年2月、基地建設計画の実効性が不透明であるとしてジュゴン訴訟を一時停止しました。理由として連邦地裁は、その時点において日本の環境アセスがまだ完了していないこと、同基地建設と海兵隊の沖縄からのグアム移転計画がリンクされなくなったこと、基地建設により生息域が破壊されるという結論を沖縄県が環境アセスにおいて示すことが予想されること、知事が「県外移設」を求めていること、同基地建設計画への連邦議会員からの予算面での問題点の指摘を上げています。

 しかし沖縄においては、2012年12月に環境アセスの手続きが終わり、2013年3月には基地建設のための埋立て承認申請の手続きが始まりました。そして、2013年12月には仲井真弘多知事が埋立てを承認し、現在、埋立工事に向けての手続きが進んでいます。報道では知事選挙前の年内着工が伝えられています。

  この工事着工への動きを受けて、ジュゴン訴訟で求められているNHPAの遵守のための国防総省自らのジュゴンへの影響の分析を近々示すことが予想されます。これは同時に、MMCが米国防総省の基地建設のジュゴンへの影響の分析を検証し、コメントする時期が来ていることを意味しています。
  
要請日時:
 5月20日 午前11:00- @MMC

参加者::
NGO・市民社会
東恩納琢磨(ジュゴン保護基金、名護市議会議員、ジュゴン訴訟の原告)
吉川秀樹 (沖縄・生物多様性市民ネットワーク、SDCC)
Bill Snape (米国CBD(生物多様性センター)、CBDもジュゴン訴訟原告)

MMCの対応者
 Michael Gosliner  (General Counsel (法務担当責任者))、他

 今回の沖縄からの派遣にかかる費用は、ヘリ基地反対協と沖縄平和市民連絡会からのカンパによって賄われることになりました。両団体のご理解とご協力に深く感謝を申し上げます。
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<報道 >
・QAB: 市民団体がMMCに要請へ (2014.5.16) 

・県内紙の報道は後で追加します。  

  

Posted by 沖縄BD at 17:19Comments(0)

ジュゴン訴訟:アセス評価書「要約書」分析  

2014年02月09日/ 辺野古/ ジュゴン訴訟



  
 沖縄・生物多様性市民ネットワークは2月6日に沖縄防衛局にジュゴン訴訟に関する要請を行いました。その要請で中心になったのは、沖縄防衛局が米国国防総省に提出した辺野古アセス補正後の環境影響評価書要約書(Futenma Replacement Facility Construction Project: ABSTRACT、以下、「要約書」)についてでした。この文書についての吉川さんの分析メモ(英文)に日本語訳をつけましたのでこちらに紹介します。

 ジュゴン訴訟において、国防総省が、判決文において命令されている国家歴史保存法の遵守のために、この「要約書」だけでは検証材料として不十分である、ということを吉川さんが丁寧に実証したものです。

 具体的にいえば、
1)量的分析(補正評価書原文のページ数や分量と「要約書」とのつけあわせ、文書全体における割合などの分析)
2)質的分析(ジュゴンの文化的・歴史的部分の調査のもとになる情報部分の問題点、方法論の妥当性を示す部分がないなどの指摘)
を行い、
3)「要約書」単体では十分な情報は入手できない(参照頁が補正評価書本体である)こと
などを指摘し、大変説得力のあるものになっていると思います。 

 以下、文書と昨年末、2日連続で県内紙で取り上げられた時の記事を貼り付けます。  

ジュゴン訴訟:「要約書」分析吉川メモ 河村訳 by BDOkinawa







  

Posted by 沖縄BD at 14:53Comments(0)

防衛局交渉:米軍に情報をきちんと提供している?

2014年02月08日/ 沖縄防衛局/ ジュゴン訴訟

2月6日沖縄BDは県内の環境・市民団体とともに沖縄防衛局への要請交渉を行いました。目的は、辺野古・大浦湾における基地建設に関する環境アセスや埋立承認申請の情報を、沖縄防衛局は米軍にきちんと提供しているのか、米軍はその情報に対してどのように対応しているのか、を示してもらうこと。



昨年の12月の沖縄県知事の埋立承認が下される以前に要請文は提出し、交渉の日程調整をお願いしていましたが、2ヶ月以上待たされてやっと要請交渉が実現。そのため要請文も埋立の承認がまだ下されていない時点での内容となっています。

再開される米国での「ジュゴン訴訟」や、関連する米国海洋哺乳類委員会への働きかけを視野にいれた要請交渉。

2012年4月〜6月の事後調査で建設予定地で発見されたにも関わらず、ずっと公開しなかったジュゴンの食跡の情報(クリック)。多量の土砂を県外から搬入することに伴うアルゼンチンアリなどの外来種の問題(クリック)。これらの新たな情報をきちんと米軍に伝えているのか?

防衛局が米軍に提出した補正評価書の英語要約版「Futenma Replacement Facility Construction Project: ABSTRACT」。これは内容が余りにもお粗末だけど、米軍にはこれ以外の英語の文書は提出しているのか? などの質問に答えてもらいました。

沖縄防衛局は、調達計画課の池田課長補佐と基地対策室のトグチ室長補佐が対応。
環境・市民団体側は、環境ネットワークの世話人でジュゴン訴訟の原告でもある真喜志さん、ジュゴンネットワーク沖縄の棚原さん、WWFジャパンの権田さん、高江の斉藤さん、松葉さん、そして沖縄BDからは河村さんと吉川が参加しました。

以下、要請文のpdfファイルを添付します。交渉の報告は別の記事で行います。

日米政府の情報交換・共有について(要請文)%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%82%B9%EF%BC%8F%E5%9F%8B%E7%AB%8B%E7%94%B3%E8%AB%8B%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%97%A5%E7%B1%B3%E3%81%AE%E3%82%84%E3%82%8A%E5%8F%96%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88%E9%98%B2%E8%A1%9B%E5%B1%80%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%A6%81%E8%AB%8B%EF%BC%89.pdf (PDF: 127.48KB)







  

Posted by 沖縄BD at 21:38Comments(0)