<枯れ葉剤>沖縄県との意見・情報交換の機会をもってみました

2012年12月10日/ 枯れ葉剤

 11/29(木)、沖縄県基地対策課(主査金城さん、副参事長嶺さん)と沖縄BDの2名(河村、吉川)で枯れ葉剤についてのミーティングを行いました。
 基地対策課には議会中のお忙しい中、対応していただきまして感謝しています。

<枯れ葉剤>沖縄県との意見・情報交換の機会をもってみました



 これまで沖縄県には要請行動を行ってきましたが、文書に関する細かい情報交換や、県側の見解をこちらがじっくりと聞く場にはならなかったので、密に意見交換をする機会を設けたいということでお願いし、応じていただきました。
 枯れ葉剤の問題は、枯れ葉剤の沖縄の使用についての真相究明ということだけでなく、この問題が持つ射程である情報公開の問題、日米地位協定の環境部分の改定、返還される土地の問題など、市民と県の協力体制を築く必要がある問題であるので、このような場がこれから必要だと考えたからです。

 情報交換の前には、外務省から名護市に送られた文書の英文サマリーを退役軍人や、沖縄の枯れ葉剤に関するリサーチャーなどに送り、助言をもらってミーティングにのぞみました。
 沖縄県基地対策課は、丁寧に応対してくださいましたし、枯れ葉剤の問題についてどのようにフォローしてくださっているかがわかり、最初の試みとして、有意義な機会であったと思います。

以下についての情報交換や話合いを1時間ほど行いました。ここでは簡単に記しておきます。
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1)関係省庁とのやりとり・照会について
 日本政府のどの省庁とどのような手段でやりとりをしているのかについて、日本政府のさす「米側」とはどこを指すのかなど、やりとりについて具体的に聞きました。「米側」といっても、国務省/国防総省/退役軍人省/農務省など関連政府機関は複数あります。
 枯れ葉剤についての報道が始まった当初は、防衛省・沖縄防衛局にも照会をしていたが、現在はメールでの外務省沖縄事務所とのやりとりのみとのことでした。
 私たちからは、日米地位協定の環境条項の必要性や、日米合同委員会へのインプット/からのアウトプットなども見据え、環境省などに問題をあげることも提案しておきました。また、軍転協の要請書に対する政府からの回答は、政権が変わっても(実はこれは民主党政権になってから回答が来るようになったとのこと)、受け取ることができるようにし続けてほしいことを要求しました。

2. 各市町村とのやりとり
 こちらは北谷の以前行われた調査、名護市の聞き取りの回答報告以外は特に進展はないようですが、1980年代に発見された普天間飛行場の枯れ葉剤の証言もあるので、宜野湾市との連携を提案しました。

3. 外務省回答の件の沖縄県見解について
 先日、こちらでも公開した外務省の枯れ葉剤に関する回答について、情報・意見交換をしました。
沖縄県も、主要な英文の文書は担当者が翻訳をしているとのことでした。
1)全般的に
 外務省の「記録は確認できない」といういい方や、外務省回答の全体的な姿勢に対しての私たちの見解を伝えました。私たちとしては、
これは枯れ葉剤の沖縄県での使用・保管の否定の根拠にはならないだろうという点が何点かあります。例えば、「退役軍人省のホームページ(枯れ葉剤が使用等された可能性のある場所)にないから」という理由は根拠になりません。これも、情報が不十分・不正確であるという米側サポーターの情報もあります。

2)「ジョンストン環礁の生態系アセスメント」
 外務省回答の、「沖縄に枯葉剤が保管されていたという記述の部分は不正確であり、米陸軍及び米国政府が承知している事実と異なっている旨の説明」の部分は、それを鵜呑みにすることなく、何が「不正確」であるかなどをきちんと日本政府に問い直すべきではないか、という意見を伝えました。
 また「レッドハット作戦」に「枯葉剤は含まれていなかった」についての部分については、レッドハット作戦に関する記載のある退役軍人省の文書(Citation Nr:0941781Decision Date:11/02/09 Archive Date:11/09/09)をお互いにみながら確認し、今後の分析をお願いしています。また、レッドハット作戦に関する文書はまだ多くが公開されていないことも、伝えています。
 この回答で言及されている「ペイサー・アイビー作戦」や「この際の積荷は、途上で沖縄を含めどこにも寄港せずに直接ジョンストン島へ移送されており」という記述もペイサー・アイビー作戦」とは何か、またこの記述を裏づける文書の要求が必要ではないかという見解を伝えました。

3)退役軍人省の審決文書
 沖縄での枯れ葉剤被害の認定例は3例ですが、外務省回答が1998年と2008年の2例のみ言及していることについて意見交換をしています。県は、ジョン・ミッチェルさんの記事のLarry Carlsonさんの認定についても把握してくれていました。
 この部分の外務省回答の「上記2事案はいずれもこの審査委員会の審決により、沖縄における枯葉剤の使用等に関する確証的証拠の提出がない中で」という部分は問題であることも伝え、県にも精査、分析をお願いしています。

4.米側の情報
 ケイト・ゴーツさん(女性退役軍人、キャンプフォスターで従軍)が逝去なさったこと、米側も情報公開法でさらなる情報収集をしていることなどを伝えました。ゴーツさんの件は、県の基地対策課もご存知でした。
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私たちは、要請や県議会を通じて、行政を厳しく監視し、追究していくことも必要ですが、やはり行政と情報や意見を丁寧に交換しながら共に問題を解決していこうとする機会を持つ必要があると思います。そしてそれは、行政の方からは働きかけはされないことでしょう。市民側から行政側に手を伸ばしていかなければならなく、それは面倒くさいことでもありますが、やらなければならないことだな、と感じています。まだ始めたばかりの試みですが、ひとつひとつの場を積み重ねていきたいと考えています。
 


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Posted by 沖縄BD at 17:59│Comments(0)
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