国連人種差別撤廃委員会が日本政府に質問状を出すことを採択

2012年03月13日/ 国連

 2012年2月10日、、「琉球弧の先住民族会」(AIPR)、「沖縄・生物多様性市民ネットワーク」(OkinawaBD)、「反差別国際運動」(IMADR)の3団体が国連人種差別撤廃委員会(CERD)へ、沖縄県名護市の辺野古/大浦湾における米軍基地建設と東村高江におけるヘリパッド建設の現状を、差別と人権侵害の視点から検証し、早急に対応するように要請文を提出していたことは、こちらでもお伝えしていました。
                       →国連人種差別撤廃委員会(CERD)へ要請文を提出

 この要請に応え、人種差別撤廃委員会は、辺野古新基地建設計画が、歴史的な琉球先住民差別に当たる恐れが強いとして、日本政府に対し、人権侵害問題の観点から計画の現状や地元住民の権利を守る具体策について説明を求める質問状を出すことになりました。 質問状の期限は、7/31です。

 質問状の内容については、また後日アップする予定です。
 ジュネーブのIMADRの白根さん、東京の事務所の原さん、これまで国連でがんばってこられたAIPRのみなさん、市民外交センターの上村さん、特にCOP10から、常に様々なところへ橋渡しをしてくださり、的確なご助言をくださった市民外交センターの木村さんのご尽力に深く感謝したいと思います。
 
 明日は、要請文でも触れられている高江のSLAPP訴訟の判決がでます。
高江ブログ→ 明日、高江SLAPP訴訟、那覇地裁で判決です。
 こちらも同じくご注視ください。
 
以下、3月13日、毎日新聞の記事です。
在日米軍再編:普天間移設 国連委、日本に質問状提出へ 「先住民差別の恐れ」

【ジュネーブ伊藤智永】国連の人種差別撤廃条約の委員会(事務局・ジュネーブ)は、在沖縄米海兵隊・普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古(名護市)移設計画が歴史的な琉球先住民差別に当たる恐れが強いとして、日本政府に対し、人権侵害問題の観点から計画の現状や地元住民の権利を守る具体策について説明を求める異例の質問状を出す。
 日本政府は7月31日までに回答しなければならない。委員会は8月の次回会期で、日本政府の回答も検討しながら、普天間移設計画が人種差別撤廃条約に違反しているか審査する。沖縄住民の権利を守る方向で移設計画を見直すよう勧告を出す可能性が高い。
 これは2月10日、国連の会議に参加資格を持つ非政府組織(NGO)「反差別国際運動」(事務所・ジュネーブ)と、沖縄の琉球文化伝承や自然保護に取り組むNGOが、普天間移設計画を人種差別撤廃条約違反だとして、委員会に通報したのを受けて行われている手続きの一つ。
 日米両政府は2月、普天間移設と切り離して米海兵隊のグアム移転を先行させるなど、沖縄に米軍基地負担を残す方向で計画が動き出している。このため、NGO側は人種差別撤廃委員会に「重大な条約違反を防止し、効果的に対応するため」93年に設けられた「早期警戒措置・緊急手続き」の発動を要請した。
 委員会は、要請の採否を条約加盟各国から選ばれた5人の人権問題専門家による作業部会で検討。今月6日には18人の委員全員による討議で、NGOの訴えについて日本政府の言い分を確認するため、質問状を出すことを決め、9日付で採択した。
 質問状は、条約違反の恐れがある計画として、普天間飛行場の辺野古移設と、在沖縄米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を指摘し、人権侵害ではないのか、住民の訴えに日本政府としてどう対応しているのか、などを問いただしている。
毎日新聞 2012年3月13日 東京朝刊

英語版(The Mainichi Daily News)はこちら→U.N. panel on racial discrimination to question Japan gov't over Okinawa policy

要請文の英文(原文)と和訳(仮訳)をこちらにアップします。
・Request to the Committee on the Elimination of Racial Discrimination (CERD) under the Early Warning Measures and Urgent Procedures
SubmissionstosCERDkfinalk.pdf (PDF: 273KB)
・早期警戒と緊急手続きに基づく国連人種差別撤廃委員会への要請
CERD%E5%92%8C%E8%A8%B3kfinalk.pdf (PDF: 514KB)


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Posted by 沖縄BD at 19:37│Comments(2)
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公開批判・質問状




沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)
の日本人事務局メンバー様

                        

                     松島泰勝
龍谷大学教員
NPO法人ゆいまーる琉球の自治代表
                     matusima345@yahoo.co.jp



 私は琉球人の松島泰勝と申します。龍谷大学経済学部の教員、NPO法人ゆいまーる琉球の自治の代表をしています。私は先住民族の琉球人として、1996年に国連人権委員会先住民作業部会、2011年に国連脱植民地化特別委員会に参加した経験がある者です。
今年7月、国連NGO・琉球弧の先住民族会の宮里護佐丸代表を龍谷大学社会科学研究所「島嶼経済とコモンズ」研究会にお招きして「琉球民族とヤマトンチューの関係性について―琉球民族の権利主張を阻害する在琉日本人の問題」と題する講演をお願いしました。
琉球弧の先住民族会、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、反差別国際運動の連名で今年2月10日に提出された「早期警戒と緊急手続きに基づく―国連人種差別撤廃委員会への要請-日本国沖縄における米軍基地建設の現状」の中で、「琉球/沖縄の人々と沖縄に居住する日本人」のように、琉球人と並列されて在琉球日本人が当該要請文の主体として位置付けられています。宮里代表もこのような在琉日本人の傲慢な行為に対して大変怒っていました。
 さらに、「国連人種差別撤廃委員会への要請文提出:辺野古/大浦湾と高江における米軍基地建設の検証と早急な対応を」という文章の中でも、「同委員会のこれまでの見解や勧告は、「先住民族」という視点から琉球/沖縄の人びとを対象にしてきましたが、今回の私たちの要請では、沖縄に本土から移住してきた人びとも、米軍基地の集中や新たな基地建設により、同様の差別や人権侵害を受けていることを訴え、差別や人権侵害の連鎖が起こっていることも訴えています」との記載があります。

 以上を受けて次のような諸点において強く抗議し、回答を求めたいと思います。
①1996年以来、アイヌ民族に学び国連を通じて行われてきた琉球人による脱植民地化運動において、琉球を政治経済的に、文化的に植民地支配し、差別してきたのは、日本政府、日本人であるという問題意識が一貫として流れていました。先住民族としての琉球人は、在琉球の日本人をセトラー、植民者、占領者として認識し、日本人支援者もそのことをわきまえて活動をしてきたと考えます。しかし今年2月初めて、国連で世界に訴える主体として「沖縄に居住する日本人」も琉球人と並んで自己主張を行う事態になったのです。これは国連でこれまで活動を行ってきた琉球人、そして琉球人一般に対する大いなる侮辱であり、私は心底から憤っております。

②日本人によって差別されてきた人種、民族である琉球人の「人種差別」の説明と改善を日本政府に求めて来た人種差別撤廃委員会に対する要請文において、在琉日本人が自らの被害を訴えることに疑問をもたないのでしょうか。琉球人を「支援」するふりをして、在琉日本人のプレゼンスを高めようとしているのではないでしょうか。国連、国際法を活用した琉球人の脱植民地化運動、権利主張の邪魔をしないで下さい。在琉日本人の基地被害を訴える場所や機会は他にあるはずです。人種差別撤廃委員会において在琉日本人の被害を訴え、保護を求めることは、琉球人の国連における活動を妨げる行為につながります。

③同要請文において、どのような経緯で在琉日本人を琉球人と並べるようになったのかを説明してもらいたい。琉球人に対して説明する義務があります。なぜ人種差別撤廃委員会に対する要請文の中でなければならないのか。特にAIPRの宮里代表が在琉日本人記載に納得していないにもかかわらず、勝手に、無断で列記したのは琉球人に対する大変な冒涜だといえます。しかもAIPRも要請文の最初に名前を連ねており、AIPRも在琉日本人列記に理解を示している形になっています。琉球人の存在や意思を無視するやり方は、日米両政府が琉球に基地を押し付けるやり方と変わりません。

④人種差別撤廃条約では、人種差別の定義が次のように定められています。「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」人種差別撤廃条約委員会による日本政府に対する勧告において対象になっているのは、アイヌ民族、在日韓国人・朝鮮人、琉球人、インドシナ難民、ミャンマー難民、被差別部落民等であり、いわゆる日本人が対象になったことはありません。あなた方は「人種差別」をどのように定義し、在琉日本人も差別される人種であると本当にお考えですか。


⑤あなた方は「沖縄に本土から移住してきた人びとも、米軍基地の集中や新たな基地建設により、同様の差別や人権侵害を受けていることを訴え、差別や人権侵害の連鎖が起こっていることも訴えています」と述べています。琉球人は沖縄戦における日本軍による虐殺や集団強制死、戦後の米軍統治時代における人種差別を受けて来ましたが、このような琉球人と、近年琉球に移住してきた日本人とを並列して、基地被害の主体としてよいのでしょうか。歴史的に受けて来た琉球人の日本人による差別という深刻な問題に対する認識と反省があなた方には欠如しています。

⑥我々の以上のような批判に対し反省するのであれば、貴団体のHP,ブログにおいて謝罪文を掲載してもらいたい。

⑦私は琉球の脱植民地化を求め、進める活動家であるとともに、研究者でもあります。冷静に、客観的に論理的に話しあい、そちら側の考えや主張を聞き、議論したいと考えています。私は今年10月16日から19日まで琉球に帰国します。その間、グアム政府脱植民地化委員会のエドワード・アルバレス事務局長、米領バージン諸島のカーライル・コービン国連アドバイザーも来琉し、研究会を開きます。その間、ご都合がつきましたら、意見交換、討論の場が設けられたら幸いです。



連名者:赤嶺善雄、親川志奈子、金城有紀、友知政樹、玉城福子、桃原一彦、石原昌英



                             2012年9月12日
Posted by 松島泰勝 at 2012年09月12日 06:38
あーだ、こーだ、ありますけど!

賃金の少ない地域は、どうなるんですか?

自分のふところしか考えてないんでないですか?

所得の少ない人は、今でも、これからも期待はないです。
Posted by 角田和志 at 2014年11月11日 22:14
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