国連人権委員会へ書面声明提出/プレスリリース

2016年02月18日/ 辺野古/ 辺野古・大浦湾/ 汚染/ 国連

国連人権委員会へ書面声明提出/プレスリリース

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
2016.02.17



プレスリリース
国連人権理事会へ書面声明を提出
米軍基地による人権侵害について


 2016年2月16日、国連NGOの「反差別撤廃運動(IMADR)」と「市民外交センター」(注1)は、沖縄における米軍基地による人権侵害を訴えた「書面表明」を国連人権理事会に提出した(資料)。沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は書面声明の「環境権」の部分の作成に関わった。今回の書面表明は、昨年9月の国連人権理事会への翁長知事や島ぐるみ会議の参加に代表される沖縄からの国連人権理事会への継続的な働きかけや(注2)、現在進行中の辺野古新基地建設をめぐる国と沖縄県の訴訟を踏まえて作成、提出された。

 今回の書面表明では、特に沖縄の人々の「環境権」と「表現および集会の自由」の権利への侵害について言及している。
 「環境権」については、国連人権理事会の採択した「安全、清潔、健康的かつ持続可能な環境への人々の権利」としての環境権が、普天間基地や嘉手納基地周辺における米軍の航空機騒音や土壌汚染によって侵害されている現状と、米軍基地に関わる環境問題に対して国内法が十分に機能していないことを指摘した。また辺野古新基地建設については、環境保全を保証すべき「環境アセス」の制度が、環境を破壊し、人々の環境権を侵害するもものとして使われてきたと訴えている。
 「表現および集会の自由」の権利については、元NHK経営委委員の百田尚樹氏による「沖縄の新聞は潰さないといけない」という発言を引用し、辺野古新基地建設の報道をめぐり沖縄のメディアが圧力を受けていることを指摘した。またキャンプ・シュワブや大浦湾において抗議活動を行う市民に対して、警察と海上保安庁が暴力的対応をとり、危険な状態が続いていること、そして不当な逮捕や拘束が行われていることを訴えている。

 今回の書面声明は、第31回国連人権理事会(2月29日~3月24日)の「議題4: 人権理事会の注意を要する人権状況(Item 4. Human rights situations that require the Council’s attention)」において提出され、人権と環境に関わる国連特別報告者への公式な提供情報として扱われる。特別報告者が日本の状況を把握し、今後の活動を計画するための参考情報のひとつとなる。さらに同書面声明は、各国政府のほか、多数の国際人権NGOをはじめとする国際社会に訴える役割を持つ。このような手段による継続的な発信により、沖縄における人権侵害に国際社会の関心が集まり、日本政府の人権侵害行為を抑制する圧力となることが期待される、

 今回の書面表明の提出について、市民外交センターの猪子昌代氏は「環境権の侵害は事後の是正が極めて困難であるため、辺野古基地建設が行われる前に国際社会に訴え、日本政府に対応の是正を求めることには、意義があると考える。また、昨今の政府による表現の自由の規制・圧力は、憲法上も国際法上も重大な人権侵害であり、この点についても国際社会の関心を集め、日本政府が直ちに行動を改めることが求められる」とコメントしている。
 またIMADRジュネーブ事務所の国連担当小松泰介氏は「環境と人権に関する国連特別報告者は、環境問題による人権への影響を評価し、情報を公開して意思決定プロセスへの一般の参加を促すことは政府の責任であるとしている。しかし、沖縄、特に辺野古ではそれらが適切に行われていない。日本政府は今こそ国際人権基準に従って行動すべきである」としている。
 昨年9月の島ぐるみ会議国連参加の原動力となった島袋純氏は、今回の書面提出が国と県との裁判が進行するなか提出されたことを踏まえて以下のようにコメントしている。「国際人権諸法は、日本の裁判において直接法源として、人権保障の根拠とすることができる。辺野古代執行訴訟における和解案は、国際的基準でとらえれば人権侵害の上にしか成り立ちえない辺野古新基地に関する建設の容認を求める案である。日本の裁判所が国際的な人権基準をいっさい無視した人権侵害機関であると証明している。今回の書面声明は、沖縄の人権侵害がいまだに救済される見通しがないことを国際社会に訴える機会である」。

 沖縄BDは、今回の書面声明の提出により、辺野古新基地建設を含む沖縄の米軍基地と環境・人権・平和の問題について、国際社会がさらに注視し、それが問題解決へと繋がっていくことを期待する。そしてなによりも、今回の書面声明の提出を通して、問題解決向けた沖縄の市民社会と沖縄を支援する国際的市民社会の決意と態度が、日米両政府に明確に示されたと考える。なお、書面声明の作成に参加する機会を提供して頂いたIMADR、市民外交センター、その他関係者に感謝と敬意を表したい。


注1. 両団体については以下のHPを参照。
反差別反対運動(IMADR) http://imadr.net/
市民外交センター http://www005.upp.so-net.ne.jp/peacetax/

注2. 2015年に島ぐるみ会議や沖縄BDが、国連NGOのIMDARと市民外交センターともに国連人権委理事会に提出した文書は以下の通り。
“Human Rights Violation in Okinawa,” joint written statement, submitted by the Shimin Gaikou Centre (Citizens' Diplomatic Centre for the Rights of Indigenous Peoples), International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR), non-governmental organizations in special consultative status (August 31,2015).文書はここをクリック

“Violation of Freedoms of Expression and Peaceful Assembly in Okinawa,” Joint Submission by All Okinawa Council, Citizens’Network for Biodiversity in Okinawa, International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR), Shimin Gaikou Centre, Pek Chung,Yutaka Katou, Masahiro Takasaku (December 11, 2015). 文書はここをクリック

連絡先:沖縄・生物多様性市民ネットワーク http://okinawabd.ti-da.net/
共同代表 吉川秀樹 yhidekiy@gmail.com 090-2516-7969



今回提出した書名声明のpdf版はこちらです。1633_A_HRC_31_NGO_Sub_En_SGC_IMADR_OkinawaBD.pdf (PDF: 173.13KB)
タイトルは"Human Rights Violations in Okinawa, Japan," Joint written statement* submitted by Shimin Gaikou Centre (Citizens' Diplomatic Centre for the Rights of Indigenous Peoples), International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR), non-governmental organizations in special consultative status.

プレスリリースのpdf版はこちらです。%E5%9B%BD%E9%80%A3%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E7%90%86%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E6%8F%90%E5%87%BAPR2-17-16.pdf (PDF: 93.62KB)


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Posted by 沖縄BD at 12:23│Comments(0)
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