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The Informed-Public Project の活動に

2016年08月18日

 
 基地汚染関係のこちらでの記事のアップがなく、大変申し訳ありません。 

  この問題を沖縄BDで追及してきました河村雅美は、4月にThe Informed-Public Project(インフォームド・パブリック・プロジェクト)という調査団体をたちあげ、活動しています。 
 
 7月には、沖縄BDの共同代表を辞任しました。今後は、ウェブでは以下のサイトで情報発信していきます。

 サイトはこちらThe Informed-Public Project 

 

 沖縄BDでお世話になりました皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。

 今後とも、この問題にご関心を持っていただけると幸いです。

 これまで、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

                                河村 雅美 

  

Posted by 沖縄BD at 23:50Comments(0)

外来種との遭遇:一度侵入すると対処は非常に困難と実感

2016年04月29日 / 辺野古・大浦湾/ 外来種

昨日の4月28日、首里城の隣りにある沖縄県立芸大。授業に向かうために、図書館側の駐車場に車を駐車し、教室棟のある側へと道路を渡ろうとした時のことです。体長25cmくらいの緑の物体が、道路を這いつくばうように、僕と同じ方向に道路を横切ろうとしているのを発見しました。

するとこれもまた図書館側から道路に入ろうとしていた車が一旦止まり、運転手のおじさんが車から外に出て、その物体を両手で掴んで反対側の歩道に移動。すると今度は、歩道で歩いていた中国人の観光客が、その緑の物体の写真をバシャ、バシャと撮り始める。まあ、やさしい運転手のおじさんと、観光立県の沖縄における、和やかなうりずんの季節の風景だったのですが、僕は(多分一人)「ヤバい、外来種」「ミシシッピなんとかガメ」「ちゃーすがや〜(どうしよう)」。


   沖縄県立芸大の正門裏の茂みから外を見るミシシッピアカミミカメ(04/28/16撮影)

4月22日に東京の防衛省や環境省を訪問して、辺野古・大浦湾での新基地建設の為の県外からの土砂搬入に関係する外来種問題についても、要請交渉をしてきたばかり。「アルゼンチンアリの問題など、ちゃんと対応して下さい」と言った手前、目の前で外来種が動いているのに、何もしなくていいの、と自問自答状態に陥っていました。

僕の住んでいる名護では、沖縄で最も有名な外来種の一つであるマングースによく遭遇するのですが、大体はマングースは圧倒的なすばやさで目の前を横切って、視界から消えていきます。それで「環境省も県ももっと頑張らんと」と責任を国と県に押しつけることが可能です。しかしさすがに、ゆっくりと目の前を外来種が動いている状況。「おれ外来種、何とかしろ」と問いかけられているようでした。

で、僕が結局やったこと/出来たことは、環境省の那覇自然事務所に連絡し、状況を伝え、どうすればいいのか、と聞くこと。そして那覇事務所で対応してくれた職員も、侵略的外来種ワースト100でもある「ミシシッピアカミミガメですね」と種を確認してくれたのですが、担当者がいないということもあり、貰えたアドバイスは「車にひかれない場所に移動しておいて下さい」ということぐらいでした。

国立環境研究所のデータベースによると(情報はこちらから)、ミシシッピアカミミガメは、ペットとして輸入され、今では全国に広まっているとのこと。そしてその影響は「競合,捕食.在来のカメ類とは亜科もしくは科のレベルで異なるため,交雑のおそれはほぼない.ヒトへのサルモネラ菌の感染例がある」「影響を受ける在来生物:競合及び卵の捕食にさらされる在来淡水カメ類,及び食物となるさまざまな水動植物が影響を受ける」「農業被害:観賞用ハス、ジュンサイ、ヒシの食害」とのこと。


    ミシシッピアカミミカメの日本国内の分布図(国立環境研究所のHPより)

結局僕は、そのカメが芸大の正門裏の茂みに入り込み、そこから動かないのを確認した後、授業のために教室へ向いました。でも心の中では、琉球文化の象徴である世界文化遺産首里城の龍潭池(りゅうたんいけ)の周りに、ミシシッピという名前のはいる外来種のカメが増えたらどうするのかな、と、、。

「外来種は一度入ってくると、手の打ちようがない」ということを実感させられたような気がしました。

で、沖縄防衛局/防衛省、環境省に、辺野古・大浦湾への土砂搬入に伴う外来種問題どうすの、と改めて問いたいです。

H.Y.






  

Posted by 沖縄BD at 17:32Comments(0)

ジュゴンの食跡は確認、でも大浦湾はどこへいった?:シュワブ(H25)報告書

2016年04月25日 / 辺野古アセス/ 沖縄防衛局/ 環境監視等委員会/ 辺野古・大浦湾

以前に掲載した「事後報告書あいびたんどー(ありました)」の続きです(前の記事はこちらから)。赤嶺政賢衆議院議員の事務所の働きで開示されたた『シュワブ(H25)水域生物等調査 報告書』。3月18日には沖縄防衛局のHPで掲載されるようになりました(同報告書はこちらから)。

今回は同報告書を通して改めて明確になったジュゴンの問題に焦点を当てます。そしてその問題について4月21日に日本自然保護協会と一緒に行った沖縄防衛局との交渉、そして22日にSDCCで行った防衛省交渉の内容を踏まえて書いていこうと思います。交渉での重要なポイントは、沖縄タイムスと琉球新報でも取り上げてもらいました。ありがとうございました(タイムスの記事はこちら。新報の記事はこちら)。さて論点は4点あるのですが、まずは「シュワブ(H25)報告書」の内容についての2点から。以下示す図や表はすべて沖縄防衛局の環境アセスや事後調査の評価書や報告書から抜粋したものです。

***訂正:4月27日にこの記事を掲載して以来『シュワブ(H27)水域生物等調査 報告書』(シュワブ(H27)報告書)と記述してきましたが、正しくは『シュワブ(H25)水域生物等調査 報告書』です。4月29日以下「シュワブ(H25)報告書」として記述し直しています。混乱の理由は、調査に関する年度表記が、調査の実施はH26年度(2014年度)、報告書があがったのがH27年3月であること(同報告書でも平成27年3月と記載)、報告書のタイトルは『シュワブ(H25)』となっていることでした。

1. 基地建設予定地で確認されたジュゴンの食跡と沖縄防衛局/防衛省の見解について
77本の食跡

沖縄防衛局の「シュワブ(H25)報告書」では、2014年4月から7月までに合計77本の食跡が辺野古崎大浦湾側の基地建設予定地で確認されたことが報告されています。4月に13本、5月に28本、6月にも28本、そして7月に8本の確認です。これら多くの食跡の確認は、日本自然保護協会とチームザンが同時期に同海域で行った調査の結果を明確に支持するものであり、基地建設予定地がジュゴンにとって重要な餌場であることを改めて示してくれたといえます。(日本自然保護協会の2014年度の報告はこちらから)。





一方防衛局が2014年7月にボーリング調査を着手した以降、7月の8本の確認を最後に、8月以降の調査では同調査海域でのジュゴンの食跡は確認されなくなくなっています。ボーリング調査のジュゴンへの影響が懸念されます。

沖縄防衛局/防衛省の見解
今回の交渉で私たちが沖縄防衛局と防衛省に求めたのは、1) 77本という食跡の数値についての見解と、2) ボーリング調査着手以降に食跡が確認されなくなった事実についての見解でした。

しかし沖縄防衛局も本庁の防衛省も、明確な見解を示しませんでした。ただ防衛局が環境アセスで示した「ジュゴンは嘉陽の海草藻場は餌場として使っている、しかし辺野古は使っていない、という見解に変わりない」「調査結果に基づいて可能な限りの保全対策を講じていく」と繰り返していました。

その回答を受けて私たちは、以下の沖縄防衛局のデータを示して、さらに二つの質問を沖縄防衛局に投げかけました(防衛省ではこのやり取りはありません)。
1) 環境アセスの現地調査の際(2008年3月〜2009年2月)に沖縄防衛局が嘉陽において確認した食跡の数は、下の表が示すように、最大で一月「38カ所」であり、最小は一月「6カ所」であった。今回「シュワブ(H25)報告書」で示された建設予定地における食跡の数は最大で一月「28本」であり、これは嘉陽の数値と比較してみても少ないとはいえないのではないか。これらの数値を防衛局はどう考えるのか。


*環境アセス調査の開始である2008年3月の調査は上の表では第9回調査にあたり、2009年2月の調査が第20回にあたる。

2) 辺野古海域(大浦湾側を含む)における食跡の調査は、沖縄防衛局、環境省、NGOが10年ほどのスパンで行ってきているが、「辺野古海域」で食跡が確認されていないのは、基本的には沖縄防衛局が環境アセスの現地調査を行った年度とその前後の予備/事後調査の年度である。この状況を沖縄防衛局はどう考えるのか。アセスの調査結果をもって「辺野古が使われていない」とはいえないのではないか。



*沖縄防衛局の事後調査では、2012年度、2013年度、2014年度にも辺野古海域でジュゴンの食後は確認されている。日本自然保護協が作成した2004年から2013年までの辺野古・大浦湾海域でのジュゴンの食跡の表はこちらから

これらの質問に対して、沖縄防衛局も防衛省も結局は、「ジュゴンは嘉陽の海草藻場を餌場として使っているが、辺野古は使っていない、という見解に変わりない」「調査結果に基づいて保全対策を講じていく」と繰り返すばかりでした。

勿論、対応して頂いた防衛局や防衛省の職員は「専門家」「科学者」でもなく、これまでの政府の見解を繰り返す以外の対応はできなかったと思います。ただ沖縄防衛局や防衛省が今後やらなければならないことは明確です。それは、1) 従来の「辺野古は使っていない」という見解を妥当だとする沖縄防衛局や防衛省の専門家に説明責任を果させること、2) 環境保全の助言を行う「環境監視等委員会」にきちんと「シュワブ(H25)報告書」を提示し、それに基づいて真摯な議論をさせることです。私たちも沖縄防衛局と防衛省に対してそのように求めました。しかし後で詳しく書きますが、沖縄防衛局は「シュワブ(H25)報告書」ができて約1年の間、環境監視等委員会に対して同報告書を提示していません。今後、環境監視等委員会がどのように同報告書を検証し、対応するのかが注目されます。

2. 大浦湾はどこへいった?
基地建設予定地である辺野古・大浦湾でジュゴンが生息することを認めたくない沖縄防衛局や防衛省。そのために講じてきた沖縄防衛局の手法の一つが、調査結果を報告書にまとめる段階での海域の分類の操作処理です。この手法については、2009年に「辺野古沖からジュゴンが消えた!?」というタイトルで新聞で取り上げてもらい、また山内徳信参議会議員に国会でも追求してもらいました(山内徳信議員と防衛省のやりとりはこちらから)。これは、環境省の調査で、宜野座沖から辺野古沖へ移動し、辺野古沖で回遊していたジュゴンを、沖縄防衛局がアセスの準備書のなかで「宜野座沖」のジュゴンとして分類し、「辺野古沖からジュゴンを消した」問題です。

シュワブ(H25)報告書
今回の「シュワブ(H25)報告書」でも似たような手法が使われていると思います。なぜなら、防衛局はジュゴンの目視確認調査の結果を表や概要でまとめるにあたり、大浦湾で確認されたジュゴンをすべて「嘉陽海域」で確認されたと分類しているからです。

例えば下の図で示されている2014年5月21日に確認されたジュゴンの扱いです。図で分かるように、一頭は「嘉陽海域」で確認され、もう一頭は大浦湾で確認されています。図の説明表記も「嘉陽海域」「大浦湾」となっています。




しかしこれが下の表になると、確認海域は2頭とも「嘉陽海域」で確認されたとまとめられています。




ちなみに「シュワブ(H25)報告書」における確認海域には、「大浦湾」という海域分類は存在しません。あるのは「嘉陽海域」と「古宇利島海域」だけです。

環境アセス評価書でもそうだった、、。
この分類の問題は、環境アセスの「評価書」に遡ってもみることができます。例えば、2008年9月10日の環境アセスの現地調査で、大浦湾のど真ん中で確認されたジュゴン。これは評価書の以下の図でも「嘉陽沖」で確認されたジュゴンとして扱われています。



そして「評価書」の数年に渡るジュゴンの確認表でも「嘉陽沖」のジュゴンと扱われています。ちなみにこの表でも大浦湾はありません。あるのは、「嘉陽沖」「辺野古沖」「金武湾〜宜野座沖」「古宇利島沖」「その他の海域」だけです。




大浦湾を嘉陽海域に含めてまとめると、確かに「ジュゴンは嘉陽海域を利用している、辺野古はあまり利用していない」という主張がやり易くなるのかもしれません。しかし大浦湾と嘉陽海域は別のものとして分類され、分析されるべきです。

沖縄防衛局/防衛省の対応
さて今回の沖縄防衛局と防衛省の交渉では、1)なぜこのような海域の分類になるのか。大浦湾と嘉陽海域は違うのではないか。2)このような分類を用いて、ジュゴンが辺野古を使っていないとする議論は問題ではないか、という質問を投げました。

防衛局は、アセスの評価書や補正評価書、シュワブ(H25)報告書を含む事後調査の報告書でも、「図では大浦湾も示している」「細かい記述では大浦湾と書いている」と回答していました。しかし、なぜ大浦湾を嘉陽海域に含めるのかということについては、防衛局も防衛省も何も答えられませんでした。というか、困っていたと思います。

今回対応して頂いた防衛局や防衛省の職員が、海域の分類について見解を述べることができなかったのはしょうがないと思います。科学的かつ論理的根拠が見つけにくい分類の仕方だからです。今後、防衛局と防衛省は、1) 環境アセスの評価書/補正評価書や事後調査の報告書において、大浦湾で確認されたジュゴンはすべて大浦湾での確認と分類し直すこと、2) その海域の分類に基づいて、基地建設のジュゴンへの影響を評価すること、3) そしてそれをきちんと環境監視等委員会や米軍に報告して議論してもらうことが必要です。私たちも防衛局と防衛省に対してそのように求めました。

沖縄防衛局の環境アセスや事後調査の報告書において、まとめの表や海域分類から消えた「大浦湾」。もしそれが許されるならば、「大浦湾わんさかパーク」という地域施設の名称や、「大浦湾生き物マップ」というブックレットのタイトルも、「嘉陽海域わんさかパーク」や「嘉陽海域いきものマップ」に変えないといけないのではないか、と突っ込みたくなるのは私だけではないでしょう。

ひとまずここまで。
H.Y.



  

Posted by 沖縄BD at 19:32Comments(0)

やんばる国立公園計画へのパブリックコメント

2016年03月29日 / パブコメ/ やんばる/ 世界自然遺産/ 国立公園

去った3月27日は、環境省が中心となって進めているやんばるの森の国立公園化についてのパブリックコメント(意見書)の締め切り日でした(沖縄BDの記事はこちらから)。パブコメの対象となったのは「やんばる国立公園(仮称)指定書(環境省原案)」「やんばる国立公園(仮称)計画書(環境省原案)」。沖縄BDは、他の環境団体や市民団体のパブコメに賛同する形で、またBDメンバー個人でのパブコメの提出となりました。一番下に環境団体/市民団体のパブコメのリンクやpdfファイルを紹介しています。

添付したパブコメでは、多くの問題点や懸念が示されていますが、それは次の4つに分けられることができます。
1) 特別保護地区、第1種保護地域が、あまりにも狭過ぎる!これでやんばるの生物多様性豊かな環境が保護できるの? この狭さでいいとする根拠は?

2) 北部訓練場や高江のオスプレイパッド建設について触れていない! 環境省また/まだ弱腰?

3) 世界自然遺産への言及無し!「国立公園は世界遺産登録にむけての第一歩」って、あれだけ言っていたのに、なぜ言及しないの?

4) 保護区域/地区の現状の説明が不十分!特に区域/地区が現在どのように利用されているのかが分からない! 概要の説明を読むと、なんかエコツアーだけに利用されているような印象を受ける。でも伐採とか、林道建設とはかはどうなっているの?この情報量でパブコメを書けというの?

結論は「やり直しを!」です。

なぜ「説明が不十分」なのか。以下の図を比較してみると分かると思います。
まずは、環境省が今回出した「やんばる国立公園(仮称)の指定及び計画決定案の概要」にある国立公園のゾーニングを示した図。いくら概要版とはいえこの図ではあまりにも雑。同概要版はこちらから



次に環境省が今回出した「やんばる国立公園 区域及び公園計画図1」。保護区域/地区を線で示しています。非常に細かいのですが、pdfファイルでは拡大も可能です。でも伐採や北部訓練場についてはなにも見えてこない。「やんばる国立公園 区域及び公園計画図1]はこちらから。「やんばる国立公園 区域及び公園計画図2」はこちらから



次に沖縄タイムスが紙面で掲載した国立公園のゾーニングの図。多分、環境省の「概要版」の図を基に自ら作成し直したと思います。「公に伝える」というのが新聞の使命の一つなので、分かり易くなっています。「北部訓練場」という言葉もはいっています。沖縄タイムスの記事はこちらから



次に林野庁の「森林環境保全整備事業 概要図」です。国立公園予定地内の林業の様子、伐採や林道の建設、木の育成などが少しは見えてきます。この概要図が掲載された資料では、世界自然遺産登録については言及されていますが、北部訓練場への言及なしです。概要図でもただ白く示されているだけ。なんだかな〜という感じです。その資料はこちらから



そして沖縄県の「やんばる型林業推進」施策方針案(2013年3月)で示された林業のゾーニングの図です。そのなかで「自然環境保全区域中核部」(濃緑)は、「原生的自然林を維持・継承するエリア」と定義づけられていて、「中核部」は、国立公園の「特別保護地区」の部分とほぼ重なります。これは北部訓練場の半分が返還されたことを前提としてのゾーニングとなっているので、「特別保護地区」は790haなのですが「中核部」の面積は1.739haとなっています。国立公園予定地と北部訓練場との関係が見えてくる図です。この政策方針はこちらから



最後に「やんばるあかひげ」さんのサイトをこちらかご覧下さい。環境省の国立公園「指定書案」や「公園計画書案」では見えてこない、やんばるの森の現状が分かります。




環境省による「やんばる国立公園」の取組みの今後の日程は、以下のように予定されています。
  平成28年4月   提出された意見を取りまとめた上、公表
  平成28年6月   中央環境審議会に指定及び決定案を諮問・答申
  平成28年7月   中央環境審議会の答申を踏まえ、指定及び決定内容を官報告示
みんなで注視し、意見を述べていきましょう。


パブコメのリンク、pdfファイル等

日本森林生態系保護ネットワーク、やんばるDONグリーズ、NPO法人奥間川流域保護基金のパブコメのリンクはこちらから。(沖縄BD連名)

「ヘリパッドいらない」住民の会と高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会のパブコメのリンクはこちらから

辺野古・高江を守ろう!NGOネットワークのパブコメはこちら。
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WWF ジャパンのパブコメのリンクはこちらから

NACS-Jのパブコメはこちら。
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沖縄BDメンバーのパブコメはこちら。
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Posted by 沖縄BD at 10:47Comments(0)

やんばる地域の国立公園化計画の問題点の意見書を発表しました

2016年03月26日 / 高江/ やんばる/ 世界自然遺産

2月27日、環境省は、世界自然遺産「奄美・琉球」(鹿児島県・沖縄県)の前提となる沖縄本島北部のやんばる地域を国立公園化する方針を発表しました(環境省ウェブサイトのこちら)。
 
沖縄BDは、3月23日自然保護団体・やんばるDONぐり~ず、日本森林生態系保護ネットワーク等と連名で、意見書「やんばる地域の国立公園化計画の問題点」意見書を発表しました。

意見書は沖縄合同法律事務所のこちらと下の埋め込みで読むことができます。

報道はこちら:
沖縄タイムス やんばる国立公園「狭すぎる」 環境団体が意見書(2016.3.24)
琉球新報 やんばる国立公園 特別保護区「狭い」 自然団体、再考促す(2016.3.24)
QABやんばる国立公園化計画  反対声明 (2016.3.24)   

環境省は〆切明日!ですが「やんばる国立公園(仮称)の指定及び公園計画の決定に関する意見の募集(パブリックコメント)」中です。
環境省ウェブサイト やんばる国立公園(仮称)の指定及び公園計画の決定に関する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ)

意見提出期間
平成28年2月27日(土)から3月27日(日)までの30日間
意見提出先
環境省自然環境局国立公園課
意見提出方法
ア 郵送の場合: 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 ※締め切り日当日消印まで有効
イ FAXの場合: 03-3595-1716
ウ 電子メールの場合: shizen-kouen[at mark]env.go.jp
 


     意見書に掲載された皆伐の写真

2016.3.24意見書(国立公園)

  

Posted by 沖縄BD at 22:42Comments(0)

辺野古新基地建設「和解案」に対する沖縄BDの声明

2016年03月11日 / 辺野古・大浦湾/ 声明/ 裁判

2016年3月10日、沖縄・生物多様性市民ネットワークは、日本政府と沖縄県による辺野古新基地建設埋め立て承認取り消し関わる裁判所の「暫定和解案」の受け入れに対して「声明」を発表しました。声明のpdfファイルは下に添付してあります。


         日テレNEWS(web版)より(2016年3月4日)

声明を紹介する前に一言
今回の「和解案」の受け入れについては、沖縄BDの中でも様々な意見、見解、評価があります。日本政府へは信用がおけないということで一致していますが、翁長県知事/沖縄県の受け入れについては、意見、見解、評価が分かれるところです。工事自体を中止させたことや、警察や海上保安庁からの抗議行動に対する暴力的対応をさせない状況を作ったことへの評価。一方、沖縄県はなぜ現行の裁判で最後まで闘わないのかという疑問や、「協議」できちんと闘えるのか懸念、等々。

大切なことは、1) 和解の「協議」に透明性を持たせること、2)「協議」に県民や市民が何らかの形で関与できる仕組みを設置すること、3) 「協議」において環境の議論をきちんと行うこと。手続きの透明性、市民参加、科学的見地からの議論、これが辺野古新基地建設を20年近く止めてきた「公式」だと思います。以上を踏まえての私たちの声明です。

声明文はここから↓


沖縄・生物多様性市民ネットワーク
2016.03.10

辺野古新基地建設埋め立て承認取り消し裁判
「暫定和解案」受け入れに対する沖縄BDの声明


 2016年3月4日、辺野古・大浦湾における米軍基地建設計画について、福岡高等裁判所那覇支部が提示した「暫定和解案」(和解案)を日本政府と沖縄県が受け入れた。日本政府は、建設工事を直ちに中止することに同意し、双方は辺野古新基地建設への解決を目指して協議を行うことに同意した。またこの数ヶ月の間に辺野古新基地建設を巡り双方が互いを告訴した3つの裁判を一つにすることに同意した。そして双方は、協議が合意をもたらさない場合は、裁判所の最終判断に従うことに同意した。

 しかしその3日後の3月7日、日本政府、国土交通省は、翁長雄志沖縄県知事に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示した。

 私たち沖縄・生物多様性市民ネットワークは、この和解案とそれに関わる日本政府と沖縄県の一連の動きを、大いなる警戒心と決意を持って注視しており、以下の見解を表明する。

 私たちは、日本政府が辺野古新基地建設を普天間飛行場の問題を解決する「唯一の案」と固執していることに大いなる危機感を抱いている。日本政府による和解案の受け入れは、参議院選挙や沖縄県議会選挙のための政治的ポーズだとも言われている。私たちは、選挙が終わると同時に、日本政府は何らかの理由をつけ、建設工事を再開するのではないかと懸念している。また日本政府が、和解案を受け3日後の3月7日に、翁長雄志沖縄県知事に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示したことは、これは協議へ臨む態度ではなく、新基地建設を強行する態度以外のなにものでもない。「辺野古案」の固執が、四面楚歌の状況を作り上げ、協議の決裂へと繋がることを日本政府は認識すべきである。

 私たちはまた、日本政府の言う工事の中止が、辺野古新基地建設に関わる全ての工事の中止を意味すると明言されていないことに危機感を抱いている。例えば、同基地建設計画は、辺野古・大浦湾の埋め立てを前提としており、埋め立てのために沖縄や日本各地から土砂が採取され、調達されることになっている。日本政府はそれらの採取工事や調達を中断するかは明確にしていない。日本政府、沖縄県、そして裁判所は「工事の中止」とは、同基地建設計画に関わる全ての工事の中止を意味すると明確にすべきである。

 私たちはまた、日本政府と沖縄県の「協議」が透明性を欠いたものになる可能性と、沖縄県民や市民の声が協議へどのように反映されるかが明確にされていないことに危機感を抱いている。沖縄県は、県民や市民の大いなる関与があり、辺野古新基地建設がこれまで止まってきたことを再認識する必要がある。さらに日本政府と沖縄県は、同建設に関する協議を秘密裏にしてきたことが、県民や市民の日本政府と沖縄県に対する更なる不信感と、同建設への更なる抵抗に繋がってきたことを再認識する必要がある。日本政府と沖縄県は、協議の透明性を確保し、県民や市民の声を協議に反映させる方法を確立すべきである。

 私たちはまた、日本政府と沖縄県による協議が決裂した場合に出される司法の最終判断が、辺野古・大浦湾の自然環境とそこに住む人々の暮らしを守るものになるのかどうかを懸念している。そして、その判断が沖縄の人々により尊重され、受け入れられるものになるかを懸念している。地方自治法に基づく沖縄の自治権が保証されるのかを懸念している。私たちのこの懸念は、日本の司法判断が、過去において多くの場合、中央政府寄りの判断をとってきたことに起因する。辺野古新基地建設問題の解決にあたっては、民主主義の原理と価値と手続きが尊重されなければならない。辺野古・大浦湾の自然環境と人々の暮らしを守るため、更なる訴訟を含めた様々な民主主義の手続きや行政手続きがとられる可能性を日本政府は直視しなければならない。

 私たちは、和解案が履行されるにあたり、辺野古・大浦湾の自然環境が再び常態に戻れるよう、日本政府、沖縄県、そして裁判所は保証すべきだと考える。ボーリング調査の船舶やオイルフェンス、そして海上での抗議行動の妨げとなる「臨時制限区域」を示すフロートやブイを海上から即時撤去すべきであり、絶滅危惧種のジュゴンやウミガメを含む海洋生物へ、生物多様性豊かな海を再開放すべきである。

 私たちはまた、和解案が履行されるにあたり、警察や海上保安庁からの暴力的対応を恐れることなく、市民が辺野古新基地建設と工事に反対する意志表明を行うことができるよう、日本政府と沖縄県は保証すべきだと考える。

 私たちは、日本政府と沖縄県の協議が履行されるにおいて、辺野古・大浦湾の自然環境と基地による影響についての科学的報告や評価についての徹底的な検証がなされるべきだと考える。そのような科学的報告や評価は、NGOから提供されるものも含まれるべきである。

 私たちは、沖縄の環境NGOとして、私たちの環境に関する主張が正しいものであることを広く認識させていくことを決意する。辺野古・大浦湾の自然環境は、沖縄にとって、そして世界にとって宝であり、この基地建設はその環境を確実に破壊するものである。私たちは、辺野古・大浦湾の環境を守るため、そしてそこに住む人々の暮らしを守るため、新たな基地建設を止めるまで闘うことを決意する。

連絡先: 沖縄・生物多様性市民ネットワーク http://okinawabd.ti-da.net/
    共同代表 吉川秀樹  yhidekiy@gmail.com 090-2516-7969


声明文のpdfファイル版はこちら→%E6%B2%96%E7%B8%84BD%E5%A3%B0%E6%98%8E%EF%BC%8F%E5%92%8C%E8%A7%A3%E6%A1%88%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A63-10-16.pdf (PDF: 83.45KB)
  

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北谷町議会陳情:3/11経済工務委員会に付託・陳情者も出席します

2016年03月10日 / 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定/ ダイオキシン/ 北谷町

  2月19日、北谷町に「北谷町上勢頭地区における有害物質検出問題に対する北谷町対応についての陳情」を提出しました。

町議の方への「議員配布」となって、議会で問題をとりあげてくださる議員がいれば、と思って提出したところ、思いがけず経済工務委員会に付託され、私たちは委員会で、陳情の趣旨などを述べる機会を与えられました。



 経済工務委員会でこの問題がとりあげられるのは、3月11日(金)15:00-16:30です。

 陳情書は下記のとおりです。沖縄防衛局の説明会があったために、報道でも北谷町の責任にはあまり焦点が当てられていませんが、地権者の補償や救済のためにも、この問題発生からこれまでの検証が必要と思われます。
 跡地利用法の不備の問題として、嘉手納基地周りの跡地の問題としても問題提起をしたいと思います。
 
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2016年2月19日

北谷町議会議長
田場 健儀殿

 
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
共同代表/ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
 TEL/FAX:098-897-0090 
  (連絡先masamimel.k@gmail.com 070-5482-0084)

北谷町上勢頭地区における有害物質検出問題に対する北谷町対応についての陳情

                
2015年11月の報道で明らかになった、米軍跡地の北谷町上勢頭地区宅地からの有害物質検出が問題となっています。

私たちは、米軍跡地汚染問題に取り組んできた環境NGOとして、沖縄防衛局、北谷町、沖縄県へ情報公開の要請(「北谷町における有害物質検出問題に対する対応について―情報公開と住民説明会の実施のあり方―(要請)」2015年11月26日)や、去った2016年1月31日の住民説明会の検証を行ってきました(2016年2月17日沖縄防衛局、北谷町、沖縄件等に送付)。

このような取り組みの中、返還後、跡地の再開発等で発覚する汚染に対処する法・制度が不備な状態で、個人が2010年から、現在に至る長期間、問題を抱えることとなった原因について検証し、しかるべき救済の実現に向けて行政が動くことが急務であると考えます。これは返還跡地の問題を持つ自治体が共有する問題として認識する必要のある重要な問題です。

私たちの検証作業の中で、北谷町のこの問題に対する対応に対する疑問点、問題点が浮上しています。

基地返還前に米軍が原状回復義務を逃れている問題から、キャンプ桑江北側では、汚染の蓋然性のあるところのみ実施された調査でも、引き渡し後の区画整理や宅地開発でも米軍廃棄物や汚染が発見されています。北谷町が、そのような米軍基地に起因する環境汚染の被害、および浄化の難しさに直面してきたことは周知されています。しかし、そのように、汚染の蓋然性が低いと予測された返還地の調査でも、汚染が隠れている可能性が高いことを認識する自治体として、日本政府に跡地利用特措法の改正等の要請を北谷町は行ってきた一方で、同時期に、町有地を等価交換(売買)する個人には、「返還前に土地は浄化済みとの前提があり、住宅建築は問題ないと考えた」(沖縄タイムス2016年2月10日)と対応したことは、国と町民への対応、政策が二重基準の上にあったのではないかと思われ、説明の必要があると考えます。
また、地権者に対する北谷町の対応にも差があったことも、説明が必要であると考えます。

住民説明会に関しても、開催形式や、北谷町の位置づけについて大きく疑問視されています。

返還跡地の問題を検証し、解決への道を考えていくため、また、同様の例の再発防止、対策を考えるためにも、以下の件について、陳情いたします。 

1.問題発生から現在まで、北谷町がどのような対応をしたのか、個人のプライバシーの侵害や利益の損害のない範囲で詳細に述べてください。以下の点を含むこと。

1) 2010年、最初に当該宅地で問題が発生した時に沖縄防衛局に連絡をしたのか。

2) 2012年、隣接地でボーリング調査を実施して廃棄物が発見された時に、日本政府には連絡したのか。

3) 隣接地の等価交換(売買)時について
①2012年1月のボーリング調査について、結果も含め、当該宅地地権者、隣接地地権者等に説明したのか。その時の説明は、書面で行っているのか、口頭で行っているのか。
②1月に調査をして廃棄物が発見され、2月には売買をしているが、その間の町の対応について。
③廃棄物、周辺土壌の処理は誰がどのように行ったのか。その費用はどこが負担したのか。

4) 地権者の対応の差について
  隣接地で廃棄物が発見時に日本政府に報告していないならば、なぜ今回問題になっている当該宅地は、沖縄防衛局に連絡しているのか。当該地が米軍跡地であることは、隣接地でも共通の前提条件である。米軍に起因するものであることにより、日本政府の処理責任が生じるという判断基準があるならば、なぜ北谷町の地権者への対応に差が生じるのか。

5) 当該地が米軍跡地のゴミ捨て場であることは、北谷町の調査によって把握されたはずであるが、いつ誰が、どのような形で把握し、どのような資料を沖縄防衛局に提出したのか。

2.これまでの北谷町が実施した調査について以下の件を説明してください。

1) 「上勢頭第二土地区画整理事業」(1996-1999)がどのような作業であったか、その事業計画において、土壌汚染の状態を把握する調査がされているのかについて。

2)2012年1月の隣接地の調査について
 ①どのような調査を実施したのか。
②結果はどのようなものであったか。
③住民説明会では、この調査で東側の部分に廃棄物層が厚いという結果が判明したという説明をしていたが、それはどの部分なのか。
④当該地権者にも説明したのか。 

3)2012年5月の当該宅地の調査について
①どのような調査を実施したのか。
②悪臭が発生していたこと、事前の調査でも廃棄物の存在が確認されていたことから、成分調査がされていてしかるべきであると考えられるが、サンプルは採っているのか。
③採っているならば、サンプルの成分分析は実施したのか。あるいは沖縄防衛局に依頼したのか。その結果はどうであったか。
④2012年9月に沖縄防衛局にこの調査をもって、どのような要請を行っているのか。

3. 北谷町は、キャンプ桑江北側返還後(2003年返還)、特定有害物質が検出され、さらには2004年の引き渡し後も米軍廃棄物や汚染が確認されるという返還地の環境被害の経験がある。その経験があるにも関わらず、2012年に個人に「返還前に土地は浄化済みとの前提があり、住宅建築は問題ないと考えた」(沖縄タイムス2016年2月10日)という認識で、個人には土地の売買をしたのはなぜか、説明をしてください。

4. 2012年の調査から、2015年までの沖縄防衛局、北谷町の対応について説明してください。
琉球新報で報道されている「北谷・米軍返還地 庭球場からも廃棄物 町、分析せず再開」(2016年2月19日)の件など周辺状況の対応も含めて説明してください。

5.住民説明会について

1)この問題については、北谷町が当初対応したのにも関わらず、説明会は、沖縄防衛局主催になっています。沖縄防衛局が担当しているのは、2015年の調査のみであり、それまでの調査経緯も含めた北谷町の説明部分がなく、北谷町の責任が見えない説明会となっています。今後は住民の安全を守る自治体の立場として北谷町が主催者となり、住民の要望(2016年1月31日琉球新報記事参照)を受け、公開の形で開催してください。

2) 「旧嘉手納飛行場(上勢頭)における土壌等調査に関わる説明会 検証」(沖縄・生物多様性市民ネットワーク2016年2月17日)(添付)で述べたとおり、調査、説明、追加調査とも問題点が多く挙げられています。追加調査は、設計段階で予定を公表し、住民、第3者の専門家の意見をとりいれてから実施してください。

6. 跡地利用特措法が適用されない事例(沖縄市サッカー場の件など)が相次いでおり、沖縄県、関係自治体、日本政府と早急に、対策について協議してください。

7. 沖縄市サッカー場の件も嘉手納基地の返還跡地の窪地であったことなどを考慮し、嘉手納基地周りの返還跡地でこのような事例が発生する可能性がないか等を「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」で検証し、対応策を協議してください。

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事後調査報告書あいびたんどー(ありました)!台風の影響、ジュゴンのことなど1

2016年03月05日 / 辺野古アセス/ 辺野古/ 環境監視等委員会/ 辺野古・大浦湾

前回のブログでは、2014年の事後調査の報告書が開示されたこと、そしてその開示の過程で見えてきた問題点を3点書きました。開示してもらった報告書は本編717ページあり、内容についてはまだまだ検証できていませんが、この時点で気付いたことを何回かに分けて書いてみます。ジュゴン関連で書いていくつもりですが、どうしても気になった部分があるのでまずはこれから。


          シュワブ(H26)水域生物等調査 報告書 P455


台風の影響についての報告
毎年台風を経験する沖縄での水域生物調査で、台風の影響を考慮することは大切です。沖縄防衛局の事後調査の報告書でも台風の影響についての記述があります。

前回出されている「シュワブ(H24)水域生物等調査 報告書」では、2013年10月に沖縄に接近、通過した台風25、26、27号のサンゴへの影響について「大型台風通過後のサンゴ類の撹乱状況」として記述があります。調査対象の「全ての地点において、台風通過後にわずかな損傷(全体被度の1%未満)がみられた」となっています(「シュワブ(H24)」におけるサンゴへの台風の影響の記述はこちらから)。

今回開示された「シュワブ(H26)水域生物等調査 報告書」では、2014年10月に沖縄を通過した台風18、19号による、サンゴと海草藻場両方への影響について言及されています。

サンゴについての記述は、大浦湾口部の群集で「損傷したサンゴの被度は周辺全体の5%未満であった」大浦湾東部のアオサンゴ群落では「影響を受けたサンゴの被度は周辺全体破度の1%未満であった」等です。


           シュワブ(H26)水域生物等調査 報告書 P457

一方海草藻場については「調査の結果、辺野古リーフ内で台風の影響はみられなかった」です。(P492)

台風で移動したアンカーの影響は?
しかし2014年10月に問題となった、台風によるアンカーやワイヤー(ボーリング調査のためのブイやフロート設置のために使用)の移動や、その移動によるサンゴへの損傷については全く触れていません(琉球新報の記事はこちら。その後の展開については沖縄BDのブログ記事はこちら)。市民団体によりアンカーによるサンゴの破損が発覚したのは10月15日と17日。沖縄防衛局がサンゴへの台風による影響の調査をした日は10月18日。アンカーやワイヤーからのサンゴへの影響の可能性を考えて、その時点でなぜ調査しなかったのか。それとも行っているのに報告していないのか。疑問が残ります。

興味深いことに、海草藻場へのアンカー痕跡については、10月から11月にかけて調査され、以下のように報告されています。しかしここでは、なぜか、台風とアンカーの移動の関係については明確には触れられていません。

            シュワブ(H26)水域生物等調査 報告書 P488

(台風で)アンカーが移動することより海草藻場に与えた影響は調査して、サンゴについては調査していない。調査の一貫性や統合性に疑問がでてきます。それはなぜなのか(知事からの岩礁破砕許可と直接関係するので、サンゴやサンゴ礁については調査しなかったのか等、憶測が、、、)。

保全措置のためという事後調査の目的を見失ってはいないか。その目的に適った調査実態になっているのか。今回開示された報告書のこの部分は、事後調査全体を問い直す材料になっていると考えます。
  

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事後調査報告書が出てきたよ!!!

2016年03月04日 / 辺野古アセス/ 沖縄防衛局/ 辺野古/ 環境監視等委員会/ 辺野古・大浦湾

「和解受け入れ」と事後調査の報告書
辺野古新基地建設を巡り沖縄県と日本政府が裁判で争っていますが、本日裁判所が提示した「和解案(暫定案)」に国と県が応じるとのニュースがありました(毎日新聞のリンクはこちら沖縄タイムスのリンクはこちら琉球新報のリンクはこちら)

今後国は工事を中断し、国と県が協議のテーブルにつくことになります。国はあくまで辺野古新基地建設を固持していますが、翁長知事も建設反対の立場を貫いていくとしています。和解受け入れに関しては様々な見解があると思います。しかし現場で抗議行動をしてきた人々が少しでも休めることは本当に良かったと思います。私たち環境NGOも、この機会を利用して、この無謀な新基地建設がもたらす環境問題を国内外にしっかり訴えていきます。


「シュワブ(H25) 水域生物等調査 報告書」のファイルで画面がうまっているMacBook

さて前回のブログで、2014年に行われた事後調査の水域生物調査の報告書が未だに出てきていないこと書きました。その後すぐに、赤嶺政賢国会議員の事務所に協力をお願いして、防衛省へ報告書の提出を求めてもらいました。その結果「シュワブ(H25)水域生物等調査 報告書」という2014年の事後調査の報告書が膨大なファイルpdfで入手できました。ただしジュゴンの食み跡の詳細な写真が掲載されている「資料編」は、まだマスキングや調整などが終わっていないので出せないとのこと。とにかく、赤嶺議員と事務所のスタッフに感謝、感謝です。

報告書の膨大なファイルは、来週中にも防衛局のHPで掲載されることを期待し、ここではまず今回の報告書の開示の過程から見えたことについて3点書きます。

1) 報告書公開の遅滞、でも米軍にはすでに公開
2014年の事後調査の報告書を公開しない理由について沖縄防衛局は、貴重種の生息場所についてのマスキングや、その他の重要な情報の公開について調整するため、と説明していました。しかし「報告書」はコンサルの「いであ」社により2015年3月までには防衛局には提出されていたようです。すると、マスキングや調整を1年以上もかけたことになります。そんなに沢山の情報を隠さなければないとは、、、それだけ貴重な種が生息する環境をなぜ壊すのか、、、。私たちにさらなる不信感を与えています。

ところで防衛省は、2015年6月に米軍へ報告書を「手交」し、その際に概要を説明した、と赤嶺議員の事務所に報告しています。沖縄県には報告書を提出せず、私たち市民には公開を拒み、自らが設置した環境監視等委員会にも見せていない(?)(資料として提出された形跡が議事録等になし)。しかし米軍には公開している。防衛省がどこに向いて、何を考えているのか、全く疑問しか出てきません。ちなみにそのようなやり方では結果的に米軍側へも迷惑になることを防衛省はそろそろ気付くべきでしょう。

2) 沖縄防衛局は本庁(防衛省)からきちんとした情報を与えられていない?
2016年1月のSDCCの要請交渉において、沖縄防衛局は、米軍側への報告書の提出や、それに基づいた米軍との協議が行われているのか、という質問に答えることはできませんでした。しかし防衛省は2015年6月には米軍に報告書を手交していた。何とも言えない情報の乖離です。

私たちは、本庁から沖縄防衛局に対して、きちんと情報が伝えられているのかどうかを大きく懸念しています。沖縄防衛局は、沖縄県の嘉手納町にあり、米軍基地が集中する沖縄においての沖縄の市民や県への対応の窓口です。沖縄防衛局が、本庁よりきちんと情報を与えられていないまま対応を任されているのであれば、私たち市民は勿論、沖縄防衛局の職員さえも軽視していると言わざるを得ません。

3) 事後調査の中間報告やアップデートを
今回の事後調査については、履行期間が2013年11月から2015年3月となっています。約17ヶ月かけて、調査を行い報告書を作成していることになります。報告書は平成27年(2015年)3月付けで出されています。

大掛かりで詳細な調査を行っているので、全体的な報告書の作成には時間が必要なことは分かります。しかしだからといって調査で明らかになった重要な情報を一年以上も外に出さないのは大きな問題です。

事後調査は、環境アセスにおいて「予測の不確実性の程度が大きく」また「効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講じる」ので行われているのです(環境アセス「評価書」の事後調査の部分はこちらから)。事後調査の結果が適時に、環境監視等委員会や沖縄県や市民に公表され、それが計画や工事に反映させられなければ、事後調査の本来の意味を成しません。税金の無駄使いといってもいいでしょう。

事後調査で出てきた結果を、「中間報告」や「update」という形で適時そして継続的に出させるように、沖縄県も、環境監視等委員会も、議員も、市民も沖縄防衛局に求めていきましょう。

  

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防衛局交渉より:出てこない事後調査報告書(まーにあいんばーがやー?)

2016年03月01日 / 辺野古アセス/ 沖縄防衛局/ 辺野古/ ジュゴン訴訟/ 辺野古・大浦湾

去った1月25日にジュゴン保護キャンペーンセンターが行った沖縄防衛局との要請交渉の報告の第3回目です。僕はSDCCのメンバーでもあるので要請交渉に参加しました。そして沖縄BDのブログで2回にわたり、ジュゴンの保全措置としての「海草藻場の移植」や「ジュゴン監視・警告システム」問題点について書きました。

今回は交渉において私たちが追求した、沖縄防衛局の平成26年度(2014年度)の「事後調査」に関する報告と考察です。米国の第9巡回控訴裁判所で控訴の手続きに入っている「ジュゴン訴訟」との関連も含めて書きます。


                     ©環境省

2014年度(H26年度)の事後調査の報告書を出してこない沖縄防衛局
沖縄防衛局は、環境アセスの終了後も、ジュゴンを含む水域生物や陸上生物について「事後調査」や「環境監視」を継続して行っています。これは環境アセスの補正評価書において「予測の不確実性の程度が大きい場合」や「効果に係る知見が不十分な環境保全措置を講じる場合」に、工事中や供用後の環境状態を把握するためのものとして行われているものです(環境アセス「評価書」の事後調査の部分はこちらから)。

「評価書」で示された事後調査の重要性は、その後開催された「有識者研究会」でも再確認され(有識者研究会の最終報告書はこちらから)、有識者研究委員会の助言が環境アセス「補正評価書」にもある程度反映されました。そして、仲井真前知事が基地建設のための埋め立てを承認(沖縄県と国が裁判で争うことになっている原因)した後も、その承認の条件として設置された「環境監視等委員会」により、事後調査等の結果を反映させながら環境保全の措置が講じられることになっています。

今回の要請交渉で私たちが沖縄防衛局に追求したのは、なぜ2014年度の事後調査の報告書がこの段階まで出てこないのか、ということ。2014年といえば、その5月〜7月にはチームザンやNACS-Jにより基地建設/埋め立て予定地やその周辺の海草藻場で100本以上のジュゴンの食み跡が確認された年です(NACS-Jの報告はこちらから)。それゆえその年の防衛局の事後調査でも同じようにあるいはそれ以上に食み跡が確認さているはずです。その事後調査の報告書がなぜでてこないのか、早く公開してもらいたい、という追求でした。

しかし防衛局は、まだ「報告書の内容を精査中」「調整中」ということで、公開する段階ではないと回答。防衛局は同じ回答を2015年6月からSDCCや他の環境団体に対して繰り返しています。

確かに建設予定地やその周辺の海草藻場でジュゴンの食み跡が100本以上確認したという内容の事後調査報告書は、基地建設を強行したい防衛局に対しては非常に都合の悪いものかもしれません。同域のジュゴンによる利用は限定的である、それゆえ基地を作ってもジュゴンに影響がない、という防衛局のアセスの結論や予測に全く矛盾するものですから。

しかし事実は事実として示し、それに基づいて、環境アセスの予測の問題点を認め、保全措置や計画自体の変更に反映させるべきです。それが事後調査の意義であるはずです。

ちなみに、環境アセスの調査後に行われた水域生物、陸上生物についての事後調査についての報告書は、調査の行われた年度の年度末3月から9ヶ月後の12月には提出されています。以下を参照して下さい。


           事後調査の「報告書」が提出された年と月


また「シュワブ(H24)水域生物調査等調査 報告書」については、実際の調査の期間は平成25年(2013年)の4月から11月まで行われていますが、その調査報告書は2014年3月付けで出されています。また2014年5月には防衛局のHPで掲載されています(シュワブ(24)の報告書はこちらから)。

以上を考えると、2016年のこの段階で、2014年に行われた事後調査の報告書がまだ出てこないのは、何か裏があるのではと考えてしまいます。

2014年度の事後調査を米軍へ提出しているのかについて回答しない沖縄防衛局
沖縄防衛局が行う事後調査のなかでも、ジュゴンについての事後調査の結果については、米軍と情報を供用することが大変重要です。なぜなら米軍側も、もし新基地建設/埋め立て予定地やその周辺でジュゴンの常在が確認されれば、米軍は日本政府と協議をし、ジュゴンへの影響を軽減するための措置をとる、と明言しているからです。これは米国のジュゴン訴訟と関係しています(下の部分で少し詳しく説明します)。

そこで今回の要請交渉において私たちは、沖縄防衛局は2014年度の事後調査の報告を米軍に行ったのかを追求しました。ジュゴンの食み跡が100本以上も確認されてたことを沖縄防衛局として米軍に報告しているのか、報告書を提出しているのか、という追求です。

防衛局の職員は、この問題は米国政府との関係があるので、防衛省本庁に問い合わる必要がある、本庁に問い合わせて、回答するのかどうかも含めて協議して、私たちに回答するとのことでした。

勿論上記したように、日本国内においても2014年度の事後調査の報告書は出ていないのが実状です。しかし、沖縄防衛局は国内では出していない資料や報告書も米軍には提出していることがこれまでもありました。実際、上記した「シュワブ(H24)水域生物等調査 報告書」は、私たち市民が目にする以前に米軍に提供されていました。この報告書では、ジュゴンの食み跡が基地建設/埋め立て予定地で、2013年3月に5本、5月に12本、そして11月に2本確認されたことが報告されています。これは「辺野古や大浦湾のジュゴンの利用は限定的」という環境アセスの結論に大きな疑問を呈するものでした。

その報告書の存在を私たちが知ったのは、米軍の文書「「U.S. Marine Corps. Recommended Findings」(2014年4月)を通してでした。その後、防衛局に報告書が存在の確認を要請し(その時も回答なし)、2014年5月に防衛局のHPに掲載されるという経緯でした。

いずれにせよ、米軍がシュワブへの入構許可書を沖縄防衛局に対して発行し、工事が強行されるなか、また米国でのジュゴン訴訟が控訴の手続きに入っている中、2014年度の事後調査の結果が米軍に報告されているのかどうかは非常に重要な問題です。

これは私たち市民や環境団体だけではなく、県、県議会、国会議員も、追求していくべき問題だと考えます。

沖縄防衛局の「事後調査」と米軍:ジュゴン訴訟との関わり
米国カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁で争われてきた「ジュゴン訴訟」。2003年に提訴され、現在も米国の第9巡回控訴裁判所で控訴の手続きが進行中です。数ある米国の環境訴訟のなかでも最も長い訴訟の一つとなっています。


     2014年12月 サンフランシスコ連邦地裁前で原告を支援する集まり


裁判は2008年1月の判決により、新基地の建設と運用には国防総省(米軍)も責任があることが確認され、国防総省は、国家歴史保存法のもと、基地建設や基地の運用によるジュゴンへの影響を検証することを裁判所から命じられました。その後検証の方法について原告と米国防総省が議論を行いましたが、合意に達せず、その後暫くの間手続きが止まっていました。

しかし2014年4月に国防総省が「U.S. Marine Corps. Recommended Findings」という文書を提出することによって基地建設が具体的に動きだします。国防総省はFindingsのなかで「ジュゴンへの影響の検証は終わった」「ジュゴンに影響はないという結論に至った」とし、新基地建設/埋め立て工事を可能にするシュワブへの入港許可証を沖縄防衛局に対して発行し始めます。それが現在の工事の強行を可能にしています。原告の控訴は、ジュゴンへの影響の検証手続きが不十分であることが論点となっています。

このFIndingsのなかで言及されているのが沖縄防衛局の「事後調査」によるジュゴンの情報(原文ではmonitoring information)です。日本政府の事後調査により得られジュゴンの情報について、米軍が要求し、検証することになっています。そしてその情報により、基地建設/埋め立て予定地にジュゴンが常在していると判断された場合、日本政府と協議を行う事を明記しています。以下Finingsの原文からの抜粋と、そしてその部分の日本環境法律家連盟による試訳です。

Construction activities will occur over multiple years, and the USMC feels that it is prudent to request and review monitoring information collected by the GoJ during construction and initial operations. Should the GoJ’s monitoring of the area during construction reveal the regular presence of Okinawa dugongs in Henoko Bay, the USMC will consult with GoJ and adaptively manage its operations to minimize any adverse effects on Okinawa dugongs. In general, USMC agrees to implement the best management practices specified in the Japan Environmental Governing Standards (JEGS) for managing endangered or threatened species as additional protection for the Okinawa dugong.

建設活動は多年に亘って行われるので、海兵隊は、日本政府が建設中および運用初期に収集するモニタリング情報を要請し検討するのが賢明だと感じている。日本政府が建設中に行う対象エリアのモニタリングにより、辺野古湾に沖縄ジュゴンが常在していることが判明した場合、海兵隊は、日本政府と相談の上、ジュゴンへの悪影響を最小限に抑えるために、状況に応じて運用を管理する。一般的に、海兵隊は、絶滅危惧種もしくは絶滅の恐れがある種の管理に関する日本環境管理基準 (JEGS) に規定する最適管理手法を、沖縄ジュゴンの追加保護策として実施することに同意する。


筆者 吉川秀樹  

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防衛局交渉より:政府の「保全措置」は問題だらけ2

2016年02月28日 / 辺野古アセス/ 沖縄防衛局/ 辺野古/ 環境監視等委員会

去った1月25日にジュゴン保護キャンペーンセンターが行った沖縄防衛局との要請交渉の報告の第2回目です。私はSDCCのメンバーでもあるので要請交渉に参加しました(SDCCのブログ記事はこちらから)。

前回はジュゴンの保全措置としての「海草藻場の移植」の問題について書きました。今回は「ジュゴン監視・警告システム」についてです。

「ジュゴン監視・警戒システム」
沖縄防衛局がジュゴンの保全措置として推進してきたものに「ジュゴン監視・警戒システム」があります。このシステムは、環境アセスの段階でも提示され、2015年6月に行われた第5回環境監視等委員会でも議論がなされています(第5回委員会の議事録はこちらから)。

第5回委員会の配布資料「ジュゴンに関する保全措置 ジュゴン監視・警戒システムの監視計画(案)」(その資料はこちらから。)の図が示すように、システムは、1) 工事海域の監視・警告、2) 生息域・移動域での監視・警告、3) データ解析センターの3つのサブシステムから構成されています。


           ジュゴン監視・警戒システム基本構成図

具体的な監視の手法としては1) 曳船式ハイドロホン(ジュゴンの鳴声を検出し、ジュゴンやその位置を確認する)2) 「スキャニングソナー」(魚群探知機のようなものでジュゴンの位置を確認)、3)目視による監視(陸上、海上(船)、空中(ヘリコプター)からジュゴンを確認)、4)そして各海域に設置した水中録音機(ジュゴンの鳴声による確認)から成り立っています。そしてのシステムは、辺野古・大浦湾だけではなく、沖縄本島東北部の沿岸を対象にしたジュゴンの保全措置となっています。

しかし、多くの作業船を出し、埋め立て工事を行うこと自体、ジュゴンを大浦湾・辺野古へ寄せつけなくするものだと容易に予測できます。また沖縄防衛局のアセスでは、ジュゴンは辺野古や大浦湾の利用は限られている、と結論づけています。その2点を考えただけでも、この大掛かりな「ジュゴン監視・警戒システム」自体が、なんかポーズのような、沖縄の方言で言えば「保全措置ふーなー」という感じは拭えません。

その点も踏まえて、今回の要請交渉で私たちが防衛局に追求したのは、このシステムがきちんと機能するのか、ということでした。特に沖縄防衛局が鳴りもの入りで進めてきたジュゴンの鳴声を探知するハイドロホンの有効性について質問をしました。


            タイで検証試験に使われた監視装置の主要部分


ハイドロホンは辺野古・大浦湾で使える? 防衛局の回答とNGOの質問
要請交渉において沖縄防衛局の職員は、1) ジュゴンの鳴音を探知し、ジュゴンの存在を確認できるハイドロホンのシステムはすでに確立され、2)それは多くの作業船が行き来するなかでも使えるものである、との認識を示しました。つまり、埋め立てや基地建設工事の騒音の中でも機能するという認識でした。そしてその根拠として、タイにおいての検証試験に言及しました。その検証試験については、第5回環境監視等委員会で配布された資料で読む事ができます(その資料はこちらから)。

その認識に対して私たちは、1) ハイドロホンの検証試験が行われてきたタイ、トラン県タリボン島と、工事が行われる辺野古・大浦湾の状況は大きく異なる、2) それゆえ、タイでの検証試験をもって、このシステムが辺野古・大浦湾においても適用できるとするのは問題である、と主張しました。そして3)防衛局の認識を支持することのできる、防衛局の資料以外の報告書や学術論文等を示して欲しいと要求しました。

要請交渉に対応してくれた沖縄防衛局の職員は音響システムや「保全措置」の専門家ではありません。それゆえ職員がその場で科学的論文やデータを示すことはできませんでした。まあそれは仕方ないと思います。しかし自らの基地建設強行の妥当性や「保全措置」の有効性だけを強調し、「ジュゴン監視・警告システム」の実状や課題を説明しないというのは問題です。後で書きますが、出来ていない「保全措置」も出来ているとするのは、どこかでボロがでてくるのは必至であり、それは誰が責任をとるか、という問題になります。

タイの検証試験から見えてくること
ここで沖縄防衛局が「ジュゴン監視・警告システム」の有効性の根拠として示したタイ、トラン県タリボン島の沿岸でのハイドロホンやジュゴン監視・警戒システムの検証試験について少し詳しく触れておきたいと思います。

タイにおけるジュゴンの研究や検証試験は、京都大学の研究チームが中心となり行ってきました。ジュゴンの鳴声の分析を通して、ジュゴンの行動のより詳細な理解や、鳴声探知の技術を使ったジュゴンの保全のシステムの開発に成果をあげていると思います。(報告書の例はこちらから。)

しかし私たちとしては、このハドロホンのシステムを含む「ジュゴンの監視・警告システム」が辺野古・大浦湾での基地建設工事に応用された場合、保全措置として効果があげられるのかはまだ分からない、それゆえそれを「保全措置」として位置づけるのは問題である、と考えます。

実際、第5回環境監視等委員会の議事録のなかに、私たちの考えを支持する委員と事務局のやり取りがあります。




この議事録でのやり取りからは、決して、このハイドロホンがきちんと辺野古・大浦湾の工事に応用できるとは読めないはずです。タリボン島と沖縄ではジュゴンの頭数も違う。往来する船の種類や数も違う。さらには、このシステムの確立には、ジュゴンの鳴音を聞き分ける人の養成が必要だ。としか読めないはずです。

それなのに沖縄防衛局の職員は、埋め立てや基地建設工事の騒音の中でも有効であるという認識を示した。環境監視等委員会の議論と実際に建設工事や保全措置を行う沖縄防衛局の認識の乖離。この乖離をもったまま基地建設を強行されては、取り返しのつかない環境破壊へと繋がっていくことになります。

このような乖離については、沖縄県も、私たち市民もしっかり指摘して、沖縄防衛局に適切な対応を求めなければなりません。そしてなによりも、環境監視等委員会が、そのような乖離についてしっかりと反論していくべきことが必要であるでしょう。そして環境監視等委員会がきちんと機能できように、沖縄県や私たち市民が同委員会に注視していくことも必要でしょう。





  

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防衛局交渉より:政府の「保全措置」は問題だらけ1

2016年02月28日 / 辺野古アセス/ 沖縄防衛局/ 辺野古

去った1月25日、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)が沖縄防衛局に対して要請交渉を行いました。基地建設をあくまで強行する沖縄防衛局ですが、それが手続き的にも可能ではないことが改めて明らかとなる交渉でした(SDCCのブログ記事はこちらから)。私はSDCCのメンバーでもあるのでこの要請交渉に参加しました。交渉で分かったこと、そしてさらに「問題化」していかなければならないことを3回に分けて書きます。

1) 基地建設を進める前提条件であるはずのジュゴンの保全措置ができていない
日本政府が基地建設を進めるにあたっては「保全措置」が前提条件となっています。勿論それは、名ばかりの保全処置ではなく、実質的効果を伴ったものでなければならないはず。しかし沖縄防衛局がジュゴンの保全措置として示してきた「海草藻場の移植」や「ジュゴン監視・警戒システム」は相変わらず多くの問題を抱えています。

潰れる海草藻場とジュゴンの関係
基地建設が強行されれば潰される沖縄本島最大の海草藻場。沖縄防衛局の環境アセスでは、辺野古と大浦湾で合わせて被度5%以上の海草藻場が約600haが存在するとされています。(沖縄防衛局の海草藻場に関する環境アセス補正評価書はこちらから

新基地建設/埋め立てにより直接潰される海草藻場(被度5%以上)は、辺野古と大浦湾で合わせて約78ha。同海域の海草藻場全体の13%にあたります。


     沖縄防衛局の環境アセス『補正評価』で示された海草藻場と新基地の関係


沖縄防衛局は、アセス調査の際には、この新基地建設/埋立て予定地でジュゴンの食み跡を発見することはできませんでした。それを根拠に、ジュゴンは新基地/埋め立て予定地周辺を利用していない、だから基地を建設してもジュゴンに影響ない、という結論と予測に至っていました。

しかしアセス後に行った同局の2013年度の事後調査では埋め立て予定地で食み跡を発見し(沖縄防衛局の『シュワブ』(H24)水域生物等調査 報告書』はこちらから)、さらには2014年5 月〜7月のNGOの調査では100本以上の食み跡が発見されています(NACS-Jの報告はこちらから)。基地建設/埋め立て予定地がジュゴンの重要な餌場であることは確かです。(アセスの結果と事後調査等の結果の乖離については後で書きます)。

見えない「海草藻場の移植」という保全措置の計画と有効性
さて沖縄防衛局は、埋立てにより潰される海草藻場に対して「海草藻場の移植」を行うことを「保全措置」としてきました。これは海草藻場自体の保全措置でもあり、海草藻場を餌場とするジュゴンの保全措置でもあるということでした。それゆえ今回の交渉で僕たちが特に追求したのは、移植の具体的内容と、両方への保全措置としての有効性についてでした。

しかし沖縄防衛局は、どこに、どれだけ、どのような海草の種を移植するのかという具体的な計画を未だ提示できないとのことでした。それゆえその有効性についても示せませんでした。保全措置についての技術的議論を行うのは環境監視等委員会ですが、そこでも議論が進んでいるとは言えません(環境監視等委員会の議事録はこちらから)。

勿論、具体的計画が提示できれば工事を進めていいということではありません。しかし、移植の計画提示をできなれば、手続き不履行であり、手続き不履行のままで工事土砂の投入開始などできない、と主張できるはずです。沖縄県、そして僕たち市民が、手続きの不履行という視点から、工事開始を阻止していくことに繋げることができるはずです。

海草藻場の移植の技術的な問題点と環境監視等委員会
保全措置としての海草藻場の移植の技術も問題や有効性の問題は以前から指摘されてきています。(海草藻場の移植の問題点については環境省のこの報告書を参考)。

沖縄防衛局は勿論、私たちがしっかりと認識すべきは、現在海草藻場が存在しているところは、海草にとって環境条件が適しているのでそこで存在している、ということです。海草の胞子が海中で拡散し、それがきちんと根を付け/張り、成長し、海草藻場を作っていくのは、そこの環境条件が適しているからなのです。他の場所に移植しても、環境条件が整っていなくては移植が成功するとは言えません。また仮に海草藻場の移植が成功しても、移植先の生態系への影響があることも考えなければなりません。

さらには、海草藻場の移植が成功したからといって、そこにジュゴンが来て餌場にするとは限りません。ジュゴンの餌場として機能するには、人的影響が少ないなど、その他の多くの条件を充たすことが要求されます。それらを考慮すると「海草藻場の移植」を有効なジュゴンの「保全措置」とするのは非常に難しいはずです。

海草藻場の移植についての技術的議論を行うのは環境監視等委員会です。そこがこれからどのような議論を行っていくのか、そこで示された議論がどのように保全措置の計画や実践に反映されていくのか、それが有効性をもったものなのかを、私たち市民としても注視していく必要があります。








  

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北谷土壌汚染:BD検証結果2 住民説明会を検証しました~ポイントと検証全文をアップ

2016年02月24日 / 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定/ ダイオキシン/ 北谷町

   

記者レクいれてくださいと沖縄防衛局の方に交渉中の図。画像提供:記録同人


 北谷土壌汚染の住民説明会(2016年1月31日)の記者ブリーフィングに参加し、説明会と調査を検証しました。この結果は、2月17日に沖縄防衛局、北谷町、沖縄県に送付しています。
 
 大変長いものですが、アップしました。専門的なこともあり難しく、サクッとわかるまではいかないかもしれませんが、ポイントは以下のとおりです。
開催形式
・住民や町議、メディアの要求にも関わらず、非公開で行われた。
・沖縄防衛局、沖縄県、北谷町の位置づけが不明。
 北谷町が最初に対応したのになぜ町の説明はなし?
・一次データが公開されず、調査結果の検証が実質的に不可能な状態での開催は問題。

説明内容
イメージ操作が行われているという印象を持たれても仕方ない内容。
・あくまでも地権者のための調査であり、汚染調査が主目的ではない調査の説明なのに、それを説明していない。
・2地点という限定的な調査であるのに、安全性や掘削の影響の結論まで説明している。
・有害物質項目が基準値以下だとして非公開としている。その理由についても不明で国と県と業者の言いぶんはバラバラ。
・ダイオキシンのみに問題を矮小化させるイメージ操作をしている。

対策・追加調査方針
・「不安を払拭する」という目的がそもそもおかしい。
・資料等調査、表層土壌調査とも妥当性に欠ける。

説明会全文はこちらこちらです。
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                                                                    2016年2月17日

「旧嘉手納飛行場(上勢頭)における土壌等調査に関わる説明会 検証


沖縄・生物多様性市民ネットワーク 共同代表 河村 雅美


 2016年1月31日、北谷の土壌汚染の問題で住民説明会が北谷商工ホールで開催された。

 沖縄・生物多様性市民ネットワークは住民説明会のありかたに、沖縄BDも要望書を提出してきたが、要望は聞き入れられず住民以外は非公開の形で行われた。

しかし、住民への説明会を開いたことにより、この問題が地権者の問題だけでなく、公けの議論になったという共通認識が持てたことは意味がある。 
 
今回、住民説明会後に行われた記者ブリーフィングに参加の機会を得ることができたため、開催形式、説明内容、今後の対策について池田こみち氏(環境総合研究所顧問)、桜井国俊氏(沖縄大学名誉教授)に意見を求めながら、説明会についての検証を行った。また、池田こみち氏から、入手した調査データにもとづく意見書が既に提出されており(「北谷町住宅建設地における調査結果について」(2015.12.1)、以下「池田意見書」)、調査自体の問題もここに含めることとした。

ダイオキシンに特化した形でこの汚染問題が展開されることは望ましいことではないが、川尻要氏(埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所客員研究員)が述べるように(2015年12月17日 「沖縄タイムス」論壇)ダイオキシンは「低濃度であるから健康に影響ない」のではなく、「生活空間にあってはならない化学物質である」ことを、この問題に関わる者の共通認識としてまず確認しておきたい。

以下、その検証報告である。

1. 住民説明会の開催形式について
-非公開の問題
-一次データなき説明の問題
 沖縄防衛局は住民のみに説明会を行った。理由は公開にすると、率直な意見交換が妨げら れるためということであったが、琉球新報(2016.1.31)が指摘しているとおり、記者クラブ、 北谷町議、自治会長が公開を要望していたのにも関わらず、非公開の説明会となった。
その結果、琉球新報(2016.2.1)、沖縄タイムス(2016.2.1)、琉球朝日放送(「悲鳴を上げる土 地 北谷土壌汚染問題から見える沖縄の課題」2016.2.10)などが指摘しているとおり、この 説明会により住民の不信は増すことになったといえる。

 この形式の開催を追認し、住民側の公開の要望をメディアなどを通じて知った後、北谷町がどのように対処したのか、追求する必要がある。沖縄県、北谷町は住民、県民の意向を汲み、動く責任があることを認識し、次回の説明会の開催形式については、住民、県民の意思を尊重するオープンな形での開催が実現できるように働きかけるべきである。あるいは、問題発生の最初に対応したのは北谷町であるため、調査報告に特化した沖縄防衛局の説明会ではなく、北谷町が経緯を含めた説明会の開催を検討することも必要ではないかと考える。

 また、一次データが何も公開されず、当日の防衛局の配布資料が正しいものであるか、恣意的にデータが切り取られていないかを検証する材料がないという状態で説明会を行うことも問題であった。

2. 説明会開催の前提問題
-調査の射程、限界についての言及なし
-3者(沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市)の責任の所在不明
 2-1 調査の限定性について言及がない。
 報告内容以前に、説明対象の調査が、目的も範囲も限定的なものであることを全く述べていなかったことは問題である。
 調査には調査を実施する目的があり、調査で知り得るものの範囲はその目的で決められる。範囲以外の結論をそこから導き出してはならない。
そもそもこの調査は、経緯、データ、資料から検証すると、地権者の住宅建設のための地盤強の調査、およびその中で発見された廃棄物調査を地権者の土地内で実施したものであり、土壌汚染の状態の把握を主たる目的に実施された調査ではない。

赤嶺政賢国会議員の防衛省への聞き取り(2016年2月10日)でも、「(今回は通常の土質調査とは性格が違うではないか。2箇所だけでは何が埋まっているかはわからないではないか、に対して)私どもとしては、廃棄物の確認というよりも、沈下と土質の調査が目的だった。」と述べており、そのことが確認されている。

したがって、報告された調査は、沈下と土質の状態を地権者に報告することが目的の調査であり、調査範囲も内容も非常に限定された調査である。この調査結果から、近隣住民に対して報告できること、結論として提示できることが限定的であることを、説明者は住民に対してまず、述べるべきである。

また、この説明会が何を目的として開催されているかどうかも述べられていないことも問題である。説明会は、まず事実を伝えることが目的である。防衛局の説明で頻出する「不安を払拭するため」という言葉は、住民の抱える疑問に対して誠実に答えるというよりは、住民に結論ありきで説明をしていると受けとめざるをえない。

以上のことから、住民に対しての調査に関する印象操作がなされていると受け取られてもいたしかたない説明をしているといえる。

2-2同席している沖縄県、北谷町はどのような役割なのか不明である
 住民説明会は以下のような次第で沖縄防衛局の広報担当により進行された。

1 開会
2. 挨拶 北谷町 玉那覇総務部長
3. 挨拶 沖縄防衛局 玉榮管理部次長
4. 土壌等調査の状況と今後の対応について
  (1)これまでの経緯について 沖縄防衛局 重政返還対策課長 
  (2)土壌等調査の中間報告について 沖縄県環境科学センター 古家部長
  (3)今後の対応について 沖縄防衛局 重政返還対策課長 
5. 質疑応答
6. 閉会

沖縄防衛局、沖縄県、北谷町が説明の席にあったが、以下の件が不明瞭である。
①沖縄県、北谷町は防衛局とともに、前列で説明の席についているが、防衛局の報告内容を全て了承し、合意したものとして、説明会の席にいるということを意味しているのか。
②沖縄県、北谷町はどのような役割を果たしているのか。責任の所在が不明である。
③頻出する「北谷町との調整」という言葉は何を意味するのか。
 
沖縄市サッカー場の件でも、3者の議論を公開せず、議事録も残っていないため、誰がどのような責任で判断を行ったかがわからない状態となっている。沖縄県も、沖縄防衛局に助言したといいながら、その後のチェックを怠ったために濁水対策の失敗が見逃された経緯がある(2015年8月)。今回も、沖縄県がデータ非公開の理由に関して混乱を招く発言をしている(後述)。また、以下に述べるような、問題のある説明会の内容を合意の上で沖縄防衛局に報告させていることは、大変問題であると私たちは認識している。いずれにせよ、専門性を持つ行政機関としての役割は、沖縄県は果たせないと考えることが妥当である。よって、役割の明確化、協議の透明化に関しては急務の課題と考えられる。

3. 「土壌等調査の状況と今後の対応について」の説明内容について
現在、限定的ではあるが、沖縄BDで入手している調査データを用いて、報告内容について検証する。

「これまでの経緯について」沖縄防衛局 重政返還対策課長
(1)経緯についての事実が不正確で省略が多い。
今回の土壌汚染問題の発端は、2010年の地権者の土地で廃棄物や、異臭が確認されたことであったが、異臭の件については経緯の中で触れておらず、調査結果の中にも異臭原因について言及されていない。
また、各ボーリング調査の経緯などが省略されている。これは、今回報告された調査結果が適切な手順で行われているかを知るために必要な情報であるので、省略するべきではない。説明会後、沖縄BDで、現在入手した資料や、聞き取りなどで経緯をまとめた【別紙】。これによって発覚した北谷町の返還跡地問題に関しては別途問題化する。
「2-1」で述べたような、調査が限定的であることも、ここで述べるべきである。それを述べずに、あたかも住民のために土壌汚染調査を実施してきたかのように受けとめられる説明の仕方は、誤解を招く。

(2)北谷町もこの経緯についての説明責任がある
 繰り返しになるが、地権者からの相談を最初に受けたのは北谷町であり、町としての対応の経緯、隣接地への対応、北谷町が担当した調査などについては北谷町が説明し、今回の調査内容については調査を実施している沖縄防衛局が説明をするべきであったのではないかと考えられる。今後の説明会の構成については検討が必要である。
2)土壌等調査の中間報告について沖縄県環境科学センター 古家部長


説明会資料

(1)地盤沈下の調査目的、土壌汚染の状況の調査についての説明が不十分である
 地盤沈下の調査が、住民にどのように関係があるのかが、明確に述べられていない。また、これまでの調査も含め、土壌汚染の調査が、沈下調査の付帯調査なのかどうかも明確に述べられていない。
 特に、「土壌汚染の状況」については、池田氏は「土壌汚染の状況とは何を指すのか。汚染物質、汚染の範囲、深さ、原因、影響などいろいろあると思うが」と、説明の不十分さを指摘している。

(2)廃棄物層の説明が不十分である。

 構成比の説明についても、防衛局の説明について、池田氏は、「ボーリングの結果概ねの廃棄物の構成比はどうだったのか。例えば、石・土が80%、金属2%、プラスチック10%、木片8%など」と不十分な説明を問題視している。
これについては図1「池田意見書」の表4を参照されたい。


(3)「土壌汚染」調査2地点の問題
①2地点での結論は問題
専門家からは、調査地点2地点での結論は問題であると指摘されている。
-桜井氏「ボーリング2地点のみのデータでは、まさに『群盲象をなでる』の観がある。かつてあったというゴミ捨て場のどこを調べたことになるのか、これではわからない。」「ダイオキシン類以外の特定有害物質25項目の数値は環境基準値以下ということで公表しない予定とのことだが、ゴミ捨て場全体を把握しないでのその結論は早計と言わざるを得ない。」(筆者へのメール:報告書の一部データを見て)
-池田氏「ダイオキシン類が検出されたのは廃棄物層の深い部分であること、その下の層からは低い濃度しか検出されていないので地下水等への影響はなく、深く掘削する工事を行わなければ問題ないとしているが、わずか2地点のボーリング調査からそのように言い切れるのか。」(「池田意見書」p.6)

②調査地点2地点の選択理由が不明瞭
 2地点の選択の理由が不明瞭である。最初の説明では「先ほど言いました東側の廃棄物層が厚いと考えられる調査対象地の東側のH26B-1地点とH26B-2地点のこの2つの地点で調査を行いました」とあるが、以前に実施したどの調査で、いかなる結果がでて、その結果、この調査地点でとった、という、2地点の必然性を示す説明がされていない。これについては、先述のとおり、これまでの調査経緯が説明されていないためでもある。
 沖縄BDが質問し、そこで初めて言及したが、その答えは以下のとおりであり、これも廃棄物層があることがわかっていてそこをやった、という説明で終始しており、根拠となる過去のデータもない。【別紙】の調査の順に沿って、廃棄物層はどこでどれだけ確認されたのか、何をもって今回の調査手順が決められ、調査地点を決定したかを明瞭に述べ、調査の妥当性について示すことができるようにするべきである。
“古家:2地点についてだが、さきほどの資料の4ページの上の図1というところで緑色で示しました点かつて調査が行われている地点であることを説明しましたけれど、その緑色で示した地点においてボーリングしてどこで廃棄物層が◎◎しているか(きれている?)わかっているんですけれども、そこをすでにわかっていましたので、その辺りでまず一点、この東側の、ここらへんで廃棄物層がボーリングして◎◎していることがわかっていましたのでひとつはそこを選んでいます。ここを選んで土壌汚染対策法で土壌汚染があるところは10m区画で調査しなさいと法律上マニュアルがあるので、その敷地内で10メートル離れるといったら、まあこの部分、廃棄物層がかつてのボーリングでわかっていて、この地点からなるべく10m離すというところで1点選んでいる。”(◎◎は聞き取れず)

 一方、先述した赤嶺議員の防衛省へ聞き取りによると、沈下と土質調査を目的とすることを前提とした上で、「今回、ボーリング調査の実施箇所を2箇所として理由は何か)30m四方で1ポイントで実施するのが普通であり、2ポイントは妥当と考えている。」と防衛省側は回答しており、これまでの調査結果との連続性での結果としての2ポイントという説明会での回答と齟齬があることが明らかになっている。

(4)ボーリングのコアの取り方が問題である
説明会では、説明されていなかったが、池田氏はボーリングのコアの取り方を以下のとおり問題視している。
池田氏「ボーリングのコアから6カ所を採取しているとのことだが、何を基準に6か所を選んでいるのか。誰が判断したのか。2つのボーリングコアからの採取カ所にずれがあるのは、なぜか。コアが連続していないのはなぜか。」
詳しくは、「池田意見書」を参照されたい。

(5)特定有害物質25項目の調査の非公開 
①非公開という問題とその理由
 土壌汚染対策法特定有害物質25項目の調査結果を非公開にしており、非公開にする理由を沖縄防衛局、沖縄県、沖縄県環境科学センターは説明していたが、どれも非公開にする理由に乏しく、説得力はない。
沖縄防衛局、沖縄県、沖縄県環境科学センター、のそれぞれの言い分も異なっていることも信頼性を失わせている。特に沖縄県からは、問われることがなかったにもかかわらず、速報値と最終の報告値が異なる事例があるということを述べ、それがなぜ起きるかの説明はせず、最終値公開までの作業過程に不信感を抱かせる発言があった。このような発言をしたからには、この速報値から最終報告値までに3者がどのような作業をしたか、説明することが必要になると考える。

[3者の見解の相違]
・沖縄防衛局重政「25項目の分析結果の公表については今の報告書は中間報告書で速報値になるので、北谷町、地権者と調整しつつ、公表について検討させてもらいたい。」

・沖縄県基地環境特別対策室松田「中間報告ということで沖縄防衛局から直接我々に受けており、いわゆる分析をした後に、いろいろチャートとしてデータがでてくるが、速報値として沖縄防衛局に提出してもらっている。その後、分析機関の方で、そういった自分たちの計算方法とかチャートの記載方法とかそういったものが、決められた手順にそってちゃんとやっているかチェックし直す。速報値というのが、正しい計算でだされているかどうかが最終的に出されてくるので、中には速報値と最終の報告値が違うということがこれまでの事例としてある。我々も全てのデータをもらっているわけではない。我々の方でもクロスチェックをするし、そういう意味でその段階ではデータとしては確定できるので、公表できるのではないかと、県としては考えている。

・沖縄県環境科学センター古家:「今回の中間報告でこういった値を出したのは、ダイオキシン類の値が高かったので、すぐにお伝えした方がいいという局の判断だった。25項目については実際私たちは分析しているんだが、確かに速報ではあるが、そこから大きく逸脱して、例えば表層の土壌から実際は25項目の値が非常に高いというようなことになることは考えづらいと思う。」

②「基準値」の問題
住民に対する説明会で、住民に対して「土壌汚染対策法とは何か」「基準値とは何か」について、沖縄防衛局が説明したのかについては不明である。しかし、配布資料には「すべて環境基準値以下」とのみ書かれ、配布された資料は、ダイオキシン類のパンフレットのみである。ダイオキシン類のみに問題を限定する恣意的な意図があると受け取られてもいたしかたない。

「基準値内」として、数値を発表しないことについて、池田氏は「基準値内でもどのような範囲にあるのかは重要な情報である。」と指摘している。
 「池田氏意見書」では、未汚染地域の土壌との比較で、下記、図2のような、見解を示しており、このような事実を住民が知ることは重要であると考える。



(6)ダイオキシン類
ダイオキシンの値については2箇所中1箇所の1800pg-TEQ/gのみの記述としているが、下記、図3の池田氏意見書「表2」にあるとおり、2点で調査基準値(250pg-TEQ/g)を越えている(サンプル2の320pg-TEQ/g)。少なくとも、調査基準値超のものは報告するべきである (*1)
池田氏は、この報告を受け、「スポット的に1800pg-TEQ/gがあったとは考えにくいのではないか。ダイオキシンの由来については、分析結果の詳細を公開してもらわないと第三者的に評価出来ないので即刻公表すべきである」と、問題視している。

 ダイオキシン類の由来は「農薬PCP(ペンタクロロフェノール)由来のものと、焼却由来のものであるということが確認されている」と、しているが、池田氏は「由来の検討のために、何を分析したのか、農薬類はなんと何を分析したのか。油分については分析していないのか」とこの報告にも情報の不十分さを指摘している。
 
PCPが何であるかについても、「農薬」とのみ説明しているが、米軍が持ち込んで民間に払いさげていた事実、毒性についての言及がない。これは、沖縄市サッカー場の駐車場側から発見されたドラム缶の内容物からも検出されており、(3)に記す投棄の実態、汚染の本質的な由来も射程にいれて、沖縄におけるPCPの意味についての言及があってしかるべきであると考える。


(7)汚染拡大、健康被害リスク
「現状では飛散等による汚染拡大や直接摂取による健康被害のリスクはない」という説明がされているが、池田氏は「ダイオキシン類の汚染分布がどうなっているか分からない段階で、健康被害は無いと断定することは問題ではないか」とこの説明を問題視している。

(8)地下水汚染の可能性
資料・説明では、「ダイオキシン類は水に溶けにくく、廃棄物層下部のダイオキシン類濃度は低いことから地下水汚染の可能性はない」と述べられているが、1か所による調査での断言、またダイオキシン類に限定していることを専門家は以下のように問題視している。

・池田氏コメント「たった1回、1カ所の調査で地下水への汚染がないと断定はできない。
沖縄市のサッカー場と同様に、浸出水(溜まり水)の分析を行ってみる必要があるのではないか。」

・桜井氏「「ダイオキシン類が水に溶けにくいことを根拠に問題は限定されていると沖縄防衛局は主張しているが、他の汚染物質はそれぞれ挙動が異なるので、問題を矮小化するためのイメージ操作と言える。」

3)今後の対応について 沖縄防衛局 重政返還対策課長

(1)専門家、愛媛大学森田客員教授の位置づけ
 沖縄市サッカー場の沖縄防衛局の調査でも森田氏が専門家として助言を行っているが、この位置づけが常に曖昧である。これまでの報告書でも、どこまでが調査会社の見解で、森田氏の意見や助言がどの部分なのかが示される形となっていない。まだ、これまでも森田氏の助言によって報告された調査結果は、正確性に疑義が唱えられている (*2)
 上述のように、「環境基準値内であれば問題ない」とするのか、「環境基準値以下でも注意するべきものがある」と、データを「評価」する専門家の役割は大きい。専門家の位置づけについて、これまでの対応からみても、北谷町はより重要性を認識すべきであると考える。

(2)調査方針


説明会資料


①「資料等調査」について
 「過去の航空写真、地形図等から米軍に起因する汚染が存在すると考えられる範囲を特定し、安全性を確認するため、平成8年の嘉手納飛行場一部返還地において資料等調査(調査方法(廃棄物の調査含む)、調査場所、汚染が発見された場合の対策等)を実施し、その結果を踏まえ、必要に応じて追加調査を実施する予定」と説明している。

 沖縄BDの質疑応答によって、この「資料等調査」の意味するところを確認したところ、2014年に公開された「キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)(25)支障除去措置に係る資料等調査」と同様のものであることが確認された。
 この資料等調査では、”資料調査において廃棄物の投棄や埋設に関する情報は把握されず、地形図による調査結果からも谷の埋立てや不自然な盛り土など廃棄物の埋設を疑う地形変化は確認されませんでした。ただし、廃棄物の投棄や埋設がなかったことを客観的に説明できる情報は得られませんでした。” と報告されていた(2014.8.13)。しかし、その直後に行われた文化財調査でダイオキシンが検出されたドラム缶が18本発掘され、土壌からは鉛が基準値の3倍検出され、その地点は「土壌汚染のおそれが比較的多い区画」に変更されている。その場でも指摘したが、これまでの防衛局の資料等調査では汚染の予想、汚染範囲の特定には限界がある。

 また、「安全性を確認するため」という文言には、「不安を払拭するため」と同様の結論ありきのニュアンスが感じられるため、このような文言は用いるべきではない。調査の目的は事実を把握することであり、安全性の確認ありきで進めるべきではない。

さらに、質疑応答の中の沖縄防衛局の回答からも、調査の妥当性等に疑義が唱えられている。

“重政:資料等調査においては、昔の地形図を調べて、米軍が使用していたところは標高何メートルだったのか、そして返還された平成8年以降の標高は何メートルだったのか、を比較し、米軍が埋め立てしているのであればそこに廃棄物があるかもしれない、それでその範囲を特定し、その範囲においてどのような方法で調査を行って安全を確認していく必要があるのかということはまずしっかりと検討していきたい。化学的調査については、資料等調査を行って必要があれば実施していきたいと考えている。”

との説明に、池田氏は「標高差から埋立の有無を確認し埋め立てていたら汚染があるかもしれないというのは極めて甘い考え方ではないか。埋立をしていなくても汚染物質を垂れ流したり、捨てたりしている可能性があるのでは」と防衛局の見通しの甘さを指摘している。また、「トレンチ調査を行うつもりはないのか。いずれにしてもボーリング調査では埋め立てられた廃棄物の実態は分からないのではないか。」と、廃棄物の実態を把握する調査方法のさらなる検討の必要性について提案している。

 以下の沖縄防衛局の回答では、ダイオキシン汚染に限定した調査方針であることも疑われるので、調査設計の確認が必要である。

“重政「今回はダイオキシンが検出されたということで内容についてはダイオキシンの汚染土壌対策マニュアルというのがあって、その中でまずは資料等調査をやるということという規定があるので内容についてはマニュアルに沿って調査していきたいというふうに考えている。」”

 沖縄の基地汚染の特徴は、1)投棄による2)「複合汚染」3)連続性がない (*3)
ということが、嘉手納基地跡地であり、窪地でゴミ捨て場であったという当該地と共通性のある沖縄市サッカー場の調査で明らかになりつつある。
 このような経験値と知見に基づいた追加調査設計を行うべきである。

②「(2)周辺住民の不安を払拭するため、隣接する民家(5棟)において表層土壌(ダイオキシン類)の調査をする予定」について

池田氏は、まず、調査目的について「そもそも『不安を払拭するため』というのが間違っている。『汚染の実態と原因』を解明するために調査を行うのが本筋ではないのか。不安を払拭するためということでは、危ないものは最初から調べない、調査が表層的になりやすいと言うことにもなりかねない。」と問題を指摘している。

表層土壌が表層からどれほどの距離なのかということについても、説明会で触れておらず、質疑応答で初めて5cmという数値に言及しており、住民に正しい事実を伝えているかどうかも疑われる。

池田氏は、この調査についても、「表層土壌は、風や人の移動などによって攪乱されているため、そこだけ調査しても安全性や汚染の実態などはわかるはずがない。」と有効性について疑問視している。

よって、調査方針として挙げられている2つの調査については追加調査として問題が多い。調査設計の段階から第3者、住民を含めて協議すべきである。

その他  住民との質疑応答などから

・「掘削しなければ問題はない」という説明
 「住宅建設のための基礎工事において、地表から5m以上掘削しない場合、特段の影響はない」というような説明をしているようだが、2点の調査でそのような結論を導きだすことはできないと思われる。これまでのどのような事例、経験値をもってそのような判断をしているのか不明であり、地権者にもどのような説明をしているのか、懸念が持たれる。
 沖縄BDは、独立行政法人土木研究所に民間地、住宅地での5mの深さでのダイオキシンの検出の経験があるかの問い合わせを行ったが、公共工事が主な事例なために、そのような事例は手元にない、その事例が集まっている機関なども知らないという回答であった。また、「止めよう!ダイオキシン汚染・東日本ネットワーク」「止めよう!ダイオキシン汚染・東日本ネットワーク・関西ネットワーク」にも問い合わせたが、そのような事例は扱ったことがないとのことであった。
 このように、全国的にも稀有な例であり、調査地点が2地点という調査結果を持って、掘削の影響を導きだすことは問題であると考える。

*1  情報筋によれば、沖縄県は、2箇所の調査指標値超過があるため、汚染は広範囲ないし複数地点存在することが想定されるという所見を北谷町に提供している(2015年11月)。なぜ沖縄防衛局にこのような報告を沖縄県と北谷町が許しているのか検証の必要がある。

*2 宮田秀明氏「旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)嘉手納飛行場返還跡地内報告書 平成27年1月 沖縄防衛局調達部/中央開発株式会社についての意見書」(2015年2月27日)

*3 宮田氏は、2015年2月27日の「旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)嘉手納飛行場返還跡地内報告書 平成27年1月 沖縄防衛局調達部/中央開発株式会社についての意見書」において、廃棄物の埋め立て地の汚染の性質の「不連続性」についての見解を“廃棄物の埋め立て地における有害物の種類や濃度は、均一ではなく、全くの不連続性を特徴とする。そのため、少し離れた地点における有害物質の種類や濃度は、水平的にも垂直的にも極めて大きく相違する。このような実態があるため、埋立地における汚染調査は、適切な間隔の適切な深さのボーリング調査を原則としている。”と示している。サッカー場でもフィールド側は枯れ葉剤由来のダイオキシン汚染、駐車場側はPCP、PCB由来のダイオキシン汚染と、連続性がない。

                                                                 以上
  

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北谷土壌汚染:BD検証結果1 北谷町が隣接地で2012年調査~廃棄物発見後土地売却

2016年02月20日 / 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定/ ボーリング調査/ ダイオキシン/ 北谷町

 北谷町の土壌汚染住民説明会の検証記事1弾です。

沖縄BDの問い:調査地点2地点の根拠
 先の記事で住民説明会の様子をお伝えしましたが、その質疑応答の中で沖縄BDは、沖縄防衛局の2015年の調査の調査2地点について質問しました。
 
 調査を見る時には、調査結果だけでなく、どのような目的で実施されているのか、その目的に適う正しい方法で調査されているのか、ということが重要で、調査者がなぜ2地点としたのか、その地点の選択はどのような根拠をもって行われたのかを知ることが大事であるからです。
 
 沖縄県環境科学センターは、平成23年度のボーリング調査を根拠にした調査地点の選択理由を述べました。しかし、資料にもこれまでの調査過程が記されておらず、沖縄防衛局の説明にもそれは省かれていました。

調査過程の検証
 調査設計は、調査の結果をもって、次の調査の調査設計がなされるという調査のシークエンス、連続性の中で行われます。その連続性をたどる材料がなく、質疑応答では追求できなかったので、説明会の後、配布資料中の下記の図をもとに、これまでの調査過程を整理してみることにしました。
 

緑の点が過去の調査地点です。
 
 配布資料をつきあわせて整理してみると、住民説明会で沖縄県環境科学センターが、廃棄物が東側で厚いことがわかったといっている平成23年度の調査は、有害物質が検出された当該土地ではなく、2012年(平成23年度)、当時は町有地であった隣接地でのボーリング調査であり、そこで、廃棄物が検出されていたことがわかりました。
 誰が、何のために、どのような調査を実施していたのか、そこでどのような調査結果がでたのか等の不明な点を北谷町に聞き取り、これまでの調査を以下のとおり整理してみました。説明会では、きちんと説明されていませんでしたが、北谷町が実施した調査が2回あることがわかります。



隣接地の調査後に町売却の事実も
 また、当時は町有地であった隣接地ですが、そこでのボーリング調査後、個人に売却していたことも町への聞き取りで明らかになりました。その当時の北谷町と地権者の合意については、沖縄タイムスのその後の取材によると(下の記事参照)、町と地権者の言いぶんが異なっているようです。

北谷町の二重基準:国へ向ける顔と町民への顔
 この問題は、最初のボーリング調査が、2012年という、北谷町が返還された基地汚染の問題を十分に認識していた時に行われていることに注意を払わなければいけない問題です。
 キャンプ桑江北側の調査でも、調査後に引き渡された後でさえも区画整理中に汚染や米軍廃棄物が発見されており、その被害を受けてきたゆえに、日本政府に全面調査の必要性を訴えてきた北谷町。その一方で、米軍基地だった跡地の町有地を個人に売る時には「返還前に土地は浄化済みとの前提があり、住宅建築は問題ないと考えた」(沖縄タイムス2月10日)という北谷町。
 この国と町民に対する返還地に対する北谷町の二重基準について、追及が必要だと考えます。このような町の認識と、2012年に改正された跡地利用特措法が適用されない法の不備が個人の被害につながっているからです。

 また、隣接地も米軍跡地であることは、当該地と共通です。それにもかかわらず、北谷町から沖縄防衛局の報告が最初の隣接地の調査でされていないことがなぜなのか、廃棄物や土壌の処理がどのようにされたのかなども明らかにしていく必要があります。

説明会は公開で多様な参加者を
 このような検証をしてみると、やはり、説明会や防衛局のレクチャーは非公開にするべきではなく、メディアや、このような視点を持って説明を聞き、事後検証を行うことのできる環境NGOや専門家など、様々な立場の人をともに参加させることが重要ではないかと思っています。

以下、この検証についての報道です。







  

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国連人権委員会へ書面声明提出/プレスリリース

2016年02月18日 / 国連/ 辺野古/ 汚染/ 辺野古・大浦湾



沖縄・生物多様性市民ネットワーク
2016.02.17



プレスリリース
国連人権理事会へ書面声明を提出
米軍基地による人権侵害について


 2016年2月16日、国連NGOの「反差別撤廃運動(IMADR)」と「市民外交センター」(注1)は、沖縄における米軍基地による人権侵害を訴えた「書面表明」を国連人権理事会に提出した(資料)。沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は書面声明の「環境権」の部分の作成に関わった。今回の書面表明は、昨年9月の国連人権理事会への翁長知事や島ぐるみ会議の参加に代表される沖縄からの国連人権理事会への継続的な働きかけや(注2)、現在進行中の辺野古新基地建設をめぐる国と沖縄県の訴訟を踏まえて作成、提出された。

 今回の書面表明では、特に沖縄の人々の「環境権」と「表現および集会の自由」の権利への侵害について言及している。
 「環境権」については、国連人権理事会の採択した「安全、清潔、健康的かつ持続可能な環境への人々の権利」としての環境権が、普天間基地や嘉手納基地周辺における米軍の航空機騒音や土壌汚染によって侵害されている現状と、米軍基地に関わる環境問題に対して国内法が十分に機能していないことを指摘した。また辺野古新基地建設については、環境保全を保証すべき「環境アセス」の制度が、環境を破壊し、人々の環境権を侵害するもものとして使われてきたと訴えている。
 「表現および集会の自由」の権利については、元NHK経営委委員の百田尚樹氏による「沖縄の新聞は潰さないといけない」という発言を引用し、辺野古新基地建設の報道をめぐり沖縄のメディアが圧力を受けていることを指摘した。またキャンプ・シュワブや大浦湾において抗議活動を行う市民に対して、警察と海上保安庁が暴力的対応をとり、危険な状態が続いていること、そして不当な逮捕や拘束が行われていることを訴えている。

 今回の書面声明は、第31回国連人権理事会(2月29日~3月24日)の「議題4: 人権理事会の注意を要する人権状況(Item 4. Human rights situations that require the Council’s attention)」において提出され、人権と環境に関わる国連特別報告者への公式な提供情報として扱われる。特別報告者が日本の状況を把握し、今後の活動を計画するための参考情報のひとつとなる。さらに同書面声明は、各国政府のほか、多数の国際人権NGOをはじめとする国際社会に訴える役割を持つ。このような手段による継続的な発信により、沖縄における人権侵害に国際社会の関心が集まり、日本政府の人権侵害行為を抑制する圧力となることが期待される、

 今回の書面表明の提出について、市民外交センターの猪子昌代氏は「環境権の侵害は事後の是正が極めて困難であるため、辺野古基地建設が行われる前に国際社会に訴え、日本政府に対応の是正を求めることには、意義があると考える。また、昨今の政府による表現の自由の規制・圧力は、憲法上も国際法上も重大な人権侵害であり、この点についても国際社会の関心を集め、日本政府が直ちに行動を改めることが求められる」とコメントしている。
 またIMADRジュネーブ事務所の国連担当小松泰介氏は「環境と人権に関する国連特別報告者は、環境問題による人権への影響を評価し、情報を公開して意思決定プロセスへの一般の参加を促すことは政府の責任であるとしている。しかし、沖縄、特に辺野古ではそれらが適切に行われていない。日本政府は今こそ国際人権基準に従って行動すべきである」としている。
 昨年9月の島ぐるみ会議国連参加の原動力となった島袋純氏は、今回の書面提出が国と県との裁判が進行するなか提出されたことを踏まえて以下のようにコメントしている。「国際人権諸法は、日本の裁判において直接法源として、人権保障の根拠とすることができる。辺野古代執行訴訟における和解案は、国際的基準でとらえれば人権侵害の上にしか成り立ちえない辺野古新基地に関する建設の容認を求める案である。日本の裁判所が国際的な人権基準をいっさい無視した人権侵害機関であると証明している。今回の書面声明は、沖縄の人権侵害がいまだに救済される見通しがないことを国際社会に訴える機会である」。

 沖縄BDは、今回の書面声明の提出により、辺野古新基地建設を含む沖縄の米軍基地と環境・人権・平和の問題について、国際社会がさらに注視し、それが問題解決へと繋がっていくことを期待する。そしてなによりも、今回の書面声明の提出を通して、問題解決向けた沖縄の市民社会と沖縄を支援する国際的市民社会の決意と態度が、日米両政府に明確に示されたと考える。なお、書面声明の作成に参加する機会を提供して頂いたIMADR、市民外交センター、その他関係者に感謝と敬意を表したい。


注1. 両団体については以下のHPを参照。
反差別反対運動(IMADR) http://imadr.net/
市民外交センター http://www005.upp.so-net.ne.jp/peacetax/

注2. 2015年に島ぐるみ会議や沖縄BDが、国連NGOのIMDARと市民外交センターともに国連人権委理事会に提出した文書は以下の通り。
“Human Rights Violation in Okinawa,” joint written statement, submitted by the Shimin Gaikou Centre (Citizens' Diplomatic Centre for the Rights of Indigenous Peoples), International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR), non-governmental organizations in special consultative status (August 31,2015).文書はここをクリック

“Violation of Freedoms of Expression and Peaceful Assembly in Okinawa,” Joint Submission by All Okinawa Council, Citizens’Network for Biodiversity in Okinawa, International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR), Shimin Gaikou Centre, Pek Chung,Yutaka Katou, Masahiro Takasaku (December 11, 2015). 文書はここをクリック

連絡先:沖縄・生物多様性市民ネットワーク http://okinawabd.ti-da.net/
共同代表 吉川秀樹 yhidekiy@gmail.com 090-2516-7969



今回提出した書名声明のpdf版はこちらです。1633_A_HRC_31_NGO_Sub_En_SGC_IMADR_OkinawaBD.pdf (PDF: 173.13KB)
タイトルは"Human Rights Violations in Okinawa, Japan," Joint written statement* submitted by Shimin Gaikou Centre (Citizens' Diplomatic Centre for the Rights of Indigenous Peoples), International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR), non-governmental organizations in special consultative status.

プレスリリースのpdf版はこちらです。%E5%9B%BD%E9%80%A3%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E7%90%86%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E6%8F%90%E5%87%BAPR2-17-16.pdf (PDF: 93.62KB)
  

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北谷町土壌汚染:住民説明会の記者ブリーフィングに参加しました

2016年02月13日 / 沖縄防衛局/ 基地返還跡地/ 汚染/ 日米地位協定/ 環境協定/ ダイオキシン/ 北谷町

      

 
 ブログに記事をアップしておらず、唐突感満載なのですが、北谷町の上勢頭の住宅地で、土壌汚染が発覚したことが昨年、11月に報道されました。(初報沖縄タイムス「宅地からダイオキシン、元は米軍ごみ捨て場 沖縄県北谷町」 2015年11月12日琉球新報「基地跡にダイオキシン 北谷宅地、地中から基準1.8倍」2015年11月13日

 その後、この問題に関してはメディアでも発言し(沖縄タイムス「北谷ダイオキシン 住民は調査訴え 町、議会に説明へ」 2015年11月13日)、パブリックな問題として認識する必要性を訴えてきました。また、情報公開と住民説明会のあり方について、提言書を提出したり(北谷町における有害物質検出問題に対する対応について―情報公開と住民説明会の実施のあり方―(要請),2015年11月26日)、データを入手してリリースしてきました(沖縄タイムス「北谷のダイオキシン汚染 基準値の1.8倍を検出」2015年12月5日)。

 事前の情報公開、公開した形での開催を、町議も住民もメディアも要望したにもかかわらず、説明会は1月31日、非公開で行われました。(琉球新報「25有害物質、数値示さず 北谷土壌汚染、住民説明会」、QAB 「悲鳴を上げる土地 北谷土壌汚染問題から見える沖縄の課題」(2016年2月10日)

 沖縄BDは、当日沖縄防衛局に交渉し、記者ブリーフィングに参加することを許可してもらい、質問もさせていただきました。皆様に住民説明会の内容をご参考までに報告いたします。当日の配布資料とブリーフィングの記録をアップします。その内容の検証記事を次にアップします。

 住民説明会の次第は以下のとおりですが、ブリーフィングは4.5の部分のみになります。
1. 開会
2. 挨拶 北谷町 玉那覇総務部長
3. 挨拶 沖縄防衛局 玉榮管理部次長
4. 土壌等調査の状況と今後の対応について
  (1)これまでの経緯について 沖縄防衛局 重政返還対策課長 
  (2)土壌等調査の中間報告について 沖縄県環境科学センター 古家部長
  (3)今後の対応について 沖縄防衛局 重政返還対策課長 
5. 質疑応答
6. 閉会

配布資料や記録は以下をクリックすると開きます。
 ・2016年1月31日「旧嘉手納飛行場(上勢頭)における土壌等調査に関わる説明会」資料
 ・2016年1月31日北谷土壌汚染住民説明会記者ブリーフィング書き起こし
 ・上勢頭第2区画整理事業地図 

以下、下沖縄BDの記録です。ご参考まで。


  続きを読む

Posted by 沖縄BD at 23:43Comments(0)

ノレッジカフェ 11/7 「沖縄市サッカー場から考える:未来世代への責任を果たすために」

2015年10月23日 / ノレッジカフェ/ 枯れ葉剤/ ダイオキシン

「私たち自身のことだという意識に目覚めて、みんなが主導権をにぎらなければならない。いまのままでいいのか、このまま先へ進んでいっていいのか。だが、正確な判断を下すには、事実を十分知らなければならない、ジャン・ロスタンは言う 《負担は耐えねばならぬとすれば、私たちは知る権利がある》。」
レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

 2013年の沖縄市のサッカー場の汚染が発覚したと同時に明らかになったのは、行政の不実な姿勢、そして私たちも含め、沖縄が汚染という問題に向かう準備ができていないことでした。
 私たちは行政の監視をするとともに、私たちが事実を知る力を蓄えていかなければならない、ということに気づいたのです。そして、いつまでも日米政府や行政という他者に指を指していることだけでは問題は進まないということに。
 
 この問題のきっかけとなった沖縄の枯れ葉剤を追求するジョン・ミッチェルは「沖縄の人には真実を知る権利がある」といいます。しかし、知る権利を行使するためには、知る力が必要です。

 知る力をつける一歩として、沖縄・生物多様性市民ネットワークは、生物多様性ノレッジカフェで「知る権利・知る力」シリーズを立ち上げ、私たちが様々な問題に向かうための知識を蓄える機会を創ることにしました。
 
 その1回めとして、沖縄市サッカー場の汚染の状況と、ダイオキシン汚染、健康問題へのアプローチについて学ぶノレッジカフェを以下のとおり開催します。 当事者である沖縄市の皆様にお話できる機会をこれまでつくりきれなかったので、 沖縄市で行うことにしました。
 多くの方に来ていただければ嬉しいです。

                             沖縄・生物多様性市民ネットワーク ディレクター
                               河村 雅美
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生物多様性ノレッジカフェ4th
知る権利・知る力シリーズ 1
 

「沖縄市サッカー場から考える:未来世代への責任を果たすために」

日時:2015年11月7日(土)
    14:00-16:30
場所:沖縄市福祉文化プラザ
    沖縄市高原7-35-1 (下に地図があります)

 --沖縄市のサッカー場から考える「汚染」
  未来世代に負の遺産を残し続けるのか?--

2013年6月に米軍遺棄物と思われるドラム缶が沖縄市サッカー場で発見されてから2年が経ちますが、行政による調査は未だ進行中です。しかし、影響を小さくみせたがる行政の発表と、その一報のみが繰り返される報道だけでは、サッカー場で何が起きているのか市民にはわからないのが実情です。

今回のノレッジカフェでは、まず、調査を監視・評価してきた環境NGOから、サッカー場の現状や「複合汚染」という汚染の状況について、専門家の意見を紹介しながら、お話します。他の汚染問題とは異なり、現地での被害者の姿と声なき中で進行している問題の中で、直面している迷いについても触れていきます。

また、汚染は土壌、水、大気という環境への影響とともに、過去、現在、次世代への人間への影響があります。今回は、医学の専門家から、サッカー場汚染の一つであるダイオキシンの毒性について、そして健康問題へのアプローチとして、私たちがどのようなことを考える必要があるかについてお話いただきます。

フェンス周りのサッカー場という、子どもたちが遊ぶスポーツ施設の土でドラム缶が見つかったことは、未来世代のいのちへの責任を私たちに思い起こさせるメッセージなのかもしれません。サッカー場を前に立ちすくむのではなく、現状を把握し、判断を行政に委ねることなく、わたしたちの責任を果たすために、どんな一歩をふみ出せばいいかを、共に考える場となればと思います。
 
プログラム:
河村 雅美(沖縄・生物多様性市民ネットワーク ディレクター) 
 「沖縄市サッカー場は今:環境NGOからの現状報告」
川尻 要(かわじり かなめ)埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所 客員研究員
 「ダイオキシンと私たち」

スピーカー紹介:
河村雅美
環境NGO沖縄・生物多様性市民ネットワーク ディレクター。博士(社会学)。
2011年から沖縄の枯れ葉剤問題を追求するジョン・ミッチェル氏や米国退役軍人と連携し、沖縄での取り組みに関わる。2013年6月沖縄市サッカー場でのドラム缶発見時から「監視・評価プロジェクト」を立ち上げ、行政の調査体制や調査結果をウォッチし、あるべき調査の姿を政策提言してきた。自らも研究者である背景を活かし、専門家と、市民やメディアを結ぶ、また、目の前で繰り広げられる現実の混沌を整理し、問題のフレームワークや視点をメディアや市民に提示していく、積極的「媒介者(メディア)」としての役割を果たすことを目指している。

川尻 要(かわじり かなめ)埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所 客員研究員
昭和23年 千葉県生まれ。昭和45年 東北大学理学部卒, 昭和52年 九州大学大学院修了, 理学博士。同年より埼玉県立がんセンター研究所 生化学部研究員,アメリカNIEHS(NIH)留学, 主任研究員, 生化学部部長, 主席主幹, 退職。
埼玉がんセンターでは「化学物質による発がんメカニズム」をテーマとし、化学物質を代謝するP450とダイオキシン受容体の研究に従事。『ダイオキシンと「内・外」環境 ~その被曝史と科学史』(九州大学出版会)の著書がある。

*生物多様性ノレッジカフェとは
 「生物多様性」と関係するような情報、知識、話題を提供し、小さなグループで
 あれこれ気軽に話し合う場。

主催:沖縄・生物多様性市民ネットワーク

連絡先・blog
090-4471-7046 (中村和恵)
okinawa.bd.net[at mark ]gmail.com
http://okinawabd.ti-da.net
---------------------------
ちらしは以下のとおり。DL用のちらしは下にあります。
クリックすると拡大します。

印刷用PDF

沖縄市福祉文化プラザ


講演要旨は以下をごらんください。  続きを読む


Posted by 沖縄BD at 00:28Comments(0)

忙しくて記事更新できずの記事

2015年10月20日 / 沖縄BD事務局

 ブログの更新がとまっていますが、沖縄市サッカー場、西普天間のお手伝い、牧港の汚染問題、環境補足協定などで、とても忙しくしており、記事の更新ができず。


環境補足協定署名前にいった外務省沖縄事務所要請のメディアレク


 要請も、議会対策も、資料解読、取材対応、メディアへの働きかけもいろいろやっています。
 
  詳細は必ず記録に残します(←行政への嫌味)。
 
  そして、近々新しい試みもお知らせできるはず。
 
  お待ちください。
  
             ディレクター 河村 雅美
  

Posted by 沖縄BD at 00:13Comments(0)

沖縄県の基地環境行政要請-みえない沖縄県の役割と責任 2015年9月3日

2015年09月10日 / 枯れ葉剤/ 辺野古/ 基地返還跡地/ 汚染/ 西普天間/ 沖縄市サッカー場/ 沖縄県環境政策/ 日米地位協定/ 環境協定

[お断り]記事の更新は2016年1月になっておりますが、記事の検索上の都合もあり、2015年9月の投稿にしています。

 9月3日、沖縄・生物多様性市民ネットワークは、沖縄県に基地環境行政全般に関する要請を行いました。
 沖縄市サッカー場の件、西普天間の件、新設された「基地環境特別対策室」の件、環境補足協定など、県の役割や動向が明確でないのでそこを確認したいこと、そして沖縄市議、宜野湾市議といった、現場を抱える自治体の議員が県に意見を述べる場がないので、私たちが設定することが必要だと思ったことからこの要請を行いました(ただ、市議たちは自分たちでそういう場を設定してもいいと思いますが)。 


photo:Osamu Makishi

要請者と対応者は以下のとおりです。窓口となった環境部環境政策課基地環境特別対策室長松田了さんには複雑な^^;要請に対応していただき、また要請後も文書の提供など対応いただき、感謝しています。

沖縄県における基地環境行政について(要請)記録
日時 9月3日(木)午後1時30分
場所 14階商工労働部会議室
要請者:沖縄・生物多様性市民ネットワーク共同代表 河村雅美、吉川秀樹、牧志治、真喜志好一、沖縄市議・池原秀明、沖縄市議・桑江直哉、宜野湾市議桃原功、
沖縄県県議新垣清涼

沖縄県対応者:環境部環境保全課長 仲宗根 一哉、環境部環境整備課長 棚原 憲実
知事公室基地対策課 副参事 久貝 仁、企画部企画調整課 主幹 花城 安博
環境部環境政策課基地環境特別対策室長 松田 了 (要請窓口)


要請文と県の用意した回答については、以下のとおりです。ただ回答部分はそんなに面白くありません。相変わらずの予測できる県行政っぽい回答ぶりだと思います。 
その後の、県とBD、市議のやりとりの部分が、県の姿勢が明らかにわかり、意味のある部分だと思います。折りたたんだ部分にBDの共有報告記録用に文字起こししたものをはりつけてありますので(PDFでも読めます)、長いですが、興味のある方はどうぞ読んでください。

特に、池原沖縄市議と県とのやりとりは注目していただきたいと思います。
沖縄県の役割が曖昧であり、結果的に沖縄県が「防衛局に要請した」「防衛局に指導した」後に、無責任状態になっていることがよくわかります。
台風9号の濁水対策の件では、県は沖縄防衛局に指導をしたが、防衛局の施工のやり方が少し甘かったということは思っている、ということを認めています。それに対して、池原市議は「指導したといっても検証はしっかりしているのか。ないからこういうことになっているのではないか。『指導した、きちっとやっているだろう』、と『だろう』の概念でやられているのではないか。」と厳しく追求しています。

県がどのような指導をし、防衛局はどのように対応していったのか、また、防衛局の調査の方法、調査結果、対策に対して県や市が承認し、同意しているのかが現在、議事録がないため検証できません。また、防衛局の報告書や対策に、ゴーサインを出す県や市の責任はどのように問われるのか、という問題も曖昧です。

このような体制を放置してはいけないので、私たちは3者の議事の公開、議事録の公開を要求していたのですが、この時点で、県は「議事録つくっていないのが実情」といっていました。
この後、沖縄BDが3者協議の件で国会議員を通じて調査した結果がでてきました。また後日記事をあげてリンクつけます。

----------------------------------------------------------------
【要請文と県対応】
2015年9月3日
沖縄県知事 翁長 雄志殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
共同代表/ディレクター 河村 雅美
共同代表 吉川秀樹
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
 TEL/FAX:098-897-0090 
 
沖縄県における基地環境行政について(要請)

日頃の沖縄県の環境行政への取り組みに対し、感謝申し上げます。

沖縄市サッカー場の汚染調査、キャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区返還など、ここ近年の基地環境行政における沖縄県の役割はより重要になっていると私たちは認識しています。
2014年に新設された「基地環境特別対策室」で、基地環境に関する知見が蓄積され、沖縄県の基地環境政策が推進されていくことを期待しています。

一方、基地環境政策は、日本政府、沖縄県、各市町村、米国政府、在沖米軍、そして市民との関係の中で遂行されるものであり、沖縄県だけで完結するものではありません。現在、その関係性の中での沖縄県、及び市町村の責任や、主体的な役割が見えてこないというのが現状です。
また、「基地環境特別対策室」と現在の案件における沖縄県環境行政との関係や、実効性、今後の展望についても不透明な部分があります。
県民との実質的なコミュニケーションの充実もまだ図られていない状況です。

環境行政は、「情報公開」と「市民参加」「環境正義(environmental justice)」であるという原則をふまえ、以下の点について、要請いたします。
1. 沖縄市サッカー場の汚染調査・汚染拡散防止対策・浄化について
1)現在のサッカー場調査における沖縄県の役割について、あらためて説明をしてください。
県:
沖縄市サッカー場の調査は沖縄防衛局により実施されている。沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市の3者で調査の手法等について協議を行う中で県は指導的役割を担っている。

①土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法等に則り、適正な調査、汚染除去、廃棄物処理を行う事について、沖縄防衛局を指導する立場にあると考えており、これまで、調査の手法、汚染除去の手法などについて、沖縄防衛局に対し必要な指導、助言を行っている。
②また、地下水の水質測定等を実施し周辺環境の状況把握に努めているところ。

2)沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市で開かれている3者協議の内容が非公開のため、不透明です。また、沖縄防衛局から沖縄市への事前連絡のないままでの調査入札(2015.5.1)や、台風9号の雨水・濁水対策などの例から、3者協議が、形骸化し、機能不全になっているのではないかとの疑念が持たれています。

沖縄防衛局によれば、「自由な意見交換が妨げられる」との理由で議事を公開しない(沖縄防衛局返還対策課重政課長2015.8.21聞き取り)ということですが、議事録は行政の政策遂の検証のためにも必要であるので、これまでの議事録の公開を沖縄県が沖縄防衛局へ働きかけてください。

また、今後、3者協議は、調査を実施する沖縄防衛局でなく、調査の監視や評価をする意味でも、沖縄県が主導的役割を果たすように体制を整え直し、協議の内容を公開するようにしてください。
県:
3者の「素直な意見」を損なわないように非公開にして協議は実施してきている。協議を踏まえて行われる調査過程、調査結果等についてはできるだけ速やかにわかりやすい形で県民や市民に公表するよう沖縄防衛局に働きかけている。

3)汚染拡散防止対策、排水口の調査、河川を含む周辺環境調査については、沖縄県が主体となり、専門家から指摘されている問題点(「沖縄市サッカー場調査結果に対する専門家意見について」(要請)2015年3月19日付)を改善し、県が責任を持つ防止対策・調査体制としてください。また、調査の結果や分析については、メディアや県民が理解できるように平易な言葉で丁寧な説明をしてください。 
県:
汚染拡散防止対策については、沖縄防衛局の責任でなされると理解している。沖縄県はそれについての助言を行っていく。地下水についてはこれまでのところ6回、サッカー場に隣接する河川の河口の底質については4回、暗渠排水についてはこれまで4回実施している。
5月の最終時点までの調査結果については、いずれも基準値の超過はない。
直近のものでは8月31日に採取して地下水、底質の調査があるが現在分析中。ご指摘の公表の仕方に対しては、今後検討していきたい。

4)台風9号による雨水対策の経緯については、県民からその事前、事後の対策についての懸念が強く示されています。誰がいつ、どのような対策を検討し、沖縄県は誰がどのような知見を持って、沖縄防衛局の案に合意したのかについて説明してください。
県:
全面調査でドラム缶に高濃度のジクロロメタンが残存しており、掘削部の汚染が懸念されていたこと、県道側の法面の崩落の危険があったこと、赤土流出防止対策の観点から掘削部を全面ブルーシートで覆い、雨水については排出するという方針を3者で確認していた。 
しかしながら台風9号でブルーシートがめくれ、一部濁水を排水することになった。今後は赤土防止条例に排水基準を守るように現状でたまっている水についても条例を所管する立場から条例を遵守するように3者協議で発言をしているところである。

5)これまでの沖縄防衛局の調査では、投棄されたドラム缶がこれまでの工事で作業員に見逃されて埋め戻されている可能性も示唆されます。米軍人以外の作業者の被害や、廃棄物発見時における制度の不備なども見据え、ドラム缶が投棄された経緯について、また、沖縄県内での同様な事例の可能性について精査し、沖縄県の基地汚染の特徴を把握する取り組みを行ってください。
県:
米軍施設環境対策事業において、在沖米軍基地の土地の使用・改変履歴、環境事故歴等を調査することとしている。同調査により基地内の環境汚染の可能性等について把握して参りたい。

6)作業員の作業時の安全についても懸念されています。作業員の安全確保、情報提供、健康管理の責任体制はどのような体制となっているのか、説明してください。
県:
作業員の安全確保については、労働安全衛生法等に基づき発注者及び被雇用者等において為されていると考えている。

7)沖縄防衛局から調査結果報告などがメディアへのレクチャー、ウエブでの公表などに限られ、市民へのコミュニケーション過程を構築する努力が一向にみられません。沖縄県がこの状況をどのように認識しているのかについて説明してください。
県:
情報公開のあり方については、各行政主体により判断されており、要請事項については沖縄防衛局、沖縄市に伝えたい。

2.西普天間住宅地区の支障除去調査について
1) 「キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の跡地利用に関する協議会支障除去作業部会」における沖縄県の役割について説明してください。
県:調査の手法、汚染除去の手法などについて、沖縄防衛局に対し必要な意見を述べることにより適正な調査及び支障除去対策の実施を確保する役割を有していると考えている。

2)沖縄防衛局の制定した「返還実施計画」案に対する沖縄県知事意見や宜野湾市長意見の沖縄防衛局の回答は、曖昧なものであり、「返還実施計画」最終案にきちんと反映されていません。しかし、知事意見・宜野湾市長意見として要求したことは、協議過程で実現するために、交渉していくべきだと考えます。沖縄県はこの件に関して、どのような働きかけをしているか、説明してください。
県:
県及び宜野湾市の意見については、支障除去作業部会等での調整を踏まえて沖縄防衛局に対応させた又は対応に向けて協議を進めているところである。

3)宜野湾市まち未来課は、沖縄防衛局の調査の妥当性について判断をするのは沖縄県環境部の専門家であるとしています(2015年8月26日調べ)。沖縄防衛局が行う土壌・水質調査結果やその評価、浄化方法など、沖縄防衛局の判断の妥当性を判断できる専門家が誰であるか説明してください。
県:
沖縄防衛局が行う調査の手法等については、支障除去作業部会等において関係機関で協議を行うことにより、その妥当性を判断している状況にある。なお、支障除去作業部会の協議結果については、協議会に報告することを行っている。評価基準については各種環境基準等を参照して判断している。また、宜野湾市の発言内容については県は現時点で承知していないが、県環境部においては、環境法令を熟知した職員が調査の内容等について審査している状況である。

4)撤去予定の建物のアスベスト調査や、PCBのデータについて、沖縄県、宜野湾市は生データが沖縄防衛局から共有されていませんでした(2015年8月26日調べ)。沖縄防衛局の調査データは全て沖縄県、宜野湾市も共有し、主体的な調査結果の精査、評価をするようにしてください。
県:
アスベスト及びPCB調査の結果については、平成27年5月13日に沖縄防衛局から結果概要について説明を受けたところ。沖縄防衛局が行った調査の結果については、関係法令に則り判断していくこととする状況。

5)沖縄防衛局の計画では、支障除去期間はトータルで約3年を予定しています。しかし既に「キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)(25)支障除去に係る資料等調査報告書」(2015年8月)で予測されなかった投棄物や鉛の汚染が発覚しています。また、沖縄県基地環境特別対策室の「米軍施設環境対策事業報告書」では、「汚染場所の特定及び浄化計画の策定には十分な時間が必要であるとの助言を海外の基地汚染に関する実務担当者から得ており、実際の情報収集結果からもそのことが伺えた」(p.205)とあります。このようなことを踏まえ、支障除去期間の見直しを行う提言が沖縄県から必要だと考えられますが、その点についての見解を聞かせてください。
県:
支障除去に要する期間については、文化財調査や環境調査等の結果を踏まえて異なってくるものと考えている。跡地利用推進法に基づき徹底した支障除去が講じられるよう沖縄防衛局へ求めていくが、まだ文化財調査や環境調査が終了していないので、現時点で直ちに期間の延長を求めることは考えていない状況にある。

3. 基地環境特別対策室の役割について
1)基地環境特別対策室は3年間の一括交付金事業と理解していますが、事業終了後はどのような位置づけになるのか説明してください。
県:現時点では、平成29年度以降も組織を継続し、基地に関連する環境問題の解決に向けた取り組みを強化したいと考えている。なお、組織の問題については今後、庁内担当部と調整を行って決定するプロセスになっている。

2)現在、策定中の基地環境調査ガイドライン(仮称)及び基地環境カルテ(仮称)は、事業終了後に適用されるようですが、いつどのような形で実効性を持つのか、その展望について、また、沖縄防衛局が実施する調査などでガイドラインを適用するかについての日本政府との交渉についての進捗状況を説明してください。 
県:
県では平成28年度末に「基地環境調査ガイドライン(仮称)」と「基地環境カルテ(仮称)」を作成することを目標に作業を進めているところ。また、同作業は国(防衛省、外務省、環境省)へ適宜説明を行いならが進めている状況である。
現在でも国に県の考えを伝えている。同ガイドライン及びカルテ策定後は、その活用について国に提言して参りたい。

3)現在の沖縄市サッカー場などの進行中の事例を扱う県の担当部署や市町村課長会議などで説明している。基地環境特別対策室の情報交換などの関係はどのようになっているのか説明してください。
県:
基地環境特別対策室の設置目的、あるいは現在進行中の案件については市町村担当者
進行中の個別の事案については、適宜、県関係課や市町村担当部署との間で協議や意見交換の場を設けることにより情報交換等を行っている。

4.「環境補足協定」について
1)2014年10月20日の「日米共同報道発表」で提示された日米地位協定を補足する環境協定の件は、「基地負担軽減」に含ませるべきではない、特に政治的取引の材料とするべきではないと私たちは考えています。環境補足協定は、日米地位協定の欠陥の問題であり、それを補うための協定であり、「負担軽減」ではありません。また、この問題は、沖縄県の問題だけでなく、国民的な議論でもあり(日本弁護士会連合「日米地位協定(環境条項)の改正問題に関する会長声明」2015.1.7)、渉外知事会で要求してきた問題でもあります。沖縄県は、環境条項については政治的取引にすることなく、毅然とした態度で、これまでの地位協定の不備を日本政府に指摘し、沖縄県の環境を実質的に守る協定として要求するべき事項を交渉してください。
県:
地位協定に関しては沖縄だけではなくて全国民的な課題であると考えている。沖縄県では渉外知事会と連携し、地位協定の早急な見直しができない場合には環境法令の適用や環境調査等の規定を盛り込んだ「環境補足協定」を締結するよう求めてきたところである。平成26年10月に日米両政府間で実質合意された環境補足協定に関しては、基地を抱える地方公共団体の意見を十分反映し、実効性のある協定となるよう引き続き求めて行きたいと考えている。
その他軍転協など県内の機関を通じて、要請を行ってきたところであり、所用で上京した際には、外務省、防衛省にも要請を行ってきた。

2)「環境補足協定」が実効性をもつものとなるべく、沖縄県が政府にどのような交渉をしてきたか説明してください。 
県:
2015年2月に軍転協、7月に渉外知事会で要請してきた。
環境部では、10月20日の翌日、外務省と防衛省に実質合意の内容を確認するとともに県の考えを伝えた。4月8日、5月15日、8月7日、基地環境特別対策室の事業を説明する際にも環境補足協定が実効性をもつものになるよう要請をしてきた。

以上 

要請文のPDFファイルはこちら。
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記録のPDFファイルはこちら
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辺野古新基地建設「集中協議」に関する要請

2015年08月26日

8月21日金曜日、沖縄BDは、沖縄県知事公室/辺野古新基地問題対策課に対して要請交渉を行いました。お忙しいなか対応して下さった県職員のみなさん、ありがとうございました。感謝を申し上げます。また、今回の要請交渉の基盤となる「要望書」の作成に関わって下さった日本自然保護協会、13の賛同団体にも感謝を申し上げます。そして交渉に参加して下さった沖縄BD、賛同団体のみなさん、ご苦労さまでした。「要望書」と賛同団体のリストはページの一番下です!


要望書の手交 ©棚原盛秀


要請の背景
今回の要請は、辺野古・大浦湾における米軍基地建設に関して、現在沖縄県と日本政府の間で行われている「集中協議」に関する要請でした。全部で5回予定されている「集中協議」ですが、翁長知事と菅官房長官の間ですでに2回開催。双方の主張は平行線を辿り、協議は決裂に向かっている様相です(沖縄タイムス記事(2015.08.08)を参照)。

その状況のなかで私たちは、日本政府がこの「集中協議」を、基地建設強行のための一つの手続として位置づけないかという懸念をもっています。特に埋立て承認の留意事項として沖縄県が求めた「協議」として、日本政府によりこの「集中協議」が扱われる可能性を懸念しています。

勿論、県も国も、現在のところ、建設強行に繋がる位置づけではないという見解で「集中協議」を行っています。ただ私たちとしては、沖縄県がその見解を明確にし維持すること、そして何を担保に「集中協議」のスコープや位置づけが成立しているのかを明確にしてもらう必要があると考えていました。

また、第3者委員会の「法的瑕疵有り」の報告書の精査が沖縄県によりまだ終わっていないなか、今回の「集中協議」が行われることで、県の精査に影響を与えないかという懸念もありました。


沖縄県からの回答
対応して下さった辺野古新基地建設問題対策課のみなさんからは、以下のような回答をもらっています。

・今回の「集中協議」は、埋立承認の際に付した「協議」とは異なる。普天間移設問題全体についての協議となる。
・第三者委員会の報告書は精査を進めている。集中協議が精査に影響を与えることはない。県の方針に変わりはない。
・県民(国民)への説明は、協議後の記者会見で努めている。翁長知事や官房長官が説明してきたことが、集中協議の内容であろう。

「集中協議」に関する沖縄県の認識を再度明確に説明してもらい、一応一安心、といったところです。特に私たちの、「もし日本政府が、埋立て承認の留意事項に関する「協議」を行おうとしてら、きちんと断るのですね」という質問に対して、「そういう場合があったならきちんと断る」という態度を明確に示してもらいました。沖縄県の立場は確認できたと思います。


懸念、要望、私たちの取り組み
しかし今回の要請交渉で、私たちの懸念が払拭されたわけではありません。事実、懸念が深まったり部分もあります。それゆえ懸念を払拭する努力を私たち沖縄BDも行うべきだと考えてます。

まず1点目の懸念ですが、残念なことに、「集中協議」のスコープや位置づけを明記した文書は存在しない、ということが今回の交渉で分かりました。結局、明確な担保はない、といっていいかもしれません。(ちなみにトップ同士の協議の議事録等もないそうです、、、。記者会見で内容については説明しているというのですが、、。)

ここに沖縄県と日本政府がその解釈でもめている「普天間基地5年以内運用停止」の問題と同じような構造が見えてきます(沖縄タイムス記事(2015.04.25)を参照)(琉球新報記事(2015.8.23)を参照)。仲井真前知事が埋立を承認する際に日本政府に対して「5年以内運用停止」を要請し、日本政府はそれに取り組むことになっていました。しかしこの「5年以内運用停止」という要望の前提やスコープ、定義、その位置づけについて沖縄県と日本政府で明確に記載した文書等は存在せず、現在のグダグダ状態になっているわけです。

現在進行中の「集中協議」が、日本政府により辺野古新基地建設の強行の手続き/言い訳として利用されないように、私たち沖縄BDも注視し、沖縄県に協力していかなければと思います。

それから2点目の懸念は、今回対応して頂いた知事公室/辺野古新基地建設問題対策課を含む県の「事務方」と、県三役のコミュニケーションが必ずしもスムーズに行われていないのでは、という印象を持たざるをえなかったことです(これは、今回だけではなく、他に機会における県職員のやり取りのなかからも受けてきた印象でもあります)。「集中協議」についてきちんと知事公室の職員に伝えられているのかどうか、と思わせられるような回答が職員の方からありました。

勿論、県自体が大きな組織ですし、また政治的要素が強い問題だけに、全ての情報や意見がスムーズに伝わるとは思っていません。しかし知事公室という部署は最も三役と事務方の密接な情報・意志の伝達・理解が要求される場所であるはずです。特に要請を行う県民の立場からすると、県政全体が一丸となってこの問題に取り組んでいける体制を確立してもらい、示してもらいたいと思います。

それから3点目の懸念ですが、これはこの9月に予定されている翁長知事の国連人権理事会への参加と関係します(琉球新報記事(2015.07.23)を参照)。国連は、辺野古新基地建設や沖縄における米軍基地の集中にこれまで懸念を表明しており、これらの問題解決のために、沖縄側と日本政府による「協議」や日本政府からの説明を求めてきました(沖縄BDと他のNGOによる国連への要請、その要請に基づく国連と日本政府のやり取りについては、このブログを参照http://okinawabd.ti-da.net/e4128463.html)。日本政府は「対話」「協議」は行っている、説明は行っている、振興策を実施している、という回答を繰り返しています(日本政府からの辺野古新基地建設問題に関する国連への回答例はこちらから)。

私たちは、翁長知事の国連人権理事会への参加にあたり、日本政府が今回の「集中協議」をもって、また「協議」「対話」を通して説明責任を果たしている、基地建設は行う、と弁明するのではないかと懸念しています。翁長知事は、辺野古新基地建設反対の立場から、今回の「集中協議」について検証し、適切な評価を行い、国連に伝える必要があると思います。私たちも国連に働きかけてきた環境NGOの一つとして、可能な形で翁長知事を支援したいと思います。

長くなりましたが、以上です!

H.Y.


要望書: %E7%9C%8C%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E5%AE%9B%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8%EF%BC%88NACS-J%E3%80%81BD%EF%BC%89final-4.pdf (PDF: 91KB)

*この要望書では、菅官房長官の8月3日の記者会見について、沖縄タイムスのウェブ版の記事を引用し「車両による資材の搬入、実施設計、協議等、これについて提示する予定です」としています。しかし、沖縄タイムスと琉球新報の紙面版では「提示」ではなく「停止」となっています。沖縄県の職員からこの違いについて指摘がありました。ありがとうございました。

賛同団体リスト: %E8%B3%9B%E5%90%8C%E5%9B%A3%E4%BD%93%EF%BC%88%E7%9C%8C%E7%9F%A5%E4%BA%8B%EF%BC%89%EF%BD%86.pdf (PDF: 43.15KB)
















  

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