沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出

2011年12月31日

  全国メディアでも報道されましたように、沖縄防衛局は、県知事の「県外移設」公約、県議会などの多くの自治体の反対、また県民の強い反対行動にもかかわらず、辺野古新基地建設環境影響評価の評価書提出を推し進めました。
 
沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出

北部から県庁へ駆けつけた浦島悦子さんたち

 12月26日からの市民団体の県庁での提出阻止行動に押され、沖縄防衛局は混乱を避けるためという理由で「郵送」することを伝えました。

 12月27日には、業者による搬入を試みましたが、市民団体の県庁の出入り口での監視行動により、業者は引き返すこととなりました。
 
沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出

photo: FB group Okinawa Outreach

沖縄BDのメンバーも現場にかけつけました。
沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出
車を監視する合間に、みんなそれぞれスピーチしています。沖縄BD事務局長吉川さんもスピーチ。左は監視行動のリーダー、沖縄BDの共同代表城間さん。
沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出
沖縄BD共同代表、高里さん、伊波さん、事務局次長、大城さん。メディアは対立構造しか映しませんが、現場ではこんな時間をすごしています。
 
 しかし、12月28日、沖縄防衛局は県民を欺き、評価書を県庁職員のいない早朝4時に、守衛室に搬入しました。

 -琉球新報号外はこちら
 -動画「辺野古アセス評価書、未明に搬入 県『手続き完了していない』」はこちら
 -沖縄タイムス号外はこちら 

 郵送という手段での提出がまず前代未聞であるにも関わらず、県民を欺く形での提出方法となり、反発はますます高まるばかりです。しかし、このような「闇討ち」は、高江のヘリパッド建設でも何度も行われてきました。

 12/29の琉球新報「識者談話:アセス理念の崩壊象徴」で、倉坂秀史(千葉大大学院教授)は、次のように述べています。
「今回の環境影響評価の提出で、未明に持ってきたことについては、それが直ちに何かに違反するということにはならない。ただ、お互いの信頼関係、協力関係で良い事業にしていこうというアセスの理念から考えると、信頼関係が崩れている出来事だと言える。」

市民団体の一部が泊まり込んで阻止したため、沖縄防衛局は、県条例で定めている必要な部数全てを運びいれられませんでした。受領簿にも記録がなく、この扱いについて、混乱が起きました(追記部分参照)。
この後も県庁の1階で座り込みは続き、その間、沖縄県議が県へ「不備なら受領するな」と交渉し、県出身の国会議員が沖縄防衛局に働きかけをするなど、あらゆる人が力を結集しました。
  
沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出

県議の交渉の結果や国会議員の報告を県庁1階ロビーで聞いているところ。

 しかし、県は受領の方向性を示しました。市民団体は、この経過説明と、知事の公約である「県外移設」との矛盾について知事の説明を求め、6階の知事秘書室前に座りこみました。
 
 市民の強い要望により、知事は市民からの代表からの質問に答えるという条件つきで説明を行いました。こちらはその動画です。
○2011年12月28日 仲井真沖縄県知事の県民への説明

 
  また、この後、辺野古環境アセス評価書に対して、沖縄県がどのような立場をとるのか、集まった県民に対して、環境アセスの担当の下地環境部長が説明しました。その動画です(説明の途中から)。質問者は池宮城紀夫弁護士。
○2011年12月28日 辺野古アセス評価書 下地環境部長の県民への説明


  評価書は、不備があるので、受理の要件を満たしていない、現在、受け取っている分についても県は何もしない、明日から、飛行場建設に関する知事意見を出すまでの45日間にカウントされることはない、1月4日以降の対応となる、という県からの説明が集会の最後にもあったことであり、市民団体はその答えを受け、散会し1月4日以降の対応を考えることとしました。

 しかしその後、沖縄防衛局が残りの部数を搬入する動きがあり、年末年始にも関わらず、今でも有志で県庁での24時間の警戒態勢をとっています。
(メディアは「市民団体」といっていますが個人個人が集まっての動きです。)
 
  琉球新報記事:評価書の追加搬入警戒 市民団体「受理させない」はこちら
  沖縄タイムス記事:追加提出に市民警戒 4日まで県庁で監視はこちら

沖縄県の意思とアセス理念を無視した評価書提出

大晦日座り込み中も次の一手をみんなで考えている。photo:Yukiko Okamoto

 

 取り急ぎの報告です。
 この評価書の部数の扱いについては、追記で琉球新報の「闇夜の評価書-見えないアセス最終手続き(下)」(2011.12.31)の抜粋を載せておきます。
 
 自然環境団体からの抗議声明も次々でました。こちらや、専門家からのコメントなどは今後アップしていきたいと思います。
 
 以下、琉球新報の「闇夜の評価書-見えないアセス最終手続き(下)」(2011.12.31)の抜粋 


琉球新報の「闇夜の評価書-見えないアセス最終手続き(下)」(2011.12.31)の抜粋
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 防衛省沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)評価書提出で、不足分が出ることは想定内だったのではないかー、評価書搬入を強行した裏で、こうした見方も出ている。
 28日未明、防衛局は県庁に評価書16部を運び入れたが、市民団体が抗議したこともあり、数部を持ち帰った。その後、同日午前10時50分、防衛局調達部から県環境生活部に「(環境影響評価)法令関係4部と、県条例関係12部を届けた」と連絡が入った。
 アセス法にかかる埋め立て部分で必要部数を満たしているが、県条例の飛行場設置部分では20部必要としており、あと8部必要となる。防衛局は同日、「環境影響評価方に定める送付分について知事に送付した」とし、条例分の送付は完了していない認識を示した。
 国の解釈では、アセス法の知事意見期間(90日)は開始したが、県条例の知事意見期間(45日)は始まっていない。仮に28日以降、残りの部数が県庁に届いても年末年始閉庁で確認は年明けになり、県条例の知事意見期間はそれ以降にカウントされる。県側は、年末年始の閉庁の影響を受けず、知事意見の期間が確保できることになる。
 年内ぎりぎりの提出に不満を示していた県に「配慮」を示す形となり、提出部数に付則がでてもいい-」と、防衛省が認識していた可能性がある。
 一方で、激しい阻止行動がありながら「年内提出」にこだわったのは、米国との約束のほか、年を越せば、アセス法の90日以内の知事意見が来年度にかかり、4月から施行される改正アセス法で環境相の助言を受けなければならなくなるからとみられる。懸念する事態を避け、県側にも「いい顔」をしようとした防衛省の腐心ぶりもにじむ。

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Posted by 沖縄BD at 16:50│Comments(0)
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