国連先住民問題常設フォーラムで共同声明

2011年06月02日

国連先住民問題常設フォーラムの共同声明

2011年5月16-27日に国連本部(ニューヨーク)で開催されていた
国連先住民問題常設フォーラムにおいて、市民外交センターのとりまとめで
作成した共同声明が読まれました。
沖縄からは、沖縄・生物多様性市民ネットワーク(後続組織への移行期間でしたが、
この名称を用いました)が声明づくりに参加し、高江の「ヘリパッドいらない」住民の会
とともに声明に名を連ねました。

声明は、市民外交センターの木村さんがNYを離れなければならなかったため、議場で
連名してくださったアジア先住民族連合(AIPP)の方が読み上げてくださいました。
また、AIPPのサイトにも声明を掲載していただきました。→http://www.aippnet.org/home/daily-sharing

これまでの国連の取り組み、また特にCOP10でのIIFB(国際先住民族フォーラム)の最終声明を
生かしつつ、辺野古/大浦湾、高江の問題をアピールできたことは、沖縄BDの次につながる
動きになったと思います

この件に関しては、米国で沖縄の件をサポートしてくださっている
TenThousandThingsのJen Teeterさんが
早くも記事を書いてくださっています。→http://bit.ly/j5LOuJ

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国連先住民問題常設フォーラム
国連本部、ニューヨーク 2011年5月16-27日

共同声明


市民外交センター、アジア先住民族連合、フォレスト・ピープルズ・プログラム、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、「ヘリパッドいらない」住民の会、モペッ・サンクチュアリ・ネットワーク 
木村真希子

議案4人権(b)先住民族の人権と基本的自由の状況および他の国連人権機構に関する特別報告者との対話
議長、ありがとうございます。

市民外交センター、アジア先住民族連合、フォレスト・ピープルズ・プログラム、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、「ヘリパッドいらない」住民の会(沖縄)、モペッ・サンクチュアリ・ネットワークを代表し、アイヌと琉球/沖縄の人々の人権侵害の状況に関する短い声明を出させていただきます。

2007年の国際連合総会での「先住民族の権利に関する国際連合宣言(UNDRIP)」の採択から、日本政府はアイヌを先住民族と認め、2009年末にはアイヌ政策推進会議を設立しました。国内レベルでは、2007年から、限られた範囲ではありますがアイヌ政策は一定の前進があったと、私たちは認識しています。

しかし、アイヌと琉球/沖縄の人々の先住民の権利を侵害する事例が、日本で続いています。UNDRIPを完全に実施することや、UNDRIPを精神的、法的、政治的に受け入れていくことに、日本政府が消極的であることを深く懸念します。

一件目は、アイヌ民族に関する件です。北海道(伝統的にはアイヌの領土)にある自治体、紋別市は、2010年の2月26日に藻別川近くに、産業廃棄物処理場を建設する計画を承認しました。藻別川は、アイヌ文化と自然環境の共存のための最も重要な場所のひとつであり、紋別地域のサケの秋の産卵に重要な場所です。アイヌに多くのサケをもたらしてくれる神々へ感謝をする伝統的な儀式(カムイチェップ・ノミ)は、2002年に復活し、この儀式は地域のアイヌ共同体によって毎秋に行われています。

承認に先だって、紋別の地域のアイヌ共同体は、環境保全を支援している地元の日本のグループと協働し、紋別市が、土地、文化、環境に関する権利、自由で事前の情報に基づく合意(FPIC)を含むUNDRIPを尊重し、先住民族の視点から計画を見直すことを要求しました。しかし、残念ながら、紋別市はアイヌ民族の権利を考慮せず、計画を承認しました。その結果、工事は既に始まってしまい、地域のアイヌの人々は、北海道公害審査会にこの件を調査してもらうよう申請しています。

次は、琉球/沖縄の人々の件です。日本政府は、日本政府が琉球/沖縄の人々を先住民と認めることを求める国連自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会の勧告を実践してきませんでした。その結果、現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する国連特別報告者、ドゥドゥ・ディエンが報告したとおり、沖縄における米軍基地の過度な存在が、沖縄の人々への差別として未だ残ることになっているのです。現在、2つの軍事基地建設計画が、地域の先住民族のコミュニティーからの長期に渡る反対の声にも関わらず、日米の合意のもと進められています。

1つの巨大基地が、辺野古/大浦湾に建設されようとしています。「生物多様性に関する国際先住民族フォーラム」が、2010年名古屋で行われた生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)の最終声明で、この計画に憂慮を示したにも関わらず、日本政府はこの声明で挙げられた憂慮を無視し、計画を推進しています。もう1つは、沖縄本島の高江区の、やんばるの森に建設されようとしている新たな6つのヘリパッド建設計画です。人々の反対に対して、日本政府の、地域対応機関である沖縄防衛局は、地域の先住民族コミュニティーのメンバーに対してスラップ訴訟を起こしました。

日本政府が、UNDRIPを地方レベルで遂行することに消極的であることは、アイヌと沖縄の人々の、合意形成過程に参加する権利を侵していることになります。北海道紋別市の産業廃棄物処分場建設の承認と、辺野古/大浦湾への軍事基地建設と高江のヘリパッド建設は、UNDRIPの29条に違反しているだけでなく、32条に明確に明記されている先住民族のFPICの深刻な権利侵害でもあります。また、生物多様性条約の8j条項で定められている、生物多様性や地域のコミュニティーが生物多様性を守る権利を否定することにもなっているのです。

勧告

1.私たちは、UNDRIPに基づき、先住民族の土地、領域、資源に影響を及ぼす計画が承認される前に、先住民族の人々の自由で事前の情報に基づく合意をえることができるような国家および地方自治体の制度を、日本政府が先住民族の人々と協力して設立することを要求します。


2.私たちは、プロジェクトによって影響が及ぶ地域のアイヌ共同体の、自由で事前の情報に基づく合意を尊重し、紋別市が産業廃棄物処理場の承認を再検討することを要求します。

3. 私たちは、日米両政府が直ちに辺野古/大浦湾への軍事基地建設と高江のヘリパッド建設を中止し、計画を見直すことを要求します。

4. 私たちは、先住民族の人権と基本的自由の状況に関する特別報告者が、北海道紋別市の産業廃棄物処分場の建設と、沖縄県の辺野古/大浦湾の軍事基地建設、および高江のヘリパッド建設の件で、日本政府に直接介入するよう仲介することを要求します。


議長、ありがとうございました。


(翻訳:沖縄・生物多様性市民ネットワーク 河村雅美)
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(2011.6.3, 6.10 一部修正)



Posted by 沖縄BD at 23:30│Comments(0)
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