沖縄市サッカー場基地跡地問題:環境総合研究所の報告書と提言文を送付
2013年09月06日/ 枯れ葉剤/ 基地返還跡地/ 汚染
先日、記者会見で発表した環境総合研究所の報告書(記事はこちら)を、下記の提言文とともに、5機関に送付しました。
これまで実施された調査を関係機関できちんと評価し、次の調査に進むこと、そしてその調査はあるべき姿の調査にさらに近づくものでなければならないと思います。
調査は、調査の結果に影響を受ける可能性のある市民のためにあるべきであり、特に安全、健康、環境の面に配慮したものでなければならない。先の調査で、ダイオキシン、PCBが検出されているという深刻な事実を重く受け止め、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市はそれぞれがするべき役割を認識し、全面調査に臨んでほしいと考えています。
特に、沖縄県。6月の県議会で基地跡地返還後の汚染発見に対して「新たなスキームを研究したい」と環境生活部長が見解を述べました。追加調査があるのはわかっているのだから、研究は進んでいるでしょう。これから行われる調査で、沖縄市だけをがんばらせるのではなく、誰のための調査なのかを今一度認識し、県もそれを支えていく役割を担ってほしいと思います。
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沖縄県知事 仲井眞 弘多殿
沖縄市長 東門 美津子殿
沖縄市議会議長 小浜 守勝殿
沖縄市教育長 仲松 鈴子殿
沖縄防衛局長 武田 博史殿
6月13日に沖縄市諸見里のサッカー場整備工事中に米軍遺棄物と思われるドラム缶が発見され、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市が、調査を実施してきました。
沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、6月20日に関係5機関に対し、専門性と透明性を備えた調査の実施を求める要請「沖縄市諸見里サッカー場工事現場のドラム缶の件について-専門性と透明性を備えた調査の実施を求める要請-」を提出し、調査の過程を注視し、情報収集を行い、関係者との意見交換をしてきました。なぜなら、2002年に北谷で200以上のドラム缶が発見され際に実施された不備な調査や、ドラム缶内容物が曖昧にされたまま行われた処理が、今回再び繰り返されるのではとの大きな危機感を持ったからです。
沖縄BDは、沖縄市が日本政府とは別に、独自のクロスチェック調査を行ったこと、全面調査の実施が決まったことは大きな前進であると考えています。
なお沖縄BDは、このような重要な事例の調査体制、調査結果をしっかりと評価することが、今後行われる追加調査、全面調査、ひいては沖縄で行われる基地跡地調査における妥当性や信頼性に繋がると考え、専門家である環境総合研究所の池田こみち氏に評価を依頼しました。
この度、その評価の報告書「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書-沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心に-」が完成したので、関係諸機関に提出いたします。
この報告書では、追加調査、全面調査を行う前に、これまでの調査を精査して検討しなければならない課題が多くあること、計画立案時に関係機関が十分に協議することの必要性を示しています。
今回のような調査は、調査の結果に影響を受ける可能性のある市民のためにあるべきであり、特に安全、健康、環境の面に配慮したものでなくてはなりません。そのためには、調査計画から説明責任を果たす過程に至るまでのどの過程においても、市民が十分に情報にアクセスができ、市民の意見が反映される「市民参加」の体制が必要と考えます。また関係機関は、透明性の確保と説明責任の実施を相互に確認し、チエックしていく体制作りが必要と考えます。
透明性と、高い専門性を持ち、そして説明責任を調査実施者がきちんと果たす調査となるために、この報告書にある評価を踏まえ、まずは以下を実施することを、沖縄BDは関係機関に提言いたします。
1) 追加調査・全面調査に着手する前に、これまでの調査過程、調査体制、調査結果を関係機関全体で精査すること。それについての説明会を住民/市民に行うこと。
2) 1)の結果を踏まえ、追加調査・全面調査の計画立案を市民参加のもとでオープンに行うこと。
3)情報は、沖縄市同様、市民が直接アクセスできるようにすること。メディアへの説明会、記者クラブへの発表、ポスティングをもって県民に公開したという認識を改め、実質的な市民への情報公開を徹底すること。また、これまでの調査結果をウェブで公開していない沖縄防衛局は、ただちにウェブで公開して説明の機会を設け、調査の透明性の確保と市民の情報へのアクセスを担保し、沖縄への誠実度を示してから次の調査に着手すること。
4)沖縄市は、調査の実施者が日本政府であっても、市独自で行った調査のクロスチェックの体制を保持し、沖縄防衛局と沖縄県はそれに全面協力すること。
5)住民・市民、業者、作業員の安全、安心、環境を第一義的に考え、柔軟な対応をしていくこと。特に適用基準については、米軍基地跡地であることを考慮し、厳しい基準を検討し、適用すること。
【添付書類】
環境総合研究所「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書-沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心に-」(2013.8.30)
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提言のPDFファイルはこちら
(PDF: 190.65KB)
これまで実施された調査を関係機関できちんと評価し、次の調査に進むこと、そしてその調査はあるべき姿の調査にさらに近づくものでなければならないと思います。
調査は、調査の結果に影響を受ける可能性のある市民のためにあるべきであり、特に安全、健康、環境の面に配慮したものでなければならない。先の調査で、ダイオキシン、PCBが検出されているという深刻な事実を重く受け止め、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市はそれぞれがするべき役割を認識し、全面調査に臨んでほしいと考えています。
特に、沖縄県。6月の県議会で基地跡地返還後の汚染発見に対して「新たなスキームを研究したい」と環境生活部長が見解を述べました。追加調査があるのはわかっているのだから、研究は進んでいるでしょう。これから行われる調査で、沖縄市だけをがんばらせるのではなく、誰のための調査なのかを今一度認識し、県もそれを支えていく役割を担ってほしいと思います。
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2013年9月5日
沖縄県知事 仲井眞 弘多殿
沖縄市長 東門 美津子殿
沖縄市議会議長 小浜 守勝殿
沖縄市教育長 仲松 鈴子殿
沖縄防衛局長 武田 博史殿
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
TEL/FAX:098-897-0090
ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
TEL/FAX:098-897-0090
ディレクター 河村 雅美
沖縄市諸見里サッカー場工事現場のドラム缶の件について
(調査評価提出と提言)
(調査評価提出と提言)
6月13日に沖縄市諸見里のサッカー場整備工事中に米軍遺棄物と思われるドラム缶が発見され、沖縄防衛局、沖縄県、沖縄市が、調査を実施してきました。
沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、6月20日に関係5機関に対し、専門性と透明性を備えた調査の実施を求める要請「沖縄市諸見里サッカー場工事現場のドラム缶の件について-専門性と透明性を備えた調査の実施を求める要請-」を提出し、調査の過程を注視し、情報収集を行い、関係者との意見交換をしてきました。なぜなら、2002年に北谷で200以上のドラム缶が発見され際に実施された不備な調査や、ドラム缶内容物が曖昧にされたまま行われた処理が、今回再び繰り返されるのではとの大きな危機感を持ったからです。
沖縄BDは、沖縄市が日本政府とは別に、独自のクロスチェック調査を行ったこと、全面調査の実施が決まったことは大きな前進であると考えています。
なお沖縄BDは、このような重要な事例の調査体制、調査結果をしっかりと評価することが、今後行われる追加調査、全面調査、ひいては沖縄で行われる基地跡地調査における妥当性や信頼性に繋がると考え、専門家である環境総合研究所の池田こみち氏に評価を依頼しました。
この度、その評価の報告書「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書-沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心に-」が完成したので、関係諸機関に提出いたします。
この報告書では、追加調査、全面調査を行う前に、これまでの調査を精査して検討しなければならない課題が多くあること、計画立案時に関係機関が十分に協議することの必要性を示しています。
今回のような調査は、調査の結果に影響を受ける可能性のある市民のためにあるべきであり、特に安全、健康、環境の面に配慮したものでなくてはなりません。そのためには、調査計画から説明責任を果たす過程に至るまでのどの過程においても、市民が十分に情報にアクセスができ、市民の意見が反映される「市民参加」の体制が必要と考えます。また関係機関は、透明性の確保と説明責任の実施を相互に確認し、チエックしていく体制作りが必要と考えます。
透明性と、高い専門性を持ち、そして説明責任を調査実施者がきちんと果たす調査となるために、この報告書にある評価を踏まえ、まずは以下を実施することを、沖縄BDは関係機関に提言いたします。
1) 追加調査・全面調査に着手する前に、これまでの調査過程、調査体制、調査結果を関係機関全体で精査すること。それについての説明会を住民/市民に行うこと。
2) 1)の結果を踏まえ、追加調査・全面調査の計画立案を市民参加のもとでオープンに行うこと。
3)情報は、沖縄市同様、市民が直接アクセスできるようにすること。メディアへの説明会、記者クラブへの発表、ポスティングをもって県民に公開したという認識を改め、実質的な市民への情報公開を徹底すること。また、これまでの調査結果をウェブで公開していない沖縄防衛局は、ただちにウェブで公開して説明の機会を設け、調査の透明性の確保と市民の情報へのアクセスを担保し、沖縄への誠実度を示してから次の調査に着手すること。
4)沖縄市は、調査の実施者が日本政府であっても、市独自で行った調査のクロスチェックの体制を保持し、沖縄防衛局と沖縄県はそれに全面協力すること。
5)住民・市民、業者、作業員の安全、安心、環境を第一義的に考え、柔軟な対応をしていくこと。特に適用基準については、米軍基地跡地であることを考慮し、厳しい基準を検討し、適用すること。
以上
【添付書類】
環境総合研究所「旧嘉手納基地返還跡地から発見された有害物質分析調査についての暫定評価報告書-沖縄防衛局と沖縄市の調査の比較を中心に-」(2013.8.30)
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提言のPDFファイルはこちら

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