沖縄市ドラム缶発見の報道から基地跡地問題へ5 要請文の意味

2013年07月06日/ 枯れ葉剤/ 基地返還跡地/ 汚染

 沖縄市ドラム缶発見の報道から基地跡地問題へ3 沖縄BDから緊急要請の要請文について、現在の体制では総合的な専門性・透明性を確保した調査ができない理由の補足説明をします。
 
 私たちは、要請文で以下のように書いています。
"一方、本件は沖縄市の工事現場における枯れ葉剤真相解明問題としてのみではなく、日米両政府、沖縄県、市町村、市民が連携して取り組む基地返還跡地の問題として対処するべきである。
そこでは、この問題に適切に対応できる専門性と、事実を隠蔽した疑いが持たれることのない透明性を備えた調査体制が必要である。

しかし、2002年に北谷町で発見されたドラム缶に関して沖縄県が実施した調査や、北谷町が2012年に実施した枯れ葉剤問題に対処した調査からみると、県や市町村に基地跡地の汚染物質の調査に対処する専門性が備わっているかは疑問である。また、日米政府の沖縄の枯れ葉剤問題の真相解明に対するこれまでの消極的な姿勢から、透明性のある調査が実施されるかについては疑念が持たれている。3月に公開された米国政府の報告書の内容から判断しても、日米政府と沖縄県の情報共有体制は整備されておらず、現体制では要求される専門性と透明性が担保されることは、困難であると考えられる。"

 現在の体制では要請しているような調査ができない理由として、枯れ葉剤問題の取り組みなどから、以下のことがあげられます。

県・自治体の問題
・県や自治体が調査で依拠する既存の法律が、基地汚染に対応しているものではないこと。

・沖縄県や市町村にこのような調査の経験や高い専門性がないこと。
 -2002年の北谷町の米軍遺棄物と思われるドラム缶の調査は、専門家に杜撰な調査であると問題点を指摘されています(環境総合研究所報告書 3章参照)。この件に関してのさらなる情報を沖縄BDは要請や陳情で求め続けていますが、県の真摯な回答は得られていません。

-2012年に枯れ葉剤疑惑に対して行われた北谷町の調査も、北谷町に申し入れをしたにも関わらず、町独自に実施し、結果についても市の広報(2012.6)に簡単に掲載されたのみで、評価も住民への説明もされていません。掲載された市の広報はここ
 
沖縄市ドラム缶発見の報道から基地跡地問題へ5 要請文の意味


-基本的にこれまで枯れ葉剤のことで自治体に問い合わせをすると「軍転協で要請しているので」「三連協で」ということで対応するケースが多いのです。跡地利用の部署でも跡地の汚染については担当していない。そのような体制では、調査のノウハウの蓄積もないと考えられます。

 普天間飛行場でも埋設の可能性が指摘されています。宜野湾市議会では桃原功議員が質問をしてくれていますが、以下のような答弁です。

沖縄市ドラム缶発見の報道から基地跡地問題へ5 要請文の意味



日米政府の問題
-「沖縄の枯れ葉剤問題に関する記録は確認できない」と言い続けながら、米国陸軍化学物質庁「ジョンストン環礁の生態アセスメント」報告書に沖縄にドラム缶2万5000本の枯れ葉剤が保管されていたことの記載が発見されると「不正確である」との説明をすることなどから、真相解明に誠実な姿勢が見られないということがあります。

-米国政府が日本政府の要請に対して3月にだされた報告書も、日本政府がどのような要請をしていたのか疑問が生じる内容です。また、退役軍人省の裁定書や、名護市・市民団体からの要請、沖縄県の北谷のドラム缶調査の一次資料も触れておらず、米国政府への日本政府への情報のあげ方は十分とはいえません。日本政府と米国政府のやりとりについての問い合わせにも、情報開示していません。
日米政府とも安易に幕引きを図ろうとしているように見える姿勢でこの問題に対処しているので、事実を隠蔽する疑念が生じてしまいます。このような状態で透明性が担保される調査が行われるとは到底思えないという現状だというのが、私たちの認識です。

 このような現状について、まずは沖縄県民が把握する必要があります。問題解決には何が必要か整理するために、枯れ葉剤問題への取り組みで蓄積してきた情報と今回のドラム缶の件から洗い出された問題をつなぎ合わせていく作業が、私たちに求められているといえるでしょう。




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Posted by 沖縄BD at 19:46│Comments(0)
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