<枯れ葉剤>県議会に米政府報告書の件を追加陳情
2013年03月09日/ 枯れ葉剤
本日、公開された米国政府の枯れ葉剤報告書についての県議会への陳情を昨日、提出してきました。下にはり付けます。
まだ報告書が公開されていなかったので、公開を日米政府に求める項目が入っていますが、公開された場合、県には市民参加と透明性を確保した独自な精査を行うことを要求しています。
また、この報告書への取り組みが、米軍基地にかかわる過去にさかのぼる環境問題を解決する契機であることを沖縄県に認識すること、そして基地関連の環境制度整備を促すものになっています。
"信頼関係”とか"県民の不安払拭”などという言葉を軽く使わないようにも釘をさしてあります。県がどのような姿勢でこれに取り組むか、注目してください。軍特委は3/27(水)の予定です。

陳情書のpdfはこちら
(PDF: 215.44KB)
代表質問でも、山内末子議員(県民ネット)がこの件について追及してくださっています。

まだ報告書が公開されていなかったので、公開を日米政府に求める項目が入っていますが、公開された場合、県には市民参加と透明性を確保した独自な精査を行うことを要求しています。
また、この報告書への取り組みが、米軍基地にかかわる過去にさかのぼる環境問題を解決する契機であることを沖縄県に認識すること、そして基地関連の環境制度整備を促すものになっています。
"信頼関係”とか"県民の不安払拭”などという言葉を軽く使わないようにも釘をさしてあります。県がどのような姿勢でこれに取り組むか、注目してください。軍特委は3/27(水)の予定です。

2013年3月8日
沖縄県議会議長
喜納 昌春殿
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川保護基金」事務所内
担当Director, Environmental Policy & Justice河村雅美
沖縄における枯れ葉剤汚染の真相解明を求める陳情
(米政府の調査報告書の件)
沖縄の枯れ葉剤の真相解明に関しては、米政府は、「枯れ葉剤が使用、貯蔵されたという資料や記録は見つかっていない」という回答をくり返してきました。また、日本政府も市民・県民からの要請に対して米政府の回答を繰り返すのみで、照会・回答要請過程も明らかにせず、真相解明に動こうとしていない状態でした。
しかし、日本政府が米国政府に依頼した調査要請に基づき、米国が作成した沖縄の枯れ葉の調査報告書が2013年2月19日に日米の会議で発表されたということが報道で確認されました【資料1】
外務省沖縄事務所と外務省外務省日米地位協定室に、わたしたちが確認したところによると、その会議の内容や調査報告書の詳細は現時点では公開されておらず、公開のスケジュールも決定されていないとのことです。
米政府の報告では、沖縄の枯れ葉剤の存在が否定されているということですが、沖縄の枯れ葉剤の使用を裏づける背景や事実、退役軍人の証言はこれまで多く蓄積されています【資料2】。2013年1月には、一次資料である1971年の国防総省の文書で嘉手納基地での枯れ葉剤貯蔵が明らかになっています【資料3】。
また、米政府は「使用、貯蔵された資料や記録が見つかっていない」という回答を続けていたのにも関わらず、陸軍化学物質庁による2003年「ジョンストン環礁の生態アセス」レポートで、ベトナムから持ち込まれ沖縄で貯蔵された枯れ葉剤が、1972年に空軍によりジョンストン島に運ばれたという記述の発見時の照会には、「不正確」と日本政府に回答しています。それは真相解明にはほど遠い姿勢だといえます。そしてその不誠実な米国政府の回答を、日本政府は、沖縄県と名護市にそのまま伝えているというのが現状です【資料4】。
さらにこの調査報告者の中立性が保たれていないこと、証言をした退役軍人にコンタクトをしていないことなど、ジャパンタイムスの記事で指摘されているとおり、この報告書の信頼度は決して高くないと考えられます。米国の調査報告によって、沖縄の枯れ葉剤問題の幕引きをねらう日米両政府の意図も疑われています。米国政府による回答を、日本政府が、その“信頼関係”を盾に鵜呑みにするべきではなく、沖縄県も日本政府との“信頼関係”を理由に日本政府の説明をくり返して県民に説明することはもうすべきでないと考えます。これまでの沖縄県の答弁にあるような「日本政府の責任において」という姿勢では解決しえない段階にきています。
沖縄県は、この調査報告について日米政府に照会するだけではなく、速やかな全面公開を強く要求し、市民参加と透明性を確保した独自な精査を行うことを要求します。それは「県民の不安を払拭する」という目的でなく、真相解明を目的とした主体的なものであることを望みます。
また、この調査報告は、情報源によれば、除草剤を含む大量の軍事物資を1960年代から1970年代の間の廃棄の記録が含まれているとのことです。この米国調査報告を好機とし、沖縄県は、この米国調査報告書が、枯れ葉剤問題だけでなく、米軍基地に係わる過去にさかのぼる環境問題を解決する契機であることを認識するべきです。そして沖縄県が、基地の環境関係の情報開示や米軍との調整、ひいては日米地位協定の環境条項の創設、浄化ビジネスに関係する法整備など、抜本的な制度改革に取り組むことを要求します。
具体的には沖縄県が以下を実現することを陳情します。
記
1. 2月19日に米国政府から日本政府に公表されたとされる沖縄の枯れ葉剤の存在に関する調査の速やかな全面公開を日米政府に強く要求すること。また、調査報告の公開だけでなく、日米政府からの沖縄県および県民への説明の機会も要求すること。
2. 日米政府の調査報告を待つことなく、米国側の報告公開後の検証作業に備えた体制を整備すること。具体的には、1973年の日米合同委員会合意「環境に関する協力について」の具体的運用、地位協定の環境関係に精通する専門家や枯れ葉剤の米韓合同調査に関わった韓国の専門家の招聘などを行うこと。
3. 県内での元基地従業員を始めとした沖縄での聞き取り調査をはじめとする、継続審議中の陳情129号で要求している県の事業について引き続き検討すること。また、県で行っている日本政府への問い合わせ過程(照会文書)や、独自に行っている文書の翻訳などは県民に速やかに公開すること。
4. 基地返還時から、調査、浄化作業について、透明性を持った制度の整備を行うこと。基地使用履歴の情報開示、返還地跡地利用の原状回復の過程などに関して透明性が確保されているとはいえない。特に、基地建設に関わる建設業者が環境浄化ビジネスに参入するなど、沖縄側でも基地使用履歴の情報開示に透明性が担保されない懸念がある【資料5】。これについての県の見解を示し、今後の取り組み予定を提示すること。
【資料1】「米国報告書は沖縄の枯れ葉剤を否定 国防総省は除草剤廃棄は認めるが、ベトナム戦争で使用した枯れ葉剤は否定」ジョン・ミッチェルのジャパンタイムス記事2013年2月15日(U.S. report to deny Agent Orange in Okinawa Pentagon to admit pesticides dumped but not Vietnam War defoliant)訳文。http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html
【資料2】枯れ葉剤被害の可能性がある地域マップ
http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2012/10/blog-post.html
【資料3】「1971年の国防総省の文書で嘉手納基地での枯れ葉剤貯蔵が明らかに」
ジョン・ミッチェルのジャパンタイムス記事2013年1月11日('71 Pentagon paper says Agent Orange was stored on Kadena Air Base)訳文。http://okinawaoutreach.blogspot.jp/2013/01/71.html
【資料4】外務省特命全権大使沖縄担当竹内春久から名護市長への文書「キャンプ・シュワブにおける『枯れ葉剤』の使用等について(回答)」平成24年9月18日
参照:沖縄・生物多様性市民ネットワークブログ記事「<枯れ葉剤>名護市の要請と外務省回答」http://okinawabd.ti-da.net/e4143111.html (2012.11.24)
【資料5】2012年8月25日沖縄タイムス「大米建設が土壌浄化事業:基地返還見据え技術導入」同日琉球新報「米基地跡地浄化へ:大米建設『環境部』来月設置」
【参照】
これまでの沖縄・生物多様性市民ネットワークの枯れ葉剤の取り組みは同ネットワークブログの「枯れ葉剤」タグで見ることができる。
http://okinawabd.ti-da.net/c187576.html
陳情書のpdfはこちら

代表質問でも、山内末子議員(県民ネット)がこの件について追及してくださっています。

Posted by 沖縄BD at 18:09│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。