<辺野古アセス>2/12 の沖縄防衛局の補正評価書についての回答
2013年02月20日/ 辺野古アセス
2/12に沖縄防衛局へ補正評価書へ意見書を提出してきました。このときにあらかじめ提出しておいた質問への回答や、回答に対してのやりとりを報告します。

「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書(補正後)」への意見書に関連する質問
(1)沖縄県知事意見579件の全てに対しての回答がなされていないことについて、なぜそのようにしたのかその理由と今後の方針をお伺いしたい。
[回答]当局としては、可能な限り丁寧にという方針でアセスをしてきた。知事意見すべてに対応していると認識している。今後、補正評価書の新たな修正はない。
こちらからは、「全ての知事意見に回答をしなくてもよいと考えているのか」と質問を投げかけ、「回答できないことについては、回答の理由を示すべき」と意見を述べましたが、回答以上の回答はありませんでした。
(2)誤りがあるとの指摘があった部分について、修正しなかった理由と、今後の方針をお伺いしたい。(例:潮流のシミュレーション)
[回答]可能な限り補正評価書の中で丁寧に説明した。
これは根本的な説明はされませんでした。潮流のシミュレーションなど明らかな誤りを修正できないならば、他のコンサルティング会社に任せるべきであったのではないかなど、この重大な誤りを放置していることに、この場でも批判しましたが、これも回答以上の回答はありませんでした。
また、ここで有識者研究会はフリーハンドで意見がいえたのか、建設を前提として意見を言わないといけないなどの枠組みはあったのか、ということをこちらから問いました。「自由に言えた」と回答する職員もいれば、環境アセスは基地をつくるという前提で行っているという、アセスの趣旨を無視する発言もありました。いずれの発言も、大きな問題です。
(3)埋立土砂について。
評価書(補正前)と比べて詳しく書かれているものの、まだどこの地域からどれだけの分量を調達する予定なのか調達先を具体的に示していただきたい。
[回答]これからの事業の進捗に差し支えがあるので、回答は差し控えたい。
決定していないのか、決定していて回答できないのか、どちらかも回答できないとのことでした。また、この土砂の件が方法書の時から取り上げられている大きな問題であることを指摘すると、池田氏は自分は4月からの赴任であるということを回答の軽さの理由にしていました。
(4) 環境アセスメントのプロセスについて
本事業に係る環境影響評価においては、方法書の広告縦覧以降に追加方法書・追加修正方法が公表され、評価書の段階になってオスプレイの配備が記されるなど、本来は方法書や準備書に記載されるべき事項が守られていないと認識している。沖縄防衛局のお考えをお聞きしたい。
[回答]法令にのっとって環境アセスをやってきた。
ここで参加していた浦島さんから、沖縄防衛局の池田氏に「環境アセスとは何か」について質問されました。池田氏は、最低限の答えをしましたが、それに対し、アセスが合意形成のツールであり、沖縄防衛局のアセスがその趣旨に反するやり方をしており目的を達していないということを指摘しました。
(5)ジュゴンの保全について
米国におけるジュゴン訴訟において、米国防総省は日本の環境影響評価の検証を行うことを命令されている。本件に関する沖縄防衛局と米国のやりとりの進捗や今後の方針やスケジュールについて教えていただきたい。
[回答]これは係争中である米国の訴訟であると承知している。ジュゴン訴訟についての担当者は沖縄防衛局にはいない。ジュゴン訴訟については知らされていないし、この関係で沖縄防衛局から米国側に情報をあげたことはない。
ジュゴン訴訟では、日本のアセスが米国の国家歴史保存法の遵守(=文化的価値を持つジュゴンに対して基地建設が悪影響があるか、否かの決定、あるならば悪影響の回避、緩和の提示)に深く関連していることを、把握していないということが明らかになりました。日本側の担当については、調べた上、沖縄防衛局から連絡があることになっています。
(6)実効性のない環境保全措置について
実効性を伴わない環境保全措置が評価書(補正後)にも多く見られた。例えば、米軍にマニュアルを渡す、米軍に要請する、具体的な方法やスケジュールに関する記述のない生物の移植や造成、などである。特に絶滅危惧種であり国の天然記念物である、生息数3頭のジュゴンについて、保全措置が功を奏さなかった場合はどのようにするのか、沖縄防衛局のお考えをお聞きしたい。
[回答] アセスは可能な限り丁寧にやってきた。
3頭のジュゴンについて、保全措置が功を奏さなかったらどうするか、という件については「事後調査をする」という的外れな答えがありました。それに対して安部さんが、「ジュゴンがいなくなっているのに、ですか?」と驚きの声をあげると、防衛局側が「え?ジュゴン、どっか行っちゃうんですか?」という問いが返ってきました。
また、もともと辺野古にはジュゴンのご飯である良質な海草があったことのデータもこちらから提示し、補正評価書でもひきつづきジュゴンが減ったことについての考察がされていないことに対する批判がされました。
米軍の環境保全についてのマニュアルは、現在、作られていないとのことでした。今後、事業者側(沖縄防衛局調達部)で作ることになっているとのこと。
しかし、現在、沖縄からの抗議などにも関わらず、米軍が約束を守らない状態であることはオスプレイの例をみても明白で、「米軍が環境保全策を実行する」というこのアセスの保全措置の前提条件はもう崩壊しています。それを指摘し、現在の状況をどう認識しているのか、と聞くと防衛局側は「要請は米軍に聞き入れられている」という認識を示しました。状況の実質的な改善は伴わなくても、要請をただ聞いてもらって、それで「聞き入れられている」と表現する沖縄防衛局。防衛局が補正評価書で示した「米軍への要請」という保全策の限界が見えていく回答でした。
それから、保全策であげられているサンゴや海草の移植についても、失敗例を保全策として採用していることや、使用している文献の質やレベルが低く、問題であることも重ねて指摘しました。
河村雅美・吉川秀樹
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関連記事:
日本自然保護協会 安部真理子さん 「沖縄防衛局に、沖縄・生物多様性市民ネットワークの方々と意見書を提出し、問題点を指摘してきました。」(2013.2.12)
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(1)沖縄県知事意見579件の全てに対しての回答がなされていないことについて、なぜそのようにしたのかその理由と今後の方針をお伺いしたい。
[回答]当局としては、可能な限り丁寧にという方針でアセスをしてきた。知事意見すべてに対応していると認識している。今後、補正評価書の新たな修正はない。
こちらからは、「全ての知事意見に回答をしなくてもよいと考えているのか」と質問を投げかけ、「回答できないことについては、回答の理由を示すべき」と意見を述べましたが、回答以上の回答はありませんでした。
(2)誤りがあるとの指摘があった部分について、修正しなかった理由と、今後の方針をお伺いしたい。(例:潮流のシミュレーション)
[回答]可能な限り補正評価書の中で丁寧に説明した。
これは根本的な説明はされませんでした。潮流のシミュレーションなど明らかな誤りを修正できないならば、他のコンサルティング会社に任せるべきであったのではないかなど、この重大な誤りを放置していることに、この場でも批判しましたが、これも回答以上の回答はありませんでした。
また、ここで有識者研究会はフリーハンドで意見がいえたのか、建設を前提として意見を言わないといけないなどの枠組みはあったのか、ということをこちらから問いました。「自由に言えた」と回答する職員もいれば、環境アセスは基地をつくるという前提で行っているという、アセスの趣旨を無視する発言もありました。いずれの発言も、大きな問題です。
(3)埋立土砂について。
評価書(補正前)と比べて詳しく書かれているものの、まだどこの地域からどれだけの分量を調達する予定なのか調達先を具体的に示していただきたい。
[回答]これからの事業の進捗に差し支えがあるので、回答は差し控えたい。
決定していないのか、決定していて回答できないのか、どちらかも回答できないとのことでした。また、この土砂の件が方法書の時から取り上げられている大きな問題であることを指摘すると、池田氏は自分は4月からの赴任であるということを回答の軽さの理由にしていました。
(4) 環境アセスメントのプロセスについて
本事業に係る環境影響評価においては、方法書の広告縦覧以降に追加方法書・追加修正方法が公表され、評価書の段階になってオスプレイの配備が記されるなど、本来は方法書や準備書に記載されるべき事項が守られていないと認識している。沖縄防衛局のお考えをお聞きしたい。
[回答]法令にのっとって環境アセスをやってきた。
ここで参加していた浦島さんから、沖縄防衛局の池田氏に「環境アセスとは何か」について質問されました。池田氏は、最低限の答えをしましたが、それに対し、アセスが合意形成のツールであり、沖縄防衛局のアセスがその趣旨に反するやり方をしており目的を達していないということを指摘しました。
(5)ジュゴンの保全について
米国におけるジュゴン訴訟において、米国防総省は日本の環境影響評価の検証を行うことを命令されている。本件に関する沖縄防衛局と米国のやりとりの進捗や今後の方針やスケジュールについて教えていただきたい。
[回答]これは係争中である米国の訴訟であると承知している。ジュゴン訴訟についての担当者は沖縄防衛局にはいない。ジュゴン訴訟については知らされていないし、この関係で沖縄防衛局から米国側に情報をあげたことはない。
ジュゴン訴訟では、日本のアセスが米国の国家歴史保存法の遵守(=文化的価値を持つジュゴンに対して基地建設が悪影響があるか、否かの決定、あるならば悪影響の回避、緩和の提示)に深く関連していることを、把握していないということが明らかになりました。日本側の担当については、調べた上、沖縄防衛局から連絡があることになっています。
(6)実効性のない環境保全措置について
実効性を伴わない環境保全措置が評価書(補正後)にも多く見られた。例えば、米軍にマニュアルを渡す、米軍に要請する、具体的な方法やスケジュールに関する記述のない生物の移植や造成、などである。特に絶滅危惧種であり国の天然記念物である、生息数3頭のジュゴンについて、保全措置が功を奏さなかった場合はどのようにするのか、沖縄防衛局のお考えをお聞きしたい。
[回答] アセスは可能な限り丁寧にやってきた。
3頭のジュゴンについて、保全措置が功を奏さなかったらどうするか、という件については「事後調査をする」という的外れな答えがありました。それに対して安部さんが、「ジュゴンがいなくなっているのに、ですか?」と驚きの声をあげると、防衛局側が「え?ジュゴン、どっか行っちゃうんですか?」という問いが返ってきました。
また、もともと辺野古にはジュゴンのご飯である良質な海草があったことのデータもこちらから提示し、補正評価書でもひきつづきジュゴンが減ったことについての考察がされていないことに対する批判がされました。
米軍の環境保全についてのマニュアルは、現在、作られていないとのことでした。今後、事業者側(沖縄防衛局調達部)で作ることになっているとのこと。
しかし、現在、沖縄からの抗議などにも関わらず、米軍が約束を守らない状態であることはオスプレイの例をみても明白で、「米軍が環境保全策を実行する」というこのアセスの保全措置の前提条件はもう崩壊しています。それを指摘し、現在の状況をどう認識しているのか、と聞くと防衛局側は「要請は米軍に聞き入れられている」という認識を示しました。状況の実質的な改善は伴わなくても、要請をただ聞いてもらって、それで「聞き入れられている」と表現する沖縄防衛局。防衛局が補正評価書で示した「米軍への要請」という保全策の限界が見えていく回答でした。
それから、保全策であげられているサンゴや海草の移植についても、失敗例を保全策として採用していることや、使用している文献の質やレベルが低く、問題であることも重ねて指摘しました。
河村雅美・吉川秀樹
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日本自然保護協会 安部真理子さん 「沖縄防衛局に、沖縄・生物多様性市民ネットワークの方々と意見書を提出し、問題点を指摘してきました。」(2013.2.12)
Posted by 沖縄BD at 10:58│Comments(0)
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