訪米団の沖縄BD要請文(和訳)

2012年01月28日/ 訪米団

「アメリカへ米軍基地に苦しむ沖縄の声を届ける会」の、沖縄・生物多様性市民ネットワークの要請文の和訳です。
 
訪米団の沖縄BD要請文(和訳)


訪米団の沖縄BD要請文(和訳)



小さな島々の豊かな生物多様性を守るために
  
沖縄・生物多様性市民ネットワーク


沖縄において最も豊かな環境が残っている地域は、同時に米軍基地や訓練基地があるところであるということは非常に示唆に富む事実である。基地や訓練地への地元の人々のアクセスが制限されていることで、環境の保全がなされてきた。その一方、基地に広大な土地を占領されてきた私たちは、開発への選択肢が限られるなか、開発の為の土地を求め、埋立ておこない、森の木々を伐採してきた。

沖縄・生物多様性市民ネットワークは、「アメリカへ米軍基地に苦しむ沖縄の声を届ける会」のメンバーとして、この沖縄のおかれた状況の理解と、環境保全の切なる願いを持って、以下のことを米国政府に要請する。

1. 辺野古/大浦湾の米軍基地建設を中止すること。

2.亜熱帯のやんばるの森にある高江への6つの米軍ヘリパッド建設を中止すること。

3.沖縄が、米軍基地の件で環境と保全に関わる情報にアクセスできるように、また沖縄全域における環境保全に、市民が積極的に関与できるようにする制度を設立すること。


1. 人々の反対を無視し、日米両政府は辺野古/大浦湾への巨大米軍基地建設計画を押し進めている。辺野古/大浦湾は、絶滅寸前のジュゴン、稀少なアオサンゴや多くの生物が、地域コミュニティーの周りに生息しているところである。

日本政府は、環境アセスが「非科学的」で「非民主的」であると批判されているにも関わらず、それを用いて、この計画を強引に推し進めている。

私したちは、米国政府にはこの過程を再考する義務と責任があると考える。

国際自然保護連合(IUCN)の勧告・決議は、米国政府に、環境アセスメントを完遂し保全の行動計画を策定するために日本政府と協働することを要求している。2008年の「ジュゴン訴訟」の判決では、米国の裁判所は、米国国防総省が、日本政府と建設計画を策定する際に、軍事基地建設がジュゴンに与える可能性のある悪影響を考慮にいれていないことを理由に、国家歴史保存法(NHPA)に違反しているとの判決を出した。裁判所はまた、ジュゴンに対する影響を回避あるいは緩和するために、国防総省が自ら追加アセスをすることが必要かどうかを決定するため、米国政府が日本のアセスを評価することを命令した。

私たちは米国政府が日本の辺野古/大浦湾米軍基地建設のための環境アセスを再検討し、建設計画を中止することを要求する。
2.高江は日本で最も生物多様性豊かな森林の1つ、やんばるの森に位置している。やんばるの森には1,000種以上の高等植物や5,000種以上の動物が棲息している。そこには絶滅危惧種のノグチゲラやヤンバルクイナを含む数多くの固有種や在来種が棲息する。

現在、この森の30パーセントは米軍の訓練場であり、そこには既に22の米軍ヘリパッドがある。新たなるヘリパッド建設が、高江の集落とヤンバルの森に多大な危険と負の影響を与えるのは明白である。

それゆえ地域住民、国際自然保護連合(IUCN)を含む国内外の環境保護団体や専門家が幾度も建設計画の見直しを求めてきた。しかし沖縄防衛局はその要求を無視し、2010年12月、木々を伐採し、土嚢を投げ込み、建設工事を強行再開した。

この建設計画が引き起こしているのは、生物多様性の破壊だけでないことは強調されるべきことである。生物多様性を守り、持続可能な生活を行っている人びとの暮らしや権利をあきらかに侵害している。沖縄防衛局は、平和的に阻止行動を行っている人々に対してスラップ(SLAPP)訴訟と称される、市民への威圧を目的とした裁判を起こしている。

私たちは米国政府が高江のヘリパッド建設を直ちに中止することを強く要請する。


3 環境に関心を持つ市民やNGOは沖縄の米軍基地に関係する環境問題と生物多様性保全に取り組んできた。これには、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁、燃料漏れ、山・原野の火事といった問題がある。

わたしたちは、沖縄が置かれている特殊な政治的状況のゆえに、この問題解決に関して、困難や制約に直面させられることがしばしばある。日米地位協定(SOFA)によって、市民が沖縄の米軍基地の環境の状態に関する情報にアクセスすることは、難しい状況である。2000年の日米「環境原則に関する共同発表」と「日本環境管理基準(JEGS)」は、米軍に義務を課すことがないゆえに、名目だけの合意になっているようである。

このような状況は、米軍基地に関係した、わたしたちの環境保護や保全活動に対する努力を無にしているといえる。

私たちは米国政府に、沖縄が米軍基地の環境問題に関する情報へアクセスできることと、沖縄全域の環境保全の取り組みに積極的に関わることのできる制度を確立することを要求する。
沖縄・生物多様性市民ネットワークは「環境」「平和」「人権」の3つの柱で沖縄の生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組んでいます。
沖縄生物多様性市民ネットワーク
〒901-2213 沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 ぎのわんセミナーハウス304号
Tel/Fax: 81-98-897-0090
098-897-0090
HP:http://www.bd.libre-okinawa.com/ Blog: http://okinawabd.ti-da.net/
連絡先:事務局長 吉川秀樹 yhideki[@]cosmos.ne.jp


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Posted by 沖縄BD at 23:24│Comments(0)
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