枯れ葉剤問題で沖縄県へ要請
2011年12月25日/ 枯れ葉剤
大変、報告が遅くなってしまいました。枯れ葉剤問題の沖縄県への要請の報告です。
当日報道はこちら:QABニュース→環境保護団体 県に枯れ葉剤環境調査求める
県から5セクションの代表が回答の席につきました。
この要請行動がもととなってて、12月議会への沖縄県への陳情につながりました。
また、ジョン・ミッチェルさんの北谷についての記事も、ここで用いている資料がもととなっています。
[ジョン・ミッチェルさんの記事]
-Jon Mitchell,"Agent Orange buried at beach strip?U.S. veteran fears toxin now beneath popular civilian area," The Japan Times, Wednesday, Nov. 30, 2011.翻訳はこちら
-Jon Mitchell, 'Agent Orange on Okinawa: Buried Evidence?,' The Asia-Pacific Journal Vol 9, Issue 49 No 2, December 5, 2011.
添付資料は、10月7日の外務省と同じですので省略します。
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【要請事項のポイント】
1)日米政府へ強く検証を要求すること
-1973年の日米合同委員会の「環境に関する協力について」に基づいて、自治体が率先し、汚染の事実を米軍に追求するこができる。
-日本政府は「沖縄での枯れ葉剤の使用を米国は認めていない(使用が確認されていない)」としているが、それは米国防総省の見解に基づいた認識であり、米国退役軍人省は、沖縄での枯れ葉剤の使用を1998年に認めている。沖縄県もその事実を把握して対応すべきである。
2)全県的な被害の可能性があることを認識し、早急に対応すること。
-基地内の汚染の調査については、米軍との調整が必要であるが、基地の外や影響を受けた可能性のある沖縄の人々の調査は、沖縄県(その他自治体)が独自で取りかかれるし、取りかかるべきである。
-被害は、退役軍人のみでなく、県民に及んでいる可能性は高い。
ジョン・ミッチェルさんの記事、大城敬人名護市議の聞き取りやベトナムへ船で出動していた軍作業員の存在(『那覇市史』米軍作業「米軍用船に乗り組んで」「ベトナム体験記」(『琉球新報』1969.5.4))などからもそれは確かです。
3)特に、北谷の件は、場所が特定されているのと、米軍基地内でないので、県で調査ができる。早急な調査着手を求める。
4)独自の調査体制を早急に確立すること
2002年の北谷町基地跡でドラム缶が発見された際の処理、検査体制には問題があると考え、処理、検査体制についての確立を求めました。
参照:『沖縄の米軍基地 平成20年3月』 第3章「基地から派生する諸問題」p.58(3)北谷町のドラム缶投棄事件)
県2002年に北谷のメイモスカラー射撃場返還跡地で215本の米軍所有物であると考えられたドラム缶が発見された時の検査体制は、十分なものではありませんでした。200以上のドラム缶が発見されたのにも関わらず、検体数がわずか1缶の分析検査であり、報告書はわずか3ページのものが公表されているに過ぎません(PDFを下記に添付します)。また、ドラム缶と汚染土壌が産業廃棄物処理場で焼却処分をされています。現在、ダイオキシンを検査できる研究機関は沖縄にはないそうです(当時、現場に立ち会った当時の環境保全課担当者、天久氏に後日、確認)。
このようなことからも、枯れ葉剤に関わらず、投棄物などに対する対処の仕方、検査方法の確立は必要です。
【県の回答】
概していえば、県としての積極的な取り組みを行う姿勢はみられませんでした。各セクションの回答内容は以下のとおりです。
1. 基地対策課
外務省へ事実確認をしたとのこと。ただし、沖縄での使用・貯蔵を示す資料は確認できなかった、という外務省の回答をくり返しにとどまる。
2.環境保全課
基地周辺についてのこれまでの環境調査についての説明。場所が特定されていないので、調査の着手は難しい。北谷の件も明確にならないと着手できないとのこと。
3.企画調整課
本年度で期限の切れる県駐留軍用地返還特別措置法(軍転特措法)、沖縄振興特別措置法(沖振法)は、新法制定を国に要望しているところである。返還される場所だけでなく、跡地全域を対象にし、国が現状回復の責任を負うように求めたいとのこと。
4.自然保護課
「地域戦略」は県庁全体で策定していくので、その中で検討していきたいとのこと。。
5.健康増進課
外務省からの情報が少ないので対象となる人が特定できない。一定のイメージができたら調査のデザインができるのだが、とのこと。
沖縄BDからは、この回答に対して、外務省への要請と同じく、より積極的な取り組みを求めるべきであるとの反論をしました。しかし、このような県の姿勢では問題の解決に結びつかないとの結論から、さらなる県への働きかけを検討することとなりました。
参照:「タール状物質等の分 析結果の最終報告について」(文化環境部)
(PDF: 210KB)
当日報道はこちら:QABニュース→環境保護団体 県に枯れ葉剤環境調査求める
県から5セクションの代表が回答の席につきました。
この要請行動がもととなってて、12月議会への沖縄県への陳情につながりました。
また、ジョン・ミッチェルさんの北谷についての記事も、ここで用いている資料がもととなっています。
[ジョン・ミッチェルさんの記事]
-Jon Mitchell,"Agent Orange buried at beach strip?U.S. veteran fears toxin now beneath popular civilian area," The Japan Times, Wednesday, Nov. 30, 2011.翻訳はこちら
-Jon Mitchell, 'Agent Orange on Okinawa: Buried Evidence?,' The Asia-Pacific Journal Vol 9, Issue 49 No 2, December 5, 2011.
添付資料は、10月7日の外務省と同じですので省略します。
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2011年10月27日
沖縄県知事
仲井真弘多殿
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川保護基金」事務所内
共同代表:伊波義安、城間勝、高里鈴代
沖縄における枯れ葉剤汚染の真相解明と経緯説明の要請
ベトナム戦争において米軍は、猛毒ダイオキシンを含む化学兵器・枯れ葉剤(エージェント・オレンジ)を1961~71年の10年余にわたって休みなくまき続けた。散布総量は約9万キロリットル、その中にダイオキシンが約550キログラム含まれていたと推計されている。枯れ葉剤を浴びたベトナム人や米兵、韓国兵などにその後、種々のガンをはじめとした疾病、先天性奇形児、流産、死産が多発し、ベトナム人の被害者は子どもや孫の世代も含め300万人以上に上るといわれる。戦争が終結して36年になるが、枯れ葉剤の貯蔵や積み込みが行われたダナン空港など、今も残留ダイオキシンの高濃度汚染地域(ホットスポット)が28カ所あり、その周辺では世代を超えて障害児が生まれ、環境汚染も続いている。
ベトナム戦争時、沖縄は米軍の発進、補給基地として使われ、多くの軍事物資が沖縄を経由した。このことから、沖縄においても枯れ葉剤が、貯蔵、運搬、散布されただろうという疑念は持たれてきた。事実、沖縄での枯れ葉剤被曝を主張し、1998年に賠償を認められた退役軍人が存在し、また2009年にはレッドハット作戦に枯れ葉剤が含まれていたことが退役軍人省の裁定の中で言及された。しかし、沖縄での枯れ葉剤の使用については、米政府は現在も認めていない。
退役軍人省の資料では、米国、プエルトリコ、カナダ、タイ、韓国(DMZ)、ラオス、カンボジアが、ベトナム以外の枯れ葉剤実験・貯蔵地域として挙げられている。また韓国では、米韓両政府によるキャンプ・キャロルにおける合同調査の中間報告で、「微量の枯れ葉剤を検出した」と今年9月9日に発表している。それにも関わらず、沖縄での枯れ葉剤の存在や使用が認められないことは甚だ不自然である(*1)。
今年4月から始まった、退役軍人の証言に基づく沖縄の枯れ葉剤に関する一連のメディア報道によって、沖縄県民の疑念は益々高まってきている。調査によれば、この枯れ葉剤に晒された地域は、那覇軍港から、北部訓練場までの広範囲に渡り、枯れ葉剤に晒された人々も、退役軍人だけでなく、沖縄の基地労働者や一般人にまで及び、全県的な被害を受けている可能性が高い(*2)。なによりも被害地域や、被害者の特定が急がれる。日本政府も韓国政府が米国と行っているような合同調査を、至急、沖縄で米国と行うべきである。
日本政府は今回の一連の報道を受け、米国へ照会し、「枯れ葉剤が使用、貯蔵されたという資料や記録は見つかっていない」との回答を受け取っている。しかし、米国自体も新たな記録により、海軍、沿岸警備隊の枯れ葉剤被害者のリストが追加され、今なお調査が続いている状態であり(*3)、使用、貯蔵に関しての事実の断定はまだできないはずである。
このような事態に、沖縄県民は不安と憤りを抱いており、各自治体の議会でも取り上げられている。沖縄県は、沖縄県民の人権と健康を守る立場から、1973年の日米合同委員会合意「環境に関する協力について」に基づき、断固とした姿勢で事実の追及を行い、以下の要請を早急に実行することを強く求める。
要請
1. 日米政府に対して、退役軍人、元高官の証言などを検証し、沖縄における枯れ葉剤の輸送・運搬貯蔵、散布、廃棄、埋設などに関する具体的な照会、回答を求めること。
2. 沖縄県として主体的な取り組みを早急に開始すること。退役兵や元高官の証言をもとに、沖縄側の証言を集める体制を作ること、および枯れ葉剤の影響がある可能性の考えられる地域や周辺の環境調査(土壌、水質調査など)を早急に実施し、その調査方法と調査結果を県民に明らかにすること。および、枯れ葉剤に晒された可能性のある人々の健康調査(医療記録の分析など)に着手すること。また、市町村における実態調査の主体的な取り組みを支援すること。以上を継続的な県の事業とすること。
3. 特に枯れ葉剤が埋設、散布された可能性が高い北谷の件に関しては、迅速に情報収集を行い、緊急調査を行うこと。
4. 沖縄県は、米軍基地の環境影響に関する独自の調査体制を確立すること。特に、米軍の投棄物が発見された場合の、検査基準・ガイドライン・検体保存基準などを策定し、枯れ葉剤の検証作業が速やかに行われるように体制を整えること。
5. 枯れ葉剤を含む、環境汚染物質に関しては、沖縄県が現在策定している「生物多様性地域戦略」および日本政府の基地跡地利用法において、項目として盛り込み、法・制度を整備すること。
以上。
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【要請事項のポイント】
1)日米政府へ強く検証を要求すること
-1973年の日米合同委員会の「環境に関する協力について」に基づいて、自治体が率先し、汚染の事実を米軍に追求するこができる。
-日本政府は「沖縄での枯れ葉剤の使用を米国は認めていない(使用が確認されていない)」としているが、それは米国防総省の見解に基づいた認識であり、米国退役軍人省は、沖縄での枯れ葉剤の使用を1998年に認めている。沖縄県もその事実を把握して対応すべきである。
2)全県的な被害の可能性があることを認識し、早急に対応すること。
-基地内の汚染の調査については、米軍との調整が必要であるが、基地の外や影響を受けた可能性のある沖縄の人々の調査は、沖縄県(その他自治体)が独自で取りかかれるし、取りかかるべきである。
-被害は、退役軍人のみでなく、県民に及んでいる可能性は高い。
ジョン・ミッチェルさんの記事、大城敬人名護市議の聞き取りやベトナムへ船で出動していた軍作業員の存在(『那覇市史』米軍作業「米軍用船に乗り組んで」「ベトナム体験記」(『琉球新報』1969.5.4))などからもそれは確かです。
3)特に、北谷の件は、場所が特定されているのと、米軍基地内でないので、県で調査ができる。早急な調査着手を求める。
4)独自の調査体制を早急に確立すること
2002年の北谷町基地跡でドラム缶が発見された際の処理、検査体制には問題があると考え、処理、検査体制についての確立を求めました。
参照:『沖縄の米軍基地 平成20年3月』 第3章「基地から派生する諸問題」p.58(3)北谷町のドラム缶投棄事件)
県2002年に北谷のメイモスカラー射撃場返還跡地で215本の米軍所有物であると考えられたドラム缶が発見された時の検査体制は、十分なものではありませんでした。200以上のドラム缶が発見されたのにも関わらず、検体数がわずか1缶の分析検査であり、報告書はわずか3ページのものが公表されているに過ぎません(PDFを下記に添付します)。また、ドラム缶と汚染土壌が産業廃棄物処理場で焼却処分をされています。現在、ダイオキシンを検査できる研究機関は沖縄にはないそうです(当時、現場に立ち会った当時の環境保全課担当者、天久氏に後日、確認)。
このようなことからも、枯れ葉剤に関わらず、投棄物などに対する対処の仕方、検査方法の確立は必要です。
【県の回答】
概していえば、県としての積極的な取り組みを行う姿勢はみられませんでした。各セクションの回答内容は以下のとおりです。
1. 基地対策課
外務省へ事実確認をしたとのこと。ただし、沖縄での使用・貯蔵を示す資料は確認できなかった、という外務省の回答をくり返しにとどまる。
2.環境保全課
基地周辺についてのこれまでの環境調査についての説明。場所が特定されていないので、調査の着手は難しい。北谷の件も明確にならないと着手できないとのこと。
3.企画調整課
本年度で期限の切れる県駐留軍用地返還特別措置法(軍転特措法)、沖縄振興特別措置法(沖振法)は、新法制定を国に要望しているところである。返還される場所だけでなく、跡地全域を対象にし、国が現状回復の責任を負うように求めたいとのこと。
4.自然保護課
「地域戦略」は県庁全体で策定していくので、その中で検討していきたいとのこと。。
5.健康増進課
外務省からの情報が少ないので対象となる人が特定できない。一定のイメージができたら調査のデザインができるのだが、とのこと。
沖縄BDからは、この回答に対して、外務省への要請と同じく、より積極的な取り組みを求めるべきであるとの反論をしました。しかし、このような県の姿勢では問題の解決に結びつかないとの結論から、さらなる県への働きかけを検討することとなりました。
参照:「タール状物質等の分 析結果の最終報告について」(文化環境部)
(PDF: 210KB)
Posted by 沖縄BD at 01:09│Comments(1)
この記事へのコメント
昨年、チェルノブイリ原発被災児童の保護活動をされている、ロシア人の先生が来沖して、県内の何箇所かで放射能測定をしたところ、読谷村の象のおり跡地でカナリ高い放射能が検出されました。
放射能は遺伝子情報を破壊するので、被爆者が子供を作ると、障害児が生まれる危険性が高いそうです。
実際に、沖縄県内で、ハーフの障害児が多いのも関係があるのではないか? と思います。
出来ましたら、皆様のお力で調査して頂けませんでしょうか?
石原イカリ
放射能は遺伝子情報を破壊するので、被爆者が子供を作ると、障害児が生まれる危険性が高いそうです。
実際に、沖縄県内で、ハーフの障害児が多いのも関係があるのではないか? と思います。
出来ましたら、皆様のお力で調査して頂けませんでしょうか?
石原イカリ
Posted by 石原イカリ at 2012年03月01日 16:43