沖縄市議会に陳情書を出しました。議員配布になると思いますが。
今、沖縄市は監視的役割を担うことについては消極的で、防衛局や県との協議も形骸化(もとからかもしれませんが)しているように見えます。
沖縄市には調査当初の緊張感を再度持ってもらいたいと思います。
それから、調査の目的について、県民を交えて、行政に議論をしなおしてもらいたいです。
ドラム缶の有無、ドラム缶の内容物が環境基準超えか否かだけでなく、汚染の本質の部分--なぜここにドラム缶があるのか、健康、安全、環境を守るにはどうするべきなのか-を捉えていくことが調査の重要な目的だと思います。
以下、陳情書です。
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2015年6月13日
沖縄市議会議長 普久原 朝健殿
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
共同代表/ディレクター 河村 雅美
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
TEL/FAX:098-897-0090
沖縄市サッカー場調査についての陳情
2013年6月の沖縄市諸見里サッカー場で米軍遺棄物と考えられるドラム缶が発掘されてから、沖縄防衛局、沖縄市、沖縄県の3者で調査が実施されてきました。
2013年6月の予備的調査、10月からの全面調査の過程を経て、現在、調査は汚染範囲の確定といった問題を検証する、新たな段階に入ってきたといえます。
調査分析や専門家の評価により、サッカー場汚染の実態が明らかになり、そこに付随する新たな問題も浮かび上がってきました。
ドラム缶発見時から、調査を評価してきた環境NGOとして、専門家の知見などをもとに、沖縄市に以下の点を要請いたします。
1. 沖縄市は2015年2月に公開された沖縄防衛局の実施したたまり水の調査結果・分析の妥当性について、独自の評価・見解を示すこと。
今後の調査結果についても同様にすること。
予備的調査から、全面調査までは、沖縄市の沖縄防衛局へのカウンター調査が実施されており、防衛局調査への監視的役割を市が果たしてきたところもあります。
しかし、2015年2月10日に公開された、たまり水についての沖縄市サッカー場調査結果・分析「旧嘉手納飛行場(26)土壌等確認調査(その2)嘉手納飛行場返還跡地内報告書 平成27年1月 沖縄防衛局調達部/中央開発株式会社」からは、カウンター調査も行われず、第3者意見も出されていません。
沖縄・生物多様性市民ネットワークは、沖縄防衛局のたまり水の調査で、沖縄防衛局が汚染を限定的であるという結論を出していることが問題であることを、3名の専門家の意見をもとに指摘し、関係諸機関で対応することを要求した要請書を2015年3月19日に沖縄市長宛に送付しています[参照:添付文書]。
たまり水のダイオキシン濃度の高さ、雨水等によって埋め立て物(ドラム缶)から異常な濃度のダイオキシン類が持続して溶出していることなどを、専門家は指摘していますが、沖縄防衛局がそのような事実に触れず、結果の矮小化をはかっているようにみえる分析を行っていることは問題であると考えます。
沖縄市は、調査の妥当性について専門家の知見をもとに独自の評価を行い、見解を述べることが必要だと考えます。市当局でできない場合は、外部委託し、第3者の意見を持って、防衛局の調査を評価するべきだと思います。
2. 沖縄防衛局、沖縄県との協議の形骸化が、沖縄防衛局の協議なき入札(2015.5.1)で明らかになっている。協議を、調査設計などを3者で話し合う実質的な場とする具体的な政策を検討すること。
また、市民に協議の内容を公開すること。
沖縄防衛局の2015年5月1日のドラム缶調査の入札は、沖縄市も知り得ることなく行われ、調査設計など、3者の協議が形骸化していることが明らかになっています。
協議を実質的なものとするために沖縄市は対策をとることが必要です。また、市民に協議の内容を公開し、それぞれの機関が責任を果たしているかどうかを、チェックする体制にすることが必要だと考えます。
3. 沖縄県と汚染の本質的な原因究明(米軍投棄以後からドラム缶発見までの経緯)を行うこと。
なぜこのサッカー場に100 本以上のドラム缶が埋め立てられて、長期間存在し、異常な濃度のダイオキシン類が持続して溶出することに至ったのか、その原因を究明してください。
沖縄市の聞き取りによって得られた米軍人の埋設(1964年)以降の事実が確認されていないことは重要視すべきであると考えます。地歴調査からみると、サッカー場整備時にドラム缶が見逃され、業者などが埋め戻しをしている可能性は強く示唆されると思います。過去の汚染、汚染経路、作業員などの被曝の可能性の洗い出しも含め、本格的な調査を沖縄県と共同で行い、県内にこのような事例がないか、なぜこのようなことが起こってしまったのか、またこのような再開発での汚染等の発覚にいかに対処するかを検討することが必要です。
4. 掘削の影響についての調査・分析を防衛局と沖縄県と沖縄市で協議の上実施し、排水口で検出されているダイオキシン類の発生源について結論を出すこと。
2月10日に公開された報告書では、ドラム缶発掘工事の影響でダイオキシン類が移動し、排水口で検出されていることが確認されています。環境基準値以下であるということで、防衛局は軽視していますが、汚染の影響を検証するために、ダイオキシン類の移動の経路、掘削の影響については、把握する必要があると考えます。
掘削の影響については、これまでの掘削方法の妥当性についても検証して下さい。
5. 作業員の安全確保を徹底すること。
3月23日の中間報告発表では、ドラム缶から、これまでには検出されなかった高濃度の揮発性有機化合物も検出されたことが確認されています。どのような汚染物質が検出されるかわからない状態での作業において、あらゆる可能性を考慮して作業員の安全性を確保することが必要です。調査の仕様に作業員の安全項目も含めるなど、具体的な方策を、沖縄県と共同で沖縄防衛局に要求し、沖縄市としても行政として可能な方策を検討してください。
6. 掘削物の養生について検証し、対応策をとること。
掘削物の養生方法について、市民から不安の声が届いています。沖縄防衛局の説明も、養生方法についての根拠が明確に述べられていません。沖縄市は地域への責任もあることからも、これまでの養生方法が適当な方法であったかなどを検証して沖縄防衛局と協議し、今後の対策を検討してください。
7. 説明会を実施すること。
ドラム缶発掘から2年が経過しているにもかかわらず、予備的調査後、教育委員会が実施した説明会以後、全く説明会が開催されていません。メディアの情報だけでは不十分であり、調査実施者から直接説明をする場、そして市民とのコミュニケーションの場が必要です。
沖縄防衛局と沖縄県と協議し、質疑応答の時間を十分にとった説明会を、合同で、あるいは沖縄市単独であっても、早急に実施してください。
また、今後の調査スケジュールについても、防衛局と協議した際は、市民に公開・説明してください。
8. 市民等へのヒアリングを実施すること。
揮発性有機化合物が検出された際、沖縄タイムス(2015.3.24)の記事では市民の怒りと不安の声が取り上げられています。
市民が、このサッカー場汚染についてどう考えているか、市民から市への要望は何か、過去も遡って、健康被害を受けていないかなどのヒアリングをする必要があると考えます。
9. 浄化・利用についての決定過程について検討すること
防衛大臣はサッカー場としての利用ということを想定して発言していますが、安全宣言、浄化方法の決定、サッカー場として利用するのかどうか、についての決定過程は明らかになっていません。
十分な市民参加の上、政治的決着ではなく、安全性を確保した納得した決定となるような意思決定プロセスを今から検討してください。
以上