日本政府の人種差別撤廃委員会へのまたもや不誠実な回答
報告が大変遅れてしまいましたが、日本政府の沖縄、および国際社会への不誠実な姿勢を示す国連関係の報告です。
日本政府は1月に「人種差別撤廃条約第9条,及び人種差別撤廃委員会手続規則第65条に基づく2012年8月31日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答」を国連人種差別撤廃委員会に提出しました。
以前も報告しましたが、国連人種差別撤廃委員会は、昨年8月31日付けの書簡で日本政府に1月14日を期限とし、第7、8、9回政府定期報告書において、「沖縄で展開されている計画に関し、地域コミュニティーの支持と合意を得るために予定されている、あるいは実行されている施策について、最新かつ詳細な情報を提供すること」を2012年8月31日付けの書簡で要求しました。
これには、名護市辺野古/大浦湾での米軍基地建設と東村高江でのヘリパッド建設についての情報提供も含まれています。この要求は、同委員会が「早期警戒緊急手続き」のもと、日本政府に対し、辺野古/大浦湾における米軍基地建設と高江におけるヘリパッド建設についての情報提供を要求した2012年3月9日付けの書簡と、そのCERD書簡への日本政府の2012年7月31日付けの回答が反映されたものです。
しかし、日本政府は同委員会の要求に応えず、「沖縄に居住する人又は沖縄県出身者が本条約にいう人種差別の対象とはならないものと考えており(2012年7月31日付日本政府回答参照。)、したがって、本件情報については、第7回・第8回・第9回政府報告の対象とはならないと認識している。他方、委員会が求める情報に関しては、本条約の締約国として誠実に対応するとの観点から、以下の情報を提供する。」という回答をしました。
つまり、日本政府は、人種差別撤廃委員会や国連特別報告者から示されてきたこれまでの懸念を無視し、同委員会に要求されていた辺野古/大浦湾、東村高江の米軍基地建設問題の定期報告書の中での情報提供を拒んだことになるのです。ただ、日本政府は「本条約の締約国として誠実に対応」という観点で、下記の文書を提出しています。しかし、これは
2012年12月に沖縄BDが外務省沖縄事務所に要請したことは全く反映されていません。
「誠実に」「丁寧に」という言葉が並べられています。しかし辺野古埋め立て申請強行提出、高江のヘリ/オスプレイパッド建設強行、オスプレイ強行配備という、日本政府が現実に沖縄で行っている政策はそんな言葉で説明できるものはひとつもありません。
沖縄だけでなく、国際社会に対しての日本政府の不誠実な姿勢が示されています。
日本審査は2014年2-3月か8月のことです。
原文はこちら
「2012年8月31日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する回答」
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日本政府は、2012年8月31日付けの委員会からの要請に対し、同年7
月の情報提供以降の情報を以下のとおり提出する。
日本政府としては、沖縄に居住する人又は沖縄県出身者が本条約にいう人種
差別の対象とはならないものと考えており(2012年7月31日付日本政府
回答参照。)、したがって、本件情報については、第7回・第8回・第9回政府
報告の対象とはならないと認識している。他方、委員会が求める情報に関して
は、本条約の締約国として誠実に対応するとの観点から、以下の情報を提供す
る。
●沖縄県宜野湾市の中心部で住宅や学校等に密接して位置している普天間飛行
場の危険性の除去は喫緊の課題であり、その固定化は避けなければならず、日
米両政府は、普天間飛行場を辺野古へ移設することが引き続き唯一の有効な解
決策であると考えている。同時に沖縄県内に在日米軍専用施設・区域が集中し
ていることなどに鑑み、沖縄の基地負担を早期に軽減することが、最優先の課
題であると認識している。
●日本政府はこうした認識に基づき、これまで内閣総理大臣を始め、防衛大臣
や外務大臣等から、沖縄県知事を始めとする沖縄県の皆様に対して、機会を捉
えて直接対話を行い、普天間飛行場の移設に関する政府の考え方や沖縄の負担
軽減策等につき説明してきた。直近では、2012年10月9日に行われた内
閣総理大臣と沖縄県知事及び宜野湾市長との会談においても、知事及び市長か
らの普天間飛行場の移設・返還の加速化等の要請に対し、内閣総理大臣から、
普天間飛行場の早期移設・返還を含む沖縄の負担軽減及び沖縄振興についてこ
れまで以上に取組を強化するとともに、沖縄の声に真摯に耳を傾け、これらの
取組について沖縄の皆様に丁寧に説明していく旨述べたところである。
●普天間飛行場の辺野古への移設について、沖縄に厳しい声があることは承知
しているが、政府としては、今後もこうした地元の声に真摯に耳を傾けながら、
政府の考え方を丁寧に説明し、沖縄の皆様の御理解を得るべく、誠実に努力を
重ねていく所存である。
●また、北部訓練場のヘリコプター着陸帯移設工事については、「沖縄に関する
特別行動委員会(SACO)」最終報告において、北部訓練場(約 75k ㎡)の過
半(約 40k ㎡)を返還するため、返還される区域に所在するヘリコプター着陸
帯を、同訓練場の残余の部分に移設するとされており、同着陸帯の移設工事に
ついては、沖縄県を始めとする地元の関係自治体の御理解を頂いているところである。
政府としては、同訓練場の過半の返還を早期に実現し、沖縄の負担の
軽減を図ることが極めて重要であると考えており、引き続き、移設工事の実施
について最大限努めていく考えである。
●いずれにせよ、日本政府としては、沖縄の基地負担軽減策について、沖縄の
皆様の御意見を伺いながら、政府の考えを丁寧に説明し、沖縄の皆様の御理解
を得るべく誠実に努力を重ねていく所存である。
( 了 )
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外務省の人種差別撤廃条約の頁は
こちら
人種差別撤廃条約第7回・第8回・第9回政府報告(仮訳)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/pdfs/houkoku_789_1.pdf
別添
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/pdfs/houkoku_789_2.pdf
原文の英語は以下にあります
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/index.html
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