枯れ葉剤:北谷町長へ要請・意見書を提出 4/9
4月9日、北谷町長へ
環境総合研究所の作成した意見書を提出し、枯れ葉剤問題に関する3点の要請を行ってきました。
要請書は、下記に貼り付けます。
(2012.4.9北谷町長室 photo:沖縄BD棚原さん)
要請は意見書をもとに行いました。やりとりの要点は以下のとおりです。
1. 北谷町が行った町内3地点で行った環境調査について
北谷町は、今年2月上旬に町内3地点(白比川と塩川河口、北前区の井戸)で環境調査を行ったことが報道されています。この結果の公開、意見書から鑑みて十分な調査とはいえないことから、さらなる調査の実施、今後の予定の説明を要請しました。
→町長からは、以下のような回答がされました。
・北谷町としては、事実確認の要請を政府や県に昨年夏からしてきた。
・退役軍人の話では、ハンビーの北側ということでポイントを絞ることができないし、かなりのところは基礎工事がされており、掘らせてくださいといったら住民の不安を煽るだろう。
・今回の、井戸水や川の調査は県からもアドバイスをもらいながらやった。これで終わりではないことは申し上げておきたい。
・沖縄県も今後、継続してやることになると思う。
調査結果は、公開するということでしたが、どのような公開方法を考えているか、住民の不安を払拭するためならば、単に生のデータの結果を公表するだけでは不十分であり、調査の分析、評価といった解説を伴う説明会などが必要である、という沖縄BDからの意見に関しては、担当職員は説明会などの予定はないとのことでした。
住民が枯れ葉剤に関する正しい知識を持つことではじめて、安全かそうでないかの判断ができ、市民参加が可能になるので、そのような機会を持つことを強く要請しました。
2. 2002年に北谷町で発見された約200のドラム缶の調査について
この件に関しては、県への陳情などでも触れているのでここではくり返しませんが、当時の防衛施設庁の調査書の資料があるので、公開するのはやぶさかでないということでした。
3.県・日本政府への働きかけ
北谷町は、米退役軍人の証言からも、枯れ葉剤使用・埋設の可能性が高いことから、県、日本政府に、積極的に本件に取り組むことを継続的に働きかけてほしいことを要請しました。
ここでは、改正駐留軍用地返還特措法案(軍転法)についても県民のイニシアチブをとれる運用が可能な制度の担保を北谷町からも国や県に要請することをお願いしています。この件については、情報・意見交換を行いました。
北谷町にとっては、跡地利用は過去の問題ではなく、キャンプ桑江の海軍病院の返還という問題に直面します。ご存知のように、米軍には原状回復の義務はありません。旧法の軍転法では、「土壌汚染等について
国が調査を行う必要があると認められる場合における調査区域、調査方法など及び調査結果に基づいて講ずる措置に関する方針を策定」でしたが、改正法では、
「引き渡し前に、
当該土地の区域の全部について」、国が支障除去措置を義務づけられるようになりました。それでも、基地内での使われ方の履歴を公開することは制度化されていないので、跡地における地域作りには課題が残っています。
いずれにしても、日米政府が沖縄における枯れ葉剤の使用の記録がない、という形で事実上使用を否定し続けている状態では、沖縄県の主体的な対応と市町村同士の連携がますます求められます。
沖縄県がこの問題にイニシアチブをとり、適切に対応していくためには、まず多くの市民が意見書を読み、正しい方向づけを行っていくことも必要だと思います。
県内報道は以下のとおり(クリックすると拡大します)
要請書全文はこちらに掲載してあります。↓
2012年4月9日
北谷町町長
野国 昌春殿
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
NPO法人「奥間川保護基金」事務所内
TEL/FAX:098-897-0090
共同代表:伊波義安、城間勝、高里鈴代
北谷町における枯れ葉剤問題に関する要請
昨年4月からの退役軍人の証言に基づく沖縄の枯れ葉剤に関する一連のメディア報道によって、沖縄県民の同問題への疑念は益々高まってきています。退役軍人だけでなく、沖縄の基地労働者や一般人、次世代への影響も含め、全県的な被害を受けている可能性が高いことがうかがわれるため、被害地域や、被害者の特定が急がれます。また、過去における北部訓練場における枯れ葉剤問題と同様に、今回も真相解明がされないままに枯れ葉剤問題が幕引きされるのではないかと懸念されています。
このような状況を受け、かつ枯れ葉剤問題は、適切な対応・指針が必要であると考え、本ネットワークは、専門家の第三者機関に、これまでの県や自治体の調査体制および今後のあるべき対応についての意見書の作成を依頼しました【添付資料:「米軍による沖縄県内における枯葉剤問題への適切な対応についての意見書」(環境総合研究所)】(以下、「意見書」とする)この「意見書」は枯れ葉剤問題に限らない、環境問題に共通する提言で、沖縄県での多くの活用が望まれるものです。
今回は、この「意見書」をもとに、北谷町に枯れ葉剤問題に関する以下の事項を要請いたします。
記
1. 北谷町が行った町内3地点で行った環境調査について(→「意見書」p.11)
北谷町は、退役軍人3名の証言を受け、今年2月上旬に町内3地点(白比川と塩川河口、北前区の井戸)で環境調査を行ったことが報道されています(琉球新報「環境調査『異常なし』北谷枯れ葉剤問題 町が国に事実精査要請」2012年3月8日、QABニュース「枯れ葉剤問題で要請 北谷町『継続して調査を』2012年3月7日」)。
1)この調査についての詳細(方法、実施機関、結果、分析)を町民のみならず、県民に公開・説明(町のウェブページ、説明会の実施など)してください。
2)この調査は、「意見書」のあるべき調査(pp.25-29)から鑑みても、決して十分な調査とはいえないと考えられます。北谷町は引き続き事実関係の精査や基地関係市町村との連携を図ることなどを要請しているようですが、今後、県や他の関係自治体とどのような対応をとることを考えているか、具体的に説明してください。
3)今後の調査に関しては、「意見書」の提案するとおり(p.25-「4-2調査のあり方」)、ヒアリングを含めた調査計画の立案段階から市民が参加し、第三者機関が実施する形で行ってください。
2. 2002年に北谷町で発見された約200のドラム缶の調査について(→「意見書」pp. 17-22)
2002年に北谷町で発見された約200のドラム缶についての県の調査は、「意見書」で厳しい評価がされています(「調査の目的を達成するには不十分な内容であり、場当たり的・おざなり、アリバイ的といった非難を免れない」。→「意見書」p.21)
今後の調査体制の確立のためにも、この件に関しての以下の詳細な情報を、町民のみならず、県民に公開してください。
1)既に開示されている情報や報告以外の情報・報告の有無。ある場合はその公開。
2)原因についての日米政府からの照会、回答の有無や、最終的にドラム缶と内部のタール状物質がどう処理されたかの報告。
(国及び北谷町が負担した税金は合計で1億円近くにも及んでいるが、これだけの公費を費やした調査結果や処分の内容等について納税者である県民、国民に説明しない理由はないはずである。)
3.県・日本政府への働きかけ
北谷町は、米退役軍人の証言からも、枯れ葉剤使用・埋設の可能性が高いことから、県、日本政府に、以下のとおり積極的に本件に取り組むことを継続的に働きかけてください。
1)沖縄県に対して:
以下のことについて、県として自主的な調査に一刻も早く取り組み、調査体制の確立を図ることを要請してください。
①枯れ葉剤について、沖縄の元米軍雇用員の証言を集めること。
②枯れ葉剤について証言した米退役軍人の証言を検証すること。
具体的には、彼らの証言から汚染場所を確定すること。その中で高濃度汚染地域(ホットスポット)と推測される場所について、専門家の助言を受け、県民参加のもと土壌調査、水質調査、健康調査を行い、その結果を県民に早急に公表すること。
2)日本政府に対して:
国防総省のみならず、退役軍人省も含めた米国政府への継続した情報照会を要請してください。
3)日本政府、沖縄県に対して:
改正駐留軍用地返還特措法案(軍転法)において、日米政府ではなく、県民がイニシアチブをとることができ、柔軟で幅のある運用が可能な制度が担保されるよう、要請してください。
以上。
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