沖縄市サッカー場基地跡地問題:環境総合研究所調査評価報告書報道

沖縄BD

2013年09月08日 15:29

 9月2日の記者会見の報道のまとめです。
 
 センセーショナルなものではないのですが、新聞でもTVでも報道してくれました。

 今回、琉球新報さんが、2つの記事で、制度的な部分に切り込んだ記事にしてくれています。

 また、社説でもとりあげられました。指摘したい点がいくつかありますが、「国の全面調査を」「使用履歴を」というトーンが社説で長く続き、「国だけにやらせちゃまずいんですけど....(費用は出してもらうけどね)」と考えていた私たちにとって、調査が誰のためなのか、何のためのものか、調査主体、調査のチェック体制に踏み込む論説、沖縄市、市民団体への評価(↓)は大変、嬉しいものでした。
 
"今回の異常事態は、国の発表をうのみにせず、沖縄市や市民団体が独自に研究者・機関に依頼した調査によって明らかにされた。住民の健康を守るため、粘り強く調査を進めた市の対応を評価したい。"


 以下、報道をまとめましたのでぜひご覧下さい。

○琉球新報 「沖縄市ドラム缶 米国・独基準を大幅超、対策に甘さ」(2013年9月3日)







社説「ドラム缶汚染 県民への脅威裏付けた」2013年9月4日
"米軍基地は、有害物質を含む大量の化学物質を使う。その管理がずさんだと、周辺住民の健康を脅かす環境汚染が生じ、基地跡利用の大きな壁になりかねない。
 沖縄市の基地跡地のサッカー場に埋められていたドラム缶に含まれた、猛毒のダイオキシン類のほとんどの検体が、環境先進国であるドイツや米国の基準値を大幅に上回っていた。
 自然界に存在しない有害物質が異常に高い数値で検出された事実は、在沖米軍基地のずさんな化学物質管理が、県民の脅威と化していることを裏付けた。
 日本政府には、米軍基地の汚染を浄化する責任がある。浄化に全力を尽くすべきだ。同時に、米軍への国内法令適用を免除している日米地位協定の改定と、国内法の不備是正を急ぐ必要がある。
 一部のドラム缶には、枯れ葉剤の製造大手「ダウ・ケミカル」の社名が記されている。米軍が管理していたドラム缶が投棄されたことはほぼ間違いないだろう。
 環境総合研究所によると、ドイツの子どもの遊び場の環境基準に照らせば、ドラム缶22検体のうち、沖縄市の調査で最大で84倍、沖縄防衛局の調査で最大11倍の数値が出た。さらに、日本では基準値が設けられていない全石油系炭化水素(TPH)の濃度でも、全検体が米国内で浄化が義務付けられる基準値を超えた。国内基準の後進性が浮かび上がる。
 要するに、子どもがサッカー場として使うことはまかりならないという汚染である。防衛局調査の数値の低さは何なのか。汚染を過小評価する印象操作ではないか。調査の信ぴょう性に疑義がある。
 今回の異常事態は、国の発表をうのみにせず、沖縄市や市民団体が独自に研究者・機関に依頼した調査によって明らかにされた。住民の健康を守るため、粘り強く調査を進めた市の対応を評価したい。
 在日米軍の環境管理規範に日本環境管理基準(JEGS)がある。日米の基準の厳しい側を採用し、環境汚染を防ぐことをうたうが、在日米軍の内部規定で運用実態は不透明だ。罰則は不十分で、抜け道となる適用除外が数多くある。
 一方、ドイツは厳格な自国の規定を持ち、米軍とも対等に渡り合う。日本の基準は主権意識の弱さが否めず、米軍基地汚染の抑止力になり得ていない。主権国家としての気概が問われている。"


○沖縄タイムス



○QAB: 沖縄市ドラム缶問題 環境団体 調査のあり方を評価


"沖縄市のサッカー場工事現場から高濃度のダイオキシン類を含むドラム缶が見つかった問題で、環境団体が2日、会見をひらき沖縄市が実施した調査のあり方について、「画期的なこと」だと評価しました。
また、この団体が他の研究機関に依頼した評価結果からは枯れ葉剤の可能性も指摘されています。
2日午後、会見を開いた沖縄生物多様性市民ネットワークは、沖縄市がサッカー場の土壌やドラム缶の内容物を調べる際、沖縄防衛局任せにはせず、市も別に調査を実施したこと、また調査結果をもとに第三者機関である、愛媛大学に評価を依頼したことをあげこれまでに例がない画期的な取り組みだと評価しました。
また市民ネットワークでも沖縄市と沖縄防衛局の報告書について東京の環境総合研究所に評価を依頼した結果、枯れ葉剤の可能性が指摘されたことを発表。
返還軍用地汚染の問題に市民が関わり、チェックしていくことの意義を強調しました。
沖縄生物多様性市民ネットワークの河村雅美さんは「基地跡地の調査も公開させなければいけないし、返って来る前にどういう対応をするかを考えなければならない」と話しました。
この後、市民ネットワークでは県議会の社民・護憲ネットなどを対象に勉強会も開催しました。"


○OTV: 沖縄市ドラム缶 追加調査 透明性の確保 訴える
"沖縄市のサッカー場から環境基準値を超える有害物質のダイオキシン類が検出された問題で自然保護を訴える市民団体は今日今後の追加調査については市民の意見を聞きながら実施するよう訴えました。
会見で沖縄・生物多様性市民ネットワークは沖縄防衛局と沖縄市が実施した調査結果の分析を独自に専門家に依頼し提言をまとめたと発表しました。河村雅美ディレクター:「追加調査・全面調査の計画立案を市民参加のもとでオープンに行う事。調査着手の前に課題である調査の透明性の確保と市民からの情報のアクセスを担保する事」また沖縄市が国任せではなく独自に調査を行った事は画期的と評価し、今後返還される基地の調査の在り方にも繋がるとして、制度化に向け検討すべきと提言しています。今回まとめた提言は県や沖縄市、沖縄防衛局へ送付されます。"

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