沖縄市ドラム缶発見の報道から基地跡地問題へ2 沖縄BDからの発信
「枯れ葉剤問題」としてだけでなく返還跡地の問題としての枠組みで
沖縄市ドラム缶発見の報道で、「枯れ葉剤」問題を追ってきた私たちが危惧したことは、ドラム缶に枯れ葉剤を製造していた会社の名前が記載されていたことから、「枯れ葉剤問題」の観点だけで捉えられてきてしまうことでした。
枯れ葉剤問題の解決はもちろん重要ですが、枯れ葉剤問題をとおして私たちがこれまでの日本政府、沖縄県に対して要請してきたことは、返還跡地の浄化の問題をどうするか、ということでした。そして、その問題の取り組みの中で明らかになったことは、沖縄県や政府の米軍遺棄物の調査や処理が不備であること、情報公開がきちんとされていないこと、そして日米政府が枯れ葉剤の問題に対して、不誠実な姿勢であることです。
ですから、この沖縄市のドラム缶発見の問題は、北谷町で2002年に発見されたドラム缶発見時のような対処をくり返させないように、跡地の問題、遺棄物の調査の透明性の問題として捉えることを訴える必要があると考えました。
沖縄市や市長だけの問題ではない
そして、この問題は沖縄市や沖縄市長だけの問題ではなく、日米政府、沖縄県が関わり、そして透明性を担保するために市民の目を届かせる形で取り組む必要があることを認識してもらうことが必要であるとも思い、取材を受けたメディアでは、その点を積極的に発言しました。
この琉球新報の解説と識者談話は、背景や問題点が整理されたものとして多くの方に読んでいただけたようです。
QABのインタビューと併せて、ぜひご覧ください。
枯れ葉剤の問題に絡めてこれまでも返還跡地のことは言及はしてきましたが、この沖縄市ドラム缶の件は、これまで跡地問題の具体的な問題を洗い出す重要なモメントとなるのではないかと思います。
しかし、メディアで発言しているだけでは不十分で、調査を拙速に進めようとする行政に適切な調査の提言を緊急に行う必要がありました。次の記事でその要請を紹介します。
琉球朝日放送ニュース:
沖縄市ドラム缶発見 今週中にも土壌汚染調査へ (2013.6.18)
” 13日に沖縄市のサッカー場建設現場から発見されたドラム缶にベトナム戦争当時、枯れ葉剤を作っていたメーカーの社名が書かれていた問題で、沖縄市は今週中にも土壌汚染の調査に踏み出すことにしました。
ドラム缶は今月13日、沖縄市諸見里のサッカー場の工事現場から15本ほど見つかり、そのうち1本にはベトナム戦争当時、化学兵器の枯れ葉剤を作っていた「ダウケミカル社」の社名が書かれていました。
現場は26年前に返還された軍用地跡で、沖縄市は沖縄防衛局を通してアメリカ軍に問い合わせていますが、回答は得られていません。
小野寺防衛大臣は閣議後の会見で「いずれにしても今のようなご指摘を受けておりますので、防衛局にもしっかり情報収集するよう指示を出したい」と述べました。
沖縄市では今週中にも、専門機関に土壌汚染の調査を依頼する方針ですが、調査だけでも50万円以上、また他にドラム缶が埋まっていないか調べるために磁気探査を行った場合は200万円から350万円もかかる見通しで、重い財政負担が浮き彫りになっています。
沖縄生物多様性ネットワークの河村雅美さんは透明性のある調査が必要とした上で「それは一自治体の話ではないと思います。一市長の問題でもない。とにかく米国政府、日本政府、沖縄県、そこに必ず市民がいなければならない」と指摘しました。
県も沖縄市とともに、周辺の地下水や井戸水の調査をおこなう方向で検討しています。”
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