12/14 外務省要請:人種差別撤廃委員会に提出する定期報告書

沖縄BD

2013年01月22日 20:33

報告が遅くなってしまって申し訳ありませんが、昨年の12月14日、枯れ葉剤の件とともに国連人種差別撤廃委員会の件で外務省に要請に行きました。
 
国連人種差別撤廃委員会は、昨年8月31日付けの書簡で日本政府に1月14日を期限とし、定期報告書でさらなる情報提供をすることを要求していました。(→人種差別撤廃委員会:日本政府定期報告書で情報提供を要求 2012.11.10)

沖縄BDは、報告書の期限前に、前回の日本政府の回答の訂正の要求と、正確な委員会への情報提供を求め、以下の要請をしました。
 
この要請の報告については、別記事で報告します。 


外務省と沖縄BD


高江から「ヘリパッドいらない住民の会」の伊佐さんも現場からの詳細な説明をしてくれました。

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2012年12月14日

外務大臣
玄葉 光一郎殿
特命全権大使(沖縄担当)
竹内 春久殿

沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄県宜野湾市志真志4-24-74
セミナーハウス304
  NPO法人「奥間川保護基金」事務所内
  TEL/FAX:098-897-0090
  連絡先:吉川秀樹

日本政府が国連人種差別撤廃委員会(CERD)に提出する第7、8、9回政府定期報告書
(seventh, eighth and ninth periodic reports)に関する要請


国連人種差別撤廃委員会(CERD)は、日本政府に対して、第7、8、9回政府定期報告書(seventh, eighth and ninth periodic reports)(2013年1月14日期限)において、「沖縄で展開されている計画に関し、地域コミュニティーの支持と合意を得るために予定されている、あるいは実行されている施策について、最新かつ詳細な情報を提供すること」を2012年8月31日付けの書簡で要求しました。この要求には、名護市辺野古/大浦湾での米軍基地建設と東村高江でのヘリパッド建設についての最新かつ詳細な情報の提供も含まれています。
今回のCERDの要請は、CERDが「早期警戒緊急手続き」のもと、日本政府に対し、辺野古/大浦湾における米軍基地建設と高江におけるヘリパッド建設についての情報提供を要求した2012年3月9日付けの書簡と、そのCERD書簡への日本政府の2012年7月31日付けの回答が反映されたものです。
私たち沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、日本政府がCERDの2012年3月9日付けの要求に対し、遅滞なく回答を提出したことについては評価をしています。しかし同時に、2012年7月31日付けの日本政府の回答は、沖縄で深刻な問題となっているオスプレイ配備の記述がなく、すでに自主的環境影響評価が済んでいる高江ヘリパッド建設に関するアセスがこれから行われると記述されるなど、情報が不正確かつ不十分であったと認識しています。また、琉球/沖縄の人々の民族的帰属意識に関す回答に関しても、琉球/沖縄の人々の意識ではなく、政府の見解だけを示したことも大きな問題だと考えます。日本政府の回答は、CERDに対しても、非常に不誠実なものであったと考えます。
よって私たち沖縄BDは、日本政府が2013年1月14日までにCERDに提出する第7、8、9回政府定期報告書において、少なくとも以下の項目に関し、正確、詳細、かつ十分な情報の提供と、日本政府の前回の回答(2012年7月31日付け)における間違いの訂正を要求します。


1)沖縄で暮らす、あるいは沖縄で生まれた個人の民族的帰属について、民族的帰属と国籍の区別を考慮し、自己認識確認の原則に基づき調査し、報告すること。

2)辺野古/大浦湾における米軍基地建設について、沖縄県知事や県議会や自治体議会をはじめ、70%以上の沖縄の人々が反対している事実と、日本政府が基地建設を進めるにあたりオスプレイ配備の重要な情報を隠蔽しながら押し進めてきた事実を明記すること。

3)辺野古/大浦湾における米軍基地建設に係る環境影響評価の手続きの一部として、日本政府が提出した「環境影響評価書」に対する沖縄県知事意見の内容と、環境影響評価の手続きの状況を説明すること。特に、新基地の建設と運用は、環境保全の上で深刻な問題があり、評価書で提案されている方法では、社会的環境、自然環境的環境のどちらの保全も保証できないと知事意見が結論づけている事実へ言及すること。

4)東村高江のヘリパッド建設については、ヘリパッドが高江のコミュニティーを取り囲んで建設されており、そのヘリパッドのうち2つは高江のコミュニティーから400mしか離れていないという事実と、米軍航空機によるヘリパッドの使用が高江の住民の命と暮らしを危険にさらすことになることを明記すること。

5)日本政府の2012年7月31日のCERDへの回答では、高江のヘリパッド建設の環境影響評価はこれから行われることになっているが、日本政府(沖縄防衛局)はすでに環境影響評価を終えており、建設作業もすでに行われている事実を明記すること。また日本政府の「早朝や夜間、日曜及び祝日の工事は原則として実施しない」との回答に相反して、早朝にも工事が行われている事実を明記すること。またなぜ、2012年7月31日のCERDへの回答で、環境影響評価がこれから行われると回答したのかきちんと説明すること。

6)東村高江のヘリパッド建設工事に関連して、日本政府が、小学生や座り込みを行うサポーターまでも含めた高江の住民を巻き込んだ訴訟を起こした事実と、進行中の裁判の状況について明記すること。またこの訴訟がSLAPP訴訟であると弁護士を含む多くの人に考えられていることにも言及すること。

7)日本政府の2012年7月31日付けのCERDへの回答において示された、沖縄県議会の「北部訓練場の過半の返還の条件である北部訓練場のヘリコプター着陸帯移設工事を着実に実施し、段階的に基地の整理、縮小を図るべきとの見解」、および東村長及び国頭村長の「ヘリコプター着陸帯受け入れ」の表明は、どちらも普天間飛行場に配置されているヘリコプターがヘリパッドを使用することを前提としたものであり、MV-22オスプレイが使用する前提のものではなかったということを明記すること。

 8)米軍海兵隊のMV-22オスプレイの沖縄への配備が、沖縄県知事、県議会、全ての市町村議会、沖縄の人々の反対を無視し、米軍の一方的な「環境レビュー」とモロッコや米フロリダでのオスプレイ墜落事故を「人為的ミス」とする調査結果をもとに、日米両政府によって強行された事実を明記すること。また、MV-22オスプレイの飛行訓練が、日米両政府自らが定めた飛行規則を遵守せず、「環境レビュー」の予測評価を越える騒音や低周波音を放ち、沖縄の人々の暮らしに影響を与え、人々を危険にさらしながら強行されている事実を明記すること。

9) 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」等、他の国連規約や条約の日本政府の仮訳では「national」が「国民的」または「国の」と訳されているが、「人種差別撤廃条約」(英文)の第1条1項(定義)における「 national or ethnic origin」の部分等が「民族的若しくは種族的出身」となっている事実に言及すること。そしてなぜそのような「national」の仮訳に不一致があるのかについて説明すること。


以上




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