辺野古の埋め立てに関わる「環境保全策を検討する環境監視等委員会」が設置され、4月11日に初会合が沖縄で開催されました(一番下に新聞記事等をまとめてあります)。同委員会は、昨年12月に仲井真弘多沖縄県知事が埋立てを承認する際の「留意事項」において、沖縄県が沖縄防衛局に設置を求めたものです。
私たち沖縄BDは、知事の埋立て承認は法的正当性を持たないと考えています。よって環境監視等委員会自体の正当性も認めていません。しかし同時に、知事が「留意事項」で要求した透明性や市民への周知が無視される形で同委員会が開催されていることも大きな問題だと考えています。
今回沖縄BDは、日本自然保護協会とともに、環境監視等委員会の目的や裁量範囲、構成、運営についての明確な説明と、同委員会に市民が関われる仕組みの設置を求める要望書(4月23日付け)を沖縄防衛局に提出しました。(日本自然保護協会の記事は
こちら)要請文を下に貼付けます。また独自ルートで入手した委員会の名簿を貼付けます。
これから沖縄BDは、知事承認の正当性を問い続け、同委員会の監視や同委員会への意見提出等も含めて、埋立て工事に反対する動きをしっかり展開していきます。多くのみなさんの参加と支持をよろしくお願いします。
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沖縄防衛局長
武田 博史 殿
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
吉川 秀樹
「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」の公開の要望書
辺野古の埋め立てに伴う環境保全策を検討する普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会(以下、環境監視等委員会)が沖縄防衛局により設置され、2014年4月11日に初会合が開催された。この委員会は仲井真弘多沖縄県知事による埋立承認の際に「留意事項」として政府に求めたことを受けて設置されたものであるが、私たちは委員会の正当性とその運営に、以下のような大きな疑念をもっている。
第一は、環境監視等委員会の前提となる仲井真知事の埋立て承認は、「環境保全」を要求する公有水面埋立法の4条1-2項を無視した承認であり、同委員会の正当性が問われる。仲井真知事は2012年2月に、環境影響評価書に対する知事意見として「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考える」とした。その後、評価書は補正されたが、本計画が有する根本的な問題は何も解決されなかった。それに続く
公有水面埋立手続きにおいても、問題は解決されるどころか、埋立土砂の調達予定地に外来種の混入が発見されるなど、新たに深刻な問題が次々と発覚し、これらの事項も解決をみていない。
第二は、2012年3月27日に出された普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書に対する沖縄県知事意見の中には、「各委員会の開催に当たっては、積極的に公開するなど広く地域住民、県民に対し周知に努めながら運営する必要がある。」と記されているが、現在の環境監視等委員会の設置過程や運営状況はそれと相反するものである。環境影響評価書の補正過程において設置された「有識者研究会」も、公開がなされず、また市民による多様な視点からの関わりがないまま行われ、結局は、補正において本計画が有する根本的な問題を解決する役割は果せなかった。沖縄県が述べている埋立承認に伴う留意事項には、市民の検証の過程が必要であり、環境監視等委員会に市民が関ることができる仕組みをこれから取り入れることが必要である。
以上の理由から沖縄防衛局に下記のことを要望する。
記
1. 環境監視等委員会の目的と裁量範囲を明確にすること
2. 同委員会への市民の傍聴を認め、市民が関われる仕組みを設けること
3. 同委員会の議事録を公開すること
4. 同委員会委員の氏名、所属および専門分野を公開すること
5. 同委員会委員の選考過程とその理由を明らかにすること
6. 同委員会委員に環境保全のどの部分に対して助言を求めるのか、明らかにすること
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◯メディアには投げ込みで委員名簿は知らせているようです。こちらは独自のルートで入手しました。
◯環境監視委員会に関する主な報道
辺野古環境監視委が初会合 公開も報告もせず (琉球新報 2014.4.12)
"名護市辺野古の埋め立て工事で、環境保全策を検討する環境監視委員会が設置され、初会合が11日、那覇市内で開催された。
会合は非公開で、委員会の事務局を務める沖縄防衛局によると、今後も公開の予定はない。同局の高木健司調達部長は「できるだけ早く議事録を公開する」と述べるにとどめた。
委員会は、仲井真弘多知事が埋め立て承認の際に「留意事項」として政府に求めたことを受けて設置されたが、高木部長は「会合ごとに県に内容を報告することは考えていない」と述べた。
委員会は12人の有識者から成り、中村由行横浜国立大大学院教授(土木工学)が委員長に選ばれた。会合で委員からは「埋め立て土砂の調達先、運搬方法、外来生物の移入について十分確認すべきだ」「水中での土砂の濁り、堆積状況の監視が重要」「サンゴの移植技術は100%保証されたものではない」などの意見が出されたという。
またジュゴンについて、「生息は3頭しか確認されていないことを前提に、工事の影響が及ばないように監視すべきだ」との意見があったという。
今後、委員会の指導、助言に基づき環境調査の方法や保全策を確定するが、開催期間や次回期日は未定。
委員会をめぐっては、県環境影響評価審査会の宮城邦治会長が2月、県議会百条委で「(委員会で)果たして十分に環境保全対策ができるかどうか懸念を持っている」と述べている。"
QAB 防衛局辺野古移設で環境監視等委員会 (琉球朝日放送. 2014.4.11)