意見書3576 件/辺野古・大浦湾埋立て
7月31日沖縄県は、沖縄防衛局が提出した辺野古・大浦湾における米軍基地建設の為の埋立て申請に対して、告示・縦覧の期間に3576件の意見書が「利害関係人」から提出されたことを公表しました(下に貼付けた琉球新報の記事を参照)。同一者の複数提出や住所・氏名未記載を除くと3400件になり、その内訳は、名護市内在住者214件、同市内以外の県内在住者2039件、県外の国内在住者1139件、国外在住者が8件ということです。
意見書のこの数は、総数においても、県外から意見が寄せられたという点においても、日本の公有水面埋立ての歴史において、非常に重みをもつものだと言えます。意見書を提出して下さったみなさん、本当にごくろうさまでした。そしてありがとうございました。
一方、沖縄県による意見書の扱い、特に「利害関係」の範囲の取り扱いについては、懸念しなければならない状況が起こっています。なぜなら、県の私たち市民団体に対する説明と、一部メディアの報道が異なり、そのメディアの情報に対する県の見解もまた混迷しているからです。
沖縄タイムスの報道
7月27日の沖縄タイムスの一面に「意見9割は対象外」という見出しの記事が掲載され、意見を提出した多くの人々に驚きを与えました(下に貼付けた沖縄タイムスの記事を参照)。9割が対象外ということは、名護市在住者以外の殆どの意見が認められなくなるからです。
私たちはタイムスの記者に対して「9割対象外」情報の出元を聞くと、「誰かは言えないが、県の内部から得た情報である」ということでした。そして「県は9割が対象外という方向性で最終的には決断する方向で進めている」、「それを公表するタイミングがまだなのではないか」とのことでした。
沖縄県海岸防災課の説明
7月27日のタイムス記事を受けて、沖縄BDは7月29日に沖縄県の海岸防災課に電話をいれ、「9割は対象外」の報道の真偽を確認しました。海岸防災課の担当者は、「沖縄県として集めた意見の9割が対象外であるとは言っていない」と強調し、誰を利害関係人とするかについては、まだ精査中であるということを強調しました。
海岸防災課の担当者はまた、「9割という数字はタイムスの記者が自分で勉強して、例えば上関などの事例をもとに、出してきた数字ではないか」とも話していました。また、意見の中身については、利害関係人と認めるかどうかとは関係なく、科学的な理由があれば考慮する予定」ことも強調していました。しかし沖縄BDからの「9割対象外という情報は確かに県からの情報だとタイムスは言っているが、どうなのか」の質問には、「県としてはそうはいっていない」ということを繰り返えだけでした。
それから、「埋立ての部分」と「飛行場の部分」については、関係部局内で調整を行っている状況だということでした。
県の説明を信じればいいのか、メディアの報道を信じればいいのか。もしかしたら県の上層部から海岸防災課の担当者には伝わっていないということなのか(?)。市民としては非常に困惑してしまいます。
いずれにせよ「名護市民だけ」を「利害関係人」とすることは、大きな問題だと考えます。なぜなら、埋め立て予定地は沖縄県の「自然環境の保全に関する指針」(平成10年)において評価ランクI(自然保護の厳格な保護を図る地域)とされている自然度の非常に高い場所であり、辺野古・大浦湾の自然環境を守ることは「県是」とも言えるからです。また、埋立て後の飛行場からは、オスプレイを含む軍事航空機が離発着し、沖縄全体に展開する形で訓練を行うことになり、「利害関係」(むしろ被害)が、名護市内だけではすまないのは明白です。また、基地建設の問題は、国際自然保護連合からもジュゴン保護について3度も勧告・決議を受けるなど、国際的にも重要な問題です。
沖縄県が「利害関係人」の範囲を最大限に広げ多くの意見に耳を傾けるように、私たち市民が声をあげていきましょう。
以下関連の新聞記事です。
琉球新報2013年8月1日1面
琉球新報2013年8月1日2面
沖縄タイムス2013年7月27日
沖縄タイムス2013年7月27日
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