翁長県知事訪米にあたり要請書を沖縄県に提出しました!

2015年05月21日/ 辺野古/ 辺野古・大浦湾

去った5月18日に、沖縄BDのメンバーは、沖縄県議会の山内末子議員を介して、沖縄県の知事公室の職員と会い、翁長知事訪米にあたっての要請を行いました。要請の柱は3つ。1) 知事の訪米の際、沖縄県が質の高い文書・資料を作成して、米国側に提示・提出し、翁長知事をしっかりと支えること、2)作成した文書・資料を沖縄県のHPに掲載して、県民や国内外の人々が活用できるようにすること、3)文書・資料に具体的な内容をいれること、という要請です。

要請に対応して頂いたのは、池田竹州基地防災統括監、運天修基地対策課長、新垣耕地域安全政策課主幹でした。また山内末子議員も同席して頂きました。沖縄BDからは、河村雅美さん、中村ヒューバー和恵さん、そして吉川が参加しました。対応頂いた知事公室の職員のみなさん、また同席いただいた山内末子議員、ありがとうございました。

知事の訪米の意義と取組み
翁長知事による5月27日〜6月4日の日程でのハワイ、ワシントンD.C.の訪問は、辺野古新基地建設問題と普天間の問題の解決に向けて重要なものとなります。

訪米への準備も着々と行われています。知事は5月17日の沖縄セルラースタジアムで3万5千人を集めた県民大会へ出席し、建設NOの意思を明確に表明しました。「ウチナーンチュウ、ウシェーティナイビランドー」の言葉が印象に残った参加者も多かったと思います(沖縄タイムスの5月20日の大弦小弦にこの言葉の意味が書かれています)。また20日には東京の外国特派員記者クラブと日本記者クラブで会見を行い、基地建設反対の姿勢を明確にしました。記者とのやりとりを通して、知事の日本政府に対する憤りと、この問題を解決する意思と姿勢がみえていたと思います。県民の支援を背景に、またメディアをうまく使って、翁長県政が問題解決に向けて取り組んでいると言えます。

なぜ沖縄BDの要請か?
しかし同時に私たちは、沖縄の基地建設NOの民意や、翁長知事の意思、見解や取組みについて、沖縄県自体がきちんと情報を発信しきれていないという認識と懸念を持っています。沖縄県庁のウェブサイトにおいても、翁長知事の意思、見解、取組みがきちんと紹介されていると言えません(沖縄県のHPはこちら)。

特に米国政府、国際社会に対しての沖縄県からの英語による発信は非常に限られていています。私たちの知る限りでは、現在翁長知事からの米国に対しての正式な発信は、玉城デニー衆議会議員が4月の訪米で連邦議会議員に渡した「書簡」のみです。そしてその「書簡」も、翁長知事が表明してきた基地建設阻止の意思や実際の取組みを十分に示しきれているとは言えませんし、ウェブサイトでも掲載されていません(2015年5月21日現在)。

米国政府との面談・交渉において、文書・資料でのやりとりが非常に重要なものとなります。
口頭でのやりとりがどんなに長けていても、面談・交渉は時間の制限があります(30分間の面談では通訳をいれると実質の話しは15分です。何も話せません)。翁長知事が米国を去った後も、翁長知事のかわりに米国側にメッセージを伝え続けるのが、文書・資料です。

以上を踏まえて、今回の翁長知事の訪米の際には、充実した質の高い文書・資料を沖縄県が作成し、米国側に提示・提出し、翁長知事を支えて下さい、そしてその文書・資料を県のウエッブサイトで公開し、私たち県民や国内外の支援者に活用させて下さい、と要請してきました。

18日の要請では、現在沖縄県、知事公室がどのような文書・資料を作っているのかについての情報の確認はできませんが、沖縄県はぜひ「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー」と言える、質の高い文書・資料を作って翁長知事を支えて頂きたいと思います。

また翁長知事の訪米について、いつくか重要な点を聞くことができましたが、それは後でまた報告します。


要請文は以下です。



                            2015年5月18日

沖縄県知事
翁長 雄志殿

知事公室
基地防災総統括監
池田 竹州殿

参事地域安全政策課長
中田 清大殿

                 沖縄・生物多様性市民ネットワーク
                 沖縄県宜野湾市志真志4-24-7 セミナーハウス304
                 NPO法人「奥間川流域保護基金」事務所内
                 TEL/FAX:098-897-0090
                 共同代表 吉川 秀樹
                 共同代表 河村 雅美
                  (連絡先:090-2516-7969)


翁長知事の訪米において、沖縄県は質の高い文書・資料を作成し、米国側に提示・提供することを要請します


 翁長雄志県知事が、辺野古・大浦湾で強行される新たな米軍基地建設(辺野古新基地建設)問題の解決に向けて、2015年5月27日より6月4日まで、ハワイ、ワシントンD.C.へ訪問します。私たち沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)のメンバーも、辺野古新基地建設に反対する多くの県民や県外・国外の支援者と同様、翁長知事の米国での取り組みに大きな期待を寄せています。

 しかし一方、仲井真弘多前知事が行った埋立承認を取り消しまたは撤回する前に訪米し、翁長知事が明確なメッセージを米国に伝えることができるのか、効果をあげることができるかについては、疑問も持たれています。また、これまで、翁長知事はメディアへの記者会見などで知事としての意思を語ってきましたが、県のウェブサイトなどで、日英両言語で公式な見解を発表することはしてきませんでした。それゆえ、翁長知事の訪米時に用いる書簡を含めた文書・資料は非常に重要なものとなります。私たちは、これまでNGOとして、国際社会そして米国に向かって文書を作成、提出してきました。その観点から、翁長知事の訪米に向けて、沖縄県への提言・要請をしたいと思います。

 米国政府、連邦議会への要請・交渉は、非常に複雑かつ困難なものであると理解しています。特に、沖縄県という日本の一県の知事が、米国という一国の政府や議会と向き合って要請・交渉することは、並大抵なことではないと理解しています。しかしそれだからこそ、県民の声は勿論、県民の付託を受けた翁長知事の政策や考え、翁長知事のこれまでの実質的な取り組みを明確に示せる文書・資料を、沖縄県が作成し、米国側に提示・提供し、翁長知事を支えることが必要だと考えます。

 口頭による要請・交渉は、時間の制約等があり、問題全体をカバーすることや、状況の細かい説明、数値的詳細を説明するのは不可能です。それを補い、かつ明確に知事のメッセージを示せるのが付随する文書であり、資料です。また文書・資料は、記録として残り、翁長知事が米国を去ったあとも、米国政府、連邦議会、メディアの手元に残り、翁長知事のかわりにメッセージを発信続けます。また沖縄県のウェッブサイト等で公開することにより、県民はもとより、国際社会に多数いる沖縄の支援者、そして国際メディアも活用することができます。日米両政府が圧倒的な力を用いて、沖縄の声を矮小化しようとするなか、県のウェッブサイトに掲載される公式文書や資料は、沖縄県が持つ一つの重要な対抗手段にもなります。

 2014年12月の翁長知事の就任以来、米国政府と連邦議会に対して、沖縄県知事からの正式な文書として米国側に提供されているのは、私たちの理解する限り、玉城デニー衆議院議員に訪米の際に託された「書簡」だけです。それ以外で沖縄県知事から米国側に提出された文書、資料は、仲井真前知事県政によるものです。今回の訪米はまさに、県民の信頼と自らの選挙公約に背き辺野古新基地建設のための埋立てを承認した仲井真前知事と、翁長知事の違いを示す機会であり、そのためにも「オール沖縄」で勝ち取った翁長県政の政策や取り組みを明確に示す文書・資料を、米国側に提示・提供することが必要だと考えます。

 特に米国政府は、前知事の埋立承認を根拠として、辺野古新基地建設計画を推進しておりますが、翁長現県政の取り消しや撤回への動きが米国側には十分に伝わっているとは言えません。また、取り消しや撤回が不可能であるという認識が議会調査局のレポートやStars and Stripesの紙面でも見受けられます。米国の認識を変えるためにも、翁長知事の見解と動きは最も伝える必要がある部分です。

 私たちは、経験上、文書・資料の質により成果が左右されることを理解しています。
国際世論の喚起は勿論のこと、「国際自然保護連合」による日米政府への環境保全の勧告(2004,2008)、「国連人種差別撤廃委員会」からの基地問題に関する日本政府への見解の要求(2012)、米国連邦政府機関の「海洋哺乳類委員会」による米軍の環境分析を検証するとの表明(2009,2014)などの成果をあげてきました。それらは微力ながらも、19年におよぶ沖縄の辺野古新基地建設反対の運動に貢献してきたと考えます。そのなかで私たちが学んできたことは、きちんとした文書・資料を作成し、適時に提示・提供ができた場合には成果があり、それができなかった場合には成果を得ることができないということです。

 以上を踏まえ、以下を要請いたします。



翁長知事の訪米に際して、辺野古新基地建設に対する県民の強固な反対の意思と、建設を阻止するための翁長知事の決意と手法を明確に示す、質の高い文書・資料を、沖縄県は作成し、米国に提示・提出して下さい。

その文書・資料を速やかに沖縄県のHPで掲載し、沖縄県民はもとより、日本国内の人々、国際社会、そしてメディアと共有して下さい。

文書・資料には、以下の内容を含めて下さい。
・ 沖縄の「圧倒的民意」が辺野古新基地建設に反対をしており、それが選挙や世論調査で明確に示されていること。

・ 翁長知事がこれまで県民に示してきた「公有水面埋立て承認」の取り消しまたは撤回に対する見解と、「第3者委員会」設置、県庁内の「辺野古対策チーム」設置などの具体的な取り組みについて。

・ 翁長知事が「あらゆる手法」の一環として行ってきた、沖縄防衛局に対する海上作業の「停止指示」、抗議活動に関して海上保安庁や沖縄県警に対して行った「抗議」と「要請」等について。またそれが受け入れられていないことについて。

・ 翁長知事がこれまで示してきた「沖縄は米軍に自ら基地を提供したことはない」「強制接収」されて基地が作られているという認識について。また「強制接収」は、ハーグ陸戦条約46条に違反しているという認識が県民において再び生じていることについて。

・ 翁長知事がこれまで示してきた、「現場」における県警や海上保安庁の抗議者に対する暴力や逮捕や拘束、米軍による抗議者の逮捕、拘束への懸念、批判、人権侵害について。また「現場」は非常に緊張した状況にあり、沖縄県民や米軍にとって危機的混乱を生む可能性が非常に高いことについて。

・ 埋立承認の留意事項である日本政府の設置した環境等監視委員会が機能しておらず、それに対する県の調査の立ち入り許可を米軍が即時にださないといった、環境面での懸念からも米軍への批判が高まっていること。


文書・資料の作成においては、以下の点を考慮して作成して下さい。
・ 米国政府、あるいは連邦議会における文書・資料、あるいは国連における文書・資料のスタイルや作成の仕方を参考にすること。

・和文英訳で作成するのではなく、内容を踏まえて英語の文書のスタイルで書き下ろすこと。
 
・ 米国政府や連邦議会の文書・資料を引用し、そこに反論、あるいはそれを適用するかたちで文書・資料を作成すること。(例えば、連邦議会調査局(Congressional Research Service)が2014年8月作成した「The US Military Presence in Okinawa and the Futenma Base Controversy」における仲井真知事の「埋立て承認」の記述, 同、2015年4月に作成した「Japan-U.S. Relations: Issues for Congress」における自治体首長の権限の記述など)

                     以上


要請文のpdfファイルはこちらから%E6%B2%96%E7%B8%84BD%EF%BC%9A%E8%B3%AA%E3%81%AE%E9%AB%98%E3%81%84%E6%96%87%E6%9B%B8%E3%83%BB%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%AE%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%80%81%E6%8F%90%E5%87%BA%E3%81%AE%E8%A6%81%E8%AB%8B%EF%BC%88final%EF%BC%89.pdf (PDF: 162.21KB)











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Posted by 沖縄BD at 10:31│Comments(0)
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